hotひと息ついてみよ

今日も一日おつかれさま。そう自分に言ってあげよう。

下山

2015-10-23 22:46:00 | 日記
ゆっくり
山を下っていくことが
自分が
そんな自分を
許せるようになった

若いとか
若く見えるとか
そんなことを気にしないで
堂々とできる
そんな自分を
誇らしく思えるようになった

斜め上45度を見すえ
自分の進む先は
今より高い場所だと

もちろん滑り落ちることがあったり
それでも
斜め上45度の先にある地点は
大切な「目標」だったり
輝かしい「夢」などだったり

そう 登っている時には
振り返らないと見えなかった
だからこそ見過ごしてきた
そんな この景色を眺める贅沢さは
この年を重ねたからこその贅沢と

山を下る時こそていねいに
ほら あそこにもここにも
こんなにたくさんの忘れものをしていた

あの遠い日
自分の手からこぼれ落ちたことさえ気づかなかった
だいぶ時が経ってしまったけれど
そのひとつひとつを
拾い集めながら
そして
眼下に広がる
この変哲のない日常を
とてもとても愛おしく感じるのは
この年を重ねたからこそと

この山を下りたら
また山に登ろう
この次に登る山は
この私の
今の私が
とにかく一番大好きな山に
登ろうって


あなたへのお手紙

2015-10-09 22:54:19 | 日記
大切な友人のあなたへ

私は
あなたにはかわいい絵を書いてほしいと思っていた
大きくなったらって 楽しそうに話してほしいと願っていた

いつからだったか
何があったからか
わからないけれど

黒い暗い絵をかくようになった
笑顔で
嬉しかった 楽しかったと 
嘘の話をするようになった

あなたはあなたでいいんだと
あなたが私を嫌いになったとしても
私があなたを嫌いになることはないんだと

そんなふうに 
何度も何度も声に出していたことは
けっして嘘ではないのだけれど

なにも心配することはないんだよって
そう話していたことが
あなたの心配をより強くしていた

こころからいとおしいと
そう思っていたことが
あなたのこころをせつなくさせていた

あなたの人生だから
あなたがあなたの色に塗りかえながら
一歩一歩進めばいい
あなたは
私の
たからものではあるけれど
「私のもの」ではないのだから

おさなごの殻が割れないようにしていたのは
この私だったとしたら

だとしたら せめて 
今 大きくはばたいて
あなたが振り向かずに走っていく後ろ姿を
誇りに思い 見つめ続けていこう




お手紙

2015-10-08 21:42:48 | 日記
親愛なる風の又三郎さま

「どっどど どどうど どどうど どどう・・・」
私の街でも 今日はとても強い風が吹いています

風には音があるのでしょうか

木々は ざわざわと大きく揺らぎ
落ち葉は ひゅうひゅう高く舞い
吹き飛ばされそうに 洗濯物はばたばたと
少し古ぼけた看板は ばんばん大騒ぎで
そんなふうに
たくさんの音が私の耳元を通り過ぎても
それは風の音ではないような気がします

風には声があるのでしょうか

山は荒れているぞ
海に出るのは今日は無理だぞ
もう稲の穂は十分に実っているぞ
暖かいフリースを着ないと風邪をひくぞ
そんなふうに
たくさんの声が私のからだを包んでいるような気がします

雲の流れはとても早く
お日さまがのぞいたかと思ったら 
またすぐに隠れてしまいました

それでも西の山は思った以上に
近くに きれいに 見えています

「どっどど どどうど どどうど どどう・・・」
あなたは今 この風に乗っていますか

そうであるのなら
どうか私もあの西の山の向こう側に連れて行ってください

まだ山の向こう側の街では暮らしたこともないのです

今 住むこの街は
親切な街です
優しい街です

でも私は優しくはないので
少し窮屈に過ごしています

独りになるよ
って 
大丈夫です
たくさん出会い すれ違ってきました
きっと またたくさん出会えます

だからこわくはないんです

「どっどど どどうど どどうど どどう・・・」
風の又三郎さま
ほんとうに 今日は風が強いです




高く高く

2015-10-06 23:50:36 | 日記
両手をおもいっきり高く高く上げてみる

どこまで届く
どこへ届く

布団の中で
高く高く手を伸ばしてみる

明日へと届け
今日の思いは
明日へと続く

なにかを掴めるかもしれない
なにかに掴まれるかもしれない

この手に5本の指があれば
5つの道をさし示すことができるはずだから
この手に5本の指があれば
強く固く握りしめることができるはずだから

掴んだつもりでいるだけかもしれない
笑ったすぐ後に 悲しくて涙してしまうかもしれない

それでも
思いっきり手を伸ばして
昨日より 少しだけ先に届くように

誰かがどう思ったとしても
私が私を信じてさえいれば

大丈夫
きっと幸せ

今日も私の手は真っ直ぐと
この指のさし示す方に向かって
誰にもじゃまされないで
高く真っ直ぐに
信じていれば
大丈夫
きっと高く高く 伸びていく

そして
また朝に向かって
眠りにつくから

おやすみなさい






ころも替え

2015-10-05 21:01:05 | 日記
ひまわりとミニトマトと

季節の移り変わりに
取り残されたさまに
こころを込めて
思いっきり引っこ抜いた

ひまわりは たくさんの種が固くなり
また次のいのちを ぎっとその中に閉じ込めている

棉の木のコットンボールは まだはじけない
母の子宮のなかのように
たいせつに育まれている声が聞こえる

街を歩く学生たちの制服が また替わるその季節に
この新しいいのちに また合えるのかと

これから少しずつ
木々の葉は落ち
朝の肌寒い風の中
柿は少しずつ色をつけ

冷たい北風が吹きすさぶ頃
木々は深い眠りへとつく
それでも 根はみゃくみゃくと
土のなかをはり巡り

沈黙のなかでの
この力強い営みを

大地にすくっと
当たり前のように立つこの木に触れたとき
私のなかの血と同じ流れをそこに感じた

また春に合おう