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大津歴博「神仏のかたち」展 11/25まで ~大津の美仏はやはり素晴らしい

2018年10月16日 | 美術館・展覧会

滋賀県の大津市歴史博物館で、延暦寺など大津市に所在する著名な10社寺所蔵の仏像・神像を公開する「神仏のかたち」展が行われています。大津市には他にも三井寺・石山寺・西教寺といった著名寺院が多くあり、京都や奈良と並んで仏教美術の宝庫でもあります。

国宝1点・重要文化財15点が含まれ、普段非公開の文化財も多く出展されます。大津市の仏教文化のレベルの高さを確認できる展覧会です。秘仏にお会いできる貴重な機会です。


大津歴博の入口

通称・大津歴博(おおつれきはく)で親しまれているこの博物館は、三井寺近くの琵琶湖のビューが美しい高台にあり、1990年に開館しました。大津市の歴史を紹介する常設展に加え、他施設からの貸し出し品も交えた企画展を年3回ほど、自館の所蔵品をテーマに応じて展示するミニ企画展を年8回ほど行っています。

大津市は東海道や琵琶湖の水運の拠点として栄え、京都の東の玄関口にもあたります。飛鳥時代に大津京が置かれたこともあり、悠久の歴史を持つ街です。そのため古刹や一級の仏教美術もたくさんありますが、非公開のものが少なくなく、鑑賞機会になかなか恵まれません。

「神仏のかたち」展は、仏像・神像や仏画を、シャカ・如来・菩薩・明王・天部・神像・高僧・羅漢の順でモチーフになった仏様・神様の種類ごとに展示されています。解説パネルはとても丁寧で、その種類の仏様・神様の役割やお姿の特徴を基礎から学べるようになっていることも展覧会の特徴です。

【公式サイト 主な出展品の画像】 大津歴博「神仏のかたち」展示構成(ページ中ほど)

展示の最初「シャカ」では、国宝の舎利容器がまばゆい輝きを放っています。大津京のそばに飛鳥時代から室町時代にかけて存在した崇福寺の跡地から、近年の発掘調査の際に出土したものです。釈迦の遺骨を納めるための容器で、奈良時代の最先端のデザインが施されています。仏様のものですが、”神々しい”オーラを感じさせます。

次の「如来」はスター揃いです。安楽寺・法楽寺・西教寺の三体の重文・薬師如来坐像と一度にお会いできることがとても爽快です。いずれも秘仏で保存状態が良く、肌や衣のラインがとても美しくのこされています。

西教寺の薬師如来は、白河天皇が岡崎に建立した法勝寺(ほっしょうじ)が安土桃山時代に西教寺に併合された際に、西教寺に移されたと伝えられています。切れ長の目のお顔と、右手が胸の中心で左手に添えるように造形されている姿が神秘的です。西教寺からは行快作の阿弥陀如来立像も見応えがあります。快慶の後継者として、静寂と落ち着きを見事に表現しています。

石山寺の重文・大日如来坐像は快慶作です。日本で最も美しい国宝の多宝塔の本尊です。怪しい輝きを発するような玉眼の目の造形は、密教の王者としての威厳と風格を見事に表しています。

「菩薩」では10/16以降、京都・妙傳寺の弥勒菩薩半跏思惟像が出展されます。2017年に7cの朝鮮半島での制作と鑑定されて話題となった鍍金仏で、日本の飛鳥仏のような微笑が美しい傑作です。

「明王」では、延暦寺の重文・降三世明王立像の蝋燭のすすで染まった漆黒のボディが目を引きます。鎌倉仏らしく造形は繊細でリアルです。煩悩を焼き尽くすパワーが見事に表現されている美仏です。聖衆来迎寺の愛染明王坐像も美しいお姿です。赤い肌の色がかすかにのこされているところが、どこか官能的にも見えます。

「天部」では、園城寺の大黒天立像の少年のようなお顔が魅力的です。ふくよかなおじさんのように表現されることが多い大黒天ですが、まれに異なるお顔立ちを目にします。この仏さまもまさにそのまれな名品です。


博物館の付近は散策路がたくさん

大津歴博は三井寺に徒歩5分ほどで行けます。この展覧会に出展している社寺の多くも京阪石山坂本線を利用して訪ねることができます。展覧会で印象に残った作品の社寺にも、ぜひ足を運んでみてください。隣の展示室で開かれている企画展「60年前の大津」もどうぞ。

【公式サイト】企画展「60年前の大津」

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



大津絵は、江戸時代の東海道有数の人気土産だった


大津市歴史博物館
湖都大津十社寺・湖信会設立60周年記念・日本遺産登録記念企画展
神仏のかたち -湖都大津の仏像と神像-
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、びわ湖大津観光協会、湖信会10社寺、京都新聞
会期:2018年10月13日(土)~11月25日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:00~16:30

※展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

京阪石山坂本線「大津市役所前」駅下車徒歩7分、JR湖西線「大津京」駅下車徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
京都駅→JR湖西線→大津京駅→京阪石山坂本線→大津市役所前駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。


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大阪・久保惣美術館「土佐派と住吉派」 ~やまと絵が時代の荒波を乗り越えた

2018年10月14日 | 美術館・展覧会

大阪の和泉市久保惣(いずみしくぼそう)美術館で「土佐派と住吉派」展が開催されています。平安時代から続く日本の伝統的な絵画様式である「やまと絵」の存在感を、桃山時代から江戸時代初期にかけてあらためて定着させた画派の軌跡を俯瞰できる名品が揃っています。

近年は複数の美術館が共通するテーマで展覧会を連携開催することが増えています。この「土佐派と住吉派」展も、近隣の堺市博物館で開催されている「土佐光吉」展とコラボしています。

久保惣美術館は緑が豊かな美術館で、回廊を散策するだけでとてもすがすがしい気分になります。やまと絵の美しい彩とともに秋の一日をお楽しみください。



久保惣美術館は繊維業で財を成した久保家のコレクションを元に1982(昭和57)年に開館しました。大阪府南部は明治以降繊維産業が盛んでした。京都・細見美術館を開館した細見家も和泉市に隣接する泉大津市で繊維産業で財を成しました。

案外知られていませんが久保惣美術館は、国宝2点・重要文化財29点を所蔵し、個人コレクションとしては日本有数の質と量を誇ります。日本と中国の書画・陶磁器を中心に浮世絵や19c西洋絵画も充実しており、特別展開催時以外の常設展も必見です。他館の展覧会からの所蔵品貸出依頼も頻繁に行われています。

久保惣美術館の「土佐派と住吉派」展では、室町時代から江戸時代初期にかけてのやまと絵作品を俯瞰できます。古典を主に題材にした日本の伝統的な絵画表現であるやまと絵が、土佐派と住吉派の手で中世から近世へどのように変貌していったかを学ぶことができます。全国の美術館や個人所蔵家から作品が集まっており、久保惣美術館の企画力と運営力への信用の高さがうかがえます。

【公式サイトの画像】 東京国立博物館 浜松図屏風

展示のプロローグは、室町時代のやまと絵屏風です。重文「浜松図屏風」(展示~10/28)は土佐派の作品とも考えられています。浜辺の人々の営みや四季の移ろいを描いた、いわば風俗画ともいえるモチーフです。しかし遠景と近景を交えて描いており、全体としての印象はやまと絵としての壮麗さが保たれている名品です。


展示会場・本館の入口

足利義政以降の室町将軍に仕えた光信(みつのぶ)・光茂(みつもち)親子は、厳しい戦国の世で平安時代以来の古典的なやまと絵のスタイルを最後に華咲かせました。光茂作「桑実寺(くわのみでら)縁起絵巻」は、水の青と山の緑の対比が美しい作品です。緻密な描写は次の光吉(みつよし)の代に受け継がれていくことが分かります。

【公式サイトの画像】 久保惣美術館 源氏物語手鑑 手習一

光吉といえば、源氏物語の絵師です。重文「源氏物語手鑑(てかがみ)」は鮮やかな彩色、中でも金の雲と植物や畳の緑が効いています。古典をモチーフにしながら、桃山時代のニーズに合わせた豪放で写実的な表現です。やまと絵の新しい展開を彷彿とさせる名品です。

光吉・光則(みつのり)に続く光起(みつおき)は堺から京都に拠点を移し、戦国時代に失った宮廷御用絵師の職である絵所(えどころ)を取り戻します。京の都で栄えていた寛永文化のリード役でもあった後水尾上皇に気に入られ、源氏物語や三十六歌仙などの古典のモチーフを中心に、光吉の画風よりさらに洗練された彩色で写実的に描きます。

光起の作品は全般的に構図がシンプルでわかりやすい印象を受けます。茶道資料館蔵「朝儀図屏風」は天皇に拝謁する公家たちをクローンの映像のように上空から斜めに見た角度で描いています。余白として広く描かれた地面に、身分の上下で色が異なる衣装でひれ伏す公家たちの姿は、日本画には珍しい幾何学的な構造で斬新です。

京都市立芸術大学芸術資料館像「源氏物語画帖下絵」は、制作にあたって手本とするために、モチーフの輪郭線だけを描いたものです。製作の品質を保つため、工房の絵師たちが下絵を元に大量の注文をこなしていたものです。現代のマンガや映像作品のコンテに相当します。当時の工房の活気が伝わってくる見事な芸術品でもあります。

【公式サイトの画像】 久保惣美術館 三十六歌仙画帖 斎宮女御

住吉如慶(すみよしじょけい)は土佐光吉の弟子で、東照宮縁起絵巻を制作するために江戸に下ったことで頭角を現しました。鎌倉時代に途絶えた絵所の名門・住吉家の再興を後西天皇に命じられ、土佐派から独立して住吉派を起こします。

住吉派は土佐光吉が切り開いた新しいやまと絵表現を江戸で定着させ、嫡男の具慶(ぐけい)は幕府の御用絵師となります。狩野派が独占してきた幕府御用絵師のポジションに、やまと絵の住吉家が風穴を開ける画期的な人事でした。

「三十六歌仙画帖」は、モチーフは古典的ですが、構図がとても斬新です。現代のグラビア写真のようにモデルが見せる自由な一瞬のポーズを、実にコミカルに描いています。余白とのバランスも江戸時代の作品らしく洒脱に見えます。


庭園の中を回廊が進む

近世初期の日本画は狩野派や長谷川等伯が脚光を浴びがちです。一旦は下野しながらも伝統の画風を改良し、着々と新規クライアント獲得につなげていった土佐派と住吉派の創作には、時代のニーズに応えようとした愚直さも感じられます。

伝統の価値と時代のニーズを両立させる。現代人にも常に求められている変革を成し遂げた軌跡を、どこか頭が下がる思いで鑑賞できる素晴らしい展覧会です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



住吉如慶「源氏物語手鑑」全54場面掲載、人物相関図と年表付きで全体理解に最適


和泉市久保惣記念美術館「土佐派と住吉派」
特別展 土佐派と住吉派 ―やまと絵の荘重と軽妙―
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:和泉市、和泉市教育委員会、和泉市文化振興財団、和泉市久保惣記念美術館、文化庁
会期:2018年10月13日(土)~12月2日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30

※11/4までの前期展示、11/6以降の後期展示で一部展示作品が入れ替えされます。
※前期・後期展示期間内でも、展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

泉北高速鉄道「和泉中央」駅下車、1,3番乗場から南海バス「美術館前」下車、徒歩すぐ
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間20分
JR大阪駅(梅田駅)→なんば駅→南海高野線→中百舌鳥駅→泉北高速線→和泉中央駅→南海バス→美術館前

【公式サイト】 アクセス案内

※バスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。


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大阪・堺市博物館「土佐光吉」展 ~桃山時代のやまと絵は堺で保たれた

2018年10月13日 | 美術館・展覧会

大阪の堺市博物館で、安土桃山時代を代表するやまと絵師「土佐光吉(とさみつよし)」の展覧会が始まっています。やまと絵とは、絵巻物に代表される日本の伝統的な絵画様式です。土佐派は将軍家や朝廷の絵画工房である絵所(えどころ)の御用を、室町時代を通じて務めていました。

戦乱の世、お上の御用がなくなったことで、土佐派は日本随一の国際貿易都市だった堺に活動の拠点を移しました。江戸時代になって土佐光起(みつおき)が再び京都で朝廷の御用を務めるようになりますが、それまで堺でやまと絵の命脈を綿々と保っていました。

土佐派が伝統的に得意とする肖像画の描写の質の高さには驚かされます。当時の権力者が好んだダイナミックな画風とは対照的に、彩色が綺麗で細密な描写の古典の屏風や色紙は、国際貿易都市・堺ならではの自由さを感じさせます。京都で狩野派が勢いを増した時代に、主に堺で制作された土佐派の伝統が伝える名品が揃っている展覧会です。


堺市博物館を臨む

やまと絵は、平安時代に遣唐使が廃止され、国風文化が栄えた時代に発達しました。源氏物語絵巻や伴大納言絵詞が代表例です。鎌倉時代以降は平安時代の様式による絵画表現として、中国の画風で表現された唐絵(からえ)とともに上流階級で愛され続けます。

土佐派は平安時代から続くやまと絵の本家本流と考えられていますが、推定の域を出ません。伴大納言絵詞は、画風的に土佐派の祖先の一人とされる常盤光長(ときわみつなが)の作と考えられていますが、確証は見出されていません。日本の中世絵画は落款がのこされておらず、ほとんど作者が確定できないのです。



土佐派はこのように平安時代から宮廷画家として重要な位置を占めていたと推測されていますが、記録に現れるのは室町時代になって朝廷の絵所を務めるようになってからです。

足利義政以降の3代の将軍に仕えた土佐光信(みつのぶ)の時代が土佐派の全盛期で、展覧会にも代表作の後円融天皇像(雲竜院蔵)が出展されています。足利義満と対立したものの実権はなかった、北朝の後円融天皇の百回忌に描いたもので、細い線の描写が端正で気品のある顔立ちを表現した名品です。

光吉は光信の嫡男・光茂(みつもち)の弟子でしたが、絵所の職を失い、失意の中で堺に移り住んだ光茂から土佐派の後継を託されます。光吉は古典をモチーフとする土佐派の伝統に再び脚光を浴びせるべく努力します。都ではなく自由都市だった堺の方がしがらみが少なく、新しいクライアントを獲得しやすかったのかもしれません。

【公式サイトの画像】 京都国立博物館 重文・源氏物語絵色紙帖「藤裏葉」
【公式サイトの画像】 渡辺美術館 曽我物語図屏風

源氏物語絵色紙帖は、平安時代の絵巻物を思わせるように床をはっきりとした緑色で描くことで、登場人物を細密かつ鮮やかに描いています。シーンの瞬間の描写がとてもわかりやすく、桃山時代の王朝趣味を象徴するような名品です。

曽我物語図屏風は、洛中洛外図のごとくパノラマのように複数のシーンを、一双の屏風に集約して表現した傑作です。絵巻よりも大人数が見やすい屏風が桃山時代のニーズに合ったのでしょう。登場人物の衣装は桃山時代の最新トレンドを取り入れており、クライアントに受容されやすい心配りも注目されます。

【公式サイトの画像】 国立歴史民俗博物館 足利義輝像

一方、土佐派が得意とした肖像画の名品も多く出展されています。肖像画は写真のなかった時代に後世に姿を伝えるべく、故人の年忌法要の際などに根強い需要がありました。

国立歴史民俗博物館所蔵の足利義輝像は、室町幕府末期に権威復活を目指して奮闘したものの結局は暗殺された13代将軍の年忌法要の際に、光吉が描いたと伝えられている重要文化財です。名門の足利将軍としての気品があふれる顔立ちに描いていることが見事な作品です。実権を失っていたことをうかがわせない絶妙な表現です。

土佐派が年忌法要の需要に備えて残した、肖像の元となる「粉本(ふんぽん)」も数多く展示されています。筆による細い線だけで表現されていますが、写真の輪郭をトレースしたように思えるほどのリアルな描写です。今井宗久(いまいそうきゅう)ら、当時の堺を代表する商人の肖像からは、激動の時代を生き抜いた人物の息吹が伝わってくるようです。



堺は戦国時代以前にも日本史上脚光を浴びた歴史がありました。世界遺産登録を目指す百舌鳥(もず)古墳群(もずこふんぐん)です。堺市博物館では、世界最大級の墳墓と考えられる大仙陵古墳(伝・仁徳天皇陵)をはじめ、数々の古墳史料が展示されています。堺市博物館は大仙陵古墳の目の前にあります。あわせて悠久の日本の歴史をお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



デッサンの手本となった粉本(ふんぽん)から土佐派絵師の肖像画の魅力を明らかに


堺市博物館
特別展 土佐光吉 ―戦国の世を生きたやまと絵師―
【美術館による展覧会公式サイト】

会期:2018年10月6日(土)~11月4日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

※展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

JR阪和線「百舌鳥」駅下車、西口から徒歩8分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:50分
大阪駅→JR大阪環状線内回り→天王寺駅→JR阪和線→百舌鳥駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。


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大阪の企業が所蔵絵画を公開 ~芸術アイランド・中之島を応援

2018年10月09日 | 美術館・展覧会

日本の企業は、経営者個人ではなく会社名義で数多くの美術品を所蔵しています。普段は応接室などに展示されているため、一般公開されることはまずありません。普段非公開の会社所有の絵画を集めた展覧会というのも、耳にした記憶はありません。

「なにわの企業が集めた絵画の物語」展は、大阪が発祥の企業所蔵の絵画24点が集めました。ささやかな展覧会ですが、鑑賞プログラムや地域の飲食店とのコラボメニューが注目されます。

企業の歴史的建造物を限定公開するなど、みんなで一緒になってフィランソロピー精神を形にするイベントが、近年の大阪では多くなってきました。そんなイベントの会場として水に囲まれた中之島はとても充実しています。



今回の展覧会は、関西の有力な財界団体の一つ、関西経済同友会に加盟する企業が所蔵作品を出し合い開催されています。サントリー、コクヨ、ダイキン工業、大林組など日本を代表する企業がずらりと揃っています。出展作品は、近代洋画と19-20cの西洋絵画が中心で、浮世絵や近代日本画、現代アートも含まれています。

展覧会では、子供を対象に、作品の印象や気づきを話し合うことで多様な作品の楽しみ方を理解していく「対話型鑑賞プログラム」に力を入れています。小中学生が対象で保護者同伴OKですので、大人も学べます。

美術展では学芸員による作品解説はよく行われていますが、対話することはほとんどできず一方通行の説明にならざるをえません。大人を対象にした「対話型鑑賞プログラム」も、通常の美術展で開催されるようになれば、美術ファンにとってはこの上ない機会になると思います。他の人の見方や印象は自分が気付いていないことが多く、とても参考になります。

また美術館での鑑賞マナーを大人に啓蒙する良い機会にもなります。世界の美術館で他の鑑賞者にも聞こえるような声量で話しているのは日本だけです。

対話型鑑賞プログラムは会場内で声を出して会話します。一般の拝観者がいない時間帯にしか開催できないといったハードルはありますが、増えていくことを願ってやみません。

中之島は、東から大阪市立東洋陶磁美術館・中之島香雪美術館・大阪市立科学館・国立国際美術館がすでにあり、2021年には、近現代美術コレクションを展示する大阪市立の大阪中之島美術館が開館します。大阪では少なかった大規模企画展会場としても期待されています。

東京の上野や六本木のようにアートや文化施設が集約すると、街の個性が育ってきます。中之島の北岸の福島区や南岸の西区は大阪都心部でも若い住民が多く、オフィスも少なくありません。住む・働く・遊ぶ施設がバランスよく揃っています。飲食店も個性的な店が多く、隠れ家的な魅力のある街です。

そんな中之島を応援しようとする企画が今回の展覧会です。


会場の堂島リバーフォーラム

黒田清輝の「菊花と西洋夫人」は、カラフルで大きな菊の花を中心にし、姉妹を菊の引き立て役のように配した大胆な構図です。しかし姉妹の存在感もしっかりと表現されています。姉妹の一人は黒田の代表作「読書」のモデルとなった女性です。

山口華楊の「虎児」は二匹の子供の虎が愛くるしく描かれていますが、とても存在感があります。この絵とペアになる親虎の絵もあるとのこと、ぜひ見てみたいものです。

大阪の企業やお店が現役で使っている建築物を公開する「生きた建築ミュージアム」も、大阪では毎年秋の恒例イベントとなっています。こちらは世界最大級の同趣旨のイベント「オープンハウス・ロンドン」を参考に2014年から始められたものです。国内で定着しているのは他には広島くらいです。こちらもぜひ関心をお持ちください。

【公式サイト】 生きた建築ミュージアム

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



近代日本の美術品の所有履歴を徹底分析した古典的名著


堂島リバーフォーラム
コーポレート・アート・コレクション 「なにわの企業が集めた絵画の物語」展
【主催者による展覧会公式サイト】

主催:関西経済同友会 企業所有美術品展実行委員会
会期:2018年10月4日(木)〜18日(木)
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:10:00~20:00(最終日は~18:00)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

京阪中之島線「中之島駅」下車、6番出口から徒歩5分
阪神本線「福島駅」下車徒歩5分
JR東西線「新福島駅」下車、2号出口から徒歩7分
JR環状線「福島駅」下車徒歩8分
大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅下車、北改札口4番出口から徒歩12分
JR大阪駅から徒歩15分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
JR大阪駅(梅田駅)→阪神本線→福島駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設に駐車場はありません。

【公式サイト】
堂島リバーフォーラム https://www.dojimariver.com/
関西経済同友会 https://www.kansaidoyukai.or.jp/


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奈良・大和文華館で「高麗金属工芸」開催中 ~日本にはない静けさが魅力

2018年10月08日 | 美術館・展覧会

奈良・学園前の大和文華館(やまとぶんかかん)で高麗の金属工芸に焦点を当てた展覧会が開催されています。すでにレポートした大阪・東洋陶磁美術館奈良・寧楽美術館の両「高麗青磁」展とともに、同時期開催の「高麗」美術展三点セットを形成しています。

朝鮮半島の仏教美術は、高麗と一つ前の統一王朝・新羅の時代に最も花が開きました。高麗では金属工芸が盛んに行われ、仏具・梵鐘のほか鏡・食器など生活全般の道具にも、多くの金銀を用いた荘厳な細工がなされています。

青磁とともに高麗王朝の美意識を感じさせる名品が揃った展覧会です。青磁だけでは高麗文化の魅力は語れません。


アカマツが美しい大和文華館の入口

大和文華館の展覧会にはいつも、日本中の美術館・博物館・寺社・個人から多くの出展を得ていることに驚かされます。展覧会の企画運営力や学芸員に対して、国立博物館以外では日本トップクラスの信用があるように思えます。今回の展覧会でも東京国立博物館や三井寺など、数多くの所蔵先から名品が集まっています。

展覧会チラシの表紙にも採用されている、東京国立博物館所蔵の銀製鍍金観音菩薩・毘沙門天像小仏龕は5cmほどの大きさに二体の仏様が優美に表現されています。仏龕(ぶつがん)とは、仏像や経文を安置するために壁や塔に設けられた小部屋、もしくは容器のことをさします。

手で握りしめることができるよう配慮して造られたように見えます。手のひらを開けてこの仏龕を目にすると心はとても穏やかになるでしょう。信心深い貴族が常に身に着けていたような、仏教を尊ぶ思いを感じさせる名品です。

この展覧会を見ていると、仏教美術にしろ生活用具にしろ、高麗美術には「静けさ」「荘厳」という形容詞が合うように思えてきます。高麗時代の社会情勢や文化の背景を理解するにはまだまだ勉強が足りませんが、文化の隆盛をより重視する時代だったことだけは間違いないような気がします。

高麗の仏教文化・美術のレベルの高さを象徴する場所が世界遺産に指定されています。韓国東南部の主要都市・大邱(テグ)近郊にある海印寺(ヘインサ)の大蔵経板殿(だいぞうきょうはんでん)です。

世界に現存する仏教経典の中で最も内容が正確なものの一つとされる高麗八萬大蔵経(こうらいはちまんだいぞうきょう)が収められた建物です。大蔵経板殿室内に経典が書かれた8万枚に及ぶ版木が整然と並ぶ姿は芸術的です。

高麗八萬大蔵経は高麗王朝が13cに中国の経典を元に版木に彫らせたもので、その緻密な作業が高く評価されています。現在日本で主に用いられている大正新脩大藏經(たいしょうしんしゅうだいぞうきょう)も、高麗八萬大蔵経を元に大正時代に編纂されたものです。

【Wikipediaへのリンク】 海印寺大蔵経板殿

東洋陶磁美術館・寧楽美術館とともに高麗展三点セットを見ると、高麗美術の静けさの表現は日本にはないものだと感じてきます。異文化体験はいつも勉強になります。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



案外知られていない朝鮮半島美術史を学ぶには最適な一冊


大和文華館
特別展 建国1100年 高麗 ―金属工芸の輝きと信仰―
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:大和文華館
会期:2018年10月6日(土)~11月11日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:00

※展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「学園前」駅下車、南口から徒歩7分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:55分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→学園前駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。
※駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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奈良・寧楽美術館で「高麗青磁」開催中 ~庭とともにヒスイ色の美しさを

2018年10月07日 | 美術館・展覧会

奈良公園に隣接した庭園・依水園の中に寧楽(ねいらく)美術館があります。東アジアの陶磁器や中国の青銅器、日本の茶道具の蒐集では定評があり、自慢の高麗青磁を披露する展覧会が行われています。

こじんまりした美術館ですが、高麗青磁のコレクションはとても見応えがあります。どこまでも人を惹きつけるヒスイ色の魅力を、東大寺大仏殿と若草山を借景にした奈良で一番の庭園と共に楽しむことができます。

今年2018年秋の関西は「高麗」ずくしです。大阪の東洋陶磁美術館、奈良・学園前の大和文華館で行われている「高麗」展との入館料の相互割引も行われています。高麗美術の魅力をたっぷり体験してみてください。


美術館の建物

寧楽美術館は通年で公開されており、大半の期間で年2回の企画展が行われており、常設展示も並行して行われています。また依水園(いすいえん)と一体運営されており、奈良で一番の庭園と美術鑑賞を一緒に楽しむことができるのも大きな魅力です。

美術館の建物は少し膨らんだ起り(むくり)屋根が特徴で、数寄屋風の洒脱なセンスを感じさせます。奈良に多い東大寺大仏殿など仏教寺院建築は、一般的な少しへこんだ反り(そり)屋根で、荘厳に見えます。奈良では珍しい寧楽美術館の起り屋根も、奈良の大きく青い空にとても調和しています。


近鉄奈良駅から美術館入口に向かうと大仏殿の屋根が見える

高麗青磁は日本の平安~室町時代に朝鮮半島を治めた高麗王朝で造られた磁器です。何といっても、ヒスイ色の肌のきらめきと、見えそうで見えない文様が魅力です。今回の展覧会では、鉢・椀・瓶・盃・壺と多様な形状の器が展示されており、器の形によっても見え方が様々に変化する高麗青磁の魅力を俯瞰することができます。

青磁象嵌双魚文平鉢(せいじぞうがんそうぎょもんひらはち)は、器の内部にツインになった魚が四隅と中心の5か所、それぞれ円形にデザインされて描かれています。黒色に発色する土を埋め込んで描く象嵌という技法です。とても繊細な表現は、真上から見ても斜めから見てもとてもかっこよく見えます。高麗青磁ではあまり見ない意匠であることも魅力的です。

高麗青磁にとって代わって初期李氏朝鮮王朝で造られた粉青沙器(ふんせいさき)のコレクションも展示されています。粉青沙器は白っぽい色で土の感触をのこした肌に、どちらかといえば目立つよう文様が施されているのが特徴です。静的な高麗青磁にはない、動的な美しさが魅力です。


依水園は欧米人観光客が目立つ

大阪・中之島の東洋陶磁美術館の「高麗青磁」展は11月25日(日)まで、奈良・学園前の大和文華館の「高麗」展は11月11日(日)までの開催です。

【展覧会公式サイト】 大阪市立東洋陶磁美術館 特別展「高麗青磁-ヒスイのきらめき」
【展覧会公式サイト】 大和文華館 特別展 建国1100年「高麗―金属工芸の輝きと信仰―」

展覧会期間中の11/1~14限定で寧楽美術館が所蔵する文人画の巨匠・田能村竹田による重要文化財「亦復一楽帖」も公開されます。興福寺、正倉院展とあわせて、奈良と大阪の秋をぜひどうぞ。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



東洋陶磁美術館名誉館長の著者が目の眼読者に語った魅力とは?


寧楽美術館
企画展「翡色と象嵌の高麗青磁・型押しの李朝粉青沙器」
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:依水園・寧楽美術館
会期:2018年10月1日(月)~2019年2月24日(日)
原則休館日:火曜日、12/25-1/5
入館(拝観)受付時間:9:30~16:00

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※寧楽美術館は庭園・依水園と一体となって運営されています。展覧会のみのチケットはありません。



◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩15分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安: 1時間15分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都国立博物館「京のかたな」 ~刀の”魔力”が誰でも理解できる

2018年10月02日 | 美術館・展覧会

京都国立博物館で「京のかたな」展が始まっています。メジャーな博物館・美術館で「刀剣」をメインテーマにした展覧会はほとんどなく、それだけ「刀剣」への関心が高まっていると言えます。会場には若い女性の姿も目立っています。

展覧会は、日本刀の歴史を永らくリードしてきた京都の刀工たちにスポットをあてています。”みやこのかたな”が造られた時代背景をふまえながら、時の武家や公家を魅了した名刀が紹介されていきます。各時代を物語る絵巻や肖像画の展示にも国宝が含まれています。中世の京のみやこの世界を楽しめるとても魅力的な展覧会です。



刀剣は、言うまでもなく武器として用いるための”道具”ですが、きらりと光る美しい肌には神秘的でもある魅力が刀工によって表現されています。包丁や大工道具といった他の鋼の刃を持つ道具にも、同じような神秘的な魅力を感じます。

現代で浸透している日本刀のイメージは、刀身が反っていて刃が片側にしかないものです。この形状は平安時代後期になってから一般的になったもので、それ以前は刀身に反りはなくまっすぐで、刃が両側につく諸刃(もろは)形式の剣(つるぎ)が多く見られました。

刀(かたな)の語源は「片側に刃がついている」という意味です。平安時代後期に、現代のイメージの”刀”の形状が一般的になったと考えられています。平安時代の戦は、歩兵ではなく騎馬戦が中心でした。刀身に反りがあって片刃の方が、馬に乗った武士が片手で抜きやすく格闘しやすい形状として浸透したのでしょう。



中世の刀の”産地”は、江戸時代に五箇伝(ごかでん)としてブランド化されています。需要が大きい地域と原料の鉄に恵まれた地域で構成されます。山城・大和・備前・美濃・相模の五か国です。京都のある山城は中世を通じて最大の刀の需要地であり、数多くの名刀工が登場しました。

【公式サイトの画像】 国宝 太刀 銘 三条(名物三日月宗近)

三日月宗近(みかづきむねちか)は、刀身が反っていて刃が片側にしかない現代のイメージでいう”刀”の形式として現存最古の平安時代半ばの作品と考えられています。三条派の宗近による作品です。刀身の肌に三日月の文様が浮き出ているのが見えます。1,000年以上に渡ってきちんとメンテナンスされていたことに、この刀の持つはかりしれない”美”の魔力を感じます。

【公式サイトの画像】 国宝 後鳥羽天皇像

後鳥羽(ごとば)天皇は、壇ノ浦の戦いで三種の神器を抱えて海に沈んだ安徳天皇を継いだ天皇です。三種の神器の内、剣だけは海から回収されなかったことは、後鳥羽天皇にとっては皇位の象徴である三種の神器が揃わない”コンプレックス”でした。そのため”神剣”に代わる新たな刀の創作に情熱を注ぎました。

国宝の天皇の肖像画は他に長福寺蔵・花園天皇像があるだけで、繊細なタッチで気品あふれる表情はまさに最高傑作です。

刀の名称(号)には作者や所有者など人名が多くつけられています。これは作者のサイン(銘)が、刀を握る柄(つか)の内部の茎(なかご)に彫られていることが多くあるためです。作者が作品にサインをのこすことは日本美術では珍しいですが、刀はあくまで武器として造られるため、品質を示す意味で銘がのこされたと考えられています。

刀の号の見方やパーツ名称、分類といった基本的な知識は、会場内パネルや公式サイトでも解説されています。とても勉強になります。また刀の見どころや見方を学べるワークショップも毎日開催されています。知識のない場合でも、刀の魅力を存分に味わうことができます。

【公式サイト】 京のかたな 鑑賞ポイント.pdf
【公式サイト】 「京のかたな」関連ワークショップ まぢかで見よう!はじめての刀


コラボ会場の明治古都館

会期中は、現在リニューアル工事中の明治古都館の中央ホールを使って、刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞」とのコラボ展示が行われています。日本美術への関心が拡がっていくのはとても喜ばしいことです。

【公式サイト】 「刀剣乱舞 -ONLINE-」コラボレーション

究極の金属工芸のでもある刀の”魔力”をぜひお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



カタナを美術品として理解するバイブルのような一冊


京都国立博物館
特別展 京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:京都国立博物館、読売新聞社、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿
会期:2018年9月29日(土)~11月25日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~17:30(金土曜は~19:30)

※10/14まで、10/28まで、11/11まで、11/13以降で一部展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
 手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。
◇庭を散策する場合、通路以外は立ち入り禁止!コケや芝生がふまれて死んでしまいます。



◆おすすめ交通機関◆

京都市バス「博物館三十三間堂前」下車、徒歩0分
京阪電車・七条駅下車、3,4番出口から徒歩7分
JR京都駅から徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/88/100/106/110/206/208系統→博物館三十三間堂前

【公式サイト】 アクセス案内

※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には有料の駐車場があります(公道に停車した入庫待ちは不可)。
※駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。

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大阪市立美術館「ルーヴル肖像芸術」 ~人間模様までもが見える

2018年09月27日 | 美術館・展覧会

大阪市立美術館でルーヴル美術館の肖像画にスポットをあてた展覧会が始まっています。世界最大級の美術館であるフランスのルーヴルには、古今東西の膨大な数の肖像画が収蔵されています。肖像画だけでも充分、歴史や美術の歩みを語ることができるほどです。

展覧会は「肖像画がどのような目的で描かれたのか」を軸に構成されています。歴史の流れとともに、描かれた目的も変わっていく様子からは、肖像画が果たした人間模様の記録と記憶をとても興味深く学び、鑑賞することができます。

全112点の傑作が勢揃いです。当代きっての画家たちが描いた絶妙のモデルの表情を、じっと見つめてしまう作品ばかりです。


自分の肖像画を見れます


展覧会では肖像画が描かれた目的を3通りに分類し、章を構成しています。

第1章 記憶のための肖像

  • 原始的な肖像画の役割で、神に捧げたり子孫に残すために製作された。
  • 20cになると写真にその役割が移る。

第2章 権力の顔:

  • 政治権力者がコインなど様々な媒体を通じて自らの権威を誇示しようとした。
  • 著名な学者や官僚など英雄視される人物も時にモデルとなった。

第3章 コードとモード:

  • ルネサンス以降に市民階級が台頭し、肖像画のモデルは市井の人まで拡がる。
  • 肖像表現のルール(コード)をふまえ、衣服や装飾品で時代の流行(モード)を表現。


江戸時代までの日本の政治権力者は、肖像を権威の誇示に使うようなことは伝統的にしません。姿を見せない方が神秘的に思わせられる、と考える伝統があります。中世には存命中に肖像が出回ると、呪術の対象とされたり、暗殺に狙われやすくなるという理由でも、肖像は避けられていました。

そのため第2章の視点は日本にはなかった価値観としてとても興味深く鑑賞することができます。権威の誇示に肖像を積極的に利用したナポレオンの作品は特に充実しています。

【公式サイトの画像】 プロローグ マスク―肖像の起源

展覧会は、最古の肖像画が残る古代エジプトから始まります。「女性の肖像」はエジプトがローマ帝国の支配下に入っていた2cの作品ですが、エジプトとラテンの両文化が融合した表現が魅力的です。ミイラの頭部を飾る”遺影”として制作されたもので、真珠のイヤリングが落ち着いた表情をさらに美しく見せています。

【公式サイトの画像】 第2章 権力の顔

第2章は最も作品数が多い章です。高名なフランス王・フランソワ1世とルイ14世の肖像からは、性格までもが伝わってきます。ルイ13世の宰相として絶大な権力をふるい、フランス絶対王政の礎を築いたリシュリュー公爵の肖像からは、自身に満ち溢れた鉄の意志が感じられます。

ナポレオンの「戴冠式の正装」彫刻も圧巻です。いわゆる”どや顔”をしていますが、神格化したように見えるため、とても清楚でもあります。作者クロード・ラメの表現力にはほれぼれします。

七月王政の皇太子で国民に絶大な人気のあった「オルレアン公フェルディナン=フィリップ」を、アングルがとても気品のある姿に描いています。温和な人柄が伝わってくるようで、この肖像を見ると国民が期待を寄せることに完璧に納得できます。

一方フランス革命の直前に製作された「王妃マリー=アントワネットの胸像」も、まさに歴史を物語る作品です。気位の高い性格の表現がかえって美しく見えるところに、この作品の魅力があります。

【公式サイトの画像】 第3章 コードとモード

「赤い縁なし帽をかぶった若い男性」は、フィレンツェのボッティチェリの工房で当時よく制作されていた肖像です。市民階級がモデルとなった最初期の作品であり、今見てもかっこいいと感じるファッション・センスに見入ってしまいます。

「スカヴロンスキー伯爵夫人」は、王妃マリー=アントワネットの肖像画家として知られ、フランス革命で母国を脱出していたル・ブランがロシアの伯爵夫人を描いたものです。当時のヨーロッパ中の上流階級の女性に人気のあった彼女は、モデルの気品を温かく柔らかに描きました。展覧会のチラシの表紙にも採用されている”魅惑のまなざし”が印象的です。



ルーヴルのコレクションの奥の深さと幅の広さをあらためて実感できる展覧会です。11月以降には、西洋美術のエース研究者・神戸大の宮下規久朗教授や篠雅廣・大阪市立美術館館長による興味深い講演会も予定されています。こちらもぜひ。

【公式サイト】記念講演会、特別講演会の案内

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



あらゆる人間の営みは欲望によって成り立っている。


大阪市立美術館
ルーヴル美術館展 肖像芸術 一 人は人をどう表現してきたか
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催メディアによる展覧会公式サイト】

主催:大阪市立美術館、ルーヴル美術館、読売テレビ、読売新聞社
会期:2018年9月22日(土)~2019年1月14日(月)
原則休館日:月曜日、12/28-1/2
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、2018年9月まで東京・国立新美術館、から巡回してきたものです。

◆マナー教室◆

◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
 手荷物は預ける、リュックは前に抱える、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

JR・大阪メトロ「天王寺駅」、近鉄「大阪阿部野橋」駅、阪堺電車「天王寺駅前」駅下車
各駅から天王寺公園内を通って徒歩5~10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→天王寺駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。有料の天王寺公園地下駐車場が利用できます。
※駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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金沢・鈴木大拙館 ~誰をも虜にする静寂の空間

2018年09月26日 | 美術館・展覧会

鈴木大拙(すずきだいせつ)は、20c前半に欧米に日本の禅文化を紹介した金沢出身の仏教学者です。鈴木大拙館は2011年、大拙の考えや足跡を伝えて理解を深め、来館者自身も思索できる場として金沢市によって開設されました。

兼六園のある小立野台地を借景に、水と緑が主役になるよう設計された建築空間の中で、大拙の禅文化をじっくりと体験することができます。水と緑に静かに向き合うと、自然と心が落ち着いてきます。

金沢21世紀美術館・石川県立美術館・金沢市立中村記念美術館なども近くにあります。金沢の芸術ゾーンを回遊するにあたって、鈴木大拙館は必見です。


玄関から展示空間へ向かう廻廊

大拙は1870(明治3)年、鈴木大拙館の近くで生を受けました。京都の哲学の道の語源にもなった哲学者・西田幾多郎(にしだきたろう)と国文学史の名著をのこした藤岡作太郎(ふじおかさくたろう)とは、第四高等中学校(現在の金沢大学の前身)で同窓だったことが知られています。

また現在の大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションを築いた総合商社・安宅産業の創業者である安宅弥吉(あたかやきち)は友人で、大拙を経済的に支援していました。

大拙は鎌倉・円覚寺の釈宗演(しゃくそうえん)に参禅し、本格的に禅文化の研究を始めるようになります。釈宗演は明治期に日本人として初めて禅文化を欧米に紹介した僧です。釈宗演のすすめで大拙は1897(明治30)年から12年間渡米し、禅文化を紹介する英語の著作を多数出版します。晩年は北鎌倉・東慶寺に創設した「松ヶ岡文庫」で研究生活を行い、世界中の知識人と積極的に交流しました。

こうした経歴から、大拙は日本よりむしろ欧米での知名度の方が高いかもしれません。鈴木大拙館の来館者も欧米を中心とした外国人がとてもよく目立ちます。


玄関

玄関から展示空間へ向かう廻廊は、外部光を遮るように造られており、特別な空間へ進んで行くことを予感させます。廻廊の中央だけがガラス張りで、クスノキがすらりと伸びたシンプルな庭園を目にします。

【公式サイト】 展覧会案内

展示空間は大拙がのこした手紙や原稿から、大拙の人となりや考え方をうかがうことができます。詳しい足跡も紹介されています。また大拙と交流のあった人物の目線で大拙を紹介するような企画展も行われています。大拙の禅文化をより深く知ることができます。


水鏡の庭と思索空間

展示空間を出ると、水が張られた「水鏡の庭」を見ながら思索空間に向かいます。展示空間へ向かう暗い廻廊とは真逆に、全面ガラス張りの回廊からは水面で表現された静寂な世界が見えます。禅寺にあるシンプルな白砂しかない庭園を思わせます。

思索空間の中には畳二畳ほどの座るスペースだけがあります。ここに座って水面を眺め、思索できるようになっています。座禅もできます。この空間の中では会話する人はほとんどいません。無言で空間を見つめるよう、自然と仕向ける空気が支配しています。


水鏡の庭を悠然と泳ぐ小さい魚

禅や宗教に興味がない方でも、鈴木大拙館の空間の不思議な魅力には虜になってしまうと思います。建築として、とてもよくできています。設計は、京博・平成知新館など数々の美術館建築のほか、最近ではGINZA SIXを担当した谷口吉生(たにぐちよしお)です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



欧米人の禅ブームに火をつけた著者が説く禅の本質とは?


鈴木大拙館
【公式サイト】http://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/

原則休館日:月曜日、12/29-1/3
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
 手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

北鉄/周遊バス「本多町」バス停下車、徒歩5分
JR金沢駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安: 25分
金沢駅 兼六園口 3番(北鉄バス)/7番(周遊バス)のりば→北鉄/周遊バス→本多町

金沢駅まで
東京駅から北陸新幹線で2時間30分
大阪駅から在来線特急で2時間30分

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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大阪・あべのハルカス美術館「太陽の塔」 ~4つの顔に込めた岡本の感性

2018年09月19日 | 美術館・展覧会

日本一の高層ビルにある大阪・あべのハルカス美術館で「太陽の塔」展が始まっています。太陽の塔は1970(昭和45)年に開催された大阪万博を象徴するとても有名なオブジェです。内部公開が今年2018年3月から久々に再開されたこともあり、作者である稀代の芸術家・岡本太郎と共にあらためて注目が集まっています。

展覧会では、構想から制作に至るまで岡本太郎が表現しようとしたものは何か、それらが万博会場でどのように表現されたのかを、実物や再現模型、当時の映像などで多感に体験することができます。

ほぼ半世紀前になりますが、生まれていなかった人が見ても決してレトロではなく、斬新に感じる表現も少なくないでしょう。日本が敗戦から立ち上がって猛進した高度経済成長の絶頂期の芸術表現を、それぞれの目線で体験してみてください。


ゲート前の恒例の写真撮影コーナー

太陽の塔は大阪万博終了後に、他のパビリオンと同様に取り壊される予定でしたが、反対運動が強く永久保存されることになった経緯があります。それだけ人々に愛されている芸術作品です。内部公開が長らく中断されていたのは、安全な公開に耐えるための対策に時間を要していたためです。

【公式サイト】 太陽の塔(内部公開の案内)

ご紹介する展覧会の作品の画像は、公式サイトで紹介されています。

【公式サイト】 主な展示品

展覧会では随所で、太陽の塔の「4つの顔」が展示されています。岡本は、現在・過去・未来と人間の根源を4つの顔に表現しました。最も有名な塔の頭部にある「黄金の顔」は未来を表します。

1977年から公開が始まった映画スター・ウォーズのC-3POが黄金の顔によく似ていると思えてなりません。未来なので明るい金色と、とても”べた”なのですが、目や鼻のデザインは鳥のようにも見え、これから大空にはばたいていくことを予感させます。

1992年に取り外された初代の「黄金の顔」が展示室に搬入されており、足場を組んで高い位置から鑑賞できるようになっています。直径10mを超す巨大なオブジェです。間近で見るとセルのような升目毎に黄金の輝きが変化する表情がとても印象的です。

現在は胴体中央の「太陽の顔」、過去は背面中央の「黒い太陽」です。太陽の塔の地下に展示されていましたが、万博終了以降に行方不明になったままの、人間の根源を現す「地底の太陽」は、保存用原型が展示されています。どこか中南米の古代文明を思わせるデザインが印象的です。


会場内の雰囲気

情熱的で炎が燃えたぎるように見える岡本独特の絵画作品も多数展示されています。原色を多用し熱帯雨林の幹のように太く自由奔放に動くように見せる表現の原点は、宇宙と大自然の原点である「太陽」なのだと私は感じました。

岡本は1960年代後半、太陽の塔の制作を行っていたころにメキシコにも滞在しており、メキシコ壁画運動の影響を受けたと考えられています。メキシコ壁画運動は1920-30年代にメキシコで隆盛し、民族の歴史や伝統を大画面の壁画やフレスコ画で大胆に表現するものです。岡本の情熱的な表現も、確かに共通点があります。

【Wikipediaへのリンク】 メキシコ壁画運動

太陽の塔と並ぶ岡本の代表作で、水爆実験の悲惨さを表現した「明日の神話」は現在、東京の京王井の頭線とJRの渋谷駅の連絡通路に恒久設置されています。岡本の情熱が見事に表現された大作です。こちらもおすすめです。

【公式サイトの画像】 明日の神話保全継承機構



こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



昭和の歴史的遺産の魅力がこの一冊に凝縮


あべのハルカス美術館
「太陽の塔」展
【美術館による展覧会サイト】
【主催者による展覧会サイト】

主催:あべのハルカス美術館、岡本太郎記念現代芸術振興財団、NHK大阪放送局
会期:2018年9月15日(土)~11月4日(日)
原則休館日:9/18
入館(拝観)受付時間:10:00~17:30(火~金曜は~19:30)

※この展覧会は、非営利かつ私的使用目的のみ会場内の写真撮影が可能です。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

JR・大阪メトロ「天王寺駅」、近鉄「大阪阿部野橋」駅、阪堺電車「天王寺駅前」駅下車
あべのハルカスB1Fシャトルエレベーター乗り場まで徒歩3分、エレベーターで16Fへ
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→天王寺駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都・野村美術館 リニューアルオープン ~茶の湯の名品の深さに感嘆

2018年09月17日 | 美術館・展覧会

2年近くのリニューアル工事を終えた野村美術館がようやく再開し、所蔵の名品がフルにお披露目される展覧会が始まりました。茶の湯や能楽を愛した野村證券の創業者・野村得庵(のむらとくあん)のコレクションの保管・展示施設として1984(昭和59)年に開館しましたが、今回のリニューアルで展示室はとても見やすくなりました。

南禅寺別荘街の中にあり、京都東山の静寂な空間にとても合う名品が揃っています。能面の展示も充実しています。美に対する深い精神性を感じさせる美術館です。



得庵は茶人としての号で、二代目・野村徳七(とくしち)が経営者として知られる名前です。父親の初代・徳七が始めた両替商を発展させ、日露戦争や第一次大戦の相場で巨万の富を得ます。1918(大正7)年に大阪野村銀行(旧:大和銀行、現:りそな銀行)、1925(大正14)年には野村證券を設立し、野村財閥を築き上げます。

徳七は三井の益田鈍翁や高橋箒庵ら時代を代表する数寄者との親交もあり、茶の湯と能楽の世界に傾倒していきます。野村美術館の北に隣接する碧雲荘(へきうんそう)は、徳七が自らの日本文化への美意識を表現する場として建てた別邸で、11年もの歳月をかけて1928(昭和3)年に完成しました。

当時を代表する名工である北村捨次郎が数寄屋建築を、小川治兵衛が作庭を担当しました。数寄屋は重要文化財に指定されています。南禅寺界隈別荘で重文の建築は、他に清流亭があるだけです。

企画展は1Fの展示室で行われています。能楽の展示(前期のみ)はB1Fです。

茶入(ちゃいれ)は、すりつぶした茶を入れる手のひらにすっぽり入ってしまうほどの小さい壺です。多くは絵付けなどの模様はなく、きわめてシンプルなデザインです。光のあて方や見る角度で微妙に表情を変える深い黒と茶色の肌がとても不思議です。この不思議さに美を見出すことが茶の湯の世界ではとても大切にされています。「上杉瓢箪茶入」も、まさに不思議な魅力を持った茶入です。吸い込まれるような肌の色の変化に魅了されます。

【公式サイトの画像】 千利休「妙一字」

展示室の奥では茶室空間を再現した展示が行われています。床の間の利休筆の「妙」の一字が目を引きます。書ではありますが、絵としてみてもとても美しいと感じるまとまりがあります。

【公式サイトの画像】 永楽保全「秋草絵茶碗」

茶碗も名品が揃っています。幕末の京都の陶工・永楽保全(えいらくほぜん)の「秋草絵茶碗」は、秋草と感じさせるはかなさを実に雅(みやび)に絵付けしています。絵付けは茶碗の形にもフィットしており、とてもバランスの良い作品です。

同じく幕末の仁阿弥道八(にんあみどうはち)による「雲錦手四方鉢」は、華やかさと気品が両立しています。両社の個性の違いを興味深く鑑賞できます。

10月23日からの後期展示では全面展示替えが行われ、私の好きな酒井抱一も登場します。楽しみです。

【公式サイトの画像】 酒井抱一「楓図」


右手の緑が碧雲荘

碧雲荘も徳七の美意識を体感する意味でぜひ見てみたいものですが、非公開です。一般公開される機会もめったにありません。南禅寺界隈別荘のほとんどは非公開です。所有者として多数を占めるオーナー経営者や企業が、来客の迎賓施設や自社の保養施設として使用していることが多いためです。碧雲荘も現在も引き続き創業家と野村グループの所有です。

南禅寺界隈別荘で常時公開されているのは、無鄰菴(むりんあん)だけです。

【公式サイト】 碧雲荘
【公式サイト】 無鄰菴

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



アート業界の全貌を知ると美術館の見方も変わる


野村美術館
リニューアルオープン記念 開館35周年名品展
―茶の湯の美・能楽の美・日本の美―
【美術館による展覧会サイト】

会期:2018年9月8日(土)~12月9日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:00

※10/21までの前期展示、10/23以降の後期展示で全面的に展示作品が入れ替えされます。
※展示期間が限られている作品があります。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。
※この美術館は、常時公開している常設展示はありません。企画展開催時のみ開館しています。

◆マナー教室◆

◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄東西線「蹴上」駅下車、1番出口から徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄烏丸線→烏丸御池駅→地下鉄東西線→蹴上駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄の方が、時間が早くて正確です。
※この施設には無料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都・樂美術館「光悦考」 ~光悦は茶碗にも美意識を凝縮した

2018年09月16日 | 美術館・展覧会

樂(らく)美術館は、千利休好みの焼物を作ることで始まった茶碗師・樂家の代々の作品と茶の湯に関する美術品を所蔵する美術館です。京都の三千家(さんせんけ)の近くにあります。江戸時代初期に樂家と密接な交流があった芸術プロデューサー・本阿弥光悦ゆかりの作品を集めた企画展「光悦考」が始まっています。

光悦は焼物・蒔絵・書跡の三分野で国宝2点・重文18点と庭の名勝1件が文化財指定されているマルチ・スーパースターです。寛永文化が花開いていた京都で、光悦と樂家は前衛的な茶碗の美をともに追及していました。そんな輝かしい時代にぜひ触れてみてください。


樂焼窯元に隣接する樂美術館

樂家は、様々な茶道具を供給して三千家に出入りした千家十職(せんけじっそく)の一つで、茶碗を代々造っていた家元です。樂家による茶碗が樂焼と呼ばれます。ろくろを使わず手ごねで成形するため、形状のゆがみと口や胴(器の淵)の厚さが特徴です。

唐物を中心とし、伝統的な評判に基づく”名物”茶道具を嫌った千利休は、禁欲的で極端に質素な美意識を好みました。その結果生まれたのが樂焼茶碗の風合いです。幾何学的で端正なデザインがよしとされる中国や高麗産の高級焼物とは正反対ですが、樂焼は近世初めの日本で定着するようになります。

長い戦国の世が終わり、より多くの人が茶の湯に目を向けていた時代でした。結果茶碗のニーズは高まり、過去の名物茶碗に代わる新造の名物茶碗としての前衛的なデザインが受容されやすい環境にあったと考えられます。

日本人は幾何学的で整ったデザインはやはり好まない、ということを樂焼は語っています。焼き物や庭園がそうですが、好みに合わせてきわめて繊細で微妙な成型をします。同じものはないということを好みます。ヨーロッパや中国大陸の価値観からすれば摩訶不思議の一言なのです。樂焼はそんな日本的な美意識を象徴する芸術だと思います。



光悦は、初代・長次郎を継ぎ樂家の礎を築いた二代・常慶(じょうけい)に樂焼を教わりました。光悦は常慶の長男の三代・道入(どうにゅう)とも親しかったことから、道入は光悦の美意識も取り入れ、樂家歴代随一の名工と呼ばれています。

【樂美術館 公式サイトの画像】 常慶 黒樂茶碗 黒木

二代・常慶の黒樂茶碗「黒木」は、口のゆがみが特徴的な「織部好み」を反映した作品です。背が低い上に、器下部の腰が狭く、上部の胴が広い二段階のデザインも印象的です。

三代・道入や光悦の作品はデザイン面でさらに洗練されていると感じます。道入の黒樂茶碗「青山」は漆黒の側面の胴の中央に、大胆にハトのようにも見える紋様が白抜きされています。この紋様が実にすわりがよく、落ち着いた印象と前衛的なデザインが両立した素晴らしい茶碗です。

光悦の白樂茶碗「冠雪」は、銘の印象とは逆に胴より下の大半が白く、口の付近だけが赤くなっています。わざと逆の印象を与える銘を付けたのでしょうか。白い胴の肌には細かな気泡が見えやすくなっており、見た目が単調にならないよう茶碗全体の印象を引き締めています。わずかな歪みをもたせた円筒形の茶碗の形状もとても上質です。


本阿弥光悦の屋敷跡の碑

樂美術館から真北へ10分ほど歩くと、本阿弥光悦の屋敷跡があります。付近は武者小路千家もあり、近世の京都で上流階級がこぞって居を構えたエリアでもあります。樂美術館の西には秀吉の聚楽第がありました。

樂家と光悦が活躍していた、まさにその地で開かれている展覧会です。深い味わいを感じることができます。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



樂家当主と各界著名人の対談はとてもエネルギッシュ


樂美術館
開館40周年 秋期特別展「光悦考」
【美術館による展覧会サイト】

会期:2018年9月2日(日)~12月9日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:00

※この美術館は、常時公開している常設展示はありません。企画展開催時のみ開館しています。

◆マナー教室◆

◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、6番出口から徒歩15分
京都市バス「堀川中立売」もしくは「一条戻橋」バス停下車、徒歩3分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄烏丸線→今出川駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄の方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。


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京都・泉屋博古館「仏教美術の名宝」 ~半跏思惟像と線刻の鏡に見とれる

2018年09月15日 | 美術館・展覧会

京都・鹿ケ谷(ししがたに)の泉屋博古館(せんおくはっこかん)で「仏教美術の名宝」展が始まっています。住友コレクションの仏教美術に加え、根津美術館や大和文華館など他館所蔵品の鍍金仏を中心に銘品が揃いました。

泉屋博古館が所蔵する国宝2点の内の一つで、鏡に彫られた線刻の仏像がとても美しい「線刻仏諸尊鏡像」や、2017年に7cの朝鮮半島での制作と鑑定されて話題を呼んだ、京都・八瀬・妙傳寺(みょうでんじ)の微笑が美しい菩薩半跏思惟像も出展されます。

像高の小さい錬金や金銅仏が中心ですが、インド・中国・朝鮮半島・日本と製作地は多岐に渡っています。仏教美術が東に進むことで変化していった表現の個性を興味深く学べる展覧会です。


館の中庭から見える大文字山(右上の山)

展覧会は仏像の始まりであるガンダーラの石仏から始まります。続いて中国の仏像が現存する最古の時代である五胡十六国・南北朝時代(4-6c)の。まばゆい輝きを発する錬金仏が目に入ってきます。

【泉屋博古館 公式サイトの画像】 鍍金弥勒仏立像(重文)

鍍金弥勒仏立像(ときんみろくぶつりゅうぞう)は金メッキでできています。光背が仏の背中に付けられており、大きなマントを背負っているように見えるのが特徴的です。両脚はやや開いてお立ち台ような台の上に堂々と建っており、お顔も端正です。スーパーマンがほのぼのとポーズを決めているように見え、愛着を持てる作品です。

【根津美術館 公式サイトの画像】 釈迦多宝二仏並坐像(重文)

「しゃかたほうにぶつへびょうざぞう」もお立ち台のような台の上に造形されていますが、こちらは座っています。釈迦と多方仏の二人が並んでいて安定感がある一方、お顔の表情はほのぼのと見えます。北魏時代の仏像の特徴です。

【毎日新聞 公式サイトの画像】 妙傳寺蔵 鍍金菩薩半跏思惟像

半跏思惟像は妙傳寺に古くから伝わっていましたが、永らく江戸時代に日本で造られた仏像と考えられていました。金属の成分分析と作風が決め手になったようですが、スリムなボディラインなど確かに同時代の韓国にある仏像や日本の飛鳥仏とも作風が似ています。

独立ケース展示ですので360度鑑賞できます。後ろから見た方のラインがなでやかです。鑑定結果への信頼性が高まれば相当の文化財指定が行われる銘品と感じます。

【泉屋博古館 公式サイトの画像】 線刻仏諸尊鏡像(国宝)

展覧順の最後には、今度はプラチナのような輝きを発する鏡があります。鏡面の保存状態が良く、全く濁りや割れはありません。7体の仏様が宙に浮かんでいるように見え、とても幻想的です。鏡だと思って裏返すと仏様が宙に浮かんでいるように現れる、初めて見た人はさぞかし驚いたことでしょう。裏面の装飾もとても繊細で気品の高さを感じさせます。平安時代作の銘品中の銘品です。



蹴上駅近くのトンネル「ねじりまんぼ」から南禅寺へ向かう道

泉屋博古館は南禅寺から北へ、野村美術館、永観堂と続く鹿ケ谷通り沿いにあります。東山山麓の緑豊かな道で、車の通行は少なく、ゆっくり散策するには最適です。この道を北へ歩けば、地下鉄の蹴上駅から泉屋博古館まで20分ほどです。私はバスに乗らず、ほとんどこの道を歩いています。いつ訪れても空気が美味しい道です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



奥が深い仏教美術を今一度整理してみましょう


泉屋博古館(京都)
特別展「仏教美術の名宝」
【美術館による展覧会サイト】https://www.sen-oku.or.jp/kyoto/program/

主催:泉屋博古館、日本経済新聞社、京都新聞
会期:2018年9月8日(土)~10月14日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

◆マナー教室◆

◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

京都市バス「宮ノ前町」バス停下車徒歩1分、「東天王町」バス停下車徒歩3分
地下鉄東西線「蹴上」駅1番出口からから徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30~40分
京都駅烏丸口D1バスのりば→市バス100系統→宮ノ前町

【公式サイト】 アクセス案内

※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には無料の駐車場があります。


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大阪・池田・逸翁美術館「東西数寄者」 ~小林と五島の友情が一堂に

2018年09月06日 | 美術館・展覧会

阪急の小林一三(こばやしいちぞう)と東急の五島慶太(ごとうけいた)、東西を代表する私鉄グループの創業者二人によるコレクションの展覧会が、まずは阪急の逸翁美術館を会場に始まっています。

五島は、日本で私鉄のビジネスモデルを作り上げた小林に倣った経営者の一人で、数寄者(すきもの)同士としても親密な交流がありました。そんな二人の愛したコレクションが五島美術館との共同企画で一堂に会します。大阪展終了後は東京・五島美術館に巡回します。


逸翁美術館

五島が東急グループを築き上げることになったのは、小林の声掛けが大きく影響しています。田園調布などの住宅地開発のために渋沢栄一が立ち上げた会社の鉄道事業(現在の東急目黒線・多摩川線)の経営が芳しくなく、小林が一時サポートしていました。しかし小林が多忙なため、鉄道行政官僚を経て鉄道経営に関わり始めていた五島を招聘し、経営を任せたのです。

五島はその後、現在の東横線を全通させ、沿線に東京工大・慶應などの大学を誘致します。渋谷にターミナルデパート(現在の東急百貨店東横店)も開店させ、小林の手法に学んだ鉄道乗客の創造を押し進めました。

五島は小林の9歳年下で、結婚時に妻の実家の姓である五島を名乗るようになります。本姓は小林だったため、小林一三に不思議な縁を感じていたのかもしれません。

【五島美術館公式サイトの画像】 過去現在因果経 巻第四

小林の美術品収集は茶の湯がベースですが、五島は奈良の古写経の収集から始まりました。「絵因果経」は鎌倉時代の写本ですが、奈良時代の趣を見事に伝えています。益田孝(鈍翁)の旧蔵品です。

【五島美術館公式サイトの画像】 鼠志野茶碗 銘 峯紅葉

グレーの地肌に白く太い文様が目立つ鼠志野(ねずみしの)は、筒のように底が張った肉厚のボディに日本の茶人が好んだ”歪み”が表現されています。峯紅葉と名付けられているように、赤みの部分が絶妙なバランスで表現されているのが目を引きます。志野焼を代表する銘品です。

【公式サイトの画像】 豊臣秀吉画像、奥の細道画巻

秀吉の肖像の中で最も忠実に描かれているとされる作品です。他の数多の秀吉の肖像の手本になっています。加納永徳の子・光信らしく、おだやかに描かれています。

奥の細道を書写して挿絵を施した画巻は、旅情を誘う表現に与謝蕪村らしさが現れています。即興で描いた絵ハガキのように、とても温かみがあります。


五島美術館

小林は実業家としても数寄者としても、後輩である五島の蒐集熱にはかなわなくなったと感じていたようです。五島美術館は国宝「源氏物語絵巻」を所蔵するように、日本を代表するコレクションを有しています。多摩川やニコタマの高層ビル群を見下ろす緑豊かな台地にあります。ぜひ訪れてみてください。

五島美術館
【公式サイト】https://www.gotoh-museum.or.jp

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



昭和の名経営者50人の筆頭に選ばれたのは五島慶太


逸翁美術館
特別展 茶の湯交遊録Ⅲ
東西数寄者の審美眼 阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション
【美術館による展覧会サイト】http://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-museum/exhibition/1853/

主催:阪急文化財団、五島美術館
会期:2018年8月25日(土)~10月14日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:10:00~16:30

※9/17までの前期展示、9/19以降の後期展示で一部展示作品が入れ替えされます。
※この展覧会は、2018年10月から東京・上野毛・五島美術館、に巡回します。



おすすめ交通機関:
阪急宝塚線「池田」駅下車、徒歩10分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
JR大阪駅(梅田駅)→阪急宝塚線→池田駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。


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大阪・東洋陶磁美術館「高麗青磁」 ~秘密の色には感服

2018年09月05日 | 美術館・展覧会

大阪・中之島の東洋陶磁美術館で「高麗青磁」展が始まっています。東洋のやきものコレクションでは世界的に名高い東洋陶磁美術館所蔵品に国内の代表作を加え、ヒスイのようなどこまでも奥深い緑に包まれた高麗(コリョ)王朝時代の青磁(せいじ)が一堂に会します。

東洋陶磁美術館ならではの垂涎の展覧会です。



高麗は918年~1392年、日本の平安時代から室町時代にかけて朝鮮半島の大部分を支配していた王朝です。高麗時代に造られた高麗青磁は朝鮮半島を代表するやきものとして現在ではよく知られていますが、その存在は長い間忘れられていました。19c末に墳墓で露出していた青磁が日本人の間で徐々に評判となり、20c初頭には欧米のコレクターにも絶大な人気を博すようになりました。

高麗青磁は10c半ばに中国の青磁の影響を受けて制作が始まったと考えられています。貴族社会で流行した喫茶の器に始まり、酒器や文房具・香炉・花瓶など様々な用途で造られていきます。最盛期は12cで、中国の宋の宮廷でも「秘色(ひそく)」と呼んで多くの高麗青磁が用いられていました。

「秘色」とは元は中国で造られた青磁のことを意味していましたが、次第に高麗青磁の代名詞となっていきます。それだけ中国で高麗青磁の評価が高かったのです。日本語の漢字の意味からイメージすると、「秘密の色」というネーミングは青磁が醸し出す妖艶で奥深い緑色を絶妙に表現しています。

高麗王朝では「秘色」ではなく「翡色」と表記していました。日本語の漢字の意味では「ヒスイ色」となります。これまた絶妙なネーミングです。

【公式サイト】 展覧会予告動画

プロローグとして、”再発見”後に韓国人や日本人によってこぞって”再現”された高麗青磁が展示されています。宮内庁三の丸尚蔵館にも所蔵されており、12cに造られた直後ような上質な輝きを見せています。

【公式サイトの画像】 青磁彫刻 童女形水滴

小さい人形のような置物に見えますが、水滴(すいてき)と呼ばれる硯に水をそそぐ入れ物です。つぶらな瞳の女の子が抱える瓶の先端が注ぎ口です。少女が主の書斎の脇に本当に控えているように思わせる銘品です。

【大阪産業創造館 Bplatz】 弁当のあの「魚」が誕生し、全国に広まった理由とは?!

この作品を見て、弁当に添えられている醤油差しを、ふと思い浮かべました。東アジア文化圏では、少量の液体を入れる容器にも遊び心を求める共通のカルチャーがあるのでしょう。

【公式サイトの画像】 青磁象嵌 竹鶴文 梅瓶

上半身が大きい瓶の中でも肩が強く張ったボディラインが美しい銘品です。竹鶴のシンプルな文様がヒスイ色の肌に実によくマッチしています。白線に焼き上げられた幾何学的な文様が、イスラム的にも見えエキゾチックです。

【根津美術館公式サイトの画像】 青磁蓮唐草文水瓶

展覧会では「青磁陽刻蓮唐草文浄瓶」と表記される重要文化財は、仏前に添える浄水を入れる瓶です。美しい肩の曲線の表面に蓮と唐草の文様が、ヒスイ色の陰影で清浄感を醸し出しています。きわめて清らかな逸品です。

ご紹介できるのはほんの一部です。250点もの銘品が揃っています。時間に余裕をもってお出かけください。時間を忘れて見とれてしまいます。



東洋陶磁美術館では特別展の後に平常展(常設展)もお忘れなく。
平常展を見ないと後悔します。


こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



安宅コレクション蒐集の立役者による韓国陶磁の集大成


大阪市立東洋陶磁美術館
特別展「高麗青磁-ヒスイのきらめき」
【美術館による展覧会サイト】http://www.moco.or.jp/exhibition/current/?e=481

主催:大阪市立東洋陶磁美術館、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、毎日新聞社
会期:年9月1日(土)~11月25日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。



おすすめ交通機関:
大阪メトロ御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅下車、1番出口から徒歩6分
大阪メトロ堺筋線・京阪本線「北浜」駅下車、26番出口から徒歩6分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→淀屋橋駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。


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