goo blog サービス終了のお知らせ 

美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

「叫び」とムンク、上野でたっぷり ~東京都美術館 1/20まで

2018年11月05日 | 美術館・展覧会

現在世界で最も有名な絵画の一つであるムンクの「叫び」が、上野の東京都美術館にはるばる来日しています。ムンク作品コレクションでは世界一のオスロ市立ムンク美術館が一肌脱いだ大回顧展で、約100点の作品を通じてムンクの生涯を入念にたどることができます。

「叫び」に代表されるように、内面や感情を鮮やかな色彩で大胆に表現したムンクの作品からは、その当時の彼の境遇や心理がすごい迫力で伝わってきます。写実的に描かれた自画像や肖像画も多く、「叫び」のイメージとは異なるムンクの個性も味わうことができます。

フェルメール、ルーベンスマルセル・デュシャン、2018年秋の上野は大物の展覧会が目白押しです。



エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)は、1863年ノルウェーの医師の家庭に生まれました。幼いころに母と姉を亡くしたことが、恐怖や喪失感が色濃く表れる彼の絵画表現に大きな影響を与えました。

【公式サイトの画像】 1882年「自画像」

最初期の作品「自画像」は精悍な顔立ちに描いていますが、その瞳には内面に抱えた悲しみの感情が小さくないことを感じさせます。ムンクの内面表現の原点となるような傑作です。

1889年から3年間パリに留学し、印象派/ポスト印象派/ナビ派と言った当時最先端のフランス絵画表現を学びます。外面の美しさを追求した印象派とは真逆に「生き生きした人間の感情を描く」ことを志すようになります。「叫び」を含む「生命のフリーズ」と呼ばれる、感情のうねりをキャンバスにぶつけるような一連の作品を描き始めるのです。

【公式サイトの画像】 1894年「絶望」

「絶望」は「叫び」とともに「生命のフリーズ」を象徴する作品です。「叫び」と同じ構図で、オスロ市街から見えるフィヨルドを背景にしていることが目を引きます。「叫び」よりも感情表現は穏やかですが、逆に深い精神性を感じさせます。「叫び」と同じ部屋に展示されています。ぜひ見比べてみてください。

【公式サイトの画像】 1910年「叫び」テンペラ・油彩

今回来日している「叫び」は、世界に5点存在する中で最後に描かれた作品です。テンペラと油彩で描かれ、瞳がないのが特徴です。1893年に油彩で最初に描かれ、最も著名な作品{オスロ国立美術館蔵)と並んで彩色に鮮やかさがあり、暴風のように荒れ狂う感情表現が圧倒的なオーラを放っています。

1910年は彼がアルコール依存症から脱し、ノルウェー国内で名声を高めていたころです。彼がどのような思いで再び「叫び」を再び描いたのか、そんな思いをはせる名作です。



【公式サイトの画像】 1907年「マラーの死」

「マラーの死」はそのタイトル通り、ダヴィドが描いたフランス革命の指導者が暗殺され横たわっている姿のように自身を描いています。しかしダヴィド作品にはない、裸の女性が立ちすくむ姿も描かれています。この女性は交際していたトゥラで、交際トラブルで銃が暴発しムンクが右手を負傷した際のようすを描いたと考えられています。背景やベッドの色から心の中をうごめく複雑な感情が伝わってきます。

【公式サイトの画像】 1908年「ダニエル・ヤコブソン」

絵のモデルはムンクが入院していた精神病院の医師です。彼らしい鮮やかな色彩で表現していますが、とても威厳のある落ち着いた印象を与えます。ムンクが、アルコール依存症を直し自身の精神が落ち着いた後の姿をモデルの医師に例えて描いたのでしょうか。

【公式サイトの画像】 1922年「星月夜」

アルコール依存症から脱し名声の確立したムンクの画風は、激しさが見られなくなります。しかし色彩のマジックはより洗練され、鑑賞者を穏やかな気分にさせるほどです。ムンクの心の変化がここでも画風に現れます。「星月夜」はそんな時代の名作です。

ムンクに風景画のイメージはあまりないですが、展覧会ではたくさんの風景画からムンクの心の変化をうかがうことができます。

ムンクは「叫び」のように、同じ構図で何度も描いています。「浜辺にいる二人の女」など、色使いなどでがらりと印象を変えている作品も多く、ムンクがその時々で一生賢明生きていた姿が伝わってきます。とても興味深い対比になります。



【展覧会の見どころ 公式 YouTube 動画】

この展覧会も様子を紹介するYou Tubeが流されています。最近ではYou Tube は展覧会情報拡散のマスト・アイテムです。

【公式サイト】 DRAW! SCREAM あなたの「叫び」を描こう

「叫び」のポーズを描いた絵をネット上で投降し、東京都美術館での展示や広告に採用する作品を母数するキャンペーンも行われています。会場が盛り上がります。

「叫び」だけじゃない。会場で配布されていた朝日新聞の号外の見出しコピーです。まったくその通りです。むしろ「叫び」以外の作品の方により圧倒されるかもしれません。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



ピカチュウは今や一流の芸人

________________________________

東京都美術館
ムンク展 ―共鳴する魂の叫び
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:東京都美術館(東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
会場:企画展示室
会期:2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~17:00

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

JR「上野駅」下車、公園口から徒歩7分
東京メトロ・銀座線/日比谷線「上野」駅下車、7番出口から徒歩12分
東京メトロ・千代田線「根津」駅下車、1番出口から徒歩15分
京成電鉄「京成上野」駅下車、正面口から徒歩12分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR東京駅→山手・京浜東北線→上野駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東博で中国のスゴ腕画家に出会える ~「斉白石」展 12/25まで

2018年11月04日 | 美術館・展覧会

平成館の企画展ばかりに目が向きがちな東京国立博物館で、中国近代絵画の素晴らしい展覧会が行われています。画家の名は斉白石(せいはくせき、Qi Baishi)、現代の中国で最も有名かつ人気のある画家です。日本で言うと横山大観のような知名度の高さです。

1920年代に北京に出て著名になった斉白石は、とても器用な芸術家です。書や篆刻の作品も目を見張るものがあり、伝統的な中国の芸術表現に斬新でセンスの良い表現を加えています。水墨画なのにユーモアもあります。

中国最大の美術アカデミーで、斉白石が初代名誉院長となった北京画院が所蔵する約120点が前後期に分けて展示されます。東博の後は京博にも巡回します。日本でもきっと人気が高まるでしょう。



斉白石は清朝末期の1864年に湖南省の貧農の家に生まれました。日本の画家では黒田清輝や竹内栖鳳と同世代です。木工職人として生計を立てながら少しずつ絵を学んでいきました。5度に渡って中国全土の山河を巡り、各地の書・画・詩文などの名品も見て回りました。知識人の家に生まれたわけではなく、英才教育も受けていません。芸術に対する情熱だけが、生涯彼を動かし続けたのです。

晩年の写真を見ると、まさに諸国を巡った仙人のような印象を受けます。長い時間をかけて様々な中国の芸術表現を吸収し、自らのスタイルを作り上げた斉白石の瞳には、芸術への深い愛着が感じられます。



【公式サイト】 ご紹介した作品の画像の一部が掲載されています

斉白石の水墨画は、モチーフの特徴を一目で示す鮮やかな彩色が多く目につきます。花の周りを飛ぶ蛾を描いた「工虫画冊(第一図:白花と鳳蛾)」(前期展示)は、花弁と葉、そして蛾だけが鮮やかに色付けされています。大きめの余白を空に見立てており、とても精密に描写された蛾が実に優雅に飛んでいます。余白は、右側の賛の文字列と左下の印とのバランスも絶妙で、構図の魔術師のように感じられます。

ひよこを描いた「雛鶏出籠図」(前期展示)でも絶妙の余白を見ることができます。右上から左下に向かってヨチヨチ歩きする様子以外に一切描写はなく、まるでひよこにスポットライトをあてているようです。ひよこの愛くるしい瞳や羽毛のモフモフ感を、筆と墨だけで描き出す画家の腕にも驚愕します。

山水画や人物画も展示されていますが、いずれもモチーフの特徴をとてもユニークに表現しています。円山応挙のような精密な写実表現があると思えば、特徴をデフォルメする表現も見られます。手の込んだ描写をしていても、全体的にシンプルな印象になるよう整えられていると感じます。

すぐれた作品はその秀逸さゆえに、鑑賞する際に敷居を高く感じ、身構えてしまうことがあります。斉白石の腕の高さにはほれぼれしますが、この敷居の高さを感じさせません。とても親近感があります。

中国の数多くの芸術表現を長年にわたって研究し続けた斉白石は、モチーフをどう表現すれば魅力的かを知り尽くしていたのでしょう。中国随一の巨匠と呼ばれていることに、すぐに納得できます。

斉白石は、戦前に中国に駐在していた日本の外交官・須磨弥吉郎(すまやきちろう)が重要なパトロンの一人でした。須磨は日本のスパイ機関の元締めとして知られますが、西洋や中国絵画の大コレクターでもありました。須磨コレクションとして知られる収集品の一部は、スペイン絵画が長崎県美術館に、斉白石を含む中国近代絵画が京都国立博物館に寄贈されています。

東博展終了後に巡回し、来年2019年1月から始まる京博展ではこの須磨コレクションも展示されます。東博展ではなかった展示です。こちらも見逃せません。


法隆寺宝物館

東博は日本を代表する美術系博物館であり、敷地内外に6つもの展示棟があります。しかし企画展の平成館と日本美術のコレクション展の本館以外は、鑑賞者が少ないのが現実です。アジア美術を展示する東洋館や法隆寺宝物館にも名品はとてもたくさんあります。

展示構成や回遊を促していない東博の運営方法に課題があると個人的には感じています。平成館の企画展以外は総合文化展のチケット・大人620円だけで鑑賞できます。一日中いても廻り切れないくらいフロアがたくさんあります。東博の奥の深さを今一度味わってみてください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



白石ファンにはたまらない画集、中国語だからこそリアルに楽しめる

________________________________

東京国立博物館
日中平和友好条約締結40周年記念 特別企画
中国近代絵画の巨匠 斉白石
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:東京国立博物館、北京画院、朝日新聞社
会場:東京国立博物館 東洋館8室
会期:2018年10月30日(火)~12月25日(火)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30(金土曜~20:30)

※11/25までの前期展示、11/27以降の後期展示で、ほとんどの展示作品/場面が入れ替えされます。
※前期・後期展示期間内でも、展示期間が限られている作品/場面があります。
※この展覧会は、2019年1月から京都国立博物館、に巡回します。
【美術館による展覧会公式サイト】



◆おすすめ交通機関◆

JR「上野駅」下車、公園口から徒歩10分
JR山手・京浜東北線「鶯谷駅」下車、南口から徒歩10分
東京メトロ・銀座線/日比谷線「上野」駅下車、7番出口から徒歩15分
東京メトロ・千代田線「根津」駅下車、1番出口から徒歩15分
京成電鉄「京成上野」駅下車、正面口から徒歩15分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR東京駅→山手・京浜東北線→上野駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三菱一号館 フィリップス・コレ展 ~アメリカ富豪の眼力と富は桁違い

2018年11月01日 | 美術館・展覧会

東京・丸の内の三菱一号館美術館で「フィリップス・コレクション展」が行われています。アメリカ・ワシントンDCにある世界屈指の個人コレクション美術館が誇る名品75点を、邸宅のような上質なインテリアの展示室で鑑賞できます。

日本での知名度は高いとは言えませんが、印象派など19cのフランス絵画を俯瞰するためには絶対に外せない美術館です。そんなすごいコレクションが日本にやってきています。これだけの規模で貸し出しが実現するのは、開設100周年を迎える今回のような機会以外は、極めてまれになるでしょう。とても貴重なチャンスです。



フィリップス・コレクションは、鉄鋼業で財を成したアメリカの大富豪一族のダンカン・フィリップスが1918年に自らの邸宅に設立した美術館です。ダンカンは1966年にこの世を去るまで、妻で画家のマージョリーと共に収集を続け、アメリカの近代美術も含め4,000点を超えるコレクションを形成しました。

ワシントンDCで各国大使館が立ち並ぶエンバシー・ローのそばに美術館はあり、隣はインド大使館です。私は以前訪れたことがありますが、三菱一号館と同じく赤レンガの瀟洒な建物です。展示スペースとして新設された建物を合わせると、個人のものとしてはとても巨大です。アメリカの大富豪の財力と収集に対する情熱に目を丸めたことを記憶しています。

大使館が立ち並ぶエリアは、日本はもちろんどの国もその国を代表する高級住宅街であることが一般的です。フィリップス・コレクションはそんなエリアにとても調和しています。


Washington DC フィリップス・コレクションの建物

フィリップス側は企画にあたって、一号館の邸宅風の展示室を気に入ったように思えてなりません。本拠と似た環境で鑑賞できるからです。作品の展示順が、制作年代やジャンル別ではなく、購入順であることも新たな試みとして注目されます。全所蔵品を見るわけではなくおおまかですが、ダンカン夫妻の嗜好や時代の変化をふまえて鑑賞するのも、興味深いものでした。

収集初期の1920年代までは19c印象派までのフランス絵画、1930年代はポスト印象派や20c初頭の作品、第二次大戦の混乱期でもある1940年代はそれらコレクションに厚みを増し、1950年代は戦後のモダンアートにも手を広げる、といった傾向が見て取れます。近代以降の絵画を俯瞰する基本を外さず、丁寧に収集している印象を受けます。

【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 ルーヴシエンヌの雪

シスレー「ルーヴシエンヌの雪」は、1923年と収集最初期の購入です。印象派表現の王道を進んだシスレーらしい穏やかな光で雪景色を表現しています。

【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 スペイン舞踊

1928年購入のマネ「スペイン舞踊」は、踊り子の腕が円形に動くポーズをとらえています。マティスの「ダンス」のポーズを思わせることが目を引きます。リズミカルで生き生きとした作品です。一目でマネとわかる正統派の作品です。

【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 犬を抱く女

ダンカンはアメリカで最初に、ナビ派のピエール・ボナール作品を購入したコレクターでした。アメリカで画家の評価が定まる早い段階から購入し、「実験場」と呼んだ自らのギャラリーで美術愛好家に提案していたのです。パイオニア精神にあふれた人物と言えます。

1922年購入のボナール「犬を抱く女」はダンカンが最初にボナールに魅了された作品です。女性の顔は感情がわからないほど抽象的に描かれていますが、強い存在感があります。女性の赤い服が構図として効いています。


三菱一号館とブリックスクエア


【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 サン=ミシェル河岸のアトリエ

「サン=ミシェル河岸のアトリエ」は、マティスとしてはかなり写実的な表現をしています。色使いも落ち着いており、言われなければマティス作品と気付きにくいくらいです。とても貴重なマティス作品でしょう。1940年購入です。

【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 水浴の女(小)

1948年購入のアングル「水浴の女(小)」は、ルーブル美術館にある著名作「欲女」と同じポーズです。こちらはルネサンス絵画のように、何かの寓意を現したような背景が描かれています。小さいですが、アングル独特の肩や背中の絶妙なラインで虜にさせ、背景を描いた理由をも創造させてしまう”魔力”を感じる作品です。

【The Phillips Collection 公式サイトの画像】 ジェンツァーノの眺め

1955年購入のコロー「ジェンツァーノの眺め」は、真夏の陽光にあふれたイタリアの風景を描いています。コロー作品としては明るい光が作品全体に表現されている珍しい作品です。


美術館の近くはルーフトップ観光バスのりば

上質な展示にこだわる三菱一号館らしい展覧会に仕上がっています。近くにたくさんいた欧米人観光客にも鑑賞してもらい、展覧会の質について意見を聞いてみたいと思ったほどです。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



メトロポリタンにはなぜあれだけの名品が揃っているのか?

________________________________

三菱一号館美術館
全員巨匠! フィリップス・コレクション展
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:三菱一号館美術館、フィリップス・コレクション、読売新聞社、日本テレビ放送網
会期:2018年10月17日(水)〜2019年2月11日(月)
原則休館日:月曜日、12/31-1/1
入館(拝観)受付時間:10:00~17:30(金・第2水曜~20:30)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。
※この美術館は、常時公開している常設展示はありません。企画展開催時のみ開館しています。



◆おすすめ交通機関◆

JR「東京」駅下車、丸の内南口から徒歩5分
JR「有楽町」駅下車、国際フォーラム口から徒歩6分
東京メトロ・千代田線「二重橋前〈丸の内〉」駅下車、1番出口から徒歩3分
東京メトロ・有楽町線「有楽町」駅下車、D3/D5出口から徒歩6分
都営・三田線「日比谷」駅下車、B7出口から徒歩3分
東京メトロ・丸の内線「東京」駅下車、改札口・地下道直結徒歩6分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:5分

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茅ヶ崎市美術館で「小原古邨」の驚愕の版画展 ~こんな新版画家がいたのか

2018年10月31日 | 美術館・展覧会

「欧米で人気の高い花鳥木版画家の展覧会が茅ヶ崎市美術館で行われている」と友人から耳にしたのが、私が小原古邨(おはらこそん)を知ったきっかけでした。明治末期から戦前にかけて隆盛した新版画家の一人に含めることができますが、新版画のほとんどは風景画か人物画です。花鳥画があること自体認識していませんでした。

茅ヶ崎市美術館で鑑賞した古邨の木版画は驚きの連続でした。鳥の羽毛は紙の上に本当に毛が生えているようにとても細かい陰影がつけられています。雨空や日陰の空気の表現は本当に水蒸気が紙の上から上がってくるのではと感じるほど見事な質感です。

茅ヶ崎を訪れることができたのは展覧会の終了間際でした。時間が確保できたことは本当にラッキーでした。私は川瀬巴水や吉田博は以前から好きで、展覧会には足しげく通っていました。周辺の新版画家の勉強を怠っていたと後悔しています。小原古邨についてまずは調べてみました。


美術館のある高砂公園

小原古邨は1877(明治10)年に金沢に生まれ、東京へ出て花鳥画で知られた鈴木華邨に師事します。当初は肉筆画を手掛けていました。

アーノスト・フェノロサから欧米へ輸出する木版画の下絵制作を勧められたことが古邨の人生を大きく変えます。また同じ頃、高度の彫・擦の技術を有していた版元の大黒屋松本平吉、通称:大平(だいへい)とも出会ったことも幸運でした。

大平は、明治初期に光線画(こうせんが)と呼ばれた明るい風景画で絶大な人気があった小林清親(こばやしきよちか)の作品を出版したことで、一躍名をとどろかせていました。古邨作品の素晴らしさも、光線画で培った大平の高度の彫・擦の技術がないと発展しなかったと思われます。

明治末期の1905年頃から大正前期の1920頃までが、古邨の制作の最初のピーク期と考えられます。現存していて展覧会に出展されている作品も、この時期に大平で制作された作品に集中しています。


美術館の建物

大平の商売は大正になって陰りを見せ始めます。1923(大正12)年の関東大震災で壊滅的な打撃を受けた後は、往年の商勢を取り戻すことはありませんでした。

新版画の版元としては現在も銀座で店を構える渡邊版画店(現:渡邊木版美術画舗)が、同じ頃に大平にとって代わるように版元として商勢を増していきます。渡邊版画店も関東大震災で多くの版木を焼失し大打撃を受けましたが、見事に復活しています。

古邨と渡邊版画店も少しずつ関係を深め、昭和以降は祥邨(しょうそん)と名を変えて本格的に出版するようになります。この頃の作品は国内にはあまり残されていませんが、欧米の美術館にはたくさんあります。渡邊版画店の手により、欧米向けに第二の制作のピークを迎えたのでしょう。


納得。

展覧会出展の大半を占める大平時代の作品は、江戸時代の円山派・四条派のような写実的な描き方です。色使いは控えめで、日本人好みの上質な印象を与えます。

【公式サイトの画像】 蓮に雀
【公式サイトの画像】 柳に油蝉

「蓮に雀」は展覧会チラシにも採用されており、可憐な蓮の花の背後から顔をのぞかせる花より小さい雀を配しているところがとても洒落ています。背後の無地空間はグラデーションのように夏のみずみずしい空気を表しています。「柳に油蝉」は、蝉の羽の光り方が見る角度によって変わります。絵・彫・擦三位一体となった高度な技術がうかがえる作品です。

【公式サイトの画像】 枝垂れ桜に尉鶲

古邨は特に鳥をつがいで描くことが目立ちます。愛情や子孫繁栄の思いを込めたのでしょうか。「枝垂れ桜に尉鶲」はつがいを華やげるように桜の花びらが配置されています。大きな余白空間に向けてまさに飛び立つのではと思える絶妙な構図も見ものです。

【公式サイトの画像】 左「月に桜と鳥」右「雪の柳に鳥」

「月に桜と鳥」は、月の光にかすかに輝く羽の艶が、まるで生きているように表現されています。「雪の柳に鳥」は、柳に積もる雪を神の地色をそのまま見せる白抜きで表現していると思われます。赤く染まった空、黒い鳥の羽との対比が絶妙です。

【公式サイトの画像】 左右とも「有明月に木菟」

「有明月に木菟」は、ミミズクが月夜に飛び立とうとする瞬間を描いています。羽の躍動感と闇夜の空気の質感表現に見とれてしまう作品です。

以上はすべて大平時代の作品です。渡邊版画店時代の作品は彩色がより明確になる傾向があります。渡邊版画店には川瀬巴水のように彩色が明確な画家が多く彫師・擦師がその傾向に慣れている、時代が下っているので好みが変わっている、欧米市場の嗜好をより重視した、どれが事実かはわかりませんが、様々な理由があって変化したのでしょう。


原安三郎

今回の展覧会が開催されたことには、もう一人の人物をお話しする必要があります。戦後に財界の重鎮として活躍した実業家・原安三郎(はらやすさぶろう)です。今回の出展作品はすべて原の旧蔵です。原は浮世絵コレクターとしても知られています。

展覧会図録の学芸員の解説によると、原がこれだけまとまって古邨作品を収集した経緯は不明なようです。可能性のある仮設として「昭和になって太平の経営が傾いたときに一括購入」をあげています。原が経営再建に携わった会社とのつながりで太平とは接点があった、原コレクションはきわめて擦りと保存の状態が良く太平が作品の見本帳として大切に保管していた、という背景を指摘しています。不自然ではない仮説だと感じます。

いずれにしろ原が入手後も大切に保存してきたからこそ、現在の美しさがあります。茅ヶ崎美術館のある高砂(たかすな)公園は、原の屋敷跡です。

大正・昭和の新版画がまた一つ好きになりました。時間を見つけて古邨以外の新たな新版画作家についても学びたいと、あらためて感じました。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



これは版画なのか?


茅ヶ崎市美術館
開館20周年記念-版の美Ⅱ-
原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団
会期:2018年9月9日(日)~11月4日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~17:30

※10/8までの前期展示、10/11以降の後期展示で全展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。
※この展覧会は、非営利かつ私的使用目的でのみ、撮影禁止作品以外の会場内の写真撮影とWeb上への公開が可能です。ただしフラッシュ/三脚/自撮り棒/シャッター音は禁止です。



◆おすすめ交通機関◆

JR東海道線・相模線「茅ヶ崎」駅下車、南口から徒歩8分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間20分
東京駅→JR東海道線→茅ヶ崎駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京駅「横山華山」展に驚き ~京都画壇にこんな絵師がいた

2018年10月30日 | 美術館・展覧会

東京駅丸の内北口・ステーションギャラリーの「横山華山(よこやまかざん)」展に行ってきました。横山華山は江戸時代後期の京都画壇の絵師で、岸駒(がんく)に師事したものの、様々な画派から吸収した独自の画風を築き上げます。明治時代までは人気絵師でしたが、昭和になって忘れられていました。

展覧会チラシには「見ればわかる」とコピーが付けられています。その通り鑑賞するとびっくりするほどの腕前であることがわかります。「こんな絵師がいたのか」と思わずつぶやいてしまいます。訪れたのは会期末の平日でしたがかなり混雑していました。話題を集めていたことがうかがえます。

来年2019年春以降に仙台と京都に巡回します。見逃した方はわざわざ遠征する価値があります。



横山華山は江戸時代後期の京都画壇で、呉春や岸駒の次の世代に相当します。呉春の弟子・松村景文(まつむらけいぶん)や岡本豊彦(おかもととよひこ)、岸駒の嫡男・岸岱(がんたい)らとほぼ同世代です。福井藩士に生まれますが、西陣の旧家の養子となったことで、京都画壇のみならず中国画や長崎の西洋がなど様々な画風を見て技術を学ぶ機会に恵まれます。

華山は岸駒に師事しますが岸派には属していません。岸駒から独立させてもらったわけではなく、自由奔放に絵師人生を送ります。また当時の絵師としては珍しく狩野派や土佐派の師から学んでいません。形式にとらわれずとても器用に創作する腕を身に着けますが、我の強い人物だったのかもしれません。華山の画風は様々な様式を使い分けたり、ブレンドさせたりしていることに特徴があります。


丸の内北口ドーム内を臨む美術館の回廊

【公式サイト】 ご紹介した作品の一部画像が掲載されています

展覧会は、華山が曾我蕭白(そがしょうはく)の画風を学んだ作品から展示が始まります。蕭白作品を模写したようにも見える瓜二つの華山作品と並べて展示されているものもあります。華山の腕の良さが最初からよくわかります。ボストン美術館蔵「寒山拾得図」は表現がとても洗練されており、明治期の作品のように見えるほどです。水墨画ですが輝きを放っています。

人物画は四条派の影響が目立ちます。「唐子図屛風」は、子供の愛くるしい瞳と天真爛漫に遊んでいる姿が、金碧の中に実に上品に表現されています。子供の描写は小さいのですが、余白が大きいことから充分に効いています。構図の取り方が絶妙です。明治時代には大丸の創業一族・下村家が所蔵していました。商家を飾る屏風として極上品です。

花鳥画では応挙の写実表現を感じます。雪が積もった枝に黒い鳥がとまる「雪中鳥図」は、おそらく雪に着色せず紙の地色で表現していると思われます。近代絵画のように奥行きを上手に表現した富士山の絵は、後の横山大観の画風を先取りしているようです。仙境で交わる人々を描いた「蘭亭曲水図」は池大雅から学んだのでしょうか、実に優雅な文人画です。

華山はとても器用で、様々な画風を描き分ける絵師です。近代を先取りしたような新しい表現にも秀でており、本当に天才のように思えます。そんな華山の魅力が凝縮されているのは、展示最後の京都の人々を描いた風俗画だと思います。

「天明火災絵巻」は火事から逃げ惑う人々を描いたもので、平安時代の「伴大納言絵巻」を彷彿とさせるようなリアルな描写が目を引きます。火事というモチーフ自体もあまり聞いたことがありません。現代も京都の奇祭として知られる「やすらい祭図屏風」を見ると、現代も江戸時代と祭の様子が変わっていないことがよくわかります。行列する人々の生き生きとした表情も魅力的です。

「祇園祭礼図巻」は、上下巻30mにおよぶ大作です。祇園祭の山鉾巡行をきわめて精緻に描いています。写真に撮ったようです。後世に中断した山鉾を復活させるときの参考資料にもなっているようで、歴史的にもきわめて貴重です。

想像もつかないような手間暇をかけないと描けないように思えますが、実際の山鉾の飾り付けを観察できるのは組み立てられている5日間ほどに限られます。華山の観察力と描くスピード、表現の秀逸さにはまさに驚愕します。



華山が大正・昭和の頃には国内では忘れられるようになったことは、伊藤若冲や曾我蕭白と同様です。京都の絵師は、本流の四条派以外は大正・昭和以降は忘れられる傾向が目立ちます。

一方欧米のコレクターたちからは高い評価を受けます。フェノロサやビゲローたちも多く作品を購入しており、国内だけでなく欧米の主要美術館に作品が多いことも華山の特徴です。展覧会にもボストン美術館などから多くの作品が出展されています。

若冲や蕭白と同じく、「奇想の絵師」として評価が定着していくことが期待されます。


東京駅丸の内口駅前広場

ステーションギャラリーの前には、東京駅丸の内口の巨大な駅前広場が美しい姿を見せています。東京駅を取り巻く摩天楼の中に、赤レンガと緑の芝生が実に美しく映えています。昨年2017年末の完成以来、私は初めて訪れました。まだの方はぜひ訪れてみてください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



いにしえから祇園祭はみやこ人を魅了し続けていた

________________________________

東京ステーションギャラリー
横山華山
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、日本経済新聞社
会期:2018年9月22日(土)~11月11日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~17:30(金曜~19:30)

※10/14までの前期展示、10/16以降の後期展示で一部展示作品/場面が入れ替えされます。
※前期・後期展示期間内でも、展示期間が限られている作品/場面があります。
※この展覧会は、2019年4月から宮城県美術館、2019年7月から京都文化博物館、に巡回します。
※この美術館は、常時公開している常設展示はありません。企画展開催時のみ開館しています。



◆おすすめ交通機関◆

JR「東京」駅下車、丸の内北口改札から徒歩0分
東京メトロ 丸の内線「東京」駅から徒歩3分、東西線「大手町」駅から徒歩5分、千代田線「二重橋前」駅から徒歩7分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:0分

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都国立近代美術館で史上最大の「フジタ」展 ~耽美な乳白色が12/16まで

2018年10月29日 | 美術館・展覧会

東京展を終えた史上最大級の「フジタ」展が、京都に巡回してきています。パリに愛された日本人画家・藤田嗣治(ふじたつぐはる)が2018年に没後50年を迎えます。昨年2017頃から「フジタ」展が各地で開催されていましたが、この展覧会はその集大成のような存在です。

国内やフランスを中心とした海外の数多くの美術館から作品が貸し出されており、藤田の激動の人生を語る名品が見事に勢揃いしています。展示作品数は120点を超え、とても濃厚です。

藤田の作品は絵に関心がない人でも惹きつける不思議な魅力があります。絵を本当に愛しており、彼のスタイルである乳白色のヌードや猫が戯れる描写はとても温かく感じられます。戦争画であっても絵に対する”熱量”が感じられます。

東京・上野に引き続き京都・岡崎の地で、誰もがFoujitaの魅力のとりこになること間違いありません。



明治になって以降現代まで、数えきれないほどの絵を志す若者がパリに渡っていますが、おそらく藤田はフランス社会に最も受容され愛された日本人画家でしょう。

1886(明治19)年、東京で軍医総監を父に生を受けた藤田は画家を志し、東京美術学校(現:東京芸大)に入学します。当時主流だった黒田清輝の教えにはなじめず、卒業後まもなくパリへ渡ります。

第一次大戦前夜の不穏な時代でしたが、当時のモンパルナスにはモディリアーニやピカソたち、後のエコール・ド・パリ時代をリードする画家たちが集まっていました。藤田はすぐに彼らと交友を結ぶようになります。



1918年の第一次大戦終結以降1920年代には、細い線描で透き通るような表現をする藤田独自の画風を確立し、一躍売れっ子画家になります。エコール・ド・パリを代表する画家となったこの時代は、目を引く作品が揃っています。

栃木県立美術館蔵「花を持つ少女」は顔と首が長く、左右の目が不釣り合いです。友人のモディリアーニの影響を感じます。しかしモディリアーニの特徴であるやや赤みがかった肌ではなく、乳白色で描いています。藤田が自分らしさを完成させた頃の名品です。

【公式サイトの画像】 私の部屋、目覚まし時計のある静物

ポンピドゥー・センター蔵「私の部屋、目覚まし時計のある静物」は、白色の壁を背に置かれたテーブルの上の置物を、奥行き感を強調せずに描いています。浮世絵のように平面的に描く方がフランスでは受けると考えたのでしょうか、藤田によく見られる描き方です。トレードマークの丸メガネをさりげなくテーブルの上に描いていることも目を引きます。

日本の帝展にも出品され、国内で藤田の名前を有名にした記念碑的作品でもあります。

【公式サイトの画像】 エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像
【公式サイトの画像】 ダヴィド「レカミエ夫人の肖像」

シカゴ美術館蔵「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」は、120年前のナポレオン時代に新古典主義画家ダヴィドが描いた「レカミエ夫人の肖像」の構図を彷彿とさせます。藤田がルーブル美術館でこの絵を見て刺激を受けていた可能性はあるでしょう。

「レカミエ夫人の肖像」のように胴を長く描いて優雅さを強調し、上流階級の女性らしい気品を表現しています。藤田作品では珍しい黒光りする背景の壁は、モデルの女性を特別な存在に見せています。

【公式サイトの画像】 舞踏会の前

大原美術館蔵「舞踏会の前」は、舞踏会の衣装合わせをしているヌード状態の女性を描いています。東京国立近代美術館蔵「五人の裸婦」と並んで、国内にある1920年代の乳白色作品の傑作です。



1931年になると愛人マドレーヌを連れて南北アメリカで個展を開催しながら旅行し、1933年に日本に帰国します。

メキシコの太陽の下で白地のワンピースに身を包んだ京都国立近代美術館蔵「メキシコに於けるマドレーヌ」、白いカーテンの中でヌードで戯れる大阪リーガロイヤルホテル蔵「裸婦マドレーヌ」。共に芯の強そうな目線で描かれており、情熱的だった女性であることをうかがわせます。

藤田作品のコレクションで著名な秋田の平野政吉美術財団蔵「町芸人」は、原色を多用しラテン的な情熱あふれるタッチで町芸人を描いています。明らかにメキシコを意識して表現した興味深い作品です。

【公式サイトの画像】 争闘(猫)

1939年に描かれた島根県立美術館蔵「サーカスの人気者」は、珍しく犬を描いています。彼らしい明るい白色のトーンでまとめられており、迫りくる戦争への実感はまだ感じられません。

東京国立近代美術館蔵「争闘(猫)」は1940年、陥落直前のパリで描いたものです。黒い背景の地面や狂ったように争う猫の描写に、迫りくる戦争の恐怖と狂気を感じさせます。

パリ陥落後に藤田は再び帰国し、よく知られる「アッツ島玉砕」など従軍画家としての大作を残します。終戦後に戦争協力者と批判されるたことに嫌気を差し、フランスに渡ってフランス国籍を取得します。晩年を過ごしたランスで洗礼を受け、一度も帰国することなく、1968年に生涯を終えます。

晩年の作品は、町の少女や宗教をモチーフにしたものが多く、派手な彩色も目立つようになります。しかし自身の波乱の人生を振り返るような深い精神性があり、緻密な表現も多くなります。

【公式サイトの画像】 フルール河岸ノートル=ダム大聖堂

ポンピドゥー・センター蔵「フルール河岸ノートル=ダム大聖堂」は、フランスに渡った直後に、昔から好きだった風景を描いています。日本での批判に疲れた藤田が、新しい人生を始めようとする思いを込めて描いたのでしょう。白い壁の表現が藤田らしく絶妙です。

この作品は製作翌年に「私の部屋、目覚まし時計のある静物」とともにフランス国立近代美術館に寄贈されています。楽しかったフランスでの思い出を描いた記念碑的な作品を、永遠にのこしてほしいと願う藤田の思いを感じます。


秋が深まる岡崎公園

藤田はやはり白色の表現が好きだった画家とあらためて感じました、これほど多様に緻密に白色を表現した画家はそうはいないでしょう。人生も波瀾万丈です。作品を通じて藤田の人生そのものが見えてくるような展覧会です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



フジタの猫はなぜ愛おしいのか?

________________________________

京都国立近代美術館
没後50年 藤田嗣治展
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:京都国立近代美術館、朝日新聞社、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿
会期:2018年10月19日(金)~12月16日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30(金土曜~19:30)

※11/18までの前期展示、11/20以降の後期展示で一部展示作品/場面が入れ替えされます。
※この展覧会は、2018年10月まで東京都美術館、から巡回してきたものです。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



おすすめ交通機関:地下鉄東西線「東山」駅下車、1番出口から徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
JR京都駅→地下鉄烏丸線→烏丸御池駅→地下鉄東西線→東山駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奈良国立博物館「正倉院展」2018 ~室内履き!巻きスカート”はさみ!

2018年10月28日 | 美術館・展覧会

今年も奈良国立博物館「正倉院展」の季節がやってきました。これを目当てに毎年奈良に旅行する人も少なくないなど、美術品の展覧会としてはまさに国民的行事です。今年2018年でなんと70回目です。

今年2018年の出陳は、2015年まで行われていた麻製品の綿密な調査結果のお披露目でしょうか、麻以外も含めた繊維製品が目立っています。天平ワールドは毎年見ても、決して飽きることはありません。



奈良博の特別展は、今年2018年開催の「糸のみほとけ」展では通常と逆の西新館からスタートしていましたが、正倉院展では従来通り東新館から始まります。

【公式サイトの画像】 平螺鈿背八角鏡

最初の部屋で黒山だかりの鑑賞者が目に入ってきます。今年の目玉の一つで読売新聞社の展覧会チラシにも採用された平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)です。聖武天皇七回忌に際して光明皇太后が正倉院に収めた夫の遺愛品を記したリスト・国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)に記載されています。正倉院収納品としては最初期のものです。

1,300年後もまばゆく怪しい輝きを見せる螺鈿細工には西域の香りがし、とてもエキゾチックです。

【公式サイトの画像】 繡線鞋

繡線鞋(ぬいのせんがい)は見事な刺繍が施された、草履のような形状の女性用の履物です。かすかにのこる彩色からは、こちらもエキゾチックなデザインを感じ取ることができます。室内履きと考えられており、天平の宮廷生活の華麗さが目に浮かんできます。

【公式サイトの画像】 玳瑁螺鈿八角箱

東新館ではもう一か所、黒山だかりができています。近鉄の展覧会チラシに採用された玳瑁螺鈿八角箱 (たいまいらでんはっかくのはこ)です。献物品を納めるための箱で、中に何が入っていたのだろうと想像してしまいます。

玳瑁とはウミガメの一種で、甲羅が箱全体に張られています。蓋は中心の円と八つに区切った幾何学的なエリアに、螺鈿で花弁とおしどりが表現されています。デザインに西域の趣はなく、日本風に造られたものと感じられます。



【公式サイトの画像】 錦紫綾紅臈纈絁間縫裳
【文化遺産オンラインの画像】 高松塚古墳壁画

西新館に移動した最初の部屋は舞踊関連の品が中心です。錦紫綾紅臈纈絁間縫裳(にしきむらさきあやべにろうけちあしぎぬのまぬいのも)は巻きスカートのような衣装で、舞踊の際に女性を彩っていたのでしょうか。高松塚古墳壁画の飛鳥美人に描かれたものとそっくりです。

【公式サイトの画像】 白銅剪子

白銅剪子(はくどうのせんし)は、ろうそくの炎を調節したり芯を切ったりするために用いたはさみと考えられています。韓国・慶州で発掘された類似品からその用途が推定されています。単なるはさみと言えばそれまでですが、デザインに安定感がありとても洗練されています。不思議なオーラを感じるほどです、インテリアの装飾品としても立派に通用するでしょう。



昨年2017年の正倉院展は、平面で表現される屏風や箱の装飾にスポットがあてられていました。毎年ジャンルを変えてトピックを構成できるほど、正倉院の宝物は多様で奥が深いのです。来年2019年がどんなトピックになるか今から楽しみです。


西新館の裏の庭園

正蔵院展会場の奈良博・西新館の裏には見事な庭園が拡がっています。毎年正倉院展開催中に限って、新館の外側で庭園を眺めながら野点(のだて、屋外で楽しむ茶会)が行われています。正倉院の宝物に心が洗われた後、秋色に染まった庭園を眺めながらいただく抹茶は格別の味がします。西新館1Fの展覧会グッズ売り場のそばで、野点チケットが販売されています。こちらもお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



正倉院宝物のバイブルはこの一冊

________________________________

奈良国立博物館
第70回 正倉院展
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:奈良国立博物館
特別協力:読売新聞社
会場:東新館・西新館
会期:2018年10月27日(土)~11月12日(月)
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~17:30(金土日祝~19:30)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

宮内庁 正倉院事務所
【公式サイト】http://shosoin.kunaicho.go.jp/

※正倉院は、外観だけが公開されています。

◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札口C出口から徒歩15分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間15分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名古屋・徳川美術館で2年ぶりの源氏物語絵巻 ~本物の王朝美を12/16まで

2018年10月26日 | 美術館・展覧会

日本で最も有名な絵巻物である国宝「源氏物語絵巻」が、名古屋の徳川美術館と東京の五島美術館に所蔵されていることはよく知られています。超貴重品なのでめったに公開されないと思われがちですが、実は両館ともほぼ定期的に公開されています。徳川美術館は1~2年おきに秋に、五島美術館は毎年春に、それぞれ所蔵品の一部を1~2週間の短期間だけ公開しています。

徳川美術館では、おそらく修理の都合で昨年の公開が見送られたこともあり、今年2018年秋は2年ぶりの公開となります。展示替えはありますが1か月半ほどと会期が長く、鑑賞チャンスがとても大きくなっています。

歴史と美しさ、品格を兼ね備えた日本美術の最高傑作の一つであることに誰も異論はないでしょう。ぜひ徳川美術館へお出かけください。


美術館へ向かう黒門

源氏物語を描いた絵巻はいつの時代も制作されており、数多く存在します。徳川&五島美術館の所蔵品は現存最古のものであり、欠損の大きい断簡(だんかん)ではなく、絵が完全にのこされています。また平安時代に製作された絵巻物としても最古であり、こうした状況から国宝に指定されています。

本来は源氏物語の全54帖すべてから1~3場面を選んで制作されたと考えられています。現存は徳川美術館の10帖、五島美術館の3帖だけになっています。製作は源氏物語が西暦1000年頃に世に出てから、150年ほど後の平安時代末期です。藤原隆能(ふじわらのたかよし)が作者という説はありますが、定かではありません。

徳川美術館の所蔵品は尾張徳川家に伝来したもので、明治以降も所有者は事実上変わっていません。五島美術館の所蔵品は阿波蜂須賀家の伝来品です。明治になって益田孝が入手したものを、戦後になって東京コカ・コーラボトリングの創業者・高梨仁三郎を経て五島慶太が入手、現在に至ります。

高梨はキッコーマンの創業家の一つの出身で、五島に売却していなければコカ・コーラ美術館もしくはキッコーマン美術館ができて目玉作品となっていたかもしれません。

【公式サイトの画像】 国宝・源氏物語絵巻「東屋(一)」 ※12/4~16展示

国宝・源氏物語絵巻はその名の通り巻物ですが、1932(昭和7)年に保存のため、巻物からはがして平面に保管する額面に改装されました。しかし常時空気にさらされ、台紙の反りで負担がかかっていたため、長期保存を鑑みて2012年から本来の巻物に戻す修理が行われています。

今回の展覧会では修理前の額装のものと、修理が終わった巻物のものが並行して展示されます。修理前の額装で鑑賞できるのは最後の機会になります。

引目鉤鼻(ひきめかぎばな)で描かれた人物の表情、建物の屋根・天井を描かずに室内の様子を表現する吹抜屋台(ふきぬきやたい)と呼ばれる構図などにまず目を引かれます。平安時代の王朝文化を代表するこれら絵画表現のイメージは、まさに源氏物語絵巻のイメージそのものであることがわかります。

なお第5展示室では、常設で複製品が公開されています。例えば公式サイトで公開されている「東屋(一)」を見比べてください。

【公式サイトの画像】 国宝・源氏物語絵巻「東屋(一)」復元模写


徳川園

特別展期間中は名品コレクション展示室で、国宝の嫁入り道具・初音調度や国宝の太刀・正恒と光忠が、展示替えがありますが鑑賞できます。徳川美術館は明治以降も収集を続けており、大名家系の美術館としては日本トップクラスの質と量を誇ります。名品コレクション展示室だけでも充分に目を肥やすことができます。

美術館の敷地は、元は尾張徳川家の別邸だったところです。同じ敷地にある日本庭園の徳川園は、第二次大戦の空襲で破壊された別邸の庭園を2004年に再整備したものです。11月の日本庭園はやはり紅葉が楽しみです。芸術の秋とあわせてお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



別冊太陽が届ける「やまと絵」のバイブル


徳川美術館
特別展 源氏物語の世界 ―王朝の恋物語―
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:徳川美術館、名古屋市蓬左文庫、中日新聞社
会期:2018年11月3日(土)~12月16日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30

※11/18まで、12/2まで、12/6以降の3通りで一部展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

名古屋駅バスターミナル10番のりばから、市営バス基幹2系統「猪高車庫」方面行「徳川園新出来」停留所下車、徒歩3分
JR中央線。地下鉄名城線、名鉄瀬戸線「大曾根」駅下車、徒歩15分

名古屋駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
名古屋駅桜通口→名古屋駅バスターミナル→市営バス→徳川園新出来

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料・有料の駐車場があります。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月は山口・毛利博物館で「国宝展」 ~雪舟の最高傑作をぜひ

2018年10月25日 | 美術館・展覧会

山口・防府の毛利博物館で、毎年秋恒例の国宝展の季節がやってきました。16mもある雪舟の「四季山水図」を筆頭に、毛利家が所蔵する国宝4件と多くの重要文化財が公開されます。

同じ敷地にある重要文化財の毛利邸は、長州藩の殿様のお屋敷として気品あふれる趣に満ちています。名勝の庭園も紅葉を始め、お屋敷とも抜群に調和した美しい空間を楽しむことができます。わざわざ出かける価値があります。


表門から玄関へ至る道には御所のような趣が

毛利博物館は1967(昭和42)年、所蔵文化財・毛利邸・庭園をあわせて毛利家が財団法人化した際に開館しました。毛利邸と庭園は明治になってから国許の本邸として建設が始まり、1916(大正5)年に完成したものです。

毛利邸と呼ばれる施設は下関市長府にもありますが、こちらは長州藩の支藩の長府藩の殿様が明治になってから建てたものです。ちなみに六本木ヒルズの毛利庭園は、支藩の長府藩の屋敷の跡地に新たに造成されたものです。江戸時代の屋敷の庭園ではありません。

毛利家は公称36万石ですが、実際は雄にその倍以上あったといわれる大藩の殿様です。藩は明治維新の立役者ともなり多くの元勲も輩出しています。毛利邸は幾度も天皇の宿泊所となっているように、大大名としての品格が見事に備わっています。


毛利邸・博物館・庭園の入口

博物館は毛利邸の奥にあり、毛利邸を見てから博物館に進むのが一般的なコースです。その後、庭園に進みます。

毛利邸は部屋が60もある巨大なお屋敷です。正面玄関の車寄せは唐破風の軒がとても重厚で、特別な空間の玄関にふさわしいデザインです。書院造ですが、明治の数寄屋風の趣も随所で見られます。和室でも天井にシャンデリアが付けられていますが、部屋の趣と調和するようしっかりとデザインされています。


とても上質な書院の空間

2Fからは庭園の眺望が見事です。庭園に入れないチケットもありますが、この眺望を見れば庭園に入らない人はいないでしょう。明治・大正の和風のお屋敷は数多く現存しますが、ここはやはり品格が違います。毛利邸に隣接してミュージアムショップと喫茶室が設けられていますが、毛利邸の中でぜひお茶をいただきたいものだと感じました。実現すればとても素晴らしい空間になること間違いなしです。

【公式サイトの画像】 毛利元就像

博物館は常設展の第1展示室と、特別展会場の第2展示室に分かれています。常設展は随時展示品が入れ替えされますが、毛利元就以来の伝来品が数多くありますので必見です。

公式サイト上で国宝以外の展示作品情報が公開されていないので鑑賞できるかどうかわかりませんが、重文・毛利元就像は教科書でもよく見る著名な肖像画です。同じく重文の「幕府追討密勅」は幕末に朝廷から長州藩に出された内々の文書です。徳川慶喜が大政奉還してしまったために追討は実際には行われませんでしたが、戊辰戦争時の錦の御旗につながる歴史の生き証人と言えます。

【公式サイトの画像】 雪舟「四季山水図」

国宝「四季山水図」は「山水長巻」とも呼ばれる雪舟の最高傑作の一つです。中国の風景を四季の移ろいに合わせて描いたもので、建物・人物・岩肌・木々・空気の流れ、どれをとっても雪舟らしい緻密かつ奥行きのある表現が秀逸です。ダイナミックながらも雄大さも兼ね備えています。第2展示室はとても細長い部屋です。おそらく「山水長巻」を展示するためでしょう。

雪舟を支援した大内氏が所有していましたが、大内氏滅亡の混乱を生き残り、毛利氏が所蔵するようになったものです。毛利家にとってはまさに家宝と言える作品でしょう。

【公式サイトの画像】 「古今和歌集 巻第八」

国宝「古今和歌集 巻第八」は、高野切(こうやぎれ)と呼ばれる古今集の現存最古の写本の一つで、三巻しか残っていない完存巻の一つです。11c半ばに写されたもので、細く流麗な平安時代を感じさせる仮名文字が流れるように書かれています。国宝にふさわしい風格があります。


庭園から見た毛利邸

やや標高が下がる池の周囲に造られています。庭園からは毛利邸の建物が借景としてとても幽玄に見えます。建物の気品とも実に調和しており、素晴らしい空間になっています。四季の植物も楽しめます。庭園付きのチケットをぜひご購入ください。

【公式サイト】 庭園の地図

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



国宝の教科書。


毛利博物館/国指定名勝 毛利氏庭園
特別展「国宝」展
【公式サイト】http://www.c-able.ne.jp/~mouri-m/

会期:2018年10月27日(土)~12月2日(日)
会期中原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~16:30

※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

JR山陽線「防府」駅下車、天神口(北口)2番のりばから防長バス・阿弥陀寺行き「毛利本邸入口」バス停下車、徒歩6分
JR防府駅から車で8分、山陽道「防府西」IC「防府東」ICから車で各15分
JR新山口駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:40分
新山口駅→JR山陽線→防府駅→防長バス→毛利本邸入口
新山口駅まで 新幹線で 東京から4時間30分、新大阪から2時間、博多から35分

【公式サイト】 アクセス案内

※鉄道やバスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上野・西洋美術館で「ルーベンス」展 1/20まで ~濃厚な魅力が存分に

2018年10月24日 | 美術館・展覧会

上野の西洋美術館でかなり大規模な「ルーベンス」展が行われています。ルーベンスは、17cのヨーロッパで最も人気のあった画家の一人で、明るく濃厚なタッチのバロック絵画が各国の宮廷を魅了していました。1975年のアニメ「フランダースの犬」の最終回を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

展覧会では幅広いモチーフのルーベンス作品約40点が世界中の美術館から集められており、迫力のある作品のオンパレードです。2018年秋の上野は、フェルメール、ムンク、デュシャン、大報恩寺とはずせない大規模展が勢揃いです。西洋美術館のルーベンス展はとてもよく仕上がった展覧会と言えます。

主に市民が顧客だったフェルメールと主に宮廷・教会が顧客だったルーベンスの二人の魅力は本当に対照的です。17cのヨーロッパ絵画はとても華やかな時代でした。



ルーベンスはアントワープの名家の出身で、8年間のイタリア留学で画家としての地位を不動のものにします。各国の宮廷にも顔が広く、外交官のような仕事もこなしていた紳士でした。

展覧会は、彼を大いに飛躍させることになったイタリアとの関わりを軸に、絵のモチーフごとにフロアを構成しています。

彼がイタリアを訪れたのは1600年からの8年間で、イタリア各地で古代ローマやルネサンスの巨匠たちの作品の表現を学びます。また当時のローマはカラヴァッジオの超リアルなバロック絵画が人気を集めており、明暗と写実を徹底したカラヴァッジオの表現からも大いに刺激を受けました。

イタリアはルーベンスにとって絵画を学んだだけではなく、ヨーロッパ中の宮廷に広がる彼の人脈を広げるきっかけとなった国でもあります。訪ねた宮廷や教会の実力者に気に入られ、次の訪問先への紹介状をもらったり、使者として訪ねるようになっていました。こうして彼の人脈は芋づる式に広がっていきます。偉い人の心をつかむのが上手ないわゆる”ジジイ殺し”の才能にあふれていたのでしょう。

ルーベンスはアントワープへの帰還後も思いでの地・イタリアの友人との交流を大切にします。何度も再訪を試みたようですが、ついにはかないませんでした。外交官の仕事や大量に舞い込む絵の注文をさばく大工房の経営など、超多忙な人だったのです。

展覧会は肖像画のフロアIから始まります。「クララ・セレーナ」は、ルーベンスの長女の5歳の頃の肖像画で、つぶらな瞳の前には自然と人が多く集まってきます。ルーベンスの面影も感じます。この作品を所蔵するリヒテンシュタイン侯爵家はスイスとオーストリアに挟まれたミニ国家の元首で、世界有数の絵画コレクションを持つことでも知られています。

展覧会には侯爵家から8点が出展されています。展覧会チラシ表紙に採用された「エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち」は最後のフロアVIIで輝きを放っています。ギリシャ神話の寓意を描いたこの作品は、ルーベンスらしいふくよかな肉体表現と赤い頬がまるでぷよぷよと動き出すように描かれています。傑作です。

侯爵家コレクションは素晴らしい作品ばかりです。絵の解説パネルでは所蔵先を確認してみてください。

【公式サイトの画像】 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション(SCALA archives)「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」

【公式サイトの画像】 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション(SCALA archives)「エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち」

フロアVIには「絵筆の熱狂」というタイトルが付けられています。これは後世に彼の作品を評して名付けられたもので、その名の通り躍動感にあふれた作品が目白押しです。

「パエトンの墜落」はギリシャ神話の一場面を、ローマ滞在時に描いたものです。画家として初期の作品で、タッチに若々しさが見えます。雲の間から強く照らす太陽光線をスポットライトのように浮かび上がらせる手法は、イタリアのバロック絵画によく見られます。イタリアへの強い思い入れを感じさせます。

【公式サイトの画像】 National Gallery of Art, Washington DC「パエトンの墜落」

ルーベンスは大画面の作品が多いことでも知られています。日本初公開の「聖アンデレの殉教」も3m×2mの大作で圧巻の迫力です。他にも大作は多く、世界中の美術館から借りていることから、輸送費と保険料がかなりの高額になっていると想像できます。そんな努力が実った、素晴らしい構成の展覧会に仕上がっています。

地下の入口横のロビーでは、アントワープ・聖母マリア大聖堂の「キリスト昇架」「キリスト降架」の美しい4K映像が流されています。「フランダースの犬」の最終回で、ネロ少年がこれら絵に祈りながら息を引き取ったあのルーベンスの最高傑作です。手を合わせたくなるようなオーラは映像を通じてでも感じられるほどです。こちらもぜひ。



JR上野駅の公園口を北側に移設する工事が行われていました。西洋美術館と東京文化会館の間の大きな通りの正面に改札ができ、車を通れなくして横断歩道もなくすようです。2020年7月、オリンピック直前の完成予定ですが、現在の改札前の信号待ちの混雑がなくなるだけでもずっとスムースになります。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



欧州美術史の巨匠が語るルーベンス


国立西洋美術館
ルーベンス展 ―バロックの誕生
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:国立西洋美術館、TBS、朝日新聞社
会期:2018年10月16日(火)~2019年1月20日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~17:00(金土曜~19:30)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

JR「上野駅」下車、公園口から徒歩2分
東京メトロ・銀座線/日比谷線「上野」駅下車、7番出口から徒歩8分
京成電鉄「京成上野」駅下車、正面口から徒歩8分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
JR東京駅→山手・京浜東北線→上野駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上野・東博「大報恩寺」展12/9まで ~快慶より定慶が素晴らしい

2018年10月23日 | 美術館・展覧会

京都の西陣にある大報恩寺(だいほうおんじ)は全国的な知名度はさほど高くありませんが、京都では千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)の通称でとても愛されている寺です。本堂は洛中(京都市街の中心部)で唯一、応仁の乱を生き抜いた奇跡的な建造物です。

そんな奇跡の本堂と共に、応仁の乱を生き抜いた美仏が東博に出開帳(でかいちょう)します。普段は防災のため本堂と霊宝殿に分かれて安置されている仏様が、本堂で本尊を囲むように安置されていた元来の状態で展示されます。最近の展覧会の仏像展示では必須となっている360度鑑賞もばっちりです。

鑑賞という目的では格段に環境が良くなります。京都から出開帳を見に東京にまで出かけることは永らく”ありえない”ことでしたが、最新の展覧会はわざわざ出かける価値があります。



大報恩寺は、鎌倉時代初めの1221(承久3)年に創建されました。国宝の本堂はその6年後の上棟で、洛中最古の建造物です。京都で一番と言いたいところですが、京都市全域では郊外の醍醐寺・五重塔が最古です。平安時代半ばの951(天暦5)年建立です。こちらも数々の戦乱を生き抜いた奇跡的な建造物です。

大報恩寺・本堂建築の大工の棟梁の妻だった女性が、ふくよかなお面で知られる「おかめ」の発祥と京都では知られています。夫婦円満など、千本釈迦堂で最も信奉を集めるご利益となっています。

【公式サイトの画像】 ご紹介した作品の画像が「展覧会のみどころ」に掲載されています

本尊の重文・釈迦如来坐像は快慶の後継者である行快(ぎょうかい)の作です。寺創建の頃の造立で、快慶らしい落ち着きと洗練を兼ね備えた作風をきちんと受け継いでいる印象を受けます。そんな中にも目じりのやや上がった行快の個性も表現されています。師よりもさらに腕を磨いたことを、行快が形に残したかったように思える本当に美しい美仏です。

本尊は現在も年3回(8月六道まいり、12月大根炊き、正月)の計14日ほどしか公開されていない秘仏です。黄金色の肌がのこされており、保存状態の良さも見事です。


応仁の乱を生き抜いた国宝の本堂

本尊・釈迦如来以外の仏像は普段は霊宝殿にいらっしゃいます。本尊を取り囲む本来のポジションで展示されている重文・十大弟子は、寺創建直前から本堂上棟の頃にかけて、快慶とその一門により造立されたものです。十体揃っていることも、他に聞いたことがありません。

十大弟子の造立例では興福寺・国宝館所蔵(現存は6体のみ)がよく知られています。素朴な印象を受ける奈良時代の興福寺の十大弟子に比べ、鎌倉仏だけあってリアルな表現がとても目立っています。釈迦の高弟たちが仏法の習得に立ち向かう真剣な姿を、実に写実的に美しく表現しています。

【公式サイトの画像】 興福寺・国宝「乾漆十大弟子立像」

私個人的には重文・六観音像が最も楽しみでした。京都・千本釈迦堂の霊宝殿でもお会いしていますが、ほれぼれするほど美しいいお姿はもちろん、やはり背後を見られることがポイントです。

六観音とは、六道輪廻と観音信仰が結びついた日本独自のものです。”6”に合わせるように、六種の観音が六道ごとに人々を救うとされ、平安時代に大流行しました。六観音揃った現存例は他にありません。作者と製作年代がわかっていることもあり、国宝昇格に相応しいのではと個人的には期待しています。

六観音は1224(貞応3)年頃の造立で、作者は運慶の次男・康運が改名し名乗った肥後定慶(ひごじょうけい)とその一門と考えられています。他の作例では京都・鞍馬寺の聖観音像が著名です。

六観音像は、運慶の確立した写実表現に女性的な繊細さが加味されています。お顔もそうですが、背後から見たなで肩やお尻のラインが実に艶やかです。聖観音の二の腕の細さと指先の表現も絶品です。10/30からの後期展示では光背が外されます。背中の美しさがよりわかるようになります。

展覧会では、北野経王堂(きたのきょうおうどう)に関する解説・展示がしっかりとなされています。北野経王堂は足利義満が建立した寺で、三十三間堂よりはるかに大きい巨大な堂宇がありました。江戸時代には荒廃しましたが、伝来品の多くが大報恩寺に移管されて現存しています。六観音像も北野経王堂にあったものと考えられています。

方広寺大仏と同じく、京都でも知る人が少なくなった北野経王堂ですが、輝いていた時代があったことを紹介しようとした展覧会の企画者には頭が下がります。


東博からスカイツリーが見えます

昨年2017年にも「史上最大の運慶展」で話題になったように、東博は仏教美術の大規模展がトレンドです。来年2019年春には東寺・講堂の立体曼荼羅がやってきます。平安時代のイケメン仏のトップスター・帝釈天ももちろん出開帳します。どんな展示の演出があるのか、今からとても楽しみです。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



慶派の仏師は運慶・快慶ほかにもたくさんいます


東京国立博物館
特別展 京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:東京国立博物館、大報恩寺、読売新聞社
会期:2018年10月2日(火)~12月9日(日)
会場:平成館 2F特別展示室 第3室・第4室(デュシャン展の向かい側)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30(金土曜~20:30)

※10/28までの前期展示、10/30以降の後期展示で一部展示作品/場面が入れ替えされます。
※前期・後期展示期間内でも、展示期間が限られている作品/場面があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

大報恩寺(千本釈迦堂)
【公式サイト】http://www.daihoonji.com/



◆おすすめ交通機関◆

JR「上野駅」下車、公園口から徒歩10分
JR山手・京浜東北線「鶯谷駅」下車、南口から徒歩10分
東京メトロ・銀座線/日比谷線「上野」駅下車、7番出口から徒歩15分
東京メトロ・千代田線「根津」駅下車、1番出口から徒歩15分
京成電鉄「京成上野」駅下車、正面口から徒歩15分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR東京駅→山手・京浜東北線→上野駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上野・東博「デュシャン」展 12/9まで ~摩訶不思議な魅力のとりこに

2018年10月22日 | 美術館・展覧会

マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)という20世紀の芸術家の名前は、ピカソに比べると知らない人が多いでしょう。綺麗に言えば「形式にとらわれない」、ぶっちゃけて言えば「摩訶不思議」な20世紀のモダンアートの扉を開いた巨匠がデュシャンなのです。

そのデュシャンの作品が大挙して、アメリカのフィラデルフィア美術館から東京国立博物館に来てくれています。デュシャン作品を国内でまとまって鑑賞できる機会はそうそうありません。展示の最後には、日本美術の傑作も鑑賞することができます。デュシャンの「摩訶不思議」ワールドをぜひお楽しみください。



デュシャンは活動の大半をアメリカで行い、帰化もしましたが、1887年生まれのフランス人です。彼の制作は1904年にパリに出てからですが、当初は絵画作品を制作していました。

展覧会の第1章では印象派・象徴主義・フォービズムなど当時の画風の影響を受けた作品で構成されています。彼に絵画のイメージはあまりないので、斬新に鑑賞できます。この時代の最高傑作「階段を降りる裸体 No. 2」も来てくれています。

【公式サイトの画像】 「階段を降りる裸体 No. 2」

当初フランスで保守派からタイトルに対してクレームが付き、彼がこの後絵画を一切制作しなくなったきっかけと言われています。しかし1913年のニューヨークの展覧会では、賛否両論あったものの大きな話題を集め、デュシャンの名をアメリカで一躍有名にしました。裸体というよりもロボットが階段を下りるように見える、キュビズム表現の傑作です。

第2章は、既製品を利用したオブジェ作品である「レディ・メイド」を制作し始めた1910年代です。デュシャンのイメージが最も強い作品です。最初のレディ・メイド作品である「自転車の車輪」(展示はレプリカ)は、既製品を芸術作品に見せた記念碑的な作品です。現代では普通の手法になっていますが、当時鑑賞した人はどのように感じたのか、とても興味を持ちました。

【公式サイトの画像】「自転車の車輪」

彼の代表作、通称「大ガラス」はフィラデルフィア美術館にある原本の写真と東大所蔵のレプリカが展示されています。多くの人にとって一見意味不明の典型的な作品です。とてもシンプルな禅宗庭園のように、意味を自分で考えさせる目的で作ったのかと、思ってしまいました。最低10分間を目標に、意味や印象を言葉にしてみると面白い発想がきっと浮かんでくるかもしれません。

【公式サイトの画像】 フィラデルフィア美術館「The Large Glass」

オブジェ作品は、レプリカや写真による展示が少なくありません。「輸送の振動に耐えられないほど繊細」「分解できずトラックに載せられない」「紛失」といった理由です。彼の代表作として名高い便器のオブジェ「泉」も、オリジナルは紛失しています。

第3章は1920年代から第二次大戦のころまで、デュシャンの活動がさらに自由奔放になった時代の展示です。1921年から彼はチェスに没頭し始めます。創作活動は架空の女性「ローズ・セラヴィ」に扮し、ささやかに行う程度になります。

彼が女装してローズに扮したポートレート写真が印象的です。撮影はデュシャンがリード役となった最新の芸術運動ニューヨーク・ダダで、もう一人の盟主となった写真家マン・レイです。

第4章は、デュシャンが晩年を過ごした戦後の時代です。彼の死後に発表され世間を驚かせた、通称「遺作」の原本の設置映像が流されています。「遺作」は彼が20年以上一切口外せずに制作を続けていたもので、彼の遺言でフィラデルフィア美術館に設置されました。

フィラデルフィア美術館は現在世界随一のデュシャン作品を所蔵しています。コレクションの核は長年彼のパトロンでもあったアレンズバーグ夫妻からの寄贈品です。その後も他のコレクターからの寄贈も受け続け、まさにデュシャンとは赤い糸で結ばれているような美術館です。


フィラデルフィア美術館

私は訪れたことがあります。展示スペースはニューヨークのメトロポリタン美術館並みの巨大さで、古代からモダンまで名作が本当によく揃っています。アメリカの地方都市の美術館はどこも巨大で、本当に名品を多く持っています。出張・旅行の際にはぜひ訪れてみてください。



第2部として日本美術とデュシャンほか西洋アートの価値観を対比し、日本美術の新しい楽しみ方を提案する展示が行われています。写楽の「岩井半四郎」や本阿弥光悦の国宝の蒔絵など、出展作自体はとても見応えがありますが、価値観対比の提案には少々無理を感じます。ただし日本と世界の価値観を対比すること自体は素晴らしい試みです。新たな提案を期待したいものです。

デュシャン展会場の反対側では、快慶・定慶の美仏とお会いできる「大報恩寺」展が同時開催されています。セット入場券もありますよ。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



摩訶不思議を具体化する


東京国立博物館
東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画 特別展
マルセル・デュシャンと日本美術
【美術館による展覧会公式サイト】
【美術館による展覧会特集サイト】

主催:東京国立博物館、フィラデルフィア美術館
会期:2018年10月2日(火)~12月9日(日)
会場:平成館 2F特別展示室 第1室・第2室(大報恩寺展の向かい側)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30(金土曜~20:30)

※第2部「ヂュシャンの向こうに日本が見える」に出展される日本美術は、10/2~10/28、10/30~11/18、11/20~12/9の3期に分けてほとんどの展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、第1部「ヂュシャン 人と作品」に展示されるフィラデルフィア美術館所蔵品のみ、2018年2月から韓国・ソウル・国立現代美術館、2019年4月からオーストラリア・シドニー・ニューサウスウェールズ州立美術館、に巡回します。
※この展覧会は、非営利かつ私的使用目的でのみ、撮影禁止作品以外の会場内の写真撮影とWeb上への公開が可能です。ただしフラッシュ/三脚/自撮り棒は禁止です。

フィラデルフィア美術館
【公式サイト】http://www.philamuseum.org/ (英語)



◆おすすめ交通機関◆

JR「上野駅」下車、公園口から徒歩10分
JR山手・京浜東北線「鶯谷駅」下車、南口から徒歩10分
東京メトロ・銀座線/日比谷線「上野」駅下車、7番出口から徒歩15分
東京メトロ・千代田線「根津」駅下車、1番出口から徒歩15分
京成電鉄「京成上野」駅下車、正面口から徒歩15分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR東京駅→山手・京浜東北線→上野駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪市立美術館で中国書画を11/25まで ~阿部コレクションの至宝が集結

2018年10月21日 | 美術館・展覧会

阿部房次郎(あべふさじろう)の名は決して知名度は高くないと思いますが、実業家として大正から昭和初期にかけて収集した中国書画のコレクションの充実ぶりが国内外で知られています。重要文化財4点を含む、唐から清代まで中国書画の名品が揃っています。

房次郎の死後に一括してコレクションの寄贈を受けた大阪・天王寺の大阪市立美術館で、この阿部コレクションの主要作品を公開する展覧会が始まっています。房次郎が存命中に寄贈していた東京国立博物館の所蔵作品も出品され、とても内容の充実した展覧会になっています。

中国書画の歩みをこれほどの規模で俯瞰できる展覧会はめったにありません。


近くにはあべのハルカス

阿部房次郎は明治維新の年に彦根に生まれ、滋賀県を中心に数々の業種の企業経営に携わった人物です。現在の東洋紡の社長も務め、戦前の経済界の重鎮として知られていました。

阿部コレクションが質量ともに充実することになったのは、清朝末期の北京の収蔵家・完顔景賢(かんがんけいけん)の所蔵品をまとまって入手できたことでした。世界的にもほとんど残っていない宋代以前の名品が多いことから、阿部コレクションの名を世界的に知らしめることになったのです。

実業家が美術品を収集するのは古今東西同じですが、日本は明治維新と太平洋戦争の二度の混乱で多くが散逸してしまっています。また公共の美術館に寄贈する文化が希薄で、欧米の美術館のように質量ともに圧倒的な巨大美術館が育っていません。

この点で阿部は、日本のコレクターとしては稀有な人物です。存命中から収集品は公開することを良しとしていたこともあり、死後に遺族から大阪市立美術館に一括寄贈されることになったのです。大阪市立美術館は、国内でも寄贈品によるコレクション形成が目立つ美術館です。東博・京博も寄贈品は少なくありませんが、税制上のメリットや美術館での保管スペースなど、まだまだ課題が多いのが現状です。

【公式サイト 主な出展品の画像】 「阿部房次郎と中国書画」主な展示(ページ中ほど)

展示は2Fで行われています。希少価値があるだけに唐・宋代の作品にやはり目が行きます。重要文化財の伝:王維筆「伏生授経図」はコレクション最古級の唐~宋代に製作された絵画です。時間の積み重ねを感じさせる書にいそしむ人物の描写は、日本の平安時代の絵巻物のような風格も備えています。

「五星二十八宿神形図」は6c南朝の画家・張僧繇の筆とささやかれていますが定かではありません。天女が鳳凰に乗って空を舞う様子は、西域のエキゾチックで優雅な描写の影響を思わせます。正倉院宝物のような存在感があります。

続く金代の重要文化財・宮素然筆「明妃出塞図」は、中国四大美人の一人・王昭君の悲劇を描いた作品で、北方騎馬民族らしい猛々しい描写で表現されています。墨の線だけでほとんどを表現する白描が美しい名品です。

これら三点は完顔景賢の旧蔵品です。

元代の龔開筆「駿骨図」は、ひどくやせ細った馬の姿とやたらに多い収蔵印の数が目を引きます。不思議な人を引きつけるオーラがあり、稀有な運命をたどってきた作品と感じます。

清の乾隆帝の宮廷画家・金廷標筆「春元瑞兆図」は、仙人が山中で岩を見上げる姿が気品良く描かれています。仙人の衣の緑と山の木々の緑の対比がとても上手です。華嵒筆「秋声賦意図」は与謝蕪村の文人画を思わせるような、洒脱でほのぼのとしたタッチが個性的です。

全部で80点の出展作品を見て回るとかなり濃厚です。時代に応じた画風の変化もとてもよくわかります。1F展示室では、「ルーヴル美術館展 肖像芸術」も同時開催されています。ルーヴル展のチケットで阿部房次郎展も鑑賞できますので、あわせてどうぞ。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



日本書画の手本となった中国書画の魅力とは?


大阪市立美術館
特集展示 生誕150周年記念 阿部房次郎と中国書画
【美術館による展覧会公式サイト】

会期:2018年10月16日(火)~2018年11月25日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

※11/4までの前期展示、11/6以降の後期展示で一部展示作品が入れ替えされます。
※前期・後期展示期間内でも、展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

JR・大阪メトロ「天王寺駅」、近鉄「大阪阿部野橋」駅、阪堺電車「天王寺駅前」駅下車
各駅から天王寺公園内を通って徒歩5~10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→天王寺駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。有料の天王寺公園地下駐車場が利用できます。
※駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪・南蛮文化館が11/30まで開館 ~日本有数の南蛮コレクションをぜひ

2018年10月19日 | 美術館・展覧会

西日本最大の巨大ターミナル、大阪・梅田から北に一駅行くと中津の町があります。古くからオフィス・工場・飲食店と住宅が混在するエリアですが、近年は梅田が近いこともあってタワーマンションの建設が目立ちます。

その中津に、1年に2か月間しか開館しない一風変わった美術館があります。戦国末期から江戸時代初期にかけて、日本と西洋の交流の結果生まれた南蛮美術を収集・展示する南蛮文化館です。

重要文化財の南蛮屏風を筆頭に、螺鈿や金細工など、日本人が初めて出会った西洋人から学んだ文化がとても器用に表現されていることには驚きます。キリスト教信仰に用いた絵画や十字架からは、信者の敬虔な思いが現代にも伝わってきます。

神戸市立博物館の池永コレクションと並んで日本有数の南蛮美術コレクションです。11月に鑑賞できます。



関西は大阪府北部を中心にキリスト教信者が安土桃山時代に多く存在しました。高槻城主だった戦国大名・高山右近が中でも著名です。江戸時代になって禁教になると、信者は地下へもぐります。信仰に関わる品は開かずの蔵の奥で400年間眠り続け、20cになって発見されて、明るみに出たものが大半です。

南蛮文化館は、代々中津一帯の広大な地主だった北村家の当主が戦後になって収集を始め、1968(昭和43)年に現地に開館しました。収集にあたっては神戸市立博物館に南蛮美術コレクションを寄贈した池長孟(いけながはじめ)の著作をよく研究していたようです。収集のために多くの不動産を手放したのも池長孟と同じです。

公開を年に2か月、5月と11月に限っているのは開館当初からの伝統で、気温と湿度の影響から作品を守るため、とのことです。


入口

重要文化財の南蛮屏風は、2Fの南蛮美術の展示室にあります。六曲一双のツインの大画面にまず圧倒されます。洛中洛外図のように南蛮人と日本人の交流の様子を金地に描いた典型的な画風で、南蛮船や黒人、宣教師、教会といった基本アイテムが繊細に描かれています。

神戸市立博物館の狩野内膳筆の重要文化財・南蛮屏風の描き方に近く、とても構図のバランスが良い印象を受けます。彩色も綺麗にのこっており、大切に守られてきたのでしょう。

2Fには洛中洛外図もあり、東西交流に関連する安土桃山時代の文化全般に、北村氏の関心が及んでいたことがうかがえます。十字架の文様が入った茶碗は、デザイン的にとても興味深い作品です。どんな味がするか、この器でぜひ茶を飲んでみたいと思ってしまいました。

1Fはキリシタンが信仰に用いた遺品が展示されています。「悲しみのマリア像」はファンも多いようで、イタリア人画家が描いたという陰影を駆使した表情の描写が目を引きます。旧家の土塀に竹筒に入れられた状態で隠されていたそうです。丸められた際の折り目が痛々しいですが、マリアの顔の部分にはなぜか目立った折り目が入っていません。このことも神がかり的なパワーを感じさせます。絵としても素晴らしい名品です。

天正遣欧使節の記録文書や十字架など、400年前のキリシタンの息吹が伝わってくる遺品が数多く展示されています。安土桃山時代は、西洋という新しい刺激に、とても生き生きとしていたのだと思いを馳せます

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



南蛮とは何ぞや?


南蛮文化館
【公式サイト】http://www.namban.jp/namban/

会期:毎年5月と11月
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:00

※この美術館は毎年春秋の2か月間のみ、所蔵品を入れ替えながら公開しています。
※ご紹介した作品が展示されていない場合もあります。



◆おすすめ交通機関◆

阪急神戸線・宝塚線「中津」駅下車徒歩3分
大阪メトロ御堂筋線「中津」駅下車5番出口から徒歩6分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
JR大阪駅(阪急梅田駅)→阪急神戸線・宝塚線→中津駅

※この施設には駐車場はありません。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都・相国寺・承天閣美術館の絶品がフル公開中 ~唐物から若冲まで

2018年10月17日 | 美術館・展覧会

相国寺と金閣寺・銀閣寺などの塔頭が所蔵する名品を一堂に公開する展覧会「温故礼賛」が、京都の相国寺境内にある承天閣(じょうてんかく)美術館で行われています。

相国寺は室町幕府の厚い庇護を受けてきた寺で、水墨画に代表される禅宗文化や中国美術の名品を数多く所有しています。また関係の深かった伊藤若冲ら、江戸時代の画家の作品もたくさんあります。京都のお寺のミュージアムでは最もコレクションの幅が広く、京都を代表する私立美術館の一つでもあります。

京博で行われている「かたな」展ほどは正直目立たないこともあり、さほど混雑することなく一級の作品をじっくりと鑑賞できます。ぜひおすすめします。


烏丸通からの相国寺境内への入口

承天閣のコレクションは、2004年に閉館した大阪の萬野美術館から多数の寄贈を受けたことで、さらに幅を増しています。今回の展覧会のII期で出展される国宝の玳玻天目(たいひてんもく)茶碗がその筆頭です。円山応挙や池大雅といった江戸時代の画家の作品も多くが萬野美術館の旧蔵品です。

展覧会のサブタイトルに「相国寺文化圏」と名付けられていますが、とても上手なネーミングであることが、鑑賞後に理解できます。雪舟を始め多くの画僧を輩出し、室町時代の一番のサロンとして京都文化を相国寺はリードしていました。江戸時代に若冲の才能を見出し、あの傑作「動植綵絵」が相国寺に納められたことが、明治の廃仏毀釈の嵐から相国寺を救うことにもなります。


若冲の「竹虎図」が展覧会の看板に

【公式サイトの画像】 足利義満像

展覧会のスタートはやはりこの人物でしょう。相国寺を開いた室町三代将軍・足利義満像です。鹿苑寺に伝わるこの像は、教科書などで見た記憶のある方も多いと思います。たれ目ですが目線は鋭く、絶大な権力を誇った威厳が見事に表現されています。黄金色の法衣も実に見事です。ゴージャスさを好んだ義満の人柄がとても気品よく描かれています。

【公式サイトの画像】 無学祖元墨蹟「与長楽寺一翁偈語」

鎌倉時代に北条氏の招きで中国から来日し、鎌倉・円覚寺を開いた無学祖元(むがくそげん)の国宝の墨蹟、すなわち高僧の真筆の文書です。優雅さと気品を兼ね備えた書の一級品です。教えを請いに来た老僧との問答に感動したことを記しています。文字が崩さずに書かれており、中国の高僧らしい実直さ伝わってきます。

雪舟作品のモチーフとしては珍しい毘沙門天図は、とてもユニークな表現です。仏法を守るりりしい姿というよりも、福の神として邪気を踏みつける愛嬌のある姿で描かれています。雪舟がこのような表現もしていたのかと感心する名品です。

【公式サイトの画像】 鳴鶴図(右幅)

鳴鶴図(めいかくず)は明の画家・文正による重要文化財です。悠久の渓谷の上を優雅にはばたく鶴の羽が輝くように見える名作です。700年ほど前の作品ですが、保存状態と使用した顔料のいずれも超一級だったのでしょう。

【主催者:京都新聞サイトの画像】 伊藤若冲「竹虎図」、円山応挙「大瀑布図」

伊藤若冲の「竹虎図」は若冲らしい生き生きとした虎のボディの表現が魅力的です。水墨画でモノクロなことも、当時は誰も実物を見たことがなかった虎の神秘性を増しています。

円山応挙「大瀑布図」は3mを超す大作で、岩肌と水の流れを一切妥協することなく誠実に緻密に描いています。重要文化財に指定されたばかりの、応挙らしい名品です。

茶道具では、東山御物(ひがしやまごもつ)だった「唐物小丸壺茶入」をぜひ見てほしいと思います。足利義政ゆかりの慈照寺の伝来品です。腰のラインがとても上品で、さすがは東山御物と思える雰囲気を漂わせています。


美術館入口から見た相国寺

いかにも意思の強そうな後水尾天皇の肖像、若冲が緑の箒の後ろに黒い犬を描いたとても愛くるしい厖児戯帚図、池大雅が悠久の仙境を描いた白雲紅樹図などなど、他にも名品が目白押しです。若冲が鹿苑寺で描いた余白の使い方が絶妙な障壁画も、常設展示スペースで鑑賞することができます。

【公式サイトの画像】 鹿苑寺大書院 障壁画

すごい展覧会です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



和樂が茶道を斬る


相国寺 承天閣美術館
温故礼讃 -百花繚乱・相国寺文化圏
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:相国寺承天閣美術館、京都新聞
会期:2018年10月13日(土)~2019年3月24日(日)
原則休館日:2018/12/25~2019/1/12
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30

※12/24までのI期展示、1/13以降のII期展示で一部展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、3番出口から徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→今出川駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設に駐車場はありません。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする