美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

今年も大阪クラシックがやってくる_都心のオフィスビルで 9/8から

2019年08月26日 | 体験・イベント

大阪都心のオフィスビルを会場に行われる「大阪クラシック」は、大阪の初秋の音楽フェスティバルとしてすっかり定着しています。レトロで趣のあるオフィスビルが会場になっていることも多く、クラシックのハーモニーがとても空間と調和します。

  • 毎日10本以上の公演が行われており、立ち寄りついでに美しいハーモニーを楽しめる
  • 全体の7割が無料公演、大阪フィルを筆頭に5楽団のメンバーがフル回転の活躍
  • 用がないと普段は入れないレトロなオフィスビルの内部空間を楽しめることも人気の要因
  • 多彩な楽曲を聞き比べることで自分の好みがわかる、クラシック初心者には特におすすめ


音楽や芝居は音と体の動きで美しさを伝える芸術であり、「生」と「映像」ではやはり格段の差があります。大阪クラシックを体験した後は、音楽ホールで本格的にクラシック音楽を鑑賞してみたくなること間違いなしです。



メイン会場:大阪市中央公会堂

大阪クラシックは、関西で最も長い歴史を持つオーケストラ・大阪フィルハーモニー交響楽団(通称:大フィル)の音楽監督だった大植英次(おおうええいじ)のプロデュースにより、2006年から始まりました。14回目を迎える今年2019年も、音楽監督は退任したものの引き続き大フィルの桂冠指揮者として活躍している大植英次が、フェスティバルをプロデュースしています。

81もある公演は大フィルを中心に、関西フィルハーモニー管弦楽団/大阪交響楽団/日本センチュリー交響楽団/Osaka Shion Wind Orchestraの5つの交響楽団/吹奏楽団の楽団員が分担して行っています。数が多いので結構大変だと思いますが、楽団員の皆さんはこれをきっかけにクラシック音楽に関心を持ってもらえるよう、一生懸命頑張っています。



中之島周辺は特に会場が多い

公演時間は無料公演で30分、有料公演はフィナーレを除き45分、公演スタート時間は主に11:00頃から19:00頃までに設定されており、空き時間に気軽に楽しむことができます。また有料公演もほとんどが料金1,000円と、とてもリーズナブルです。チケットぴあとローソンチケットでは全有料公演の取り扱いがあり、ネット予約もできます。

公演数が最も多くかつ最も人気のある会場・大阪市中央公会堂はすべて有料公演です。1918(大正7年)竣工の重要文化財建築の室内空間は、欧州のコンサートホールを思わせる重厚で華麗な装飾に包まれています。有料と言ってもほとんどの公演が1,000円です。きわめてリーズナブルに至極の時間を過ごすことができます。



中之島ダイビルで演奏を待つ人たち

オフィスビルを中心とした無料会場で鑑賞すると、さほど大きくない空間に生演奏のハーモニーが響き渡ることに驚かされます。演奏者との距離が近いこともあり、楽器が出す音は特に大きく聞こえます。とはいえ澄み切った音色はやはり格別です。

人気の会場は入場制限がかかることが多いようです。公式サイトの公演スケジュールでは「混雑予想公演」が明示されています。混雑予想が明示されている人気の無料公演会場は、以下のような傾向が見受けられます。

  • 「大阪市役所正面玄関ロビー」「三井住友銀行大阪本店ビル」「大阪ガスビル」など重厚な建築
  • 「リーガロイヤルホテルのチャペル」「うめだ阪急9F祝祭広場」など華やかな空間
  • 公演スタート時間が17:00以降




お寺も会場になります(北御堂)

今年2019年は来年2020年に生誕250周年を迎えるベートーヴェンの曲を積極的に採用しているようです。まもなくスタートします。今年はどこに行こうか、今から楽しみです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



大阪クラシックの会場になっているモダン建築もあります

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<大阪市>
大植英次プロデュース
大阪クラシック2019
街にあふれる音楽
【主催者によるイベント公式サイト】

主催:大阪クラシック実行委員会 <構成:大阪市/(公社)大阪フィルハーモニー協会/
   (一社)御堂筋まちづくりネットワーク/(株)ジェイコムウエスト>
会場:大阪市中心部32カ所
会期:2019年9月8日(日)〜9月14日(土) 全81公演
原則休演日:会期中なし

【公式サイト】 公演スケジュール
【公式サイト】 会場地図
【公式サイト】 有料公演情報


※全81公演中、22公演は有料です。招待者以外は入場できない公演もあります。
※有料公演は前売りチケット購入を推奨します、当日券は残席がある場合のみ発売されます。
※有料公演には未就学児童が入場できない公演もあります。
※無料公演会場での、会場内の事前場所取り、入場開始時間前の会場入口への行列は禁止されています。
※無料公演会場で収容人数を超えた場合は入場できません。
※無料公演は多くが立ち見になります。椅子の使用などは係員の指示に従ってください。
※公演中は、写真撮影など鑑賞以外の行為は禁止されています。


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古都の夜を幻想的に演出する光の芸術_なら瑠璃絵 2/8から

2019年01月24日 | 体験・イベント

奈良の夜が幻想的な瑠璃色の光のオブジェに包まれるイベント「なら瑠璃絵(るりえ)」がまもなく始まります。夏にろうそくを灯す「なら燈花会(とうかえ)」と並んですっかり奈良の夜の点灯イベントとして定着しています。

  • 1,300年の古都の夜の街並みに、瑠璃色の光はとてもよく調和
  • ライトアップされた国宝建造物は、日中よりも細部が鮮明に見える
  • 石灯篭が点灯された春日大社の参道を歩くと、まるで神々の世界へ向かっていくよう
  • 寺社・博物館の夜間開館や夜神楽・獅子舞など、イベントメニューも充実


夜の点灯イベントは全国に数多くありますが、世界遺産にもなっている歴史的建造物と合わせて楽しめることが「なら瑠璃絵」の最大の魅力です。空気が澄んでいる冬だけに、写真写りもよくなります。寒空を歩く価値は充分にあります。


奈良春日野国際フォーラム前の浮雲園地の光オブジェ

なら瑠璃絵は2010年から始まり、2019年で10周年を迎えます。10年早く始まったろうそくの点灯イベント・なら燈花会が、夏の観光閑散期の集客に大きく貢献していました。冬のなら瑠璃絵も、夏のなら燈花会の成功が開催を後押ししたのでしょう。

奈良公園周辺の著名施設がすべてイベントに協力していることが、夜間に回遊するにあたって大きな魅力になっています。興福寺・奈良国立博物館・春日大社・奈良春日野国際フォーラム・東大寺と著名施設はすべて協力しています。


東大寺・南大門の仁王像

寺社は国宝建造物のライトアップが魅力です。夜空に浮かび上がる姿は、日中には見ることができない厳粛な表情を見せ、日中は日陰で見えにくいようなところもかえって見やすくなります。鮮明に見える東大寺・南大門の仁王像はびっくりするくらいに迫力を感じます。

東大寺大仏殿では大仏正面上部の観相窓(かんそうまど)が開けられ、大仏様のお顔を外から見ることができます。大仏様のお顔は黄金色に輝いたように見え、秘仏を遠くから拝んでいるようで、こちらもとても厳粛です。他に観相窓が開けられる機会は、正月の元旦の日お盆の万灯供養会(まんとうくようえ)の2回しかありません。

春日大社の回廊の釣燈籠と参道の石燈篭はあわせて約3,000基あり、日本一の多さです。点灯するだけでもかなり大変な作業でしょう。点灯されるのは他に、直前に行われた節分万灯篭と、お盆の中元万灯篭の2回だけです。徒歩15分ほど延々と続く灯篭の灯りの連続は、日本一にふさわしい厳粛さを感じさせます。春日大社が最も美しい表情を見せる瞬間でもあります。


冬七夕ロード

なら瑠璃絵の会場の中でも奈良春日野国際フォーラム周辺が最も華やぎます。広大な芝生に設置されたたくさんの光のオブジェクトを楽しむことができます。フォーラム裏では、若草山のふもとの庭園をフルに使って七夕のように光り輝く道が造られており、回遊することができます。道の先には七夕ツリーがあり、購入した短冊をかけることができます。


瑠璃絵マーケット

フォーラム前の広場では、温かいフードやドリンクの屋台が並んでいます。寒空を歩いてきた人のほとんどが、ここで”熱充電”していきます。吉野本葛入り「しあわせココア」のブースもあります。

【なら瑠璃絵公式サイトの画像】 夜参り提灯

提灯を持ちながらナビゲーターに会場を案内してもらう「夜参り提灯」も人気です。奈良春日野国際フォーラムと興福寺に受付があります。なんと無料です。

【なら瑠璃絵公式サイトの画像】 夜神楽

夜神楽などほとんどのイベントは会期中毎日行われています。日時はイベントごとに異なりますので公式サイトでご確認ください。


早桜?梅? どちらにしろこんなに輝いて見えます

奈良の冬の夜の空気はとても澄んでいて、瑠璃色の光が本当に美しく見えます。しかも博物館などの入館料を除いて、光のオブジェの見物はすべて無料です。記憶に残る体験ができる一週間がまもなくです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



JR東海のキャンペーンを通じて奈良の魅力を再確認

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なら瑠璃絵
【公式サイト】http://rurie.jp

主催:なら瑠璃絵実行委員会
会場:興福寺・奈良国立博物館・春日大社・奈良春日野国際フォーラム・東大寺
会期:2019年2月8日(金)~14日(木)
休日:会期中無休
点灯時間:18:00~21:00

※イベントの実施日時はそれぞれ異なります。公式サイトでご確認ください。
※見物に条件はありません。いつでも無料で見物できます。
※小雨決行、荒天中止です。
※三脚/自撮り棒は使用禁止です。



◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩で
興福寺5分、奈良国立博物館15分、春日大社25分、奈良春日野国際フォーラム20分、東大寺20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:近鉄奈良駅まで60分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内

※このイベントのための駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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恵文社 ~京都・一乗寺でカルチャーを味わえる異色の本屋

2018年08月28日 | 体験・イベント

京都の一乗寺(いちじょうじ)は、京都の北東(地図の右上)にある学生が多く住む静かな街です。比叡山の麓にあたる山裾には、曼殊院や詩仙堂など皇族や文化人が静かに人生を楽しんだ寺や屋敷も少なくありません。京都の魅力が凝縮された「はしっこ」を代表するエリアの一つです。

現在は京都ラーメンの聖地で全国有数のラーメン屋の激戦区としても知られていますが、そんなエリアの中に異彩を放つ本屋があります。恵文社(けいぶんしゃ)です。

公式サイトのトップページには「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」と自己紹介しています。本や雑貨が一緒にテーマに沿って並べられています。今ではTSUTAYAグループが運営する蔦谷書店が近いビジネスモデルを採用していますが、恵文社は日本でも相当に早くこのスタイルを採用した本屋ではないでしょうか。

京都の一乗寺という京都カルチャーをけん引するエリアにとても溶け込んでいる本屋です。「こんなのがあるのか!」、行けば何がしかの発見ができるセレクトショップです。



恵文社は1975年に現地で開店し、当初から流行に敏感そうな学生アルバイトにお店作りを任せるなど、かなり異色の商法をとっていました。一乗寺近辺には京大・同志社など大規模総合大学や京都工芸繊維大学・京都精華大学・京都造形芸術大学といった芸術系など、多くの大学があります。学生や研究者たち住んだり集まったりしやすい立地です。そんな土地柄だからこそ異色の商法が受容されたのでしょう。

2006年ごろから本格的に雑貨や文具など書籍以外の商品の販売も始め、ギャラリーやイベントスペースも作りました。目当ての本を買いに本屋に行くという既存概念を超えて、新しいカルチャーを求める人々が集いやすい空間づくりに努めてきたのです。

お店に並ぶ書籍や雑貨はほとんど、スタッフが選りすぐって発注したものです。服飾雑貨のセレクトショップでは当たり前かもしれませんが、書籍の場合はそう簡単ではありません。日本では大手の取次会社(書籍の卸)が売れ行きを勘案して書店に配本するシステムが確立しているため、販売実績のない書店側から自由に注文を出すことは容易ではありません。

恵文社の場合、こうした出版業界の流通システムの中で大きな信用があると言えます。だからこそカルチャーに敏感なバイヤーのお眼鏡にかなった書籍をスムーズに仕入れることができるのです。この”セレクト感”は、お店に行けば明らかに通常の本屋と異なることを感じます。

まず本や雑貨がエッジの利いたテーマ別に並べられています。特定の芸術家や特定の料理レシピなど新しいカルチャーとして斬新で面白いとバイヤーが感じたものであれば、テーマとしては”何でもあり”です。既存の書店や図書館にあるような大まかなジャンルや出版社別ではこのお店では本は探せません。

「何かいいものないかな」と探すにはうってつけの売り場構成になっています。本を探すのではなく、カルチャーを楽しむために行くお店です。気が付くと2-3時間経っていた、ということも起こりえます。

お店のスタッフによる公式ブログで毎月、本の売上ランキングが公開されています。どんなカルチャーに注目が集まっているのか、ランキングを見ているだけでも楽しくなります。おすすめ商品を選んだ話もとても丁寧に解説されています。とても上手なPRメディアになっています。

【公式サイト スタッフブログ】 2018年7月書店売上ランキング

2015年に恵文社・一乗寺店の名物店長が独立し、河原町丸太町に誠光社(せいこうしゃ)をオープンしました。店長一人が目の届く範囲でセレクトした書籍を提案するコンパクトな本屋です。恵文社とは異なる個性が楽しめます。

【公式サイト】 誠光社

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



京都カルチャーを代表する恵文社が届ける京都の今の魅力


恵文社 一乗寺店
【公式サイト】http://www.keibunsha-store.com/

原則休館日:1/1
入館(拝観)受付時間:10:00~21:00



おすすめ交通機関:
京都市バス「高野」下車徒歩5分、もしくは「一乗寺下り松」下車徒歩7分
叡山電鉄「一乗寺」駅下車、徒歩3分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
京都駅→地下鉄烏丸線→北大路駅→市バス204/206/北8系統→高野

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には無料の駐車場があります。


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兵庫県・城崎温泉「外湯めぐり」~街全体が非日常体験

2018年08月20日 | 体験・イベント

城崎(きのさき)温泉は、兵庫県の日本海側にある日本でも有数の温泉観光地です。明治時代を彷彿とさせるような街並みを、浴衣と下駄で外湯(そとゆ、共同浴場)巡りをするととてもワクワクします。飲食店や土産物店も多様なジャンルの店が揃っています。

新幹線・空港・高速道路といった交通インフラが必ずしも充実しているわけではありません。しかしいにしえの日本の街並みを体験できるスポットとして、日本人だけでなく外国人にも大変人気です。飛騨高山と同じです。


温泉旅館が駅前でそれぞれの下駄を飾っている

城崎温泉は奈良時代の初めには温泉が利用されていたとする伝承がある、日本有数の歴史を持つ温泉です。717(養老元)年からに創業した城崎最古の旅館「千年の湯古まん」は、718(養老2)年創業の福井県・芦原温泉「法師」、705(慶雲2)年創業の山梨県・西山温泉「慶雲館」と並んで、現在も営業している世界最古の宿泊施設として知られています。1300年前です。

庶民でも旅行にでかけるようになった江戸時代にはすでに数多くの湯治客で賑わうようになっていました。湯治による医療的な効果に加えて、海の幸・山の幸双方に充実が人気を呼んでいました。


駅前から温泉街へ延びるメインストリート

現在でも城崎温泉の人気の秘訣になっている「外湯めぐり」は、江戸時代までは日本の温泉のほとんどで普通のシステムでした。温泉の掘削。輸送技術がなく、自然に湧き出しているところにしか浴場を設けることができなかっためです。

明治以降は掘削するボーリングや輸送するパイプライン技術が発達し、旅館の中に設けて宿泊客しか入れない内湯(うちゆ)が日本の温泉街では一般的になっていきます。外出しないで入浴できることが贅沢だったのです。内湯が喜ばれる価値観は昭和の終わりごろまで優勢でした。個人住宅に家風呂がほぼいきわたり、日常の入浴に街の銭湯が使われなくなった時代と重なります。

城崎温泉でも昭和の戦前に、伝統に反して「内湯」を認めるかで長い論争が続きましたが、「各旅館の内湯設置は認めるが規模を制限する」ことで決着しました。日本人は昔から大きな湯船を好みます。大きな湯船に入りたい客は従来通り外湯に通うことになり、結果的に現在の城崎の人気の秘訣を保ちました。


地蔵湯

城崎には現在、外湯は七か所あります。駅前の「さとの湯」を除いて、温泉街の中心を流れる大谿川(おおたにがわ)沿いの1kmほどの範囲に6か所が点在しており、旅館を出て散策しながら外湯巡りをするには、湯冷めもせずちょうどよい距離になっています。

「地蔵湯」は主に地元の人に愛されてきました。「一の湯」は街の中心にあり歌舞伎座のような建物で、城崎の外湯の代表格です。「まんだら湯」は城崎最古の浴場です。

外湯は温泉街旅館の宿泊客は無料ですが、一般客は有料です。一日入り放題の「外湯めぐり券」もあります。

【公式サイト】 城崎外湯めぐり


川沿いの柳が実に優雅

大谿川の両岸は、旅館に加えて飲食店や土産物店が立ち並び、温泉街の中心です。写真撮影したのは午前中で、浴衣で散策する宿泊客は少なかったですが、午後からはとても賑やかになるようです。

【公式サイト】 お宿のゆかた大集合

各旅館とも外湯めぐりをコーディネートする浴衣のデザインにはしのぎを削っています。下駄で歩く”カランコロン”の音も実にリズミカルで優雅に聞こえます。日本人にとっては柳の並木道はほぼ見かけなくなっため、明治時代にタイムスリップしたような気分にさせてくれます。外国人にとってはパジャマでもある浴衣で街歩きをすること自体がとても斬新でしょう。こうした非日常体験は世界共通で楽しいのです。



秋になると城崎グルメの主役、カニの季節が近づいてきます。城崎が最も賑わうのは冬です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



中条あやみ、冬の温泉で整う、現代の湯治


城崎温泉 外湯めぐり
【城崎温泉観光協会サイト】http://www.kinosaki-spa.gr.jp/
※外湯によって休館日と入館受付時間は異なります。

一の湯
原則休館日:水曜日
入館(拝観)受付時間:7:00~23:00

地蔵湯
原則休館日:金曜日
入館(拝観)受付時間:7:00~23:00



おすすめ交通機関:
JR山陰線「城崎温泉」駅下車、一の湯まで徒歩10分
JR大阪駅から在来線特急電車を利用した所要時間の目安:2時間50分
JR京都駅から在来線特急電車を利用した所要時間の目安:2時間30分

【公式サイト】 アクセス案内

※特急電車は本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることをおすすめします。


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夏の高校野球100回 ~甲子園で100年も国民的行事が続いた

2018年08月07日 | 体験・イベント

夏の高校野球が100回目という偉大な節目を迎えました。全国レベルで行われる野球の競技大会としては大学・社会人・プロよりも早く、第1回が行われたのは1915(大正4)年です。大正時代から昭和初期にかけて、多くの種目で全国レベルの競技大会が始まっていますが、夏の高校野球は何といっても「国民的行事」として最大の人気です。

開会式の入場行進のスタート地点となるライト側のゲートには、大会の回数の数字が大きく掲げられます。今回は数字が3桁になったこともあり、ひときわ大きく輝いて見えました。2018年の夏の甲子園も、とびきりの青空の下で始まりました。



1915(大正4)年は、明治維新から半世紀ほどひたすら走り続けてきた日本という国家が、束の間の幸福を感じられた時代でした。日露戦争の勝利と不平等条約の改正で一等国への仲間入りを果たしたという国民の自負感に加え、第一次大戦特需による空前の好景気が生活に余裕をもたらし、新しい娯楽や文化が軒並み人気を博すようになりました。

スポーツ娯楽としての野球の人気は大学から火が付きました。1903(明治36)年には早慶戦が始まり、応援の過熱で対戦がしばらく中断するほどでした。東京六大学のリーグ戦は1925(大正14)年に始まり、1927(昭和2)年からはラジオの実況中継も行われました。1936(昭和11)年からはプロ野球のリーグ戦も始まり、野球は戦前にすでに大衆の娯楽としてすっかり定着します。



第1回の夏の高校野球は、東京での学生野球の人気の高まりに目を付けた大阪朝日新聞が企画しました。甲子園球場ではなく、現在の阪急電鉄が1913(大正2)年に建設していた大阪・豊中グラウンドで行われました。豊中グラウンドは開通したばかりの現在の阪急宝塚線の集客のために建設され、当時最新の設備を誇りましたが、あまりの人気に観客をさばききれないようになります。

1917(大正6)年の第3回大会からは阪神電鉄が1916(大正5)年建設した鳴尾球場に会場を移します。しかしこの鳴尾球場でも観客をさばききれなくなります。夏の高校野球の円滑な開催を目的に1924(大正13)年に観客5万人を収容できる現在の甲子園球場が建設されます。プロ野球が行われる前からこれだけの規模の球場建設に踏み切ったことからは、いかに当時の高校野球人気が物凄かったがうかがえます。



最寄りの阪神電車・甲子園駅を降り、国道43号線の高架をくぐると美しい緑のツタに囲まれた球場が目に飛び込んできます。日本ではドーム球場が多くなったこともあり、球場を訪れてもビルの中に入るような感覚しか持てなくなっています。甲子園の緑のツタの壁は、全国から応援に来て甲子園を始めてみる人に対し、「これぞ聖地」と思わせるような強烈な第一印象を与えることでしょう。

日本の野球場もデザイン面には配慮をお願いしたいところです。球場のデザインだけでワクワク感を高められるのは、現在は甲子園と広島のMazda Zoom-Zoom スタジアムくらいと思います。今後予定されている北海道日本ハムの北広島の新球場と、神宮球場の移転建替には大いに期待したいところです。



甲子園球場は、グラウンドは内野が土、外野は天然芝、観客席の屋根は内野席にしかありません。MLBの本拠地球場に多く見られる古典的な野球場のスタイルです。真夏の昼間に開催される高校野球では熱中症が心配されますが、そこは甲子園名物「かち割氷」がサポートしてくれます。

砕いた氷をビニール袋に入れただけのきわめてシンプルなものですが、これが実に味があります。購入して15分ほど放置すると氷が溶けて絶妙な温度の氷水になります。ナイターの球場ではやはりビールですが、カンカン照りの昼間の観戦にはかち割氷が最高のお伴です。このストイックなまでの感覚は、実際に甲子園で酷暑の昼間に観戦しないとわからないと思います。



第100回の記念大会ということで期間中毎日、ゆかりのある出場球児による始球式が行われます。初日は松井秀喜氏でした。くしくもくじ引きで開会式直後の第一試合に後攻で、母校の石川県・星稜高校が登場します。伝統の黄色のユニフォームの先発投手を横にして、大先輩としてとても緊張したようです。

日本のプロ野球とMLBで偉大な足跡をのこしたスーパースターが投じた一球は、ワンバウンドで明らかにストライクではありませんでした。「甲子園には魔物が棲んでいる」と始球式後のインタビューで語った氏のコメントが実に印象的でした。



甲子園球場の外野レフトスタンド外周の1Fには、高校野球と阪神タイガースの歴史を綴った博物館・甲子園歴史館があります。日本人の心をとらえた100年の野球の歴史が凝縮されています。

【公式サイト】甲子園歴史館

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



記憶に残る名勝負が一冊に凝縮


第100回 夏の甲子園(全国高等学校野球選手権記念大会)
【大会公式サイト】http://www.jhbf.or.jp/sensyuken/2018/
【主催メディアによる大会公式サイト】https://www.asahi.com/sports/koshien/

主催:日本高等学校野球連盟、朝日新聞社
会期:2018年8月5日~21日(準々決勝翌日休養日1日含む、雨天中止は翌日順延)
原則休催日:準々決勝翌日休養日(雨天中止翌日順延)

阪神甲子園球場
【公式サイト】http://www.hanshin.co.jp/koshien/



おすすめ交通機関:
阪神電車「甲子園」駅下車、徒歩2分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
JR大阪駅(梅田駅)→阪神電車→甲子園駅
【公式サイト】 アクセス案内

※JR甲子園口駅からは徒歩30分以上要します。
※この施設には駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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京都・下鴨神社「古本まつり」 ~京都の夏は古本で楽しめます

2018年07月25日 | 体験・イベント

京都三大古本市の一つ「下鴨納涼古本まつり」が、まもなく8月11日から始まります。古本好きの京都では春の岡崎・みやこメッセ、秋の百万遍知恩寺の各古本まつりとともに、とてもよく知られたイベントです。今年の開催が31回目になることからも人気の高さがわかります。

京都のみならず関西一円の古書店40店ほどが軒を並べ、80万冊ほどが出品されます。真夏の野外開催ですが、会場の下鴨神社の糺の森は鬱蒼とした緑に覆われていることもあり、日陰はたくさんあります。

古本ファンなら一日かけても廻りきれません。掘り出し物を探すのに夢中になります。


糺の森は、こんなに大きな森です。

鬱蒼とした糺の森は木陰が多く、そよ風も通ることから街中より気温が2-3度低いと感じます。日除けと雨対策にテントをはっている店もたくさんあります。炎天下で本を探すようなことは、案外多くありません。

会場は朝からたくさんの人出でにぎわいます。慣れたお客さんも多いようで、帽子・タオル・団扇・飲み物と言った真夏グッズを多くの人が用意しています。

京都という土地柄、日本美術・仏教・京都の歴史を筆頭に、昔の絵ハガキ・古地図・江戸時代の本が充実しています。大学が多いことから学術書も多く、意外なところでは児童書・漫画・映画もたくさんあります。新書・文庫本のほか、単行本3冊500円のようなお買い得パックもほとんどの店が用意しています。

宅配便発送コーナーもあり、たくさん買い込んだ時には助かるサービスです。かき氷やジュースなどの喫茶軽食コーナーもあります。支払いは、春の古本まつりとは異なり各店で行います。クレジットカードが使えるお店はほとんどありません。

ほぼ同時期に行われる東京ビッグサイトの夏コミ(コミックマーケット)とは、規模は比べようもありませんが、夏のコミケよりも圧倒的にゆったりと掘り出し物を探すことができます。とても京都らしい古本市です。


チラシ
画像出典:古本まつり公式サイト(京都古書研究会ブログ)

主催者の「京都古書研究会」は京都の古書店経営者の有志が集まった団体です。春秋の古本まつりも主催しています。京都には東京・神田のような集積した古書店街はありませんが、中心繁華街の河原町三条や岡崎、百万遍に比較的お店が集まっています。各お店もぜひのぞいてみてください。

【京都府古書籍商業協同組合サイト】 京都古書店案内図

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



柏井壽のスマートな四季の京都案内、夏編


下鴨納涼古本まつり
【主催者によるイベントサイト】http://koshoken.seesaa.net/category/8767184-1.html

主催:京都古書研究会
会場:下鴨神社 糺の森
会期:2018年8月11日(土)~16日(木)
営業時間:10:00~17:30(最終16日~16:00)
※野外開催です。雨天中止になる場合があります。



おすすめ交通機関:
市バス「新葵橋」「糺の森」下車徒歩3分、京阪・叡電「出町柳」駅下車徒歩8分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅烏丸口A2バスのりば→市バス4/205系統→新葵橋もしくは糺の森バス停
【公式サイト】 アクセス案内
※会場には駐車場はありません。


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大阪・天保山・渡し船 ~無料で風情を楽しむ3分間クルーズ

2018年07月05日 | 体験・イベント

川や海峡の両岸を結ぶ渡し船(わたしぶね、とせん)は、橋を利用するのが当たり前の現代ではかえって新鮮味があります。地域住民の生活の足として今も全国で数多く運行されており、大阪市では8本もの航路が現役です。

巨大水族館の海遊館のある天保山(てんぽうざん)とUSJのある桜島(さくらじま)を結ぶ「天保山の渡し」は、両岸に著名観光スポットがあることから観光客の利用が増えています。ほぼ水面の高さから見る天保山の観覧車やUSJのアトラクションは実にすがすがしい眺めです。

大阪市営で「橋の代わり」という建前で運行されているため無料です。わずか3分ほどのクルーズですが、とても風情を感じる3分間を過ごせます。


桜島側乗り場、正面の橋は阪神高速・天保山大橋

大阪市の中でも海沿いに位置する港区や大正区は、大きな川に囲まれており、大型船が頻繁に航行します。そのため日常生活に便利な低い橋を架けられず、無料の渡し船が8航路も運行されています。バイクとクルマはNGですが、自転車はOKです。

航路の性格上、近隣の住民や通勤・通学者以外にはほとんど知られていません。そんな中でも天保山の航路は、著名な観光地が近いこともあり、観光客の利用が増えています。自転車で街ブラを楽しんでいる人やUSJのスタッフと思われる外国人の利用が目立ちます。



航路となっている大きな水路は安治川の河口です。安治川は大阪の都心部を流れ、蔵屋敷が立ち並んでいた堂島川・土佐堀川と海を直線でつなぐために、江戸時代に大きく開削された川です。江戸時代から現代まで大型船の航行があり、乗り場の真上を横切る阪神高速道路の天保山大橋は水面からの高さが52mもあります。


天保山の観覧車と海遊館(右端の建物)

高速道路の巨大な橋、巨大な観覧車、USJと現代の人工建造物が青空に綺麗に映える姿を、水面の高さから眺めることができます。夜間にはもっと美しい光のアートを見せてくれるでしょう。これがこの渡し船の最大の魅力です。窓がなく、直接風を感じることができる旅はとても爽快です。しかも海の上です。海遊館やUSJの建物に徐々に近づいて大きく見えるようになると、とてもワクワクします。



船の中は大きな土間のようになっており、歩行者と自転車が自由に乗り込んでいます。揺れはほとんど感じません。あまりに水面が近いため少し波がある時に壁に手をついて海を眺めていると水しぶきがかかるかもしれません。それほど水面との距離が近いことも魅力の一つです。

天保山の渡しとほぼ同じ航路を民営の「キャプテンライン」という会社が10分の船旅で結んでいます。こちらの乗り場は海遊館とUSJにより近いので便利ですが、運賃が700円で1時間に1~2本の運行です。

【公式サイト】 キャプテンライン

天保山の渡しの乗り場は、海遊館から徒歩10分、USJ入口からは徒歩25分ほどかかります。USJ入口に行くにはJRゆめ咲線を1駅だけ利用した方がよいかもしれません。地域住民にしろ観光客にしろ自転車の人が目立つのも、徒歩での距離を考えているのでしょう。

快適さでは「キャプテンライン」、風情を求めるなら、自転車の旅なら「天保山の渡し」です。どちらの旅も水辺が魅力の大阪の街を楽しめます。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



水辺を楽しめる空間に変えるにはどうすればよいか?


天保山渡船場(利用案内と運行ダイヤ)
【大阪市公式サイト】http://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000011249.html

運行時間:6:30~21:30、毎時00,30分に天保山を出発し、桜島到着後すぐ折り返し運行(朝夕ラッシュ時は増発)
運賃:無料
※運航ダイヤは天候に左右される場合があります。

おすすめ交通機関:
◆天保山側乗り場
大阪メトロ「大阪港」駅下車、2番出口から徒歩10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→本町駅→大阪メトロ中央線→大阪港駅
◆桜島側乗り場
JRゆめ咲線「桜島駅」下車、徒歩10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
大阪駅→JR大阪環状線→西九条駅→JRゆめ咲線→桜島駅
※両施設に駐車場はありません。


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阪九フェリー 泉大津→新門司 ~みなさん、船に乗りましょう。

2018年06月29日 | 体験・イベント

関西と四国・九州の間は、高速道路網が充実した現在でも多数のフェリーが運航されています。中でも関西~九州は所要時間が夜行便にちょうどあてはまるため、高速バスの代わりに利用する人も少なくありません。

運賃は夜行バス並みに安く、浴場やキッズルームなど船内施設も充実しています。海上から見る朝日は言葉が出ないほど美しく、食事もレストランでゆったり取れます。また新しい船は、ほとんど揺れを感じない造りになっています。

3年前に就航したばかりのまだ新しい船で九州に出かけました。とても快適で、夜行バスより断然おすすめです。


明石海峡大橋を夕方に通過

長距離フェリーは高速道路網の充実で利用者を徐々に減らしていましたが、近年はトラック運転手の人手不足や環境への負荷が低いことにより、利用者は増加傾向になっています。そのため、多くのフェリー会社が新造船を投入しており、利用者の確保に積極的になっています。

乗船した阪九(はんきゅう)フェリーは、2015年に新造船を大阪府南部の泉大津市の泉大津(いずみおおつ)港と北九州市門司区の新門司(しんもじ)港を結ぶ航路に投入しています。

フェリーの一番安い運賃は大広間に雑魚寝というイメージがありますが、新造船ではカプセルホテルのような区画が多く造られており、横で寝ている人が気になることはありません。雑魚寝に比べてはるかに快適です。

【公式サイトの客室写真】 スタンダード・洋室
【公式サイトの客室写真】 スタンダード・和室

今年2018年の7月中の運賃は、インターネット予約による20%割引を適用すると税込みで、カプセルタイプの「スタンダード・洋室」が6,000円、大広間タイプの「スタンダード・和室」が5,264円とさほど気にならない価格差です。夜行バスと変わらないことも実感できる価格です。

【公式サイトの写真】 レストラン(いずみ)

レストランは、夕食は出港時刻の17:30から、朝食は入港1時間前の5:00から営業しています。ファミレスのように豊富なメニューからカフェテリア方式で好きなものを選びます。ドライバーであっても朝まで運転しないので、アルコールを楽しめます。味やスタッフのサービスもよくできています。飛行機の機内食もそうですが、近年の乗り物の食事は20世紀の頃と比べると格段によくなっています。

無料の大浴場も利用できます。乗り物では船でしか味わえない旅の楽しみが「風呂」です。露天風呂まであります。春や夏は風呂上りに屋上デッキにあがって涼んでいると、本当に幸せな気分になれます。


屋上デッキ

関西と北部九州を結ぶ航路は瀬戸内海を通りますので、新門司港到着前の山口県沖の周防灘を除いて陸地の夜景がほとんどのところで見えます。夜景が見えるくらいの距離なので携帯電話の電波もおおむね届きます。現在どこを航行しているかは船内のモニターで確認できます。

明石海峡大橋は出港約1時間後の18:30頃、瀬戸大橋は22:00頃、しまなみ海道の来島海峡大橋は0:00頃に通過します。下から眺める巨大な橋の姿はインスタ映え間違いなしです。

夜行フェリーの旅は、乗り物の楽しさを味わえます。新幹線や夜行バスのように便利さだけを追求した旅とは真逆の価値を味わえます。みなさん、船に乗りましょう。



日本にはこんなに面白いフェリーがある


阪九フェリー
https://www.han9f.co.jp/
泉大津~新門司、神戸~新門司 毎日1往復ずつ運航(2015年就航の新造船は泉大津航路のみ)

おすすめ交通機関:
◆泉大津港
南海本線「泉大津」駅下車、西口から無料送迎バスに乗車
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:60分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→難波駅→南海本線→泉大津駅→無料送迎バス→泉大津港
車の場合:阪神高速「泉大津」出口から2km
◆新門司港
JR小倉駅北口から無料送迎バスに乗車
JR小倉駅から無料送迎バスを利用した平常時の所要時間の目安:35分
車の場合:九州道上り線「新門司」ICから3km、下り線「門司」ICから5km
※無料送迎バスは泉大津港・新門司港とも下船時にも運航されます。
【公式サイトのアクセス案内】泉大津港、新門司港


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早朝にも奈良公園へ行こう ~奈良の悠久の空間を味わえるのは朝

2018年06月21日 | 体験・イベント

夜の奈良を楽しんだら、早朝にも奈良公園へ行きましょう。早朝の奈良は空気が凛としていてとても新鮮です。東の若草山から差し込む朝日は仏様の後光のように輝いています。興福寺や東大寺では、1300年前と同じであろうと思わせる悠久の朝の空間を体験できます。

宿泊客が、早朝の奈良の街を散策する姿をよく見かけるようになりました。早朝に寺社を拝観するツアーも増えてきました。ぜひ宿泊して早朝の奈良を楽しんでみてください。


若草山のふもと、朝日がとても綺麗

早朝に興福寺や東大寺の境内を散策すると、ほとんど人はおらず、目に入るのは鹿だけです。早朝の人がいない光景は、奈良に限らずとても斬新です。

自分の歩く足音しか聞こえない中で楽しむ街の風景は、とてもすがすがしく見えます。日中だと難しい、人が映らない写真も思う存分取れます。早朝は空気と光がきれいなので、写真の出来栄えも違います。こんな素晴らしい空間を独り占めできる体験は、夜にはできません。

24時間いつでもお参りできる興福寺の南円堂や東大寺の二月堂にもぜひお参りしてみてください。早朝の空間を体験して軽くなった心に、さらにその日一日の元気を注入してもらえます。東大寺の大仏殿・法華堂・戒壇堂は4月~10月は早朝7:30から拝観できます。大仏や天平の美仏たちもとてもすがすがしいお顔に見えます。


早朝の東大寺

奈良の「朝観光」を盛り上げるために、寺社の早朝特別拝観が、夏を中心に行われるようになってきました。こちらもツアー参加者だけで美仏のいらっしゃる空間を独り占めできます。かけがえのない時間を過ごすことができます。

【奈良県観光公式サイトのツアー案内】 新薬師寺 国宝の本堂で早朝特別拝観・通常非公開の香薬師堂特別公開
【奈良県観光公式サイトのツアー案内】 興福寺 僧侶のご案内で国宝館早朝特別拝観
【春日大社公式サイトのツアー案内】 神職が案内する朝のお参り


朝の鹿はみな、お食事に夢中

ホテルで朝食をとる前に1~2時間ほど散策する時間を設けるのが目安です。夜とは正反対の奈良のかけがえのない魅力を体験できます。鹿の写真も存分に撮れます。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



「くるみの木」店主・石村由起子の美しい言葉で奈良の魅力を表現


奈良市観光公式サイト「奈良の朝旅」
※奈良公園、興福寺と東大寺の有料拝観エリア以外の境内の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。


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夜の奈良公園に行こう ~建物の真の美しさは日中には見えない

2018年06月20日 | 体験・イベント

奈良の夜の散策を楽しむ人が増えています。興福寺などの歴史的建造物がライトアップされ、古(いにしえ)にタイムスリップしたような幻想的な夜景が広がります。まさに奈良でしか体験できません。

週末の奈良国立博物館の夜間開館もあり、奈良公園付近のお店の夜間営業も増えています。鹿も夜にもたくさんいます。古都を夜に楽しむ、今注目の観光スタイルです。



よく驚かれますが、奈良は宿泊者数が日本で二番目に少ない県です。個人宿泊客の取り込みに長年消極的だったことから宿泊施設が少なく、ほとんどの観光客が大阪や京都に宿泊するからです。そんな奈良もようやく個人宿泊客の取り込みに積極的になってきました。やはり外国人観光客の急増の影響が大きいでしょう。ホテルの新設も増えてきました。

そうした取り込み策の一つが「夜観光」であり、歴史的建造物の「ライトアップ」です。歴史的建造物のライトアップは世界中で行われるようになっています。

奈良県は建造物の国宝が日本一多いように、歴史的建造物の宝庫であることは誰もが疑いません。奈良を訪れる人の多くは、そうした建造物による味わい深い空間を求めています。

そんな味わい深い空間を夜に楽しむと、日中にはないメリットを享受できます。

  • 建物が下方向からライトアップされているため、日中のように影にならずよく見える
  • LEDの無色な光のため、建物の壁や木目の色が鮮明に見える
  • 漆黒の夜空のキャンバスに浮かび上がるので、インスタ映えする写真が撮れる(手振れ防止機能の充実したデジカメがおすすめ)



興福寺・五重塔

奈良公園付近では以下の建造物がライトアップされています。通年で日没~22:00までです。

  • 興福寺 五重塔:ライトアップの一番人気でいつも人が絶えない、昼間とは全く違った表情
  • 猿沢池:池沿いに置かれたベンチからの眺めが幻想的、興福寺五重塔も綺麗に見える
  • 春日大社 一の鳥居:興福寺付近の三条通から幻想的に見える、ここを通って奈良博へ行くのがおすすめ
  • 奈良国立博物館 なら仏像館:明治27年、宮廷建築家・片山東熊設計の重厚な石造り、重文
  • 奈良国立博物館 仏教美術資料研究センター:明治35年、和洋折衷デザインがエキゾチック、重文
  • 浮御堂:池に建つ六角形の建物、水面に映る姿が何ともインスタ映えする


なお7月中旬~9月末までのライトアッププロムナード期間中のみ、東大寺の大仏殿と南大門もライトアップされます。南大門の仁王像がとても鮮明に見えるためおすすめです。大仏殿はライトアップ中は立入不可。

【ライトアッププロムナード公式サイトの画像】 すべての建造物のライトアップ写真

奈良公園から電車で10分ほど足を延ばせば、より奈良らしい天平的なビジュアルが味わえます。いずれの建造物も昭和になってからの再建のため、天平時代の建物らしい赤い色が夜空に映えます。こちらも通年で日没~22:00までです。

  • 平城宮跡 第一次大極殿、朱雀門:近鉄電車からも見える、まさに奈良にいることを実感できる、ライトアップ中は建物内への立入不可
  • 薬師寺 西塔:ライトアップ中は境内立入不可、撮影スポットとして著名な大池からの若草山を借景にした眺めが見事



東大寺・二月堂から大仏殿越しに見る夕日

夜観光を楽しむ前にもう一つおすすめがあります。東大寺・二月堂から見る夕日です。二月堂は若草山の中腹にあり、奈良の街と生駒山の絶景が西側に広がります。大仏殿や法華堂のような有料拝観エリアは夜間立ち入りできませんが、二月堂の舞台には24時間いつでもあがることができます。

季節ごとの日没時間にあわせて登ってみてください。心が洗われます。心が軽くなります。奈良の魅力はこの悠久の大きな空にあることにも気づきます。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



著名な奈良ライター倉橋みどりが朝夕夜限定の奈良スポットを紹介


奈良市観光公式サイト「奈良の夜旅」
※奈良公園と平城宮跡の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。
※東大寺大仏殿と薬師寺境内、平城宮跡の第一次大極殿、朱雀門の建物内にはライトアップ中は立ち入りできません。

おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札口C出口から興福寺まで徒歩7分、東大寺まで徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:東大寺まで1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
【公式サイトのアクセス案内】
※この施設には有料駐車場があります。


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クアラルンプール・ペトロナスツインタワー ~マレーシアの豊かさの象徴

2018年05月26日 | 体験・イベント

クアラルンプール・レポート第3段をお届けします。マレーシアという国のランドマーク建造物といえば何といってもペトロナスツインタワーです。

展望デッキからはクアラルンプールの全体が見渡せ、この街が巨大都市であることを実感させます。タワーの下層部には巨大モール、スリアKLCCがあります。一日中いても飽きません。マレーシアの最新トレンドが存分に体験できます。



ペトロナスツインタワーは、世界有数の石油・天然ガス会社である国営のペトロナス社によって1998年に建設されました。高さ452mはツインのビルとしては現在も世界一で、クアラルンプールのどこからでも見えるまさにランドマークです。

遠くからはトウモロコシのような尖塔に見え、デザインにはどこか温かみがあります。一方近くから見ると金属の目立つ建物の表面がとても重厚な印象を与えます。この遠近のコントラストの違いも面白いので、ぜひ写真に撮って見比べてください。

地上370mの展望デッキは、東京スカイツリーの天望デッキ(低い方)より20m高いところにあります。一方フロアが東京スカイツリーに比べると圧倒的に小さいこともあり、自由入場ではなく見学ツアーに参加する必要があります。マレーシアを代表する観光スポットでもあり、いつも混雑しているようです。予定の建つ限りWeb事前予約を強くおすすめします。

欧米の著名美術館や日本の姫路城のように、近年は世界中から観光客が押し寄せるため、チケット購入と順番待ちで長時間の行列を余儀なくされることが珍しくありません。世界的にはWeb事前予約ができるところが多いですが、日本の観光施設はWeb事前予約ができないところが大勢です。

行列ほど無駄な時間はありません。クレジットカード払い非対応と並んで、観光客を“おもてなし”できていない代表例です。



展望デッキに上る前に、地上170mのスカイデッキに案内されます。ツインタワーをつなぐ空中回廊で、日本で外国人観光客に大人気の大阪の新梅田シティの空中庭園とほぼ同じ高さです。スカイデッキを歩くと壁がガラス張りで外がまる見えです。まるで空中を歩いているような錯覚に襲われます。

高いところが苦手な人はまず歩けないと思います。私もその一人で、スカイデッキの真ん中までいけませんでした。



展望デッキのフロアからは360度ビューが楽しめます。日中よりも夜の方が圧倒的にチケットの人気があるそうです。私は夜には訪れていませんが、日中でも夜景の美しさは充分に想像できます。

間近に見えるすぐ隣のツインタワーのてっぺんの尖塔が目を引きます。下層部に比べて意匠が繊細で、イスラムのデザインらしい幾何学的な美しさを感じさせます。



ツインタワーの下層部6フロアはスリアKLCCです。数あるクアラルンプールのモールの中でも高級な路線をとる印象を受けます。世界中のブランドが揃っており、日本勢も伊勢丹や紀伊国屋書店など目白押しで、外国にいるとは思えないほどです。

買物を楽しむ人は生活クラスが高いことを感じさせます。日本とは異なり高齢者はほとんど目立ちません。顔の表情は明るく、日本のように下を向いて歩いている人もほとんど見かけません。人口が増え、経済が成長するということは、とても大切なことだと実感させられます。


KLCC駅の熱気

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



グローバル・クリエイター高城剛が見たKL


ペトロナスツインタワー展望台(Petronas Twin Towers Skybridge & Observation Deck)
http://www.petronastwintowers.com.my/(公式サイト:英語)
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d317521-Reviews-Petronas_Twin_Towers-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html(トリップアドバイザー:日本語)
原則休館日:月曜日、ラマダン明け大祭・犠牲祭の各期間中
※自由見学ではなく、おおむね30分毎に出発するツアーに参加しなければ見学できません。
※チケットは当日購入もできますが、順番待ちや売り切れが多く、事前予約を強くおすすめします。

スリア KLCC(Suria Kuala Lumpur City Center)
https://www.suriaklcc.com.my/(公式サイト:英語)
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d456578-Reviews-Suria_KLCC_Mall-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html(トリップアドバイザー:日本語)
原則休館日:なし

おすすめ交通機関:LRT(Kelana Jaya Line)「KLCC駅」下車すぐ
公式サイトのアクセス案内


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京都・春の古本まつり ~新しい京都らしさの楽しみ方

2018年04月14日 | 体験・イベント


案内チラシ【画像出典】 即売会公式サイト

京都で毎年春恒例の全国でも最大級の古本市「春の古書大即売会」が岡崎のみやこめっせでまもなく行われます。京都を中心に近畿一円の古書店が参加し、のべ50万冊以上が並びます。即売会への参加費は無料で誰でも古本を買うことができます。

京都の古本まつりは春夏秋の3回開催されますが、春は会場が室内で雨の心配が不要なことも大きな魅力です。京都は大学が多く、研究者や学生により古本の流通が盛んです。

中でも日本の歴史や古典文化・美術・宗教ジャンルは特に充実しています。マンガや映画もたくさんあります。京都らしい本の品揃えがとても楽しい古本まつりです。

京都市民は蚤の市・フリマ・古本市といったリユース・マーケットが大好きです。毎月開催の東寺の弘法市北野の天神市などに代表されるように開催の多さでは日本有数の都市です。何が売られているか、見て歩くだけでワクワクすることもあり、近年は国内外の観光客の姿がかなり目立ちます。

確かに日本でも外国でも、市場を見て歩くのは実に楽しいものです。私も旅行や出張先で、ちょっとした時間を見つけて地元のスーパーマーケットによく行きます。

野菜・シーフード・惣菜売場は特に地方の個性が出ます。醤油など調味料売場も各地の銘展店の商品が並んでいてとても楽しいです。地方のスーパー巡りもおすすめです。

東京・神田で秋に行われる「神田古本まつり」が、おそらく日本最大の古本まつりとして知られているでしょう。こちらは100万冊以上が並びます。神田は、靖国通りに立ち並ぶ古書店の店頭の歩道沿いに、東西に細長く青空市が並びます。

私も何度も訪れていますが、青空市の部分だけで見ると肌感覚では京、都の春の古本まつり方が質量ともに充実している印象を受けます。神田の青空市の部分は売れやすい値下げ品が中心で、質的に優れたものは店内に多い印象です。

【京阪電車イベント案内ページの画像】 会場内の様子

京都は東京のように集積した古書店街はありません。各古書店が在庫を店から古本まつり会場に運んで並べます。そのため質のよいものが含まれている印象を受けます。

会場の「みやこめっせ」は京都中心部にあるイベントや展示会の会場に使われるホールで、通路の広さや天井の高さに余裕がありストレスが少なく本を探すことができます。買い物かごが用意され、会計を店ごとでなく一括会計できるのも手間がかかりません。クレジットカード決済もOKで、購入商品の宅配便発送カウンターも会場内にあります。

関連サービスが揃っていてとても利用しやすい古本まつりです。

ゴールデンウィークの開催で観光客もたくさん来場します。観光客でも快適に古本探しを楽しむことができます。ちなみに京都の古本まつりは、夏は下鴨神社。秋は百万遍知恩寺の境内で、青空市で行われます。いずれも春と同じく「京都古書研究会」が主催します。

京都観光のちょっと角度を変えた楽しみ方の一つとして古本まつりはおすすめです。ぜひお出かけください。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



日本で最も古本屋に詳しい著者による訪問レポート第2段


春の古書大即売会(京都)
http://koshoken.seesaa.net/category/8767182-1.html
主催:京都古書研究会
会場:京都市勧業館 みやこめっせ
会期:2018年5月1日(火)~5日(土)
会期中原則休館日:なし

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新千歳空港「北海道ショールーム」 ~日本一楽しい空港

2018年02月22日 | 体験・イベント


空港にこんな大きな広場があるとは驚き

仕事や旅行で普段から私は空港をよく利用します。空港そのものが好きな「空港フェチ」なので、鉄道の方が便利でもわざわざ飛行機を使ったりします。そんな努力が実って日本国内の空港の内8割くらいは利用しましたが、最も楽しい空港は断トツに「新千歳」です。

北海道の旅を終えて帰ろうとする人が、北海道の最後の時間を実にアグレッシブに過ごせます。飛行機の出発時間の5時間前くらいに行かないと、十分には楽しめないくらいです。私が感じた「楽しい理由」をレポートしてみたいと思います。

新千歳空港のターミナルビルが現在の姿になったのは2012年3月です。2010年に国際線が国内線ターミナルビルから分離されたのを機に、温泉や映画館もある一大アミューズメント施設に生まれ変わりました。


新千歳空港ターミナルビル2F フロアマップ
【画像出展】 新千歳空港ターミナルビル 公式サイト

新千歳空港のターミナルビルは、真上から見ると半円形になっており、円の外側に飛行機が並びます。レストランやショップのほとんどは青丸で囲んだ半円形の中央に集中しており、羽田空港のように横に長すぎて歩くのが疲れるような印象は与えません。

また2Fの国内線出発ロビーの目の前に「どさんこ産直市場」「スィーツ・アベニュー」のお土産ショップがあり、登場客の目に自然と飛び込んでくるようモールが配置されています。空港とは思えない巨大な広場「センタープラザ」では、常にイベントが催されています。土産物店には北海道グルメが山積みです。

人間には、人が集まっているとのぞいてみたくなる習性があります。この空港はまさに人が人を呼ぶ好循環サイクルを実現しています。


ラーメン道場の前で外国人観光客が記念撮影

3Fはレストラン街です。「北海道ラーメン道場」「市電通り食堂街」「フードコート」があり、“これでもか“というくらいに北海道グルメに誘惑されます。レストランにしろ、ショップにしろ、北海道の選りすぐりの有名店が揃っています。

全国どこにでもあるナショナルブランドのお店は少ししかありません。地方空港にありがちな、昭和の香りがする土産物しか並んでいない、レストランのメニューは麺類やカレーばかり、というようなことは全くありません。東京や大阪のトップクラスのデパ地下並みに、ここにしかないと思わせる魅力的な商品やメニューが揃っています。


思わず行ってみたくなる案内ボード

情報発信も上手です。案内ボードに「スイーツ・アベニュー」と書いてあると、多くの人の目を引きます。普通の空港では「おみやげ」としか書いていませんので、とても上手です。また「日帰り温泉」「映画館」「ハローキティやドラエもんのアミューズメントパーク」など、利用客に様々な楽しみ方を提案する案内サインもよく目につきます。

インフォメーション・センターで聞かなくてもわかりやすいよう、案内サインが本当によく工夫されています。

ターミナルビルの運営会社は、現施設が完成した時に「北海道ショールーム」と名付けました。北海道のすばらしさを存分に楽しんでもらおうという“志”を感じるネーミングです。出張などで頻繁に利用される方も多いと思いますが、時間に余裕がある時にはじっくり楽しんでみてください。


冬の青森市外は一面銀世界、空の旅でしかこんな風景は見れません

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



もはや、ぬいぐるみの王様


新千歳空港ターミナルビル
http://www.new-chitose-airport.jp/ja/

原則休館日:なし

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東寺「終い弘法」 ~800年続く、参拝ついでの“フリマ”

2017年12月12日 | 体験・イベント

活気のある京の師走の風物詩

 

 

新幹線で京都駅に近づくと、東寺の五重塔が見えてくる。おそらく京都で最も有名なランドマークであろう。そんなランドマークのある広大な境内を、毎月21日に1,200店にのぼる縁日(フリーマーケット)の店が埋め尽くす。「弘法市」として京の都人(みやこびと)に知られるこの市は、800年以上毎月行われてきたというから驚愕だ。確認はできていないが、今に続く日本最古の市ではなかろうか。

 

東寺は、国家が創る寺院である「官寺」として平安京遷都の2年後に創建され、京の都の真言宗の総本山となった。真言宗の開祖・空海(弘法大師)は、都人から絶大な人気を集めていたことから、命日の3月21日には参拝する人々が多かった。古今東西、人が集まるほどビジネスは自然発生的に増殖していく。「弘法市」もまずは年1回行われるようになったようだが、絶大な人気の弘法大師は月命日にも多くの都人を集めたのだろう。鎌倉時代の1239年以降は、「弘法市」は毎月行われるようになったという。

 

京都は現代でも縁日(フリーマーケット)がとても盛んな地だ。そもそも「縁日」とは、神仏との“縁”を持つ日、というのが語源である。永年この日に参拝すると大きな御利益があると信仰されてきたことが、参拝とショッピングを同時に楽しめる場として、京の都人に好まれ続けているのだろう。

 

 

 

東寺の境内を店が埋め尽くす

 

東寺の「弘法市」、北野天満宮の毎月25日の「天神さん」、夏の下鴨神社と秋の百万遍知恩寺の古本市と、都人にすっかり定着している縁日(フリーマーケット)は非常に多い。そんな中でも東寺で年末の12月21日に行われる「終い弘法(しまいこうぼう)」は、最大規模のフリーマーケットで、素人よりも専門業者の出店が多いことが特徴だ。

 

年の最後に行われるので「終い」と冠づける。1月に行われるのは「初(はつ)弘法」だ。「終い」だけあって正月用品が目立つが、食べ歩きフードや骨とう品など、実に多種多様な店が出ている。人手も20万人にのぼっており、“押すな押すな”の熱気の中で、買い手と売り手の丁々発止のやり取りがとても楽しい。近年は外国人も多く、英語や中国語でのやり取りも聞こえてくる。

 

 

 

1200年経っても弘法大師人気は絶大

 

 

「弘法市」を楽しむ人のほとんどは、弘法大師への祈りも欠かさない。参拝とショッピングという2つの楽しみが現代でも見事に両立している。弘法大師というスーパースターが導いた1200年の都の歴史はとても奥が深い。ここでしか味わえないフリマだ。

 

 

 

日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさんある。ぜひ会いに行こう。

 

 

 

東寺 弘法市(出店運営委員会)

http://www.touji-ennichi.com/

東寺

http://www.toji.or.jp/

開催:毎月21日

 

 

 

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日本文化を知る殿堂を年1回味わえる ~日文研 一般公開2017

2017年11月01日 | 体験・イベント

いかにも本を好きにさせるデザインの図書館

 

 

京都の西、桂の山手にある国際日本文化研究センターは、日本の文化が世界でどのように見られているかを研究するとともに、世界中の日本文化研究者を支援する国立の研究機関である。正式名称より略称の日文研(にちぶんけん)の方が、はるかに知られているだろう。

 

近年は、テレビ出演やベストセラーによって所属する研究者に有名人が多くなり、組織としてもよく知られるようになった。NHK-BS「英雄たちの選択」司会の磯田道史とコメンテーターでよく登場する倉本一宏や井上章一、ベストセラー「応仁の乱」の著者・呉座勇一ら目白押しだ。そんなせいか、10月28日(土)に行われた一般公開に足を運んだが、たくさんの人で非常に盛況であった。

 

近年は、普段は一般に非公開の公共機関や企業の施設が、親しみを持ってもらおうと定期的に一般公開するところが多くなってきた。日文研も毎年1回10月末に一般公開を行っている。施設案内ツアー、研究成果の展示、多様なセミナーといったコンテンツが用意されており、日文研がどのように日本文化の研究とサポートに役立とうとしているかをよく理解できるような構成になっている。

 

施設案内ツアーは、事務職員ではなく所属研究者がガイドを務めており、テレビで見たことがある研究者にガイドされる機会に遭遇することもある。ツアーでは図書館が面白い。図書館に入ると、吹き抜けのドーム型の閲覧室が目に飛び込んでくる。円形に3階建てで開架書庫が取り囲んでおり、欧州の歴史的な大学の図書館のような雰囲気を醸し出している。とても「知」への好奇心を刺激してくれる。

 

司書の方からの図書館の特徴のご説明から、海外で出版された外国語による日本文化研究の図書、日文研図書館で言う「外書」の収集が秀逸であることがわかる。収集のわかりやすい一例としては、世界中で出版されている「日本旅行ガイド」がある。「世界の人々は日本のどんなコンテンツに興味を持つのか?」、言葉はわからなくても写真やアルファベットの固有名詞表記である程度のことは理解でき、世界から日本はどんなところに関心を持たれているのかを知ることができる。とても興味深い収集だ。ちなみに外国の日本旅行ガイドの横には、日本語の「地球の歩き方」が並んでいる。「日本人は世界のどんなコンテンツに興味を持つのか?」、世界と対比できてとても面白い。

 

午後からの講演で「日本史の戦乱と民衆」を拝聴した。戦乱は当事者である権力者の視点で語られることが通常だが、市井の民衆に視点を置いたことが興味深い。

 

◇白村江の戦では、普通の農民がろくな軍事訓練も受けずに連れていかれてこてんぱんにやられた。

◇室町時代の土一揆は、権力への反抗ではなく、下層民が生きるために略奪を行ったもの。

◇大坂の陣で町衆が逃げた船場の様子を、オランダ商人がリアルに伝えている。

◇京都で戊辰戦争の際に逃げた市民は少なく、戦さ見物や便乗商売にやっきになっていた。

 

このような奥深い話はなかなか耳にすることはない。登壇者はテレビ出演や講演を多くこなしているのだろう、とても話が上手だ。

 

 

 

京都市の西南、山陰道を見下ろす緑豊かな地にキャンパスがある

 

 

日文研の施設は普段、図書館に限って調査研究が目的であれば誰でも利用できるが、事前に大学図書館・公共図書館を通じた利用許可申請が必要だ。申し込みの必要がない一般公開は、気軽に日文研の研究成果や施設を体験し、日本文化という「知」への理解を深めることができる非常に良い機会となる。

 

また日文研の研究者は、京都や東京で一般向けに講演会・フォーラムを積極的に行っている。多様な日本文化に関する分野で非常に質の高い話が聞ける機会となる。こちらもぜひおすすめする。

 

 

 

妖怪も優れた日本文化の一つ、日文研のあちこちに出没する

 

 

日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。

「ここにしかない」名作に会いに行こう。

 

 

磯田道史が全国を巡って発掘した古文書から描いた新しい歴史を語る

 

 

国際日本文化研究センター(日文研)

http://www.nichibun.ac.jp/ja/

2017年10月28日 一般公開「日文研の30年」

http://events.nichibun.ac.jp/ja/archives/kohkai/cal/2017/10/28/index.html

 

 

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