作・演出:鐘下辰男
出演:剣幸、小林勝也、山崎清介、斎藤歩、高田恵篤、亀田佳明
久世さんの『プライベートライヴズ』と、
そして今日の『わが闘争』。
タイプは真逆と言っていいほど違うけど、
この2作品を見ただけで、私が宝塚にハマった価値はあったと思える。
OG追っかけ、全くもって無駄じゃない。
それくらい大きい存在になりそう『わが闘争』は。
地方の村の話。
その中で起きた殺人。
その殺人をめぐる人物関係、社会的立場・・・
血も感情も何もかもが複雑に絡み合っていて、
出口が見つからない地方の村。
ゆりちゃん出演映画“狗神”と似てる。
正直言って私には難しくって、実感がなくって、
どこからどう解釈していっていいか見当も付かない。
でも、観た事が決して無駄にはならず、
この先の自分に間違いなく繋がっていくという、直感だけはある。
何かのたびに思い出されるストックになる。
・・・何言ってるのかよくわかんないなぁw自分でも。
自分の存在を忘れるくらい、
意識が、感覚が、舞台上に集中している瞬間が何度もあった。
会話のものすごい求心力で惹き込まれた感じ。
そこまでのめり込んでた自分に、ふと気づく瞬間もまたあるわけで、
その時は、のめり込んだ状態にあった自分が楽しくも、怖くもあったな。
床がギシギシと鳴る、古びた教室の中だけで話は展開。
その中に2人の刑事と、殺された人物に何かしら関わりがある男2人女1人、
そしてもう一人、幽霊のような存在の男1人。
刑事は男女3人を疑っているので、教室の中で尋問が始まる。
徐々に、本当に徐々に3人が隠し通す真相に迫っていくその様子・・・
ものすごい緊迫感があった。
舞台の上にいる人たちのそれぞれの感情が、
空間に渦巻いているのが見えた気がした。
だっから、惹き込まれてしまったんでしょーねぇ。
他のお客さんの息遣いや、ちょっとした動作の音まで、
「うるさい。」と感じてしまうほど、静かな空間。
その静かさがまた面白くって面白くって仕方がなかった。
「ウタコさん、ウタコさん♪」と思って観に行ったけどw、
小林勝也さんって・・・溜水石右衛門じゃないか!
前にチラシ見たとき「あ!」と思ったんだけど、また今日まで忘れてた。
溜水って野田秀樹の『贋作・罪と罰』初演のね。
めちゃくちゃ上手かったんだ、小林さんの溜水は。
実際に見れたわけじゃないけど、もう、宇梶さんとは比べ物にならねぇ。
いや、私、宇梶さん嫌いなわけじゃないけど。
でも、小林さんの溜水と比べちゃーねぇ。
溜水の話は置いといて・・・
今日は、小林さん、尋問して人の心の琴線に迫っていく
いやぁーな、ベテラン刑事役。
こういう言い方をしたらどうなるか全てお見通しのくせに、
わざとらしく、軽く、淡々と、人を追い詰めていく。
台詞量は一番!!
たまらないイヤラシイ演技でした。
出演者はみんな曲者揃いという風で、味があって面白かったけど、
特に民雄。この人一体何者だ??
あの肉体と動きは只者じゃない。
そして、ウタコさん。
声が好きだ、あと、抑揚の効いた台詞回しと目も好き。
久世さんに引き続き、やっぱりウタコさんも良い女優さんだと、
この身で実感できて嬉しい限り。(やっぱ月組良いわ~ww)
自分の心の中の隠したい部分が露呈してしまって、感情を抑えきれなくなる。
とか、そういったちょっと狂気じみた演技にも、ぞくぞくさせられた。
これからも気になる舞台に出演する時は、追っかけたい。
小劇場系ならね。
ちょっと前の『テネシーワルツ』みたいな、
明治座!とかそういう感じになるとキツイかな。(笑)
1回ぐらい行ってみても良いけどさ。
冒頭、教室の周りの空間に無造作に置かれたバケツ。
終盤になって、そのバケツの水を人間にぶっかけることで、
時間を殺人が行われた雨の日に飛ばすなんて演出、最高。
水飛沫の見た目の美しさといい、時間の吹っ飛び具合といい、
水をまず剣幸にぶっかけたという衝撃といい、
もう、まさに演劇的!!たまらなかったですw
全神経集中で見てしまったので、正直疲れた、私は。
疲れたから、もう1回見たいとは思わないけれど、
でも良い芝居だったと思う。
んや、良いとか悪いとかの次元じゃなく、
訴えてくる芝居だったなぁ。
あとは、これから今日感じた
暗い、光の見えない日本人がどこかで持っている感覚を、
この先どう自分が処理していくかだな。
とりあえず勉強しなきゃ。
世の中無駄が多すぎて、知らなきゃいけないのに、知らないことが多すぎる。



『KASANE』のパンフ、衝動買いしちゃいました。
(久世星佳出演作品。写真がカッコ可愛かったから、つい。)
ヅカファンってもろにバレるじゃんw
これこそ無駄?・・・いーや、私にとっては無駄じゃない、必須だw
鐘下辰男は気になる演劇人の一人になりました。
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