将棋おたくのつぶやき

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福島県立大野病院事件

2008-08-23 10:21:36 | ニュース
地裁で無罪判決となりましたが、100以上の学会が声明を出した、奇異な事件。
いろいろと複雑に、されている事件のようです。

まず裁判じたいは基本的に「業務上過失致死」が主治医に認められるかどうか。
民事裁判でなく刑事裁判、ということはかなり混乱がみられますが、
被害者感情や説明責任といったところは判断されず、純粋に医療行為のみの判断となります。
そしてその立証に関しては
1)死亡についての予見可能性
2)医療行為の妥当性
が焦点となりました。(医師法21条違反は微細な問題と思われる)
結果は1)は予見可能性あり、2)は妥当な判断という判決でした。
問題は2)医療行為の妥当性で、検察側が「途中で子宮を摘出すれば最悪の事態は回避できた」と主張しましたが、(弁護側の主張などによると)それを行うことが妥当であるとするコンセンサスも症例報告もなかったようで、結局裁判の中で証拠として提出されたのは産婦人科教授の供述のみだったようです。

医療者たちにとっては、警察・検察側がほとんど立証できない状態で逮捕・起訴されたことが今回のような強い反応につながったものと思われます。実際、当時の文献的なエビデンスが発見されない限り業務上過失致死の立件は困難でしょう。

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