through the frozen window

ふさわしい言葉を探しているうちに、小さな羽音だけを残して、遠くへ。

Let our voice be heard.

2004-10-29 | Weblog
いつも立ち寄ってくれて、ありがとうございます。

みなさんの声を、
僕達の声を、
ほんのすこしでもいいから、
いつもよりほんの少し、
遠くまで届くように、
みんなに聞こえるように、声に出してみませんか?
チカラを貸して下さい。

http://217.160.163.211/glovalvote2004/


こんなことでは、世界は変わらないでしょう。
けれども、
これだけの人たちが、
世界について考えていることは、
伝えられるのでは。

彼等のうちの誰かが、
世界を何処へ進めるか、決めることになります。
僕達にも、その権利はあります。

心が折れる

2004-10-28 | Weblog
心が折れる。

僕は痛みに強いはずだった。
くじけてはイケナイと、解っているはずなのに、
胸の真ん中に掲げたはずの、
大事なチェーンは、ちぎれてしまった。
足許を掬われ、
胸を突かれ、
背中を圧され、
頭の後ろを殴られる。
その痛みに、屈してしまうのは簡単だった。

まして、その時に、
救いの手を差し伸べて、
甘やかしてもらってしまったら。
失くしてしまうのも、簡単で、
もうココには僕のカケラも残っていない。

こだわって掲げたハードルも、
自分で決めていたルールも、
それまでに躾けられてきた、習慣も、
置き去りにしてしまった。
姿勢を正して歩こうとしても、
欲張って背負ったモノのせいで、
背筋が伸びることもない。

毎日、頭を上げるのは、
ココで終わりにしたいと思う気持ちばかり。
不幸せに、馴れる事はない。
痛みに強くならない。
人に平等に、それは割り振られてもいない。
辛いことを乗り越えても、
その分の幸せが待っているとは限らない。
僕が持っているのは、
悲しみがたくさん入れられる、
そんな大きな引き出しだけ。

belonging

2004-10-26 | Weblog
暗闇で線を引く。
self and others.

キッチンの、
テーブルの上にグラスが一つ。
彼女はボトルから、水を注ぐ。
彼女と、僕のちょうど真ん中にそれを置く。
それはまだ誰のモノでもない。
まだ、誰も口を付けていない。

僕はグラスに手を伸ばす。
「飲んでもいいかな」
「私ので良かったら」
このグラスの水は、そこで初めて、彼女のモノになる。
そして僕に手渡され、
僕は、それを飲み、
そして水を注ぐ。

しばらくして彼女が訊く。
「飲んでもいい?」
「僕が飲んだグラスで良ければ」
僕の許にあったグラスは、
彼女の手の中に渡る。
彼女が口を付ける。

僕の椅子。
僕のベッド。
僕のシャツ。
僕の本。

今、このグラスは誰のモノに。
わたしたちの、と、呼べるのか。
それを分け合う?
それとも、一人で、
その中身を飲み干すのは誰?
それを使い果たしたのは、
誰?
いつしか、その分け前を奪い合い、
自分の取り分を主張する。
あなたの方が、多く使った。
そんなことはどうでもいい。

暗い部屋には、
もう光は射込まない。
外で反射した光が、
かろうじてこぼれてくるだけ。
誰のモノでもなくなった、グラス。
飲み干されて空になったボトル。
取り残されたその部屋に、
もう今は誰もいない。

空の重さ

2004-10-20 | Weblog
あの空の上に、
これだけの水が貯えられているなんて。
どれだけの重さがあるのだろう。
雨を見ると考える。

その音が繰り返すリズムに、
誰かの呼吸が重なっていく。
音の隙間を、埋める繰り返しが、意味になって続いていく。
息を吸う。

この雨の一粒が、
もし誰かの悲しみだとしたら。
今年は悲しみの多い年。
誰かが抱いた、痛みだとしたら。
こんなにも貯えられて、溜め込まれていたなんて。
いつか、それが溢れだす。
きっかけは何でもいい。
晴れた日には、たくさんの人がそれを支えている。
苦しみを、両腕に抱きかかえて。
空を見上げて、そこにある事を確認する。
まっすぐに腕をあげて、
この空を支えている。
その重みを、感じている。
悲しみを、受け止めている。
背負うには重すぎる、
一人一人には重すぎる。

雲間にいつか光る、
ひとすじの輝きを探して。

Made in Sweden

2004-10-18 | Weblog
うっそうと茂る草の上で、
彼は時間をやり過ごす。
少しのびた軒先の、
雨のあたらない場所に、半分だけ。
いつもそこから、
道で遊ぶ子供達を見つめている。
頭の上に、小さな枇杷が生る場所。
彼の定位置がそこにある。
愛想のない表情と、
持て余すほどの身体を、
遠く冬の国から運んで来た。
陽射しと強い風に晒されて、スクラッチされた、
肌からは艶が失せ、その重さと、
皮膚の分厚さだけが、際立つ。
目は少し濁り、遠くを見ているように、
焦点が結ぶ位置を、
感じさせない。

彼の鼓動も、漁船のようなリズムを刻む。
小船のように身体を揺する。
ゆっくり過ぎるほどの挙動。
一度少し顎があがる。
そして、その後、前のめりになる。
右に少し傾いて、ちょっと遠回りする。
寝起きに少し咳き込む。
東京の夏には、合わないらしい。
彼の体温は、寒い故郷に合うように出来ている。
つきあう方も、ようやく馴れて来た。
年を重ねた者なら、当たり前の様子が、彼にも現れている。
何度となく、辛い時期を乗り越えた。
からだじゅうに、それが、
ゆがみとなって刻まれている。

艶のない褪せたグレー。
少し衰え始めた、後ろ姿。
けれど僕は、愛している。
彼のその、充分美しい後ろ姿を。
長年の坂道を共に歩いて来た彼を。
先は長くはないかもしれない。
けれど、
約束を果たすまで、
どちらかが力尽きるまで、
まだ歩き続ける。

青空

2004-10-16 | Weblog
悔しいよ。
11月になれば。

覚えてる事はたくさんある。
大事に思っていたんだ。
それなのに、
思い出す時は、いつも同じ。
笑顔じゃないあなたしか、出て来てくれない。
いなくなってまで、いじわるをすることはないだろう。
気まぐれを、憎んだ。
とっておきのは、選ばせてはくれなかった。
たくさんあった面影の中から、
なんでそんなあなたを選んだのだろう。
僕に残してくれたのは、一杯あったはずなのに。
それが一番あなたらしいと、その時に思ったから。
悲しいかった時の事を、覚えている。
それでもそんな日だって、今となっては、幸せに思えるよ。
おかまいなしに、たくさん話を聞かされた。
今度はあなたが聞く番に、なったよ。
話す側になると、言葉は出てこないものなんだね。
きっかけもくれないなんて。
そこに何もないなんて。
見上げると、
ぬけるような、青空。

self confidence

2004-10-15 | Weblog
眠る前に一つだけ、
話しておかなくてはイケナイ事がある。
何故か言い出せずに、まだここに固まって。
胸の辺りで、飲み下せずに残っている。

今は、会えない。
会う訳にいかない。
誰とも会いたくない。
僕が今、どんな事をして、
毎日をやり過ごしているか、
何をダマして、何を呑み込んで、
なぜここにいるのかを。
自分が一番よく知っている。
そして、あなたも、それを知っているのだろう。

自分を信じる事ができない。
自分を安心して、放っておく事ができない。
何をしでかすか解らない。
何を起こしてしまうのか、
黙っていたらどうなるのだろう。

誰も僕を良く言う人はいない。

嘲笑

2004-10-14 | Weblog
子供の頃に聴いた、美しい曲。
「働いて、新しいコートと靴を妻に。
子供の誕生日には自転車を。」
そうやって暮らしがあるんだと、知る。
働いて、その日の糧を得る。
子供の僕は、それが美しい生活に思えた。
大事な人の為に、毎日を繰り返す。
欲しいものの為に、汗をかく。
働いた分だけ手に入れる。
僕は、今になっても変われなかった。

けれどそれだけでは、生きていけない。
誰かがそうつぶやいて、笑う。
人前でわざとあくびする。
「気の毒に」気のないそぶりで、御悔やみを言う。
少し大げさに、からかってみせる。
彼は足許を見て、うつむく事はない。
働いた以上に得る事ができる、
濁ったものを呑み込めるのは、
それが大人だからだと。そう言いたいの?
誰かを働かせればイイのだから、上手くやりなさい。
人と同じように、並んで順番を待つ必要はないだろう。
そう言ったんだよね。

何故?
僕は、待つよ。
僕は自分で支払う。
自分の大切なものは、自分で守る。
稼げる分だけで暮らす。
必要以上のものは要らない。
ここ迄来ても、まだそんな事を言っている。
だからそんななのだと笑われる。

笑われてしまっても構わない。
My life is not breeze.

剥がす

2004-10-13 | Weblog
僕のような、
だらしない人間にふさわしい答えを,
あなたは躊躇なく。
一度で明るみに晒してしまった。
足踏みする。
曇りガラスの向こうにひろがる、ちいさな世界を、
あっさりと言い当てる。
僕は、取り繕おうとして、
そのリズムを身に纏おうとして、
隙間を手探りを繰り返しても、
ただ、なぞる事に終始する。
読み返しては、
その陳腐さを、思い知り、
チカラのなさを自覚する。

腕を延ばし、指先にチカラを込めても、
その芯までは届かない。
かき混ぜても、
なぞっても、
その奥には行き着かない。
うずめても、溶かそうと熱を伝えても、
表層を、撫でるだけ。

染み付いた香りに、足許を掬われる。
背中の後ろに、見覚えのある染みが残る。
痺れたままの頭で、眠るのは辛い。
意識が消えないまま、重い濁りを抱いて眠る。

甘すぎる匂い

2004-10-11 | Weblog
もうすべて、
捨ててしまってもいい。
誰が選んだのか解らないようなモノばかりで飾られている。

解ったような事で、ごまかしてみる。
凝り固まった、くだらない生活。
バタークリーム。
嘘で甘ったるくなった毒を、盛られても、
息が詰まるまで気付かない。
まあ、それも悪くないか。
解っていても飲み干してみる。
真綿で首を絞めている。

甘過ぎる毒に浮かぶ、脂っぽさ。
何種類もの酒を混ぜてしまったように、
悪酔いする。
しなだれかかるように、口の中に残る後味。
べったりと寄りかかられて、
方向感覚を鈍くする。
間違えた角を曲がったら、その先にある部屋で眠ればいい。
趣味の悪い、人工的な甘さ。
クリームたっぷりの、サービス。
すべてが余計なもので、出来ている。
濁った匂いに、
額の辺りに膜がかかる。
喉を通り過ぎても、脂が残る。
トップノートが、ラストへと変わる頃に、
その無自覚な罠に気付いても遅い。
当たり前のように、あとの代償は大きい。
痛い目に遭えばイイ。
気付くにはずいぶんかかる。
解っていても、食べたい時は、手を出してしまう。

仕方ない。
甘すぎる匂い。
趣味の悪い、楽しみ。
そんなものが欲しいと、錯覚する時もある。
何かの間違い。

だから、男はバカだと、笑われる。

腕の中の空白

2004-10-09 | Weblog
雨が、彼を連れて来る。
おとうと。
ひらがなで書くくらい、
僕が思い出す彼は、ちいさい。
僕はそんな頃の彼しか知らない。
いや、本当は何一つ知らない。

僕を見上げて、優しい歌を歌う。
誰かが教えた、子供らしくない歌。
ちいさくても、音を拾う。
ベンチをよじ上って、
一人でテーブルの上にあがろうとする。
立ったままで、コップの飲み物を飲もうとする。
僕の読む本を、解りたいと言う。
僕の歌う歌に、一緒に歌うことを覚えた。
はじめから、大人びていた。

「ねえ、兄ちゃんがいる間に、できるようになるかなあ?」
いそがなくていいよ。
「僕、知ってるんだ」
いそぐことないんだよ。
「いるあいだに、みてもらいたいんだ」
あせることないよ。
「一人でできるようになるまで、がんばってみるよ。」
本当に、彼は知ってた。

僕だって、幸せを感じたい。
でも、だんだんいつもの感じがやって来る。
抱き上げると、重さがない。
ああ。
消え失せそうになってる。
しっかり捕まえておかなくちゃ。
3度目に抱きしめると、腕が身体を通り越す。
身体に吸い込まれてゆく。
また、別れるんだ。
また、いなくなるんだ。

僕も知ってた。
知ってるつもりだった。

弟がいなくなるんだと思ってた。
いつも、彼の方が離れてゆく。
でも、本当は僕がいなくなってたのか。

雨はいつも、大事な人たちを連れて来る。
今日はおとうと。
彼の思い出はいつも、水のなかに。

水の中に、水をこぼす。

2004-10-08 | Weblog
指先の感覚が、遠い。
そこにあるべきものが、薄れている。
僕にはもう、何も残っていない。
雨の中に打たれて立ち、
雨の中に水を隠す。
隠れた枷に足を取られて、
背中を押されてしまえば、そのまま前に倒れ込む。
屍の中に、身を隠す。
埋もれているうちに、同化する。
もう随分、溶けてしまった。

欲しいものをここから、持ち去ってくれていい。
必要なものがあるのなら、遠慮なく、
僕の分を使えばイイ。
僕に残っているものに、使う価値があるのなら、
何でも差し出すから、何でも投げ出すから。
何かしてあげられる事があるのなら、
それで生きることを、感じられるかもしれない。
少しでも役に立てるなら、
黙って座っているより、ずっといい。
むさぼってくれるなら、
みんなあげるよ。

息をする事を思い起こさせてもらってる。
なんとか数日先がある。
僕に何かをあげられないなんて、思わなくていいんだ。
僕は何か貰っても、しまっておく場所がない。
屋根と、壁があるだけの場所。
僕が持っていたら、
あっという間に、色褪せてしまう。
僕の服を見れば解る。色褪せたあの服達を。

「枯れ葉は、枯れ葉の中に隠す」
僕はまた雨の中に立ち、
雨の中に隠すしかない。

灰色

2004-10-06 | Weblog
窓から見上げると、
切り取られた空が見える。
幾何学に縁取られ、
意味がなく整然とトリミングされて、
遠近感を潰していく。
この窓を開けて、手を伸ばせば、
触れる事の出来そうな錯覚。

けれどそれは遠い彼方。
たとえすれ違っても、触れ合うことはかなわない。
指先はとても遠く。
手に入れる事のない、距離を潰す。
手に入る事のない、小さな欲望。
思い描く生活に、染みだらけの現実を。
僕は雨の中で、薮の中を漁る。
水溜まりに映る、波紋を数える。
すれ違う人の、足取りを目で追う。
その笑顔に、嫉妬する。
食べ物を奪い、ひとをむさぼり、
雨風をしのぐ場所を、渡り歩く。
誰かの腕を手探りで引き寄せる。
灯りの灯る生活に、
あの日の自分を映し出す。
自分自身を憎んでいる。

赦せない。

I didn't pretend to sleep when you called me.

2004-10-04 | Weblog
僕は最初の数年間、
聞こえてるフリをして過ごした。
気付かれないように注意して、
注意深く、唇を読み、その言葉を繰り返した。
誰にも知られてはいけなかった。
その後の数年は、
見えない事を隠し通した。
身体に馴染んだその場所を、離れなければ、
なんとか家にも辿り着いた。
今思うと、どうやって暮らしたのか判らない。
誰にも気付かれない事だけが、命題だった。

あの日、
僕はあなたの眼を潰し、
あなたは僕の耳を塞いだ。
そして、お互いをかばいあって、
他の誰かには、
それを知られないように気をつけた。
いつしか僕の眼は役に立たなくなったし、
僕が話せなくなったから、
あなたの耳も、必要を失くした。

その後の事は、知ってる通り、
僕はその場所を捨てたし、そのすべてを失った。
あなたもここを出ていった。
戻る場所もなく、行く宛もなかった。
けれど代わりに、眼と、耳を取り戻した。
それでもいつかは、そこへ戻るフリをして、
その後の数年を過ごした。
そのうちにいつしか、それは嘘になった。
判っていても認めたくなかったから、
今までずいぶん時間がかかった。
嘘になってしまったその言葉を、
今でもまだ思い出せる。

言葉だけなら、僕だってたくさん持っている。
気持ちだけなら、
もっと。

the seed of the suffer distress

2004-10-03 | Weblog
その深さは何処まで続いているのか。
石を落とした音で、それを計る事が出来たなら。
それよりも、そこに溢れだす、水嵩を知りたい。
飲み干すことは到底できない。

例えば10年が過ぎて、
今この時を、振り返る術があるだろうか。
自分が犠牲にしてしまった人たちの暮らしが、
時間とともに癒えるでしょうか。
その償いが終わる事はなく、いつまでも繰り返される。
ここから歩き出す事はできない。
自分だけが救われて、
あの人たちを踏み付けてしまうのか。
偶然にひとり助かって、それを踏み越えて先へ歩むのか。
あの人たちを置き去りにして。
罪悪感に苛まれ、ここに埋もれたままでいる。

あとどれだけ荷を負えば、
償いを払い終える事ができるだろう。
僕はそれまで持ち堪えられるのか。
もしそれを、その代償を、払いきれなかったら。
義務をやり遂げられない事を、毎日怖れ、直面する。
はじめから、失われてしまった。
もう目の前に、当たり前はあり得ない。

その場所が、灯りに照らされている事を、
当たり前だと思ってはイケナイ。
光がなければ、目は働きを失ってしまう。

暗闇は、明るみに有っても暗闇でしかない。