
A Tribe Called Quest は、オールドスクールヒップホップを代表するグループと言っていい。
西海岸のギャングスタ路線(いわゆるウェッサイ)とは一線を画したそのスタンスは、東海岸勢の一角を成し、
結果として90年代をヒップホップ全盛期たらしめた。
今聴いても十分にカッコいい。真のクラシックといえるものだ。
初期には4人であったが、基本的にメンバーは3人(2MC & 1DJ)。
シニカルで覚めた視点からラップする Q-Tip と、いかにもヒップホップ的なフロウが持ち味の Phife Dawg。
この2フロントを支えるDJが Ali Shaheed。
このブログでたびたび話題にあがる GANGSTARR と同じく、ジャズを元ネタに求める傾向の多いグループだ。
アルバムはどれも名作とされるが、ここでは彼らの3rdアルバム『Midnight Marauders』を採り上げる。
#3 Award Tour をはじめとして、全体的にキャッチーでありながら骨太なビートは、ダンサーでなくとも思わず体が動いてしまう。
サンプリングネタの選び方も絶妙で、彼らの最高傑作と評されることも多い。
ジャズファンにとっては、そのネタ使いが気になるところだが・・・
耳をひくのは、#5 Sucka Nigga 、#8 Electric Relaxations あたりだろうか。
#5 Sucka Nigga のネタは、Freddie Hubbard の# Red Clay。定番ネタのひとつだ。
#8 Electric Relaxations の元ネタは、Ronnie Fosterの# Mystic Brew。このネタは Madlibも『Shades of Blue』の中で使っている。
併せてチェックしたいのは、これの一つ前の作品『the Low End Theory』だ。
タイトル通り、冒頭からえぐるように低いウッドベースが耳をノックアウトする。
アルバム通して聴くと、次作(上で紹介しているもの)に比べ、やや地味に感じるかもしれない。
しかし、聴きこむうちに中毒性のあるビート、フロウが気持ちよくなってくる。
なんといっても目玉は、あの Ron Carter の参加だ。
# 5 Verses from the Abstruct のベースラインを、ウッドベースで弾いている。
パターンを微妙に変化させつつ、反復している。
生ベースがヒップホップに与える効果を端的に表しているトラックといえる。
打ち込みとはまた違ったヴァイブスは(どちらが良いというのではなく)、ヒップホップという音楽の奥深さを感じさせる。
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