hotひと息ついてみよ

今日も一日おつかれさま。そう自分に言ってあげよう。

夜の音

2017-12-19 22:23:24 | 日記
数キロ離れている電車の音が聞こえた
隣りの家のテレビの音も
猫の声
カエルの声 そして虫の音

いつから聞こえなくなったのだろうか夜の音

暗闇は少し怖くて
布団を口のところまでずるっと上げて
なるべく窓の方は見ないようにしていた

そんな窓の方から聞こえる
夜に溶け込む日常の音は
暗闇を身近なものにしてくれた
だから
ちょっと安心して
眠りにつくことができた

夜の音がなくなったころから
夜と昼間の境目がわからなくなって
暗闇が姿をけした

怖かったけど
嫌ではなかった
そんな暗闇を失ったとき

自分の中でもみ消してしまいたい
失望や
苦しみや
そんなどこかにそっと隠しておきたい感情が
いきつく場所をなくしていった

どこかに涙の置き場所のない笑顔は
からっからの笑顔

暗闇がなくなったその先には
ただただ 暗い闇だけがあるような気がして

こわくて
こわくて
私はずっと夜の音を探しながら
子どもの時のように
布団をずるっと口元まであげて眠る


最後の草むしり

2017-12-18 00:13:44 | 日記
ほんの少しだけ残っていた庭の草をむしった

塀に巻き付いていたアサガオと夕顔のつるも
ハサミで切って 取り除いた

草ぼうぼうの庭も いかがなものかと思うが
木に残っているのは 数個の柿の実
その実もあとしばらくすれば
鳥がきれいに食べてくれる

庭には落ち葉も残っていない

この季節の 殺風景な庭は
さみしいほどすっきりしている

今年は 庭のところどころに穴をあけ
落ち葉も少しだけ土にもどした

今日切ったつるに残っていたアサガオの種も
こまかく切ったつると一緒に土にもどした

震災の後しばらく数年間は
落ち葉も草も
燃えるごみとして処分していた

ごみじゃないのにって
処分って
不要なものや余分なものなどを捨てるってことだからって

そう思う気持ちに比例して
庭の土がどんどんやせていくような気がして

大きな穴は掘れないけれど
スコップで私の作った穴に
ていねいに入る分だけ入れて
ていねいに土をかぶせた

少し手を合わせたい気持ちになったのはなぜ

人が 土に亡くなった人を葬っていたころは
人は 今よりずっと土を感じて生きていたのかな

いつからか 土ではなく
土地と呼ばれることが多くなって

家は土地に建てるけど
花の種や 木や作物は 土に植えて
土地はやせず 価格が変わる
けれど 土はとってもデリケートだから

春先からあちこちに埋められた草や葉たちは
きっと寒い冬に ぐっすりと土の中で眠り
春には豊かな土に変わっているね

ああ 春が待ち遠しい




「・・・・・」

2017-12-16 02:07:46 | 日記
夜の闇の先のあたりの音に耳を傾ける

ほんらい
音は広く聞くのではなく深く聞くもの

年を重ねれば重ねただけ
バタバタしてはいけない
息をあら立たせてはいけない
深く深く

聞こえない沈黙の豊かさ

聞こえないなら聞こうとはしない
見えないなら見ようとしない

言葉が見つからないなら
言葉を探し出すことはしない

聞き出そうとするとと
見つけ出そうとすると
その時 そこに広がっていた自由さ
豊かな永遠なるものが途切れてしまう

あえて結論を見つけて『。』をつけるより
『…』でとりあえずおさめて

静かに深く息をしてみる
この闇さえも あたたかくしみてくる