将棋おたくのつぶやき

主に将棋中心のブログです。

将棋ソフトカンニング疑惑について(続報)

2017-05-27 13:18:27 | Weblog
 以前にも書いた内容ですが、おそらく一段落したようです。

 会見で象徴的だったのは「今回はお互い傷を深く負ったという話を私からしました」という一言かと思います。
 話した相手が(一部で言われているような)悪意の扇動者であれば、こういった発言はしないかと思います。(せいぜいが「将棋界のためを思ってのことでしょう…」くらいでしょう)
 真相はわかりませんが、そのお二人はおそらく本当に傷つかれたのであろうなと思いました。

 以前の記事では白黒という表現をしましたが、そこを度外視してどのように処理するか、という問題がより本質的だったのだなと思います。
 「真実を明らかにしろ」という言葉は傷つくものですが…当然のことながら「真実」を全て明らかにすることはできませんし(最も守らなければいけないのはスポンサー=読売新聞であり、その不利益になるような情報は連盟は出せません)(そもそも告発者たる某雑誌が情報を明らかにしない限り不可能です)、またその状態で処理するということは非常に難しいことだったろうと思います。
 多くの人は、出せない情報を、あるいはじっと耐えるしかない場面を、能力を超えた問題を、任された経験はしているものと思います。
 関係者の心中を深くお察ししますが、ごく一部の心無い声に負けることなく、前に進むことを願ってやみません。

理化学研究所の研究について(続々報)

2017-05-27 11:02:21 | Weblog
Neural encoding of opposing strategy values in anterior and posterior cingulate cortex
Nature Neuroscience 18, 752–759 (2015)
攻撃・守備の戦略を司る脳部位について。
特定の局面で、攻撃すべきか守備すべきかの2択、もしくは最善手の4択を選ぶ施行で、どの脳部位が働くか?という研究です。
攻撃を選ぶ場面では帯状回後部が、守備では吻側帯状回前部が働くとともに、いずれにも前頭前野背外側部が働く。選択を司るというより選択の重みづけに関与しているようです。
結論としてはそうで、攻撃・守備という複雑な概念をいかにデータに落とし込むか、また他の概念では説明できないデータであることをいかに証明するか、ということで複雑な解析もしているようで、全ては理解できていないのですが。サルの実験でも似たデータ(危険回避実験と表現するのが良いでしょうか)が出ているようです。



The Neural System of Postdecision Evaluation in Rostral Frontal Cortex during Problem-solving Tasks
eNeuro 9 August 2016
意思決定後の評価を行う脳部位について。
詰将棋の図面を見せて初手を答えさせて、「そのあとに」問題を考えているときにどの部位が働くか?という研究です。
外側前頭頭頂皮質を含む吻側前頭皮質が働く。
図面を見せてすぐ答えさせる、図面を見せて数秒考えさせる、のほかに、一度見せた図面を考え直させる施行をするのがポイントのようです。
脳は安静時にも様々な活動をしている(デフォルトモードネットワークとか)ので、その影響をどう否定するか、などの検討がたいへんそうです。
その脳活動じたいは将棋を覚えてしばらくすれば出現してくるので、それが人間の思考発展の出発点…といえるのかもしれません。



また続報があったら読んでみたいですが、やはり基礎的な知識がないとなかなか難しいですね…。

将棋ソフトカンニング疑惑について

2016-10-22 13:28:06 | Weblog
想像される流れを時系列にまとめました。想像ですけどね。


・カンニング疑惑が棋士間で噂になる
・マスコミも情報を収集しはじめる
 (某メディアの取材もこのころから?)
・スマホ持ち込み不可を棋士会で採択
・その後の対局で疑惑が再び出現

・某メディアが某棋士に、「独占告白」を条件に情報を提供
 ※ここがポイント。どこまでの情報をもち、どこまでを提供したか?
  確たる証拠は提示せず、「だがまだ情報はある」とほのめかす展開が、
  最も疑心暗鬼にさせ混乱させる。
 (某メディアは同時に某新聞社へも情報提供)

・某棋士が理事に相談、臨時の会議を開く
・当事者とも相談するが、連盟側は確たる証拠がないため玉虫色の決着を目指すしかない
・当事者が正式に反論
・それを待って某メディアが記事に起こす
・他メディアも追随 代理戦争の様相を呈する
 (それとなく真実を伝えようとぎりぎりの表現をしているメディアも)


実際のところは白黒どちらなのか想像がつきません。

真実を知らないままでは連盟側がうまく対応できないのもやむをえない?

理化学研究所の将棋関係の研究について(続報)

2015-02-14 17:30:02 | Weblog
 2014年のscientific reportsに掲載されています。http://www.brain.riken.jp/shogi-project/press/release_140804.html

 プロ棋士とアマ(有段者レベル)、将棋を指さない人の比較実験。EEGにより、将棋の配置を見た際の波形変化を、よく見る配置(囲いなど)と、ランダムな配置で比較した。
 200ms後に側頭~前頭のθ波の出現、700ms後に頭頂、側頭、前頭のδ波の出現。よく見る配置に特異的だったのは前頭のθ波で、プロ以外では前者の変化は認めず。
→仮説として
 200ms:前頭で大雑把な空間認識、意味記憶につなげる(前頭)、詳細の把握(側頭)
 700ms:情報の統合(先行研究からは楔前部?)、また次の手を帯状回で検討

 H23のrikenchannelで触れられていたEEG研究成果の一部と思われます。
 徐波の出現は珍しいかどうかというより、脳活動を表しているものといえそうです。
 「序盤型と終盤型で異なる頭頂部の徐波」というのはないので、まだデータはありそうです(論文となりうるものかは不明ですが)。

AKBじゃんけん選抜2012

2012-10-14 08:22:45 | Weblog
 将棋ネタではありません。


 やすすのコメントでも繰り返し出ています。
 「同じグーでも意味は違うんだ」
 確信をもって決断する、後悔しないことの重要さを伝えてきたと思います。

 今大会のキーパーソンは仁藤でした。
 準々決勝の篠田戦がハイライト。理由は言うまでもなく。
 ここを突破すると、準決勝で岩、もとい内田を撃破。
 なんと優勝者を連覇した勢いで決勝に進出します。

 ここまで仁藤はすべて一発で勝っています。それもパーで。
 大会後、仁藤は「一瞬グーが見えたけど」パーを選択します。
 異様な雰囲気の中、後悔したくないという思いがあったのでしょう。

 そして「シナリオどおり」負けてしまいました。
 視聴者にもわかるシナリオで。
 もしプロデューサーが作ったのでなければ神が作ったシナリオで。


 人間が必死で考え決断したことも全て神の手の中で転がっている


 ラプラスの悪魔というやつですね。
 プロデューサーには抗えても神には抗えない。
 越えられない壁を見せつけられたような、そんな決勝でした。

 もしそんなふうに運命を信じられなくなったらどうしましょうか。
 じゃんけんなんて何出しても一緒。
 一周ぐるっと回ってそこに行きつくのかもしれません。


 なお大会のもう一つのツボ。
 総監督の大会総括という、一見厳粛な場面。
 やってきたのが茨城のヤンキーみたいなあんちゃん。
 その後ろにちょこまか走る岩。

 ほどよいしょーもなさがよかった。わらた。

打歩詰の定義に挑戦?

2008-11-22 13:23:10 | Weblog
http://toybox.tea-nifty.com/
おもちゃ箱さんのサイトでリンクされている話題が、
「王手がかかっていなくても打歩詰、と定義すると面白いものができる」
ということ。

将棋ガイドブックを持っていないのでわからないこともありますが、
スティルメイトを「詰み」と認めるとすればそうなるわけで、
それはそれで確かに面白い表現がありそうですね。
スティルメイトはよく実力差のある子供の対局で見ますが、感覚的には「詰みでない負け」とみんな思っているんでしょうか?
ただ実際にはその定義づけは曖昧なようで、完全作かどうかははっきりしないようです。
はっきりするまでは完全作、でもいいように思いますが、いずれにせよ参考図としての扱いは免れなさそうですね。残念。

TETSUさんの仰るとおり、普通かしこでなく、ルールを厳密に規定しやすいフェアリー系で同じような構想を見てみたいですね。もっと手のこんだやつ。(自分で作れ)

福島県立大野病院事件3

2008-08-23 11:50:35 | Weblog
事件そのものは難しいものではなかったと思われますが、日本全国に与えた影響は相当なものであったようです。
患者・家族はもちろん、主治医も医療過誤がなかったのに2年ほどの期間仕事につけず、子供を自分で取り上げる希望もかなわなかったようです。
また明らかな医療過誤のない医師がマスコミの注目のもとに逮捕されたことで、各地域の産科が同様のリスクに不安を感じ、一部大病院への集約化が急速に進み、たとえば福島県の産科病院は2/3に減少、特に大野病院のあった南会津の二次医療圏からは産科病院が姿を消したとのことです。結果、妊婦が2時間以上運転して検診などに行く状態が続いているとのこと。

どうしても感情的な意見が多くみられるようですが、理性的な議論を願いたいものです。当然のことながらすべての医療行為を刑事事件としないことは現実的ではなく、今後も警察・検察が萎縮しないことを望みます。もちろん、今回のようなケースを繰り返さないよう、立証能力を高めてほしいものです。
医療側も限られたリソースでは困難ではあるでしょうが、医療行為以外の病状説明などへの労力をより割けるような体制がほしいものです。主治医から家族らへ説明する時間も体制もないのでは、今回のように正しい医療行為を行ってもお互いのストレスが高まるのみでしょう。
医療行為の妥当性を確認する第三者機関は本来はその次であるべき(現在の医事紛争のほとんどは明らかな医療ミスではないように思われます)ですが、そういった機関も少なくとも事後においては有効と思われます。
といってそれらの具体的な対策については今回議論が深まった印象はみられませんでした。関係者が傷ついた以外に変化がない、という状態だけは避けたいものですが…。

また報道も含めて感情論が中心になってしまった印象は否めないところ。遺族の「主治医は社会人として罪を認めて謝罪してほしい」という発言は、公人ではないですから咎められるものではないでしょうが、適切とは思えないしましてや報道すべきものではないでしょう。また医学会からの声明も国民感情を刺激するものが多い印象でしたし、報道も医療批判をセンセーショナルに描こうとしたように思われた部分が多かったようです。もはや団塊世代が必要な医療も介護も受けられないと噂されている昨今、犯人探しのみの議論は終わりにしたいものです。