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(実録)会社倒産&自己破産のススメ

コトの顛末と関連する法律・理論をお伝えすることで、この道をお考えの方々の心の負担が軽くなるよう願っています。

その昔、中古車のメーター巻戻しは日常的だったお話

2011-10-06 | 【もうダメだ、と思うまで】

昭和から平成に年号が変わる頃
中古車における走行距離戻し、いわゆるメーター改ざんは
ディーラー系中古車センターにおいてもごく日常的に行われていたことを知っています。

当時、新車ディーラーの営業部から中古車部に配属された私は
初老の前任者から「メーター巻戻しは(社内)工場に頼めばよい」と引き継ぎを受けましたし
工場が忙しい時は取引先の板金工場でもやってくれると言われたものです。

その後、細いマイナスドライバーを使って、当時当たり前だった
アナログメーターの巻戻しの仕方を教わり自分でできるようにさえなりました。

この悪事が最初に警察の摘発(詐欺罪)を受けたのは
確か日本海地方の都市にあるマツダ系ディーラーで
工場の現場に何の整備をするかを伝える作業指示書に
メーター巻き戻しの記載があったことが証拠になったと聞き及ぶにつけ
それ以降、文章による作業依頼はなくすとともに
少なくても売ったお客様に発見されないように、今まで以上に
車内の整備記録簿、オイル交換シールなどを注意深く破棄するようになりました。

つまりは、悪いから止めようではなく
発見されないよう、より注意を払うようになっただけだったのは
当時、7万㌔を超える距離ではとても売りづらく、一方、4万㌔以内はとてもよく売れ
売上数字を上げるには、3万〇千㌔にする必要があったからです。

この悪しき習慣を変えたのは、私が知る限り
業者オークションの普及によるところが大きかったはずです。

これは、出品される車の走行距離の記録を保存することによって
少なくてもオークションを経由するたびの距離の積算を把握するもので
「走行距離管理システム」と呼ばれました。

その後、車検証の備考欄にも
車検時の整備記録簿の走行距離が記載されるようになり
オークションを経由しない車の距離の積算推移も把握できるようになりました。

個人的にはデジタルメーターの採用が進むと
こうした行為そのものができなくなるかもしれないと思っていたのですが
なんのことはない、もしかした今でもヤフーオークションには
「走行距離の設定いたします」の出品がされていて
注意書きにある「新品メーターに交換する際に現在のメーター表示に設定します」ではなく
距離の改ざんに利用されているのかもしれません。

その後、従来のアナログメーターはマイナスドライバーが入れ難くなったとはいえ
リサイクル部品の入手が容易になったことにより
距離の少ない中古メーターに交換するという手口が加わって
今でも、特にヤフオクに出品されている「距離不明」車の全部、またはほとんどが
未だに間違いなく距離が戻されていると信じて疑いません。

事実、こうしたクルマを購入しての被害の相談は
ここ2、3年の間でも1人2人ではありませんでした。

こうしたメーター改ざんによる巻戻しの旨味を知って
シコタマ儲けている輩が捕まったのならいざ知らず、またはディーラー勤務などのサラリーマンで
そうした危険をおかしたところで自分のふところと無関係ならいざ知らず
簡単にぼろ儲けできる道からたやすく足を洗えるはずもないのです。

もちろん、私自身はもう何年も前にこの悪事から足を洗っていたのは
消費者保護の時流が強まる中、かつてはお互いが話し合ってお詫び+若干の金銭で解決できたものが
お客様がまず相談に駆け込むことが多くなったせいもあるのでしょう
なんらかの行政機関が絡んで解決がややこしくなったためであると同時に
なによりも、それをやった事実がその車が現役であるうちはずっと尾を引いて
何年か後に発覚することがあることを認識したためで、皮肉にも今回の事件はまさに
恐れていた通りのことが現実になってしまったのです。

 

 

 


3つ目のトラブルは面倒な話…

2011-10-04 | 【もうダメだ、と思うまで】

「〇〇さん(会社名)ですか?△△モーターと言いますが社長はいますか?」

「はい、私です」

「実は、お宅で過去に売った××(車名)ですが、メーター改ざんの疑いがあるのです」

未だに思い返すだけで気持ちが落ち込む電話の内容でした。 

折り返しお返事する約束をし
なんとなく思い当たる車の販売履歴を調べたところ、案の上、です。

かなり昔に「走行距離不明」でお売りした××が
“メーター表示のまま”でその後何人かのユーザーを経由して
この△△モーターさんに行き着いていたのです。

業者オークションに出品して「走行距離管理システム」で発覚したもので
これは、過去に出品された際の距離(メーター読み)よりも現在の方が少ないことに因ります。

そもそも、「走行距離不明」でお売りした理由ですが
旧車である××は入庫時、スピードメーターの指針がたまに動かなかったり
動いても突然、振り切ってしまうなどの不具合があったため
たまたま手元に持っていた部品取り車のメーターを装着したからでした。

お客様には元のメーターをお渡しし、かつ今後は距離不明の扱いになる旨
ご説明するとともに書面をお渡ししてあったのですが
この方法自体が正しい処置ではなく、厳密にはディーラーに持ち込み
新品メーターに交換の上、積まれている整備手帳に記載・捺印してもらわなければならないのです。

原価を抑えるためとは言えこれをしなかった私にも非はありますし
この事実を隠ぺいしてお売りすると詐欺になるという直接お売りしたお客様との関係ばかりで
旧車のためその先のことは考えなかった、つまり、その人気ゆえ解体されることなくいつまでも
こうして流通経路に乗ることなど、ほとんど考えてもいなかったのです。

△△モーターの社長さんは、当社が仕入れた先の業者オークション会場からも
出品された際の走行距離を聞き出していましたし
現在および過去の所有歴が分かる「詳細登録事項等証明書」を陸運支局から取り寄せ
このお客様を含めたすべての所有者に連絡を取り
全員が距離不明は知らなかった趣旨の話を聞いていると言います。

当社がお売りしたお客様が「走行不明」を隠したまま
下取りに出したり買取店に持ち込んでいるのであれば
この方から△△モーターに至るまでの全てのユーザーを巻き込んだ
警察沙汰の騒ぎになる事態を視野に入れた面倒な話になります。

それも、数人の中間ユーザーは近間ではなさそうですからなおさらです。

悩んだ挙句、△△モーターの社長さんが提案する価格で当社が買取り
一件落着させる安易な方法を選んだのは
当時の業者オークション相場のほぼ最高に匹敵する価格で
決してベラボウな数字ではなかったからです。

ところが、陸送屋に頼んで1週間後に着いた××の昔の姿は見る影もなく
タイヤのうなり音がものすごいわ、ふらつくわで、私ら年寄りはとても乗る気にならないどころか
そのまま車検が通るとは到底思えない巨大なタイヤを履かされた
チョロQ状態の違法車両に改造されていたのです。

 

 


その頃、すでに2000万円+αの借金があった。

2011-10-01 | 【もうダメだ、と思うまで】

かれこれ20年前、新車ディーラーから晴れて独立して会社を設立
自己資金や友人からの出資で集めた1千万円を超える資本金は
店舗の設備投資で消え、商品車両仕入れを含めた運転資金は
母親のマンションを担保に入れさせてもらって借りた2000万円を充てていました。

それから10年間は順風満帆、それまでに上げた利益の一部どころか
返済で減った分でさらなる融資を受けて隣接地を借り増して展示場を拡張
その上、商品化のための板金工場も増設したのです。

もちろん節税のためですが、給料も月100万円だった時期さえあり
返済しないのですから会社、個人ともにそれなりの内部留保
つまり預金もあり、まさに「それ行け、ドンドン」状態でした。

ところが、立地が良かったことと広告宣伝が奏功して工場の修理入庫数が
予想を大幅に上回ったことが、その後の会社の行く末を変える皮肉な結果をもたらします。

所詮、頭は一つなのですから車販売からすっかり気持ちが離れてしまい
工場売り上げで食っていけるのでは、などという間違った方向に舵を切った結果
ケタの違う客単価で会社としての売上は大幅に減少
利益も人を使っての手間仕事では物を売るようなわけにいかず
そもそも、少人数の工賃売り上げで借金は減らせないことを思い知ると同時に
3年で一気に債務超過(資本金を超える赤字)に陥ると同時に
創業時を上回る2500万円の借金が残る事態になったのです。

それでもなんとか持ちこたえられたのは
会社の内部留保および個人の預金の全てをつぎ込んだからです。

以降、工場は社員に任せて、車両販売に専念する方向に再度、方向転換したのですが
この間に見失った世の中、およびお客様の動向を取り戻すにさらに数年の歳月を要し
ネット販売にたどり着いた頃には、この工場と社員も手放して
創業時の規模にまで縮小せざるを得ない状況になっていました。

そして結果残ったのは、連続数期に渡る債務超過の決算書、ほとんどカラの会社と個人の預金通帳
そして、一度組み直してもらったとは言え、還暦過ぎの年齢なのに今後30年間
返済し続けなければならない拡大期に作った2000万円の借金と差しいれたままの担保
さらには月々それを返すがために運転資金が不足し
どうにもならず借りた親戚からの数百万円に上る借金…でした。

 

 


また、エンジン!?

2011-09-29 | 【もうダメだ、と思うまで】

ネット販売により県外に納車したクルマのエンジントラブルは
「ここまでしてくれるとは思っていませんでした」というコメント付きの
“非常に良い”評価をいただく内容で解決でき、約1カ月ほどは
気が重い日々を過ごしていましたので、まずはホッと胸をなでおろしたのです。

ところが、それからいく日も経たずして今度は業者オークションから仕入れた車にトラブル
入庫時点には気が付かなかったのですが、アラームランプがごくたまに点灯し
それが一日一日、頻繁になっていくではありませんか!

ディーラーに持ち込んで「可能性は低いがうまくすれば直るかも…」という
フロントマンの言葉も空しく、なんとカタカタ音まで発して戻ってきたのは数日後のことです。

この音が出てしまうとオーバーホール、または
中古やりビルトエンジンの載せ替え以外、経験上修理する方法はなく
どちらにしても最低で35万円は覚悟しなければなりません。

ディーラー入庫時にはカラカラ音は出ていなかったことは事実で
その点についてフロントマンに苦情を申し立てたのですが
そうなる可能性を事前に伝えてあったと言い張る彼との間で
言った言わないの一悶着がありました。

もちろん、さんざん粘りましたが、入庫ディーラー、オークション会場ともに
走行距離が10万㌔を超えていることを理由に結局はクレーム対象にしてもらえず
完全にエンジンが止まり不動車になってしまう前に業者オークションで売却する羽目になりました。

そして、運賃・出品料などの経費を含め約40万円の大損。

結果論で言えば、エンジンを修理または載せ替えて
小売りした方が正解だったのかもしれませんが、如何せん、お金に余裕がなかったのです。

これらの2台でおよそ80万円の大赤字、つまりはお金をドブに捨てたようなものとなり
それでなくても不足しがちな運転資金がさらに緊迫してきたのは言うまでもありません。

7月中にはこの処理も終わり、例年それでなくても売り上げが落ち込む8月です。

萎えている気持ちを奮い立たせて「さあ、頑張ろう」と
ようやくスイッチを切り替えた途端の盆休み明け1本の電話が
僅か4ヶ月の間に3度目となるトラブル
それもエンジン以上に厄介な内容を告げてくることになるのです。

 

 

 


最初のトラブル発生

2011-09-28 | 【もうダメだ、と思うまで】

話はちょうど1年前にさかのぼります。

カードローンの融資枠が貸金法改正により
200万円から40万円に減額されることは前々月に届いたDMで分かっていましたが
それ以前の1年間ほどはこのお金に頼ることなく資金が回っていました。

すでに数年前から2000万円超の債務超過に陥っていて
「かなりの業績向上がない限り新たな融資は出来かねます」と
〇×銀行から言い渡されていますので、それ以降
急な運転資金の入手はひたすらこのカードに頼る状態が続いていました。

同じ〇×銀行系が運営しているのに「会社には融資しない」と言いながらも
個人名のこのカードの融資が止まらなかったことは不幸中の幸いで
“優良者向けの色付き”でしたので200万円もの融資枠があり
個人で借りて会社に短期貸付するのです。

もっとも、個人にとっての200万円は大金ですが
商品である車両を仕入れたりする運転資金としてはギリギリの金額です。

とは言え、借入不能を宣告された後
「もしかしたら…」とATMに挿入して初めての操作に何度も失敗しながら
現実に1万円札が束になって出て来た時の嬉しさは今でも忘れません。

この資金のおかげで、売れてから納車・回収までの時間差の間にも
すぐに次の仕入れができましたし、急なお客様からの注文にも応じられました。

ただ、10年前の業務拡張の際に借り入れた借金の
利息が8割を占める銀行への返済は月20万円を超えていたのですから
2年かかった店頭販売からネットによる販売への切り替えがうまく行ったとは言っても
逆に大幅に縮小した業務内容では慢性的資金不足であって
2年前と1年前に300万円ずつ親戚から借りた600万円と
恥ずかしながら、嫁いだ娘からの150万円の借金は
1円も返す余裕などありませんでした。

ところが、とりあえず回っていた中古車販売で
県外に納めて1週間でエンジンから白煙が上がるという
最初のトラブルが発生したのは2010年初夏のことでした。