6月15日,衆議院で自民党・公明党が,著作権者の許可無く映像や音楽をダウンロードする行為に2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科するというとんデモ規定を修正案で盛り込み,可決・成立させました。
今回の「近未来の法曹界」は,この新設規定に関する,某検察幹部への架空インタビューという形でお送りします。
「今回の著作権法改正で,違法ダウンロードに対し罰則を設けられましたが,捜査への影響はどうでしょうか?」
「大丈夫です。全く機能しない規定ですから,問題になりません」
「ずいぶん自信たっぷりの発言ですね」
「今回の改正案はね,要するに,現行法でも違法ダウンロードは民事で止めたり出来るんだけど,実際には警察が使えないから権利者が自力でダウンロードしたユーザーを特定しなきゃいけなくて使えないから,その仕事を警察に肩代わりさせたいわけでしょ?」
「そうみたいですね」
「それで,罰則は親告罪だから,警察も告訴がなければ捜査はしないわけだけど,告訴をするにはまず犯人を特定してもらわなきゃいけないからね。具体的な犯人も特定せず,ただ犯罪があるらしいから調べてくれというのは告訴とは言わないからね」
「はあ」
「それに,検察だって忙しいんだよ。司法試験合格者の質が落ちて,新人も以前よりたっぷり研修時間取らないと使い物にならないからね。しかも国家公務員の削減で人数は減らされてるから,本当に人手が足りないんだよ。覚せい剤の所持なんか,起訴しなくても被害者が騒ぐ心配がないんで,ちょっとでも捜査に問題があるとすぐ起訴猶予にしちゃってるし,公判も時間がないから,問題のないやつは1件30分くらいで終わり。即決にすれば裁判やる前から執行猶予確定だから,被告人も精神的に楽だし,弁護人も示談しなくて済むから楽だろうね」
「何か,問題発言連発しているような気がしますが,大丈夫ですか?」
「平気平気。即決裁判なんて刑訴法の条文に書いちゃってるのに,マスコミも全然問題にしないし。あと裁判員裁判はほんとに手間ばっかりかかるからね,亀山の事件だって,危険運転でも起訴できないことはないけど,裁判員事件にするの面倒だから適当な理屈つけて自動車運転に落としたし,麻薬の密輸も立証が面倒なやつは,営利目的でも普通の輸入罪で起訴しようかと思ってる。そうすれば裁判員事件にならないし」
「亀山の事件については被害者がかなり怒ってるみたいですが」
「いくら怒っても,不起訴処分じゃないから検審には行かないし。怒るなら司法予算をダンピングする政府に言ってもらいたいね。不正競争防止法の営業秘密にも罰則があるけど,そもそも一私企業内部のこまごましたした利益を守るために検察が動くのもどうかっていうのがあるからね。憲法にも公務員は全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではないって書いてあるからね。だから不正競争防止法の罰則も機能してないし,別に機能させる気もない。著作権法のダウンロード処罰規定も同じ結果になる」
「憲法上の問題もあるんですね」
「あと,今回の処罰規定は,権利者がユーザー相手に訴訟起こしたりすると,世論の大ブーイングで企業イメージが低下するから,実質的には検察にその仕事を肩代わりしてもらいたいみたいだね。でも検察だって世論は気にするし,そういう邪な目的で検察を利用するなら,こっちにも考えがあるね」
「どうするんですか?」
「告訴自体がすごく難しいんでたぶん無いとは思うけど,実際に告訴が来たら,捜査する前に司法記者クラブでその事実を公表してやるからね。そうしたら告訴した段階でネットでは叩かれまくり,リアルでも商品不買運動とか起こったりすんじゃない? 俺だって,そんな告訴する会社のCDなんて怖いから買わないけど」
「自民党や公明党の議員さん達は,そういうことをちゃんと考えているんでしょうか」
「知らないよ。たぶん法学部でも授業さぼってて,法律の勉強なんかろくにしてないから,こんな法律平気で作るんだろうね」
「そうなると,刑事罰を導入しても実質何も変わらないでしょうか?」
「基本そうなるけど,せっかく罰則があるんだから,何かの機会には有効活用するかも知れないね」
「・・・どんな機会ですか?」
「例えば,自民党や公明党の政治家に強制捜査かけて空振りになったとき,パソコン調べて違法ダウンロードがあったらそれで起訴できるし。自分達が作った法律なんだから,まさかそれで起訴されるのが違法不当とはいえないだろうね」
「それは痛快ですね。機会があったらぜひやってください(笑)」
「まあ,どちらにしろ,ろくな結果にならない法律だってことは間違いないね。本来なら,こんな法律を平気で作る政治家が国会にいても良いものなのか,国民の皆さんが適切に判断してもらいたいところだね。ああ,あとこの話オフレコね」
「はい。ありがとうございました」
※注 この談話は,あくまで黒猫の想像に基づく架空の記事なので,くれぐれも本気にしないで下さい。違法ダウンロードで本当に起訴されるかどうかについては,皆さんの自己責任で判断して下さいね。
今回の「近未来の法曹界」は,この新設規定に関する,某検察幹部への架空インタビューという形でお送りします。
「今回の著作権法改正で,違法ダウンロードに対し罰則を設けられましたが,捜査への影響はどうでしょうか?」
「大丈夫です。全く機能しない規定ですから,問題になりません」
「ずいぶん自信たっぷりの発言ですね」
「今回の改正案はね,要するに,現行法でも違法ダウンロードは民事で止めたり出来るんだけど,実際には警察が使えないから権利者が自力でダウンロードしたユーザーを特定しなきゃいけなくて使えないから,その仕事を警察に肩代わりさせたいわけでしょ?」
「そうみたいですね」
「それで,罰則は親告罪だから,警察も告訴がなければ捜査はしないわけだけど,告訴をするにはまず犯人を特定してもらわなきゃいけないからね。具体的な犯人も特定せず,ただ犯罪があるらしいから調べてくれというのは告訴とは言わないからね」
「はあ」
「それに,検察だって忙しいんだよ。司法試験合格者の質が落ちて,新人も以前よりたっぷり研修時間取らないと使い物にならないからね。しかも国家公務員の削減で人数は減らされてるから,本当に人手が足りないんだよ。覚せい剤の所持なんか,起訴しなくても被害者が騒ぐ心配がないんで,ちょっとでも捜査に問題があるとすぐ起訴猶予にしちゃってるし,公判も時間がないから,問題のないやつは1件30分くらいで終わり。即決にすれば裁判やる前から執行猶予確定だから,被告人も精神的に楽だし,弁護人も示談しなくて済むから楽だろうね」
「何か,問題発言連発しているような気がしますが,大丈夫ですか?」
「平気平気。即決裁判なんて刑訴法の条文に書いちゃってるのに,マスコミも全然問題にしないし。あと裁判員裁判はほんとに手間ばっかりかかるからね,亀山の事件だって,危険運転でも起訴できないことはないけど,裁判員事件にするの面倒だから適当な理屈つけて自動車運転に落としたし,麻薬の密輸も立証が面倒なやつは,営利目的でも普通の輸入罪で起訴しようかと思ってる。そうすれば裁判員事件にならないし」
「亀山の事件については被害者がかなり怒ってるみたいですが」
「いくら怒っても,不起訴処分じゃないから検審には行かないし。怒るなら司法予算をダンピングする政府に言ってもらいたいね。不正競争防止法の営業秘密にも罰則があるけど,そもそも一私企業内部のこまごましたした利益を守るために検察が動くのもどうかっていうのがあるからね。憲法にも公務員は全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではないって書いてあるからね。だから不正競争防止法の罰則も機能してないし,別に機能させる気もない。著作権法のダウンロード処罰規定も同じ結果になる」
「憲法上の問題もあるんですね」
「あと,今回の処罰規定は,権利者がユーザー相手に訴訟起こしたりすると,世論の大ブーイングで企業イメージが低下するから,実質的には検察にその仕事を肩代わりしてもらいたいみたいだね。でも検察だって世論は気にするし,そういう邪な目的で検察を利用するなら,こっちにも考えがあるね」
「どうするんですか?」
「告訴自体がすごく難しいんでたぶん無いとは思うけど,実際に告訴が来たら,捜査する前に司法記者クラブでその事実を公表してやるからね。そうしたら告訴した段階でネットでは叩かれまくり,リアルでも商品不買運動とか起こったりすんじゃない? 俺だって,そんな告訴する会社のCDなんて怖いから買わないけど」
「自民党や公明党の議員さん達は,そういうことをちゃんと考えているんでしょうか」
「知らないよ。たぶん法学部でも授業さぼってて,法律の勉強なんかろくにしてないから,こんな法律平気で作るんだろうね」
「そうなると,刑事罰を導入しても実質何も変わらないでしょうか?」
「基本そうなるけど,せっかく罰則があるんだから,何かの機会には有効活用するかも知れないね」
「・・・どんな機会ですか?」
「例えば,自民党や公明党の政治家に強制捜査かけて空振りになったとき,パソコン調べて違法ダウンロードがあったらそれで起訴できるし。自分達が作った法律なんだから,まさかそれで起訴されるのが違法不当とはいえないだろうね」
「それは痛快ですね。機会があったらぜひやってください(笑)」
「まあ,どちらにしろ,ろくな結果にならない法律だってことは間違いないね。本来なら,こんな法律を平気で作る政治家が国会にいても良いものなのか,国民の皆さんが適切に判断してもらいたいところだね。ああ,あとこの話オフレコね」
「はい。ありがとうございました」
※注 この談話は,あくまで黒猫の想像に基づく架空の記事なので,くれぐれも本気にしないで下さい。違法ダウンロードで本当に起訴されるかどうかについては,皆さんの自己責任で判断して下さいね。
趣旨にはご賛同いただけたものと見受けられます。
「放送を目指している」誤字脱字に気をつけましょう。
旧試答練添削者。
関係ないエントリにも書き込み続ける粘着っぷり。
しかもことごとく匿名。
もし、受験生なのであれば、こんな方たちが放送を目指していること自体が、法科大学院制度の劣化の何よりの証拠ですね。
こんな書き込みしてる暇があったら、来年に向けた勉強か、就職活動でもしたら?
と謝罪すればいいんじゃないんですかね?
ローを批判する弁護士は数あれど黒猫先生は別格ですね