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through the frozen window

ふさわしい言葉を探しているうちに、小さな羽音だけを残して、遠くへ。

I didn't pretend to sleep when you called me.

2004-10-04 | Weblog
僕は最初の数年間、
聞こえてるフリをして過ごした。
気付かれないように注意して、
注意深く、唇を読み、その言葉を繰り返した。
誰にも知られてはいけなかった。
その後の数年は、
見えない事を隠し通した。
身体に馴染んだその場所を、離れなければ、
なんとか家にも辿り着いた。
今思うと、どうやって暮らしたのか判らない。
誰にも気付かれない事だけが、命題だった。

あの日、
僕はあなたの眼を潰し、
あなたは僕の耳を塞いだ。
そして、お互いをかばいあって、
他の誰かには、
それを知られないように気をつけた。
いつしか僕の眼は役に立たなくなったし、
僕が話せなくなったから、
あなたの耳も、必要を失くした。

その後の事は、知ってる通り、
僕はその場所を捨てたし、そのすべてを失った。
あなたもここを出ていった。
戻る場所もなく、行く宛もなかった。
けれど代わりに、眼と、耳を取り戻した。
それでもいつかは、そこへ戻るフリをして、
その後の数年を過ごした。
そのうちにいつしか、それは嘘になった。
判っていても認めたくなかったから、
今までずいぶん時間がかかった。
嘘になってしまったその言葉を、
今でもまだ思い出せる。

言葉だけなら、僕だってたくさん持っている。
気持ちだけなら、
もっと。

the seed of the suffer distress

2004-10-03 | Weblog
その深さは何処まで続いているのか。
石を落とした音で、それを計る事が出来たなら。
それよりも、そこに溢れだす、水嵩を知りたい。
飲み干すことは到底できない。

例えば10年が過ぎて、
今この時を、振り返る術があるだろうか。
自分が犠牲にしてしまった人たちの暮らしが、
時間とともに癒えるでしょうか。
その償いが終わる事はなく、いつまでも繰り返される。
ここから歩き出す事はできない。
自分だけが救われて、
あの人たちを踏み付けてしまうのか。
偶然にひとり助かって、それを踏み越えて先へ歩むのか。
あの人たちを置き去りにして。
罪悪感に苛まれ、ここに埋もれたままでいる。

あとどれだけ荷を負えば、
償いを払い終える事ができるだろう。
僕はそれまで持ち堪えられるのか。
もしそれを、その代償を、払いきれなかったら。
義務をやり遂げられない事を、毎日怖れ、直面する。
はじめから、失われてしまった。
もう目の前に、当たり前はあり得ない。

その場所が、灯りに照らされている事を、
当たり前だと思ってはイケナイ。
光がなければ、目は働きを失ってしまう。

暗闇は、明るみに有っても暗闇でしかない。

二度と目覚めない彼女

2004-10-02 | Weblog
彼女の事を、知らせてくれてありがとう。
知らせてくれる迄に、ずいぶん時間がかかった理由は、
よく、解ります。
だから、もう謝らないで。

僕は、自分に甘えて、
毎日の生活に追われているうちに、
この数年間に、ずいぶんたくさんの大事な人たちを、
失ってしまいました。
彼女を失くしてしまった、
あなたの気持ちを思うと、どんな言葉をかければイイのか、
ふさわしい言葉が見つからなくて、
御悔やみすら、しっかりと言えなくて、ごめんなさい。
そして、こんな時に側にいてあげる事すらできない事も。
どうして僕はこんなに遥か遠くにいるのだろうと、
とても悲しく思います。

彼女にもう会えない事を思うと、
ポッカリと隙間が空いて、
とても残念で、寂しく思います。
そんな時は、いつも、取り残されてしまったように、
どうしてイイのか解らなくなるのです。
そしていつも、僕じゃないのか、悔やみます。
代わりになってあげられるのなら、
いつでも、僕が代わってあげるのに。
喜んで、差し出す事ができるのに。
どうせ持て余しているのだから。
僕の分を使って欲しいよ。

けれど、あなたたちの、彼女を思う気持ちは、
あの人にはずっと、解ってた。
ちゃんと伝える事が出来ていたのだと思うのです。
大切に思ってた。
悲しい時が来る度に、
彼女に励まされていた事も、有ったよね。
暗い部屋で、ベッドの横に腰掛ける彼女を、
僕は知ってる。
あなたたちは、しっかりと繋がる事が出来ていた。
よく、知ってるよ。

僕は、もうしばらく会ってなかったから、
あの時見た写真が、最後です。
遠く離れた場所にいる僕にとって、
彼女はいつでも、思い出の中にいました。
そしてこれからも。
砂の浮いた床の上のラグ。
クルマが道の繋ぎ目を越える音。
カーテンのない、白い部屋。
そして美しいあの庭も。
あの人の好きだった、白い花。
強い陽射しの中に、
思い出とともに写真の中にいます。

手をかけてプリントをつくったら、
そちらに送ります。
彼女の灰を撒いた、あの木の下に、置いて下さい。
白い花と一緒に。
あの木の枝に、花が開く頃には、
雨が上がる前に、きっと、
会いに行きます。

安らかに眠りますように。
(ご冥福を、お祈り致します)

嗚咽

2004-10-01 | Weblog
不幸せを重ねても、幸せにはならない。

大事なものを失くした時、僕は垂直を失った。
力強い頼りが欲しくて、
抱きしめて欲しくて、懇願した。
水平を保てないから、水をこぼした。
誰彼構わず、手に触れるものすべてに、すがって甘えた。
代わりにならない事を解っていても、
気付かないフリをした。

兄弟のように、姉妹のように、気持ちの通いあう友達が、
子供のように慰め、
傷を舐め、髪を撫で、胸を噛み、指を噛み、
僕を味わってくれました。
柔らかく包んでは、その僕の分の痛みを呑み込もうと、
抱きしめてくれました。
けれど僕達は、お互いのその重さの上で、下で、
悲しみを見過ごそうとしながら、
閉ざされた部分を知るのです。
投げ出してくれた中に身体を埋めても、
その中の、冷えて凍えた部分を融かせずに、突き当たり、
支えて欲しいと思うのでした。
凍った塊に触れた皮膚が、剥がされてしまう。
その芯の凍えた硬さに、
お互いを飲み下せずにいるのです。

幸せに対する後ろめたさ。
首から下げた、罪悪の鎖。
消える事のない、罪を見分ける為の文字が、腕に残る。
何処まで掘り下げても、奥まで呑み込まれても、
やはり冷たくて、悲しくて、苦かった。
身体に染み付いた汚れを、うつしてしまった。
お互いが精一杯に味わったあとで、
2人で肩を抱いて泣きました。
悲しかった。

幸せを憎く思いました。

欲望

2004-09-28 | Weblog
締めたはずの蛇口から、
ひとしずく、もうひとしずく。
漏れて堕ちる。
うっすらと油の浮いた、濁った金属のシンクに、
崩れた水滴が跳ねる。
汚れたまま残る食器。
食べ残した果物の皮。
汚れが、その鋭さを鈍くする。
息が漏れる。

ゆっくりと揺さぶる。
しずくの刻む音。
韻を踏む。
音の後ろで、つじつまが合う。
大きな揺れを受け止める。
被膜が引っ張られて、皮膚がつる。
空洞の中が、しずくで満ちる。
反響。共鳴。

器に堕ちて、溜まる。
すぐにいっぱいになってしまう。
堪えきれずに、口の端から、溢れだす。
ひとすじにつたって、流れ出す。
呼吸と、冷たい手。
地形をなぞる。
床に堕とす。
ひざまずく。

沈香

2004-09-25 | Weblog
さよならの準備をしよう。
今度は、ちゃんとお別れを言いたいし。
同じ失敗を繰り返さないように、
しっかり整えておきたくて。

夜が明けても暗い朝。
体温が上がらない。
雨が降ったり、止んだりしている。
湿度の粒が肌に当たる。
心拍も、低く波打つ。
重くひんやりした空気が、
テーブルの下で、足許に沈む。

もうダメだよ、息が止まる。
このまま、聴こえなかったように、
放っておいてくれないだろうか。
僕がうつむいても、
急に笑っても、
訳は聞かないで。
もういいんだ。
僕は充分幸せだったよ。

これだけあれば、あと残りをなんとか過ごしていける。
僕のスイッチが切れる迄に、
それほど多くの荷物は持てない。
ずっとそのままにしておいた、
特別な場所も、掃除してしまった。
その指の跡も、
もう辿れない。

いなくなるより、いる事の方がつらい。
僕が代わりになれれば良かった。

痛みの両側

2004-09-23 | Weblog
どんなに取り乱しても、
切羽詰まってしまっていても、
それとは関係なく、時間から救われる。
僕には、おかまいなく朝が来る。

上手くやれてる僕を、知ってるあなたには、
信じてもらえないかもしれないけれど。
やっぱりダメな時が来てしまう。
誰かと繋がった、そんな日の夜には必ず、
大きな波に襲われる。
波の触れ幅が大きいほど、ダメージも大きい。
だから中毒のように、求めてしまう。

もっと、もっと、もっと。
続けて。
今日は、明日は、今度は。
続けて、毎日。今度はいつ?
逃げ込んで、逃げ出して。
これ以上落ちないほどの、奈落。

僕の苦しみは甘くて、
あなたの悲しみは苦かった。
同じ悲しみの両方の端。たぐり寄せれば繋がっている。
僕達は同じ痛みの、両方の裏側にいる。
あなたのつぶやく苦しみが、
遠くめぐって、僕を射し貫く錐になる。
僕が代わりに、その代償を払う。
そのかわりに、
その刃を、受ける。
その柄に両手で体中の重みをかけて、胸の芯を射ぬくといい。
この背を抜けて、床に傷を残すまで。

僕を裁いて欲しい。

僕は狂っている。
痛みに堪えられなくなってしまったら、
何をしてしまうのか判らない。
もう自分を信用できない。

no rhyme or reason

2004-09-20 | Weblog
お前が誰かの夫を殺せば、
その妻はお前を憎む。
お前が誰かの息子を撃てば、
その父親はお前を殺したいと思い、震えるだろう。
ようやく歩いた娘を奪われたひと、
「彼女は何処に行ったの」
言葉を話すようになったばかりの妹を忘れられないひと。
帰らない弟を、待ち続けるひと。
支えを失ったら、彷徨うしかない。

誰かを憎めば、その家族は、お前を憎み、
もしおまえが死ねば、
僕はお前を殺した男を許さない。
解っているけど、
赦すわけには、いかないんだ。

僕には止める事ができない。
まして、あなたの事だとすれば。

止めなくてはイケナイのは、誰もが解っている。
けれどまた、始めてしまう奴がいる。
簡単なまでに続く連鎖。
そのchainは、途切れずに続く。
いつまでも憎しみのその輪が、終わる事はない。
共鳴しあい、より大きなうねりに育つ。
誰もが追体験を重ねて、
越えられない溝を掘る。
そして刃を、胸に抱く。
必ず、それをやり遂げる。

何かを見ても何かを思い出す。
悲しみを拭うために、しなくてはいけないのは、それじゃない。
なのに、その怒りを繰り返す。
より強く、より深く。

人の命より重い、正義があるのだろうか。
それぞれ、重さの違う命。僕の命は軽い。
選ばれなかったものの幸運。それは悲劇ではない。
そしてただの偶然。

得る事も、ましてや、失う事も。

flash back

2004-09-19 | Weblog
どなたかご存じの方がいたら、教えてくれないでしょうか?
9月19日、0時20分頃、(深夜)
僕の上空を、飛行機がかなり低空で飛び去りました。
ちいさなひこうきではなく、旅客機の様だったように思いました。
胴体や、主翼の識別用のライトで、その細部が見えそうな位近く。
東京中央部東側エリア。隅田川上空。
僕の印象では、さらに高度を下げて、
皇居や、六本木方向へ機首が向いているように感じられたのですが。

すごい轟音で、近所の犬が泣き叫びました。
普段は、低空で飛行機など飛ぶ事のないエリア。
飛行の許されていない時間帯。
何かが起こるのかと、
なんとも言い難い、不安感に襲われました。
あって欲しくない状況を、思い浮かべて、
皮膚が、総毛立ってしまいました。
ざわざわと、意識が粟立ちました。

結局、なんでもなかったようですけれど。
普段、ニュースしか見ないテレビを、つけて、探したけれど。
どなたか、なんだったのかご存じの方は、
教えて下さい。
他にも、お気付きになった方は?

それとも、錯覚か、夢?
また解らなくなってしまいました。

朝に辿り着く

2004-09-17 | Weblog
遠くに、雨の匂いがする。確かめるには、柔らかすぎる。
朝が白くなるのを待つ。
耳の後ろでミツバチの羽音。雑音が思考を覆う。
湿った空気が、凍りついて低くなびく。
重く澱んだ、液体の上澄み。
閉じたままで目が開かない。まつげの先に結露する。
水を運ぶ鳥の声。
タイヤが道の継ぎ目を越え続ける。
いつまでもフラットに繰り返す。
変化する事なく一定に刻まれるリズム。
はじめもなく終わりもない。
それを、いつまでも数え続ける。
感度の高いフィルムの粒子。
切れ端に残る、青白い余白と赤黒い闇と。
ぶつかりあう空気の粒が、湿度の粒と重なって、眼に見える。
ザラザラするのを、触れて確認する。
置かれたままで濁った塊。鏡に大きく刃をおとす。
水平に、溢れだす。2層になった、うねりが割れる。
水面の下に続く長い階段を、つま先立ちで降りてゆく。
何処からが虚像か、反射の境目を見失う。
頭の上に揺れる、汽水域。
その上に遥か遠く水面がある。
叩く雨の音は、ここまでは伝わらない。
滲む墨色の溶ける鉄。
喉を通れば、灼ききれる。
息が詰まる。
見えない重さ。
柔らかく、頸を絞める。

夏の終わり

2004-09-16 | Weblog
さようならを言わなくちゃ。
悲しい顔をしないで。
僕はいつまでも覚えてるよ。
みんなと一緒にいた日々が、遥か遠くへ過ぎていっても。
あの日の事は忘れないよ。
黙って眼を伏せないで。僕だって不安になるよ。
僕が泣いたり、抱きついたり、触れたりする度に、
あなたは眼をそらすでしょ。
逢った頃から、ずっと、別れを告げるのが下手だった。
困ったらせめて、笑顔で抱きしめてくれればイイんだ。
僕は毎日、毎日気持ちが変わる。
一昨日は、僕の事を、ずっと忘れないでと願った。
昨日は、さっぱりと忘れて、消え去りたいと思った。
今日は、最後にもう一度、お別れを言いたいと思ってる。
でも、顔を見たらできないよ。
一緒にいるあいだじゅう、身体の中で、
石がゴロゴロ跳ね回る。
拾い上げて、遠くへ投げたつもりでも、
足許で転がって、かすかな音をたてる。

夕暮れに間に合うように海へ行こう。
いっしょにいられるうちに、連れていこう。
僕がそれを解らなくなる前に。
さよならを言える時間が残っているうちに。
眼を閉じたら、開かなくなる。
来年は、布に包んで連れて来て。

明日は、まだここにいる。
夏が終われば、僕はいない。

再燃現象

2004-09-14 | Weblog
たいていそれは、夜中にやって来る。
後ろからあっという間に近寄ってきて、
出し抜いて、追い越してゆく。
そしてすれ違いざま、
背骨の横を射し貫く。
脇腹へと抜けたその切先は、血を流す事がないほど鋭利だ。
傷口が解らない。
流れ出なかった血は、
身体の中で溢れて溜まる。
ごまかしてやり過ごしても、
自分の痛みを、押し殺せない時が来る。
こんな時間に、突然、そして必ずやって来る。

傷口は大きくなくても、その力は絶大だ。
息がつまり、声が出ない。
喉を自分で掻き毟るほど、
焼け爛れたように腫れ上がる。
甘い水を喉に流し込んでみても、
その痛みはよくならない。

助けて欲しい。
正直に声にだして言う。
けれどそれは、口を出る前に失速し、誰の耳にも届かない。
開けたくなかった日記のページ。
筆圧で移ってしまった文字の痕。
読まなくても何が書いてあるのかが解る。
滲んだはずのインクの染み。
古い紙のすえた匂い。
朝が白くなるまでは、待ち続けなければ。
次が来るのを見届けなくてはならない。
鈍く、針が動く。
かぶさる闇が、重く、渋い。
朝が来るまで、その重みをやり過ごす。
光っても、暗くても、見えない。

一人ではソファーで眠る。
ベッドはずっと空のまま。
そうなって、もう何年にもなる。

既視感

2004-09-12 | Weblog
ガラス窓の外に、滲む光の粒を見ました。
それは広がろうとし始めます。
「芯」は、ゆっくりと「飽和」をはじめ、圧力となって、
こちらに波のよう押し寄せてきます。
やがて身体を覆うように熱がやって来るとすぐに、
それが熱風となって、足許から襲いかかります。
周りにいたはずの人たちは、溶けたガラスに飲み込まれていく。
乾燥した砂の城が、足許から波にさらわれてゆくように、
自分の指先も、見る見る崩れ落ちてゆく。
乾いて、さらさらと欠けてゆく。
その頃には光に覆われ、フラッシュに押し付けられ、
身動きが取れない。
呼吸もできない。
肺の中が、熱で焼けただれてしまうのです。
壁に背中が触る。身体が乾いていく。
大きく揺れて、音がやって来る。
壊れる。

繰り返し見る夢の一つ。

お願い

2004-09-11 | Weblog
今日は、いつものようなentryを休みます。
いつも多くの方にここへ来て頂いて、本当に感謝しています。
代わり映えのない文章を、読んで頂いて、
また数人の方には、本当に心のこもったコメントをいただきました。
ここでお礼を申し上げるのとともに、
そのみなさまに甘えて、今日は、
一つだけお願いがあります。


9月11日を、特別な日として受け留めていらっしゃる方も多いと思います。
僕と、僕の関わって来た、たくさんの人たちにとっても同じです。
僕が言うまでもない事は重々承知で、言わせて下さい。

9月11日、日本時間の22時頃、
時間のある方は、(少しの時間で構いません)
もし良ければ、灯り(電気)を消して、または、ろうそくを灯して、
大事な方と、もしくは大事な人の事を想って、
どのような祈り方でも構わないので、祈って、いただけないでしょうか。

国も、宗教も、愛しているのも、憎んでいるのも、好きも、嫌いも、
今日は、少ししまっておいて。
ただ、誕生日のように、今日ここにまだ存在できる事への感謝と、
たくさんの逝去ってしまった方々への思いと、
そして、今も続く争いの終わりを祈って。
(勿論、個人的な事でも結構です)

ただそれだけ、お願いしたいと思います。
そして、もし幸運にも、大切な方と一緒にいられる方は、
このチャンスに、相手を大事に思う気持ちを、
しっかりともう一度、伝え直して下さい。
(例えば、お子さんとか、家族とかも、勿論です)

いつもお世話になっているみなさんへの、お願いです。
よろしくお願いします。

miss

2004-09-09 | Weblog
あの日から急に、
誰も僕の言葉を、解らなくなってしまった。
通じない言葉を話す僕を、信じてくれる人はいなくなった。
この声をどんな顔して聞いてるのか、判らないのが、
せめてもの救いだった。
誰かの声が聞きたかったが、会話は目の前を通り過ぎた。
思いやりというお情けで、とってくれた手を、握る事でしか、
助けを求める事すらできなかった。

誰かに手を引いてもらわないと、
慣れ親しんだところでさえ行けなかった。
お願いだから、僕の手を引いて下さい。
そう言えないから、僕は出歩けなくなった。
それにも慣れた頃だった。

あなたは声はくれなかったけれど、
僕の手を引いてくれた。
そして、握り返してくれました。
耳を澄まして、
まわりを感じられるようになりました。
そのうちに、歩き慣れた道の傍らに、
季節が映るのを思い出しました。
それまで耳は、目的の為の道具でした。
あなたが近くにいる時は、
毎日の小さな違いを、感じられる、
そんな余裕を手に入れました。
喜びになりました。
そんな毎日がありました。
あなたを失くしてしまうまでは。

僕にはそれを確かめる術がありませんでした。
もう手を握ってくれない事、
ただ、それだけが、
あなたがいない事を伝えていました。
僕にはそれが、
最後でした。