将棋おたくのつぶやき

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福島県立大野病院事件3

2008-08-23 11:50:35 | Weblog
事件そのものは難しいものではなかったと思われますが、日本全国に与えた影響は相当なものであったようです。
患者・家族はもちろん、主治医も医療過誤がなかったのに2年ほどの期間仕事につけず、子供を自分で取り上げる希望もかなわなかったようです。
また明らかな医療過誤のない医師がマスコミの注目のもとに逮捕されたことで、各地域の産科が同様のリスクに不安を感じ、一部大病院への集約化が急速に進み、たとえば福島県の産科病院は2/3に減少、特に大野病院のあった南会津の二次医療圏からは産科病院が姿を消したとのことです。結果、妊婦が2時間以上運転して検診などに行く状態が続いているとのこと。

どうしても感情的な意見が多くみられるようですが、理性的な議論を願いたいものです。当然のことながらすべての医療行為を刑事事件としないことは現実的ではなく、今後も警察・検察が萎縮しないことを望みます。もちろん、今回のようなケースを繰り返さないよう、立証能力を高めてほしいものです。
医療側も限られたリソースでは困難ではあるでしょうが、医療行為以外の病状説明などへの労力をより割けるような体制がほしいものです。主治医から家族らへ説明する時間も体制もないのでは、今回のように正しい医療行為を行ってもお互いのストレスが高まるのみでしょう。
医療行為の妥当性を確認する第三者機関は本来はその次であるべき(現在の医事紛争のほとんどは明らかな医療ミスではないように思われます)ですが、そういった機関も少なくとも事後においては有効と思われます。
といってそれらの具体的な対策については今回議論が深まった印象はみられませんでした。関係者が傷ついた以外に変化がない、という状態だけは避けたいものですが…。

また報道も含めて感情論が中心になってしまった印象は否めないところ。遺族の「主治医は社会人として罪を認めて謝罪してほしい」という発言は、公人ではないですから咎められるものではないでしょうが、適切とは思えないしましてや報道すべきものではないでしょう。また医学会からの声明も国民感情を刺激するものが多い印象でしたし、報道も医療批判をセンセーショナルに描こうとしたように思われた部分が多かったようです。もはや団塊世代が必要な医療も介護も受けられないと噂されている昨今、犯人探しのみの議論は終わりにしたいものです。

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