腹話術人形けんちゃんの日記

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カフカの絶望名言(その2)・頭木弘樹・2019年11月03日(日)

2019-11-03 11:43:06 | 日記
絶望名言(その2)・頭木弘樹・NHK(ラジオ深夜便)政策班 飛鳥新社 27ページと28ページからの転載です。

生きることは、

    たえずわき道にそれていくことだ。

    本当はどこに向かうはずだったのか、

    振り返ってみることさえ許されない。

                (断片)

川野 これは、どういう作品にある、どんな流れの中での言葉なんですか。

頭木 これはおそらく37歳ぐらいの頃に書かれた言葉で。カフカは40歳で亡くなっているので、

   かなり晩年なんですけれど、それまでの人生を振り返っての言葉だと思います。

    カフカは作家になりたかったんですが、生前はほとんど無名で、生活のために役所勤めしていたんですね。

   作家になりたいけれど、わき道にそれて、サラリーマンをやっていると。

    あと、結婚をすごくしたいと思っていたんですけれど、3回婚約して、3回とも婚約解消しています。

   この言葉の頃は、ちょうど3回目の婚約解消の頃で、だからまさに、進みたい道に進めない人生を

   歩んでいるという意識があったんだと思います。

川野 この名言を選んだ、そのわけをうかがわせてください。

頭木 はい。ぼくが突然難病になった時、一番感じたのは、本来生きるはずだった自分の人生の道から外れて、

   わき道にそれてしまったという感じなんですね。

    本来のレールの上を走っていたはずなのに、脱線してしまって、あらぬ方向に進んでしまって、

   ああもう、そっちじゃないよ、というような感じが、とてもありました。

    将来こうなりたいというはっきりした夢を、まだその頃は持っていたわけではないんですが、

   それでも、難病になって生きるとは思っていなかったので、「本当の自分の人生じゃない、これはちがうんだ」

   という意識がすごく強かったですね。

    そんな時に、このカフカの言葉に出会いました。「生きることは、たえずわき道にそれていくことだ」と。

   わき道にそれるのが、そもそも人生なんだ、という言い方なので、これはむしろ非常に救いになりました。

   

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