10月22日は毎年、京都でとても有名な祭りが2つも行われる日です。その一つ、京都御所から平安神宮まで時代装束が練り歩く時代祭(じだいまつり)は、5月の葵祭・7月の祇園祭と並んで三大祭といわれるように、京都らしい情緒を存分に堪能できます。
平安時代から幕末で、各時代の装束と歴史上の人物が練り歩く風景には、日本の歴史が凝縮されています。1,000年の都(みやこ)・京都でしかできない祭りです。彩られる都大路にぜひお出かけください。
10月22日のもう一つの祭り、夜空に松明が映える鞍馬の火祭(くらまのひまつり)は、今年2018年はとても残念なことに中止がすでに決まっています。9月初めに関西空港を閉鎖に追い込んだ猛烈な風台風の影響で、祭会場付近の大部分の立入禁止や最寄りの叡山電車運休の再開が見込めないためです。
京都市内の寺や街路樹には倒木の跡が多く見られます。鞍馬寺のように大部分が参拝できない寺はほとんどありませんが、爪痕だけは多く残されています。時代祭も昨年2017年は台風のため中止となりました。今年こそは秋晴れの晴天になることを祈ってやみません。
スタート地点の京都御所からは堺町御門を出る
時代祭は平安時代から続いている葵祭・祇園祭と比べ、とても新しい祭りです。平安遷都1100年を記念し、平安遷都を行った桓武天皇を祀る平安神宮が創建された1895(明治28)年から始まりました。新しい神宮の祭りとして時代装束の行列が市民組織によって行われるようになり、現在も京都市全域から集まった2,000人ほどの市民が行列を形作っています。
【公式サイト】 行列コース地図
時代祭は行列コースが長いことから大混雑に悩まされることもあまりありません。SNS映えするような写真も撮り放題です。なお牛馬が暴れるのでフラッシュ撮影は厳禁です。過去には逮捕者も出ています。オート設定には特にご注意ください。
ゆったり見物できる有料観覧席も、京都御苑・御池通・平安神宮の三か所に設けられています。
【公式サイト】 有料観覧席のご案内
豊臣秀吉の行列
行列は幕末から始まって平安時代まで時代を遡る順で行われます。2006年までは皇室が正統とした南朝・後醍醐天皇に足利尊氏が背いたことで、足利氏が治めた室町時代の行列は除外されていました。今はちゃんとありますので、時代が途切れることはありません。
行列は、いつ何(誰)の行列かを示す幕持ちが先導するためわかりやすくなっています。しかし「吉野時代」と書かれた幕が近づいてくると、「何?」と多くの人が思われるでしょう。南北朝時代のことです。時代祭ではあくまで南朝が正統なので、南朝が拠点を置いた地名で表現しているのです。平安時代も藤原時代/延暦時代に分割して行列が行われています。
行列には政治権力者だけでなく、時代を代表する女性や文化人も登場します。江戸時代には和宮や出雲阿国、平安時代には巴御前や小野小町など、まさに歴史の教科書です。
【公式サイトの画像】 江戸時代婦人列
【公式サイトの画像】 平安時代婦人列
大名行列の横を市バスが通る
行列はコースを車両通行止めにして行われますが、烏丸通(からすまどおり)と丸太町通(まるたまちどおり)だけは中央分離帯を境に片側だけを使って行われます。時代行列の横を市バスが通っていく様子は、何とも不思議な新旧折衷の光景で、私はどこか気に入っています。皆さんならいかがでしょうか?
時代祭は来年2019年のみ、10月26日にずらして開催されます。10月22日は東京で新天皇即位に最も大切な「即位礼正殿の儀」が行われるためです。京都らしい配慮です。
こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。
縄文時代からの日本の男性衣装120通りを解説、スゴイ!
時代祭
【京都市観光協会公式サイト】
主催:平安講社(平安神宮の活動を支援する市民組織)
会期:毎年10月22日(日付で固定)
開催時間:京都御所建礼門(出発)12:00→14:30(到着)平安神宮応天門
→時間はいずれも行列先頭の通過予定、すべての行列通過に所要2時間
※雨天は翌日順延、翌日も雨天の場合は中止
◆マナー教室◆
◇写真撮影の前に確認! 立入禁止でないか?
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、牛や馬が暴れます!
◆おすすめ交通機関◆
京都御所付近:地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車
御池通付近:地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅、地下鉄東西線「京都市役所前」駅下車
平安神宮付近:地下鉄東西線「東山」駅下車
※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄の方が、時間が早くて正確です。
※交通規制・渋滞・駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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