江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「副校長補佐」という仕事ー2(子ども対応も)

2020-09-29 | 随想
申請書(区教委指導室が私の採用申請を区教委事務局次長に申請した書類)によると、私の職務内容は次のとおりだ。
・学校運営事務 ・地域対応 ・PTA保護者対応 ・人材育成等

こうして見てみると、子どもに関する対応は形の上では職務にはない。
ところがところが、着任した早々に子ども対応の仕事が与えられた。
教室にいられない1年生が校長室へやって来て、校長が事務仕事をしながら見ていることがしばしばある。
ところが、校長もずっと自席にはいられず、席を外した際に代わりに面倒をみるのは私だ。

「おじさんダレ?」
「こういう名前です。覚えてね」と名札を見せる。
「ふ〜ん、 ◯◯おじさんか。」
初めての出会いはこんな感じだったが、会話が出来る状態の時はまだ良い。
問題なのは、校舎内のあちこちに歩き回りイタズラしまくったり、時には校庭に飛び出して幼稚園の遊具等で遊び出すこともある。
黙って好きなようにさせておくと、行為がエスカレートして器物を破損させたり自身の安全確保さえあやしくなる。
強引に引き戻そうとすると、蹴ったり爪で引っ掻いたりして抵抗する。
既に何人もの教員が彼女から被害を受けている。

この子が比較的機嫌の良い時は、色んな事を話してくれる。
自分の保育園時代の友だちの名前を全て言えるだけでなく、友だちがどこの小学校へ入学したかも言える。
10数人が5つの小学校に分散したようだが、それが全て言えるのには驚いた。
私が「口で言ってるだけでは先生は覚えられないから、紙に書いてくれる?」
と頼むと、番号を付けて学校名を平仮名で書き、その後に人数を書いてくれた。

次の日も校長に頼まれて校長室へ入ったら「おじさん来たの⁉︎」と言われた。
校長が「おじさんじゃありませんよ。◯◯先生というお名前で、校長先生たち先生方の大先輩の先生ですよ」と言ってくれた。
まあ、何という気のつかい方ではある。
ところが、彼女はそんな言葉はどこ吹く風、「おじさんじゃないんだ。だったら、おにさん⁉︎」と言う。
校長が出て行ってからは、この言葉遊びが始まった。

私はてっきり「お兄さん」と呼ばれたと思い、「まあいっか、それでは『おにいさん』ということにしましょう」と笑顔で応えた。
すると、「おにいさんじゃないよ、オニさんだよ!」と「オニ」を強調して言われてしまった。
「おじさんは、オニさんだよ!」
「あっ、そう。だったら鬼になって◯◯◯ちゃんを食べちゃうぞ!」
「おまえなんかに食べられるわけねえだろ!」
「そうだな、オニギリなら食べられるけどな…」
「オニはおじさんだよ。私じゃないよ。」

こんな感じでやり合ったが、毎回顔を合わせる度に彼女は異なる言動で向かってくるから大変だ。
変わらないのは「おじさん!」という言葉だけだ。

(つづく)

<すばる>

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「副校長補佐」という仕事ー1... | トップ | NEWS江戸川区教組 No.2006 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

随想」カテゴリの最新記事