ブログ随筆「ちょっと、散歩へ」

    日々の趣味など・・・

「異 才」

2015年10月03日 08時00分00秒 | 読書
もはやシナリオ作家の大家である倉本聰が、ニッポン放送の社員時代にシクジッタ話は面白い。ある時、渥美清と水谷良重(今の八重子)のコントの帯番組の録音テープを何故か紛失してしまう。採り直すにも渥美はOKしたが、水谷は欧州に旅行中。〈万事休す〉の状況である。呆然自失の彼に天啓が閃く。過去の放送の中から水谷の相槌のセリフなどを拾い出して、新たに作った渥美のセリフを噛み合わせて行くと云う奇策である。何と短時 . . . 本文を読む

「異 能」

2015年06月17日 08時00分00秒 | 読書
お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹が書いた『火花』(文藝春秋)が、5月末には40万部を突破したようだ。例の如く市の図書館で検索したら、7冊も在庫しているが、予約待ちが「177人」と云う人気だ。ざっと順番を計算しても、まず半年は待つことになろう。それでも本屋でその奥付を見たら3版のままだから、一応、売れ行きは落ち着いたか。それにしても近来珍しい現象である。人気タレントが書いたと云う特殊条件があるにして . . . 本文を読む

「建 国」

2015年05月28日 08時00分00秒 | 読書
マスコミによると中国国家主席・習近平の評価が高まっている様だ。あのテレビなどで見る安倍首相との〈顔合わせ〉のぎごちない態度から、大した人物ではないと私などは思っていて、その理由は確か中国伝来の豪傑は、顔と腹は別物の様に振る舞うはずなのに…と、固く信じていたからである。あるいは自国民向けに頑なな姿勢を見せなければならないのであれば、まだその権力は定着していないのだな、とも思わせた。ところが、ここのと . . . 本文を読む

「再々の鶴 彬」

2015年05月24日 08時00分00秒 | 読書
今、購読している地方紙は、それ程、鮮明な政治色を出してはいない。いわゆる「社説」欄が無い。1面の下段にある「コラム」が、どうやらその代りをしているようだが、質量ともに物足りなさは否定出来ない。中の紙面も県の幹部職員の紹介だったり、県内にある企業のPR臭プンプンの内容だったりで、かつて私が関わっていた「業界紙」の〈肌合い〉に酷似している、とは以前書いた覚えがある。ところが5月23日付の記事『ゼロから . . . 本文を読む

「友愛数」

2015年04月26日 08時00分00秒 | 読書
前から興味のあった『博士の愛した数式』(小川洋子・新潮社)を読む。47歳の時の交通事故で脳にダメージを受け、以来、64歳の現在まで記憶は〈80分〉で消えてしまう、と云う数学専門の博士と、その家政婦親子の物語り。毎日、最初の出会いの度に「誕生日は?」と聞くのだが、偶々、家政婦が「2月20日」(220)だった事と、大学時代に「超越数論」の論文で学長賞を貰い、その№が賞品の時計に「284」とある事で、こ . . . 本文を読む