今日も性懲りも無くモデルガンの話です。
昨日、MGC のモデルガンデザイナーの「小林太三さん」の事を書きましたが、小林氏の設計したモデルガンはその当時のモデルガンメーカーにかなり影響を与えました。
実銃を模倣するのでは無く、モデルガンとしての全く新しい設計と言う型破りな思想のモデルガンとして、MGCを支えていました。
今日は、その小林氏の設計した44マグナムのリボルバーの話をしようと思います。
一般の方は、44マグナムと言えば、「世界一大きな拳銃」と言っていた「クリントイーストウッド」の「ダーティハリー」を連想すると思います。
でも、この「44マグナム」と言うのは、拳銃の名前では無く、銃弾の名前です。
これが44マグナムの実弾です。
左のカートリッジは、41マグナム、真ん中が44マグナム、右側が、モデルガンの44マグナムです。
実弾なので、リム部分に刻印が有ります。
左がレミントン社が製造した41マグナムカートリッジです。
右が、ウインチェスター社が製造した44マグナムカートリッジです。
実弾ですが、火薬も雷管も無いので発火出来ません。
ただのダミーカートリッジです。
なのでモデルガンに装填しても撃てません。
それ以前に、モデルガンに装填できません。
まずはMGCのモデルガンです。
パッケージは、やはり「ダーティハリー」ですね。
この映画が上映されたら、アメリカでも日本でも、44マグナムを使用するスミスアンドウェッソン、M29ダブルアクションリボルバー6,5インチ銃身のモデルがバカ売れした様です。
アメリカでは生産が間に合わなくなるほどS &W M29が売れた様で、品質が悪くなる弊害が出た様です。
日本では当然、実銃は買えませんので、モデルガンが売れた様ですが、この当時、このM 29 を販売していたのは、MGCと国際産業だったのではなかったなか〜?
発売はMGCの方が先で、その製品をコピーして国際産業が販売していました。
どちらのメーカーも今現在ないのですが、なんで国際産業がMGCをコピーした?って分かるのか?
今日、証明します。
まず、MGCの44マグナムですが、「小林太三さん」の設計で、実銃とは違うメカニズムでした。
特に一番よく分かるのが、シリンダーの固定方式です。
本物は、シリンダーの真ん中の軸が銃身下のエジェクターロッドシェラウドという銃身の下に出っ張っている部分の突起に当たり、固定されるのですが、MGC の場合、シリンダーを銃本体横にスイングアウトするための「ヨーク」というパーツに小さな穴(下の写真の赤い矢印)があり、
そこに、銃身下のエジェクターロッドシェラウドについている突起(赤い矢印の部分)が刺さって、シリンダーを固定するしくみです。
この仕組みは、MGCの小林太三さんが考え出した固定方法ですので、実銃には有りません。
なので、実銃と形の違う部分んが有ります。
この部分、銃身の下に変なブロックが飛び出しますが、本物に忠実なモデルガンは、
こんな形です。
MGC独自のアレンジなのに、国際産業のモデルガンの分解図で、有りました。
分解図を拡大すると、
銃身の下に、25番のパーツが、「ロッキングブロック」だそうです。
これはMGCの小林太三さんが作って名付けたパーツそのものです。
こちらがMGCの分解図ですが、小さいのでわかりにくいかもしれませんが28番のロッキングブロックが有ります。
これを国際産業がコピーした物と思います。
撃鉄を板バネでは無くコイルスプリングを使っているところもコピーしたとしか言いようが有りません。
と言っても、もう、このメーカー2社共有りませんので、何だかんだ言ってもどうしようも無いのですが、国際産業もMGCのコピーばかりしていたのではダメだと気づいたのか、後に,「NEW 44MAGNUM 」として、完璧に近いモデルガンを発売しました。
これはMGCの通称44マグナム。
プラスチック製ですので銃口には鉄板のインサートが有ります。
シリンダーも詰め物が有ります。
試しに実弾のダミーカートリッジを突っ込んでみると、
これは44マグナムのダミーカートリッジです。
先っぽしか入りません。
シリンダーの穴が小さい様です。
次に41マグナムを入れて見ました。
途中まで入りましたが、詰め物があるのでこれ以上入りません。
これはモデルガン専用のカートリッジですのでちゃんと入ります。
この様に、改造防止のため、実弾サイズの物が装填出来ない様になっています。
各メーカーは独自の安全対策を考えてモデルガンを設計しています。
このMGCのモデルガンでもう一つ独自のメカニズムがありました。
モデルガンはおもちゃなので、出来るだけ安く、大量に生産出来ないと行けないということも設計社の義務なのですが、出来るだけパーツを減らして、合理的な考えで実銃の機能と同じ動きにするということで、エジェクターのセンターピンが一体整形されているのですが、エジェクター全体が引っ込む事でセンターピンが稼働しなくてもシリンダーをスイングアウトできます。
銃に詳しく無い方はよくわからないと思いますが、非常に合理的な設計と思います。
シリンダーのヨークを固定する方法も小林氏の独自のアイデアだと思いますが、ローコストでガッチリ固定される合理的なアイデアと思います。
上が国際産業のM29,下がMGCのM29 です。
国際産業もMGCのコピーをやめてから、非常に優秀なリボルバーを設計する様になりました。
実銃そっくりな形状のパーツで、シリンダーが回転し切ってから撃鉄が落ちる動きを再現してくれました。
金属の場合も、プラスチックの場合も仕上げが非常に綺麗で、プラ表面のヒケも少なく素晴らしい製品になりました。
上の写真の金属製の物は国際産業の最後の製品になったのでは無いでしょうか?
ずっしりと重く長い銃身が大迫力です。
重量が、
1724g有ります。
さすが44マグナムって感じですね。
このモデルは映画「タクシードライバー」で主人公が使っていましたね。
ただ、グリップはパックマイヤー風のゴムグリップに交換していますが。
金属製なので、銃口は塞がっています。
安全基準のSMGマークが入っています。
このマークが入ったものは、合法に売り買いが可能です。
サイドプレートに国際のKSをもじったマークが入っています。
こちらはプラスチック製の国際モデルガンの説明書です。
やはりハリーさんが出てますね。
取り扱い説明です。
こちらにもへっぴり腰のハリーさんがいます。
表はこれです。
このNew44Magnum は、パーツの形状もリアルで作動もよく、このおかげで「リボルバーの国際」と呼ばれる様になったと思います。
こちらはMGCの44マグナムです。
やはりMGCをもじったマークが入っています。
本来なら、SMITH &WESSON のS,Wが文字ってあるんですが、これはご愛嬌という事ですね。
国際の方がいい感じですね。
測り忘れていましたが、MGCの44マグナムの重量ですが、
プラスチック製なので、709gしか有りません。
ちょっと軽いな〜。
プラのグリップに鉛を入れたり、錘を入れたらもう少し重くなるか?
このMGCのリボルバーも、もう生産されない物なので大切にします。
忘れていましたが、国際産業のパッケージです。
上の物が国際産業です。
やはりハリーさんですね。
各社個性的でパッケージ一つでも面白いです。
でも、まだもう一つ、変わったマグナムリボルバーが有ります。
これも言ってみたら競技用のリボルバーですが、長くなったので次回に紹介します。
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