毎年7月17日は、京都人ならだれでも知っている日、祇園祭の前祭(さきまつり)の山鉾巡行の日です。2014年から古来のように後祭(あとまつり)と分離開催されるようになりましたが、前祭の参加山鉾数は後祭の2倍以上あります。
日本の美術工芸の粋を集めたような山鉾の装飾は、まさに動く美術館です。縄だけで組み上げた最大12tにもなる鉾が、交差点できしみながら方向転換する光景は圧巻です。祇園祭の山鉾巡行は、日本を最も感じさせる祭です。
船鉾
前祭の山鉾巡行は、9:00に四条烏丸交差点を先頭の長刀鉾が出発します。各山鉾は2時間ほどかけてゴールの新町御池交差点にたどり着き、新町通りを通って各町内に戻っていきます。
【京都市観光公式サイト】 祇園祭 山鉾巡行コース
見物はスタート直後の四条通が最も混雑しますが、2015年に歩道が拡幅されたため以前よりもましになりました。山鉾との距離が近いため迫力があります。町の中心部でもあり、他の箇所での見物に移動しやすい通の北側が混雑します。
一方南側は、混雑は幾分穏やかで直射日光も避けられます。ただし巡行中は四条通の地上横断はできず、地下道を通っても烏丸通か河原町通付近まで迂回しないと横断できません。鉄道で駅を降りた際の地上への出口も同様に制限されます。見物後の行動を考えた上での場所の選定をおすすめします。
河原町通りは四条通より人手は少ないですが、歩道が狭いため混雑が目立つ場合もあります。すいていて直射日光を受けない東側がおすすめですが、四条通か御池通付近の地下道まで迂回しないと西側の街の中心部に横断できないのが難点です。
御池通は歩道幅が広く、最も余裕をもって見物できます。車道幅が広いため山鉾とはやや距離がありますが、山鉾の全体像を写真撮影するにはむしろ適しています。町の中心部とは逆側で直射日光を受ける北側がすいています。こちらも横断は烏丸通か河原町通付近の地下道経由に限られます。
四条河原町と河原町御池交差点は、山鉾が向きを変える辻回し(つじまわし)の見物客で特に混雑します。辻回し見物はゴールして各町内へ戻るために行う新町御池交差点がおすすめです。
御池通北側の有料観覧席からの光景
有料観覧席は御池通の巡行コース全域の南北両側に設けられています。葵祭や時代まつりの人間の行列とは異なり、山鉾は高さがあるのでとてもよく見えます。
山鉾巡行の詳細パンフレットと、折り畳み式のキャップが配布されます。日傘は禁止です。有料観覧席以外の公道上でも日傘は後方の方を遮りますのでマナー違反です。帽子を持参するか、直射日光を受けない側で見物すべきです。
【京都市観光公式サイト】 祇園祭 有料観覧席のご案内
見ている方も暑いですが、山鉾の曳き手や搭乗者はもっと暑いです。曳き手は学生風の若者が多いですが、近年は外国人も目立ちます。アルバイトなら一生の思い出になることは間違いないでしょう。
本当に汗だくですが、運行を指揮する音頭方の掛け声にあわせて一生懸命曳いています。そんな努力があって、色とりどりの見事な芸術品を23基も鑑賞することができます。
祇園祭名物の信号廻し
山鉾巡行にはトリビア的楽しみ方もあります。山鉾が通過する直前に、こんな時に電気工事をするのかと思わせるクレーン車が、なぜか通行止めになった大通りを行き交います、背の高い鉾がぶつかってしまうため、信号を回転させて道路に出っ張らないようにするのです。
山鉾巡行は、宵山と同じく毎年同じことを繰り返しますが、不思議なことに毎年見ても飽きません。それほど飾り付けが美しく、これがないと夏を迎えた気分にもならないのです。山鉾巡行がないことはありえないのです。
宵山と同じく酷暑の中での見物になりますが、京都の夏を感じるにはこれしかありません。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
祇園祭の巡行ルートや参加山鉾は時代に応じて変遷してきた
祇園祭 前祭 山鉾巡行
https://www.kyokanko.or.jp/gion/(京都市観光協会)
主催:祇園祭山鉾連合会
会期:毎年7月17日(日付で固定)9:00~13:30頃
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。
おすすめ交通機関:
地下鉄烏丸線「四条」駅、烏丸線・東西線「烏丸御池」駅、東西線「京都市役所前」駅、阪急京都線「烏丸」「河原町」駅下車
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
JR京都駅→地下鉄→四条駅もしくは烏丸御池駅
山鉾巡行中は駅の出入り口が混雑により制限されます。
【阪急電車公式サイト】祇園祭期間中に制限される駅出入口
※渋滞・通行止め・駐車場不足により、クルマでの訪問は全く非現実的です。
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