Photo from Wikipedia
仕事柄、木材の説明をする時にこの「モスキート」と言う戦闘爆撃機を例にあげて、木の特徴を説明します。
それは戦争の最中に、しかも飛行機と言う究極の合理化を考えねばならない状況で、
第二次世界大戦中、最も高性能な戦闘爆撃機が、なぜ木材で作られたかと言うことで、木材の性質をよく説明できるからです。
木材の長所は、軽いこと、作り易いこと、強度がある。以上の3点です。
反対に木材の欠点は、燃える、腐る、狂うと言う3点です。
モスキートを開発したデハビランド社の技術者は、木材の欠点については、
まず燃えると言うことに関しては通常の戦闘機でも燃えるのは、ガソリンが漏れて燃えるわけで、
これは、どんな材料の飛行機でも条件は同じ。
腐ると言うことに関しては確かに東南アジアでの使用は高温多湿で腐ってしまうと言う事例はあったのは事実ですが、
これも寿命が1年か2年と言う、戦争の中であれば、問題なし。
狂うと言うことに関しては技術でカバーできる。
以上のことから考えると、「どう考えても木で作る方がアルミ合金で作るよりも良さそうだ。」と言うことになったわけです。
しかし、多くの方が見落としているのは、木材の特徴をどう利用したかが最も重要なポイントだと言うことです。
つまり木材は使われ方によって強度が出たり、出なかったりすると言うことです。
木材には方向性があり、繊維方向により強度が変わりますし、接合方法や接合場所により強度が変わります。
この点、金属はどの方向でも同じ強度ですので、経験のない者が設計してもそれなりのものはできますが、
木材の場合は、これらの木の特性を完全に理解している者が設計しないと木の良さが生かされないことになります。
これが第二次世界大戦でイギリスのデハビランド社だけが優秀な木製飛行機を作ることができた一番の理由です。
(モスキートの構造についてはヘンドンの項目をご覧ください。モスキートの説明はこちらの項目をご確認ください。)