
北の国にもようやく春が来た
地上に何が起ころうと季節は巡り来る
桜の木の下の人々は
誰もが喜び微笑んで
花を愛でる
誰もが幸せにあふれている
幸せはどれもが似通っているように見える
一つ目をそらすと
そこには地上に現れた地獄がある
全てをあらゆる物を飲み込み吐き出した悪魔の仕業がある
そこの人々は
誰もが苦悶の顔をしている
誰もがそれぞれの地獄を味わっている
似たような幸福とそれぞれの地獄
あらゆる不幸が集まってしまったのか
それでも人々はどこかを目指している
生きるものは生きなければいけない
その指名を受けて生きる
生きようとしている
何気ない日常がひとつふたつ
それが
何処にでもある誰もが似通った
ちいさな幸せになっていくだろう
何れ大きなものになるように
それぞれが歩き出す