最近,検討会議関係のネタに偏り過ぎている感があるので,今回は少し別の話題にします。
法曹人口問題をめぐる議論の中で,日弁連が増員路線を未だに止めようとしないのは,現行法上弁護士となるには所属弁護士会を経て日弁連に会員登録をしなければならないので,会員数が増えれば日弁連の会費収入が増えて財政が潤うからではないか,といった推測をする人が時々います。
まあ,外部者の発想としては,そのように考える人がいても不思議ではないのですが,実態はむしろ逆です。一例として,愛知県弁護士会では,人権擁護委員会に置かれている人権調査室を常設のものとするかどうか議論されているようです。
<参考URL>
弁護士会の人権侵犯救済における理想と現実。(弁護士のため息)
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-f8f3.html
一般の方には,いきなり人権調査室なんて説明をされても理解できないと思いますので,前提問題として弁護士会における「嘱託弁護士」のお話と「人権擁護委員会」のお話を,なるべく簡単にしておきたいと思います。
1 弁護士会における「嘱託弁護士」とは
各地の弁護士会には,法律上設置が義務づけられている機関として,弁護士の入退会に関する審査を行う資格審査会,弁護士の懲戒手続きを行う綱紀委員会・懲戒委員会があり,その他全国レベルの活動を維持するために様々な委員会が置かれています。
基本的に,これらの委員会活動は無給(ボランティア)で行われているのですが,会員数が多くなってくると弁護士会が行うべき事務量も膨大なものとなり,ボランティアの委員だけでは仕事が追いつかなくなります。
そのため,特に事務量が多い仕事については,弁護士会が「○○調査室嘱託」などという名目で弁護士を雇い,委員の下働きのような仕事をさせています。例えば弁護士に対する懲戒請求が行われた場合,建前上は(ボランティアの委員によって構成される
)綱紀委員会が事件をふるいにかけ,本格的な審査が必要と判断された事件について懲戒委員会が審査するということになっていますが,東京などの大規模な単位会では,どちらも弁護士会に雇われている嘱託弁護士が実質的な調査などの仕事を行い,ボランティアの委員会は嘱託弁護士の調査結果に基づいて最終的な判断をするだけ,という形になっているわけです。
詳しい実態は公表されていないので分かりませんが,日弁連でも多くの弁護士会でも,このような嘱託弁護士は増加傾向にあるようです。会員数が増えるにしたがって,嘱託弁護士を必要とする仕事が必然的に増加するほか,最近はボランティアの会務活動を行う余裕のない弁護士が増加し,ボランティアでは弁護士会の業務そのものが成り立たなくなっているからです。
最近は,嘱託弁護士のみならず,弁護士会の会長や副会長なども業務多忙でなり手がいないという理由で有給にするところが増えているようですが,もちろんこれらの給料は会員の会費負担によって賄われているものであり,弁護士会で雇われて働く弁護士の数が増えれば,必然的に会の財政負担は重くなります。
2 「人権擁護委員会」とは
日弁連や各地の弁護士会には,「人権擁護委員会」が置かれています。この委員会は,法律によって設置が義務づけられているわけではありませんが,基本的人権を擁護するというのが弁護士の基本的使命だからということで,人権に対する侵犯が行われているという申立てがあったときはそれに関する調査を行い,人権侵害またはそのおそれがあると認められたときは,司法的措置(捜査機関に対する告発など)や警告,勧告といった措置を行うこととされており,刑事の冤罪事件における再審の支援活動を行うこともあります。
人権擁護委員会は,こういった人権救済の申立てがあった場合に,その当否を判断するための調査や措置の実施等を行うために設けられているわけですが,人権救済の申立ては誰でもすることができ費用もかからないということで,愛知県では平成14年くらいから,刑務所や拘置所に拘禁されている人が「医療に関する処遇が不十分であり人権侵害である」などと主張して人権侵犯を申し立てる人が激増し,ボランティアの委員だけで調査を行うのが事実上困難になったことから,平成22年から3年間の期限付きで「人権調査室」を設置し,調査室の嘱託弁護士に実質的な調査活動を行わせることになり,その設置期限が今年で切れることから,人権調査室を常設の機関にするかどうかが改めて議論されているというわけです。
なお,名古屋刑務所では2001~2002年に,刑務官が集団暴行により受刑者を死亡させるという事件を起こし,国や刑務官を被告とする損害賠償請求訴訟は昨年の10月に遺族側勝訴で決着が付いたばかりですが,この事件も被拘禁者からの申立件数を激増させる契機になったそうです。
もっとも,申立事案のうち弁護士会が実際に警告や勧告等の措置を行ったのは5%程度に過ぎず,実際には明らかに理由のない申立てが多いということですが,それでも申立てに対し最低限の調査はやらざるを得ず,その業務が膨大になっているから弁護士を雇わざるを得ないという,頭を抱えたくなるような話になっています。
3 会務負担の際限なき肥大化と会員の不満
最近は,冤罪で再審無罪となる刑事事件なども増えており,こうした人権擁護委員会の活動が一定の社会的役割を果たしていること自体は否定できませんが,別にこうした活動が法律上義務づけられているわけではなく,いわば日弁連や弁護士会が「人権擁護活動を行っている団体だ」という見栄を守るために行っているボランティア活動にまで,人が足りないから有償の嘱託弁護士を雇うといったことを続けていけば,弁護士会の会務活動は際限なく肥大化し,会員である弁護士からいくら高額の会費を徴収しても追いつかないことになります。
最近は,法曹人口の激増により自己の生活を維持するための収入も得られない弁護士が急増しており,法科大学院制度や司法修習の貸与制により,登録当初から多額の借金を強いられている弁護士も少なくありません。そういう弁護士が,そんなボランティア活動をなぜ弁護士会の会費で行わなければならないのか,という不満を抱くのも無理からぬことでしょう。
類似の問題として,過疎地に作った日弁連ひまわり基金の法律事務所が大赤字で,その経営を維持するため会員から特別会費を徴収しているといったものもありますが,「何を置いても人権を擁護するのが弁護士の使命である。経済性など考えるべきではない」といった観念論で片付けられる時代はもう終わっているのに,そのことを理解していない弁護士が呆れるほど多いのです。
こういう,経済感覚のない弁護士が日弁連の執行部を牛耳っているおかげで,会員数は増えても財政状況は悪くなる一方というのが,少なくない数の単位会における現実です。現状をあと10年くらい放置していれば,そのうち経営破綻する弁護士会が出てくるかも知れません。
キリスト教の修道士の中には,自らの資産をすべて貧しい人に寄付して家族が生活できなくなってしまい,死後聖人に叙せられた人もいるそうですが,弁護士会が人権活動に夢中になりすぎて経営破綻しても,おそらくは「放漫財政」と非難されるだけでしょう。ましてや,弁護士会は任意団体ではなく法律で弁護士の加入が義務づけられた公的団体なのですから,「収入の範囲内で出来ることだけをやる」「自らの手に余ることは手を出さない」という最低限の財政規律は絶対に必要です。
また,法曹人口の激増政策が未だに改められないのも,その原因の一つに「弁護士は自らの経済生活のことを考えるべきではない」という誤った観念に囚われている弁護士が未だに多いことが挙げられます。しかし,そのせいで最近は法科大学院の志望者も激減し法曹界に人が来なくなっているほか,自らも経営破綻し依頼者に多大な迷惑をかけている弁護士(依頼者の金を横領した人を含む)も最近は増えています。
経済感覚のない弁護士は,結局は社会の役に立たず市民からも支持されないということを,特にベテラン世代の弁護士はいい加減自覚すべきです。
法曹人口問題をめぐる議論の中で,日弁連が増員路線を未だに止めようとしないのは,現行法上弁護士となるには所属弁護士会を経て日弁連に会員登録をしなければならないので,会員数が増えれば日弁連の会費収入が増えて財政が潤うからではないか,といった推測をする人が時々います。
まあ,外部者の発想としては,そのように考える人がいても不思議ではないのですが,実態はむしろ逆です。一例として,愛知県弁護士会では,人権擁護委員会に置かれている人権調査室を常設のものとするかどうか議論されているようです。
<参考URL>
弁護士会の人権侵犯救済における理想と現実。(弁護士のため息)
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-f8f3.html
一般の方には,いきなり人権調査室なんて説明をされても理解できないと思いますので,前提問題として弁護士会における「嘱託弁護士」のお話と「人権擁護委員会」のお話を,なるべく簡単にしておきたいと思います。
1 弁護士会における「嘱託弁護士」とは
各地の弁護士会には,法律上設置が義務づけられている機関として,弁護士の入退会に関する審査を行う資格審査会,弁護士の懲戒手続きを行う綱紀委員会・懲戒委員会があり,その他全国レベルの活動を維持するために様々な委員会が置かれています。
基本的に,これらの委員会活動は無給(ボランティア)で行われているのですが,会員数が多くなってくると弁護士会が行うべき事務量も膨大なものとなり,ボランティアの委員だけでは仕事が追いつかなくなります。
そのため,特に事務量が多い仕事については,弁護士会が「○○調査室嘱託」などという名目で弁護士を雇い,委員の下働きのような仕事をさせています。例えば弁護士に対する懲戒請求が行われた場合,建前上は(ボランティアの委員によって構成される
)綱紀委員会が事件をふるいにかけ,本格的な審査が必要と判断された事件について懲戒委員会が審査するということになっていますが,東京などの大規模な単位会では,どちらも弁護士会に雇われている嘱託弁護士が実質的な調査などの仕事を行い,ボランティアの委員会は嘱託弁護士の調査結果に基づいて最終的な判断をするだけ,という形になっているわけです。
詳しい実態は公表されていないので分かりませんが,日弁連でも多くの弁護士会でも,このような嘱託弁護士は増加傾向にあるようです。会員数が増えるにしたがって,嘱託弁護士を必要とする仕事が必然的に増加するほか,最近はボランティアの会務活動を行う余裕のない弁護士が増加し,ボランティアでは弁護士会の業務そのものが成り立たなくなっているからです。
最近は,嘱託弁護士のみならず,弁護士会の会長や副会長なども業務多忙でなり手がいないという理由で有給にするところが増えているようですが,もちろんこれらの給料は会員の会費負担によって賄われているものであり,弁護士会で雇われて働く弁護士の数が増えれば,必然的に会の財政負担は重くなります。
2 「人権擁護委員会」とは
日弁連や各地の弁護士会には,「人権擁護委員会」が置かれています。この委員会は,法律によって設置が義務づけられているわけではありませんが,基本的人権を擁護するというのが弁護士の基本的使命だからということで,人権に対する侵犯が行われているという申立てがあったときはそれに関する調査を行い,人権侵害またはそのおそれがあると認められたときは,司法的措置(捜査機関に対する告発など)や警告,勧告といった措置を行うこととされており,刑事の冤罪事件における再審の支援活動を行うこともあります。
人権擁護委員会は,こういった人権救済の申立てがあった場合に,その当否を判断するための調査や措置の実施等を行うために設けられているわけですが,人権救済の申立ては誰でもすることができ費用もかからないということで,愛知県では平成14年くらいから,刑務所や拘置所に拘禁されている人が「医療に関する処遇が不十分であり人権侵害である」などと主張して人権侵犯を申し立てる人が激増し,ボランティアの委員だけで調査を行うのが事実上困難になったことから,平成22年から3年間の期限付きで「人権調査室」を設置し,調査室の嘱託弁護士に実質的な調査活動を行わせることになり,その設置期限が今年で切れることから,人権調査室を常設の機関にするかどうかが改めて議論されているというわけです。
なお,名古屋刑務所では2001~2002年に,刑務官が集団暴行により受刑者を死亡させるという事件を起こし,国や刑務官を被告とする損害賠償請求訴訟は昨年の10月に遺族側勝訴で決着が付いたばかりですが,この事件も被拘禁者からの申立件数を激増させる契機になったそうです。
もっとも,申立事案のうち弁護士会が実際に警告や勧告等の措置を行ったのは5%程度に過ぎず,実際には明らかに理由のない申立てが多いということですが,それでも申立てに対し最低限の調査はやらざるを得ず,その業務が膨大になっているから弁護士を雇わざるを得ないという,頭を抱えたくなるような話になっています。
3 会務負担の際限なき肥大化と会員の不満
最近は,冤罪で再審無罪となる刑事事件なども増えており,こうした人権擁護委員会の活動が一定の社会的役割を果たしていること自体は否定できませんが,別にこうした活動が法律上義務づけられているわけではなく,いわば日弁連や弁護士会が「人権擁護活動を行っている団体だ」という見栄を守るために行っているボランティア活動にまで,人が足りないから有償の嘱託弁護士を雇うといったことを続けていけば,弁護士会の会務活動は際限なく肥大化し,会員である弁護士からいくら高額の会費を徴収しても追いつかないことになります。
最近は,法曹人口の激増により自己の生活を維持するための収入も得られない弁護士が急増しており,法科大学院制度や司法修習の貸与制により,登録当初から多額の借金を強いられている弁護士も少なくありません。そういう弁護士が,そんなボランティア活動をなぜ弁護士会の会費で行わなければならないのか,という不満を抱くのも無理からぬことでしょう。
類似の問題として,過疎地に作った日弁連ひまわり基金の法律事務所が大赤字で,その経営を維持するため会員から特別会費を徴収しているといったものもありますが,「何を置いても人権を擁護するのが弁護士の使命である。経済性など考えるべきではない」といった観念論で片付けられる時代はもう終わっているのに,そのことを理解していない弁護士が呆れるほど多いのです。
こういう,経済感覚のない弁護士が日弁連の執行部を牛耳っているおかげで,会員数は増えても財政状況は悪くなる一方というのが,少なくない数の単位会における現実です。現状をあと10年くらい放置していれば,そのうち経営破綻する弁護士会が出てくるかも知れません。
キリスト教の修道士の中には,自らの資産をすべて貧しい人に寄付して家族が生活できなくなってしまい,死後聖人に叙せられた人もいるそうですが,弁護士会が人権活動に夢中になりすぎて経営破綻しても,おそらくは「放漫財政」と非難されるだけでしょう。ましてや,弁護士会は任意団体ではなく法律で弁護士の加入が義務づけられた公的団体なのですから,「収入の範囲内で出来ることだけをやる」「自らの手に余ることは手を出さない」という最低限の財政規律は絶対に必要です。
また,法曹人口の激増政策が未だに改められないのも,その原因の一つに「弁護士は自らの経済生活のことを考えるべきではない」という誤った観念に囚われている弁護士が未だに多いことが挙げられます。しかし,そのせいで最近は法科大学院の志望者も激減し法曹界に人が来なくなっているほか,自らも経営破綻し依頼者に多大な迷惑をかけている弁護士(依頼者の金を横領した人を含む)も最近は増えています。
経済感覚のない弁護士は,結局は社会の役に立たず市民からも支持されないということを,特にベテラン世代の弁護士はいい加減自覚すべきです。
でも、どう考えても、そういう老人より若手町弁のほうが弱者です。
そういうクソみたいなドケチに奉仕する必要など何もない。若手弁護士はそうした原点を日々再確認しつつ仕事をした方がいいです。
どうして、大学から頑張って、借金を重ねてまでリスクをとった上で結果を残したのに、あそび呆けてたに過ぎないたかが就職しただけの奴らより低待遇かつ重い責任に落とし込まれ、その上で、弱者が知らないが、そんなやつらのために自己犠牲的にタダで働かされるとか、ありえませんから。
親孝行すら、結婚すら、満足にできないんですよ。頑張った当の自分たちが弱者。まあ、そんな道を選んだ自己責任なのかもしれませんが、ならば、日本社会は、これからの法曹養成には餌をやらないと決めたってことだと我々は解釈してますので、ならば我々も社会貢献など考える必要はないですから。
その結果、誰も公益活動を担わないとしても、それはそんな道を選んだ国民の自己責任です。その分、税金を浮かせるという利益を得てるのだからしようがありません。
というか、弁護士会がやってる公益活動つ
て、本当に社会から必要とされているのですか?されているのなら、弁護士がお金を出さずとも、誰かが出すんじゃないですか?結局、自己満足に過ぎないんですよ。
前は弁護士会のレターケースの横にゴミ箱があったんですけど、ゴミの処理費用がかさむという大半の理由と、事務所まで持って帰らないというわずかな理由が原因でゴミ箱がなくなってしまい、事務所のシュレッダーが無駄に動かされてます。
電力の無駄で地球にも優しくないので、始めからそのような書類は作成しない、そうすればタイプの時間も人件費の無駄もなくなります。
そんなもんにつきあわされるのはバカらしい。一方で学校のイジメなんかでは出てこない。
弁護士は囚人のヒマつぶしのあいてというかいいオモチャみたいになってるのが実情。さっさと止めよう。国民的理解も得られない、無意味な事業だ。