はなかげ おとかげ

日本画家・書家 足立正平のブログです。

アジサイ

2010年06月26日 | 過去のBlog記事

アジサイがきれいな季節だ。

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雨の日のアジサイは特に美しい。

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青、赤、ピンク、白、紫・・・

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それぞれが微妙に混じり合う無限の配合は、見るひとを決して飽きさせない。

僕がとりわけ好きな色は、青を通り越した藍色に赤みの少しだけ混じった色だ。

一応ムラサキの範疇に入るだろうか・・

じっと見ていると、梅雨の湿度で上がった不快指数が、いくらか冷やされていくようだ。

「紫陽花」と書くように、アジサイの象徴ともいえる紫には、なにか特別な力が潜んでいるのだろうか・・

北京の故宮はもともと「紫禁城」といったし、日本の冠位十二階でも紫は最高位の色だったはずだ。

「紫」・・・読み方を表す「此(シ)」と「糸」から成る。「糸」は糸たばをねじった形。

最古の漢和辞典「説文解字」には「帛(キヌ)の青赤色なるものなり」と説明がある。

要するに生地を織る糸を紫の染料で染めたときの美しい色のことだ。

ところで去年秋の個展で、僕は春を待つ冬の姿を一枚描いた。

Huyuこの絵に「冬日(とうじつ)」というタイトルをつけたが、たまたま気に入って買って下さった方から、続けて同じ大きさで「夏」をテーマに描いてくれないか?という依頼を受けた。

僕はこの話を受ける事にし、最近ようやく描き終わったが本当に夏が来てしまった・・

「急ぎではないから・・」という言葉に甘え、長いことお待たせした結果、すこしイライラさせてしまったようだ・・

お詫びとして、ぼくは大好きなアジサイの淡彩画を作品と一緒にプレゼントしようと思う。


アリスを見て

2010年06月13日 | 過去のBlog記事

小学校以来の友達から、4~5年ぶりの電話がきて、夜中に3人で連れ立って映画を観にいくことになった。

D映画「アリス・イン・ワンダーランド」。

普段メガネをかけている僕にとって、メガネの上に3Dメガネをかけるのは少し窮屈だったが、映像の世界に新しい可能性が開けている事は実感した。

               

映画の中で、ワンダーランドの未来が描かれている絵巻が出てくる。

最近たまたま買った雑誌の禅画特集に「寒山拾得図(かんざんじっとくず)」が出ていたが、画中で寒山が手にしているようなやつだ。

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これは経文だが、アリスの絵巻にしろお経にしろ、本ではなく「巻き物」に書かれている、というだけで何やらミステリアスな雰囲気が増すようにも思われる。

紙は中国で発明されたが、それ以前、手紙などはおもに木や竹を細長く切った「木簡」とか「竹簡」といわれるものに書かれた。

それら1本1本を縄でつなげることで、長い文章にも自在に対応する事ができた。

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ちょうど太巻きを作るときに使う「まきす」のようなものを想像すればわかりやすいか・・

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持ち運ぶときはそれをクルクルっと「巻く」ことでコンパクトにまとめる事ができる。

今でも本や漫画を「1巻、2巻・・・」と数えるのはこの時の名残りであろう。

最近「i-pad」発売で大騒ぎしていたが、こうした新しい技術とともに新しいスタイルが出てくるのは今も昔も変わらない。

「これで本がなくなるのでは・・」と危惧する本屋もいるだろう。

「紙」の発明以来、永らく本の時代が続いていたが、俯瞰してみればインターネットやi-padによって新しいスタイルができつつあるだけ、とも考えられる。

果たして100年、200年先の世界に行ったとしたら、そこはどんな世界だろうか・・

そこが僕にとって「ワンダーランド」であることだけは確かだろう・・・