桃とかなへび

いらっしゃいませ。

この本を盗むものは

2023年08月25日 | ブックエンドとスクリーン
深緑野分「この本を盗むものは」を読んだ。
本の収集家嘉市が建てた私設図書館の御倉館。今は閉鎖され息子のあゆむが管理をしている。主人公はあゆむの娘、本嫌いの高校生御倉深冬。御倉館の立つ本の街の名は読長町。ブックファンタジーなんてジャンルがあるかわからないが、本の世界に入り込むような話である。
数年前の本屋大賞候補作らしく、初めての作家さん。いつも通り通勤時間に読んでいたが、四分の1くらい読んだころからページをめくるのが辛くなった。結局1〜2週間放置して、夏休みが明けてから気を取り直して読み進め、ようやく読了。
読んでない時に、なぜ辛かったのか考えた。いくつかのジャンルの違う物語の中に入るのは楽しいはずなのに、なんで?
文章が物語のスピード感に合わないのかも。自然や空気感やディテールの描写が丁寧すぎるのか。例えば必死に逃げてるシーンで「ゴンドラの鉄の扉」で伝わるところをゴンドラの大きさや扉の装飾や匂いや温度まで読まなきゃならない、みたいな感じ。
初めから映像化を狙ったのかもしれないが、本読みは文字で楽しみたいの。もう少し信頼というか、空想の隙間が欲しい。今どき流行らないかもしれないけど。
ここまで考えて、この先は斜め読みでもいいやと開き直って続きを読んだ。
好きなところはもちろんあるけれど(ましろとひるねは好き)、謎解きは不満が残る。若い時に読んだらもっと楽しめただろうか。
こんな読書もある。
ただ読後感は妙に夏休みっぽかった。






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