先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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2,400名の高野山ろう城闘争 大阪市電争議 1924年主要な労働争議⑭ (読書メモ)

2022年05月16日 08時00分00秒 | 1924年の労働運動

写真・西部交通労働同盟(大阪市電)の堂々たる隊列(大阪第五回メーデー会場1924年5月1日)

(高野山での炊き出し)

(高野山と悲痛なる訣別の万歳)

(高野山から汐見駅に帰参した争議団)

2400名の高野山ろう城闘争  大阪市電争議  1924年主要な労働争議⑭ (読書メモ)
参照 日本労働年鑑第6集/1925年版 大原社研編

大阪市電争議
 1924年6月27日、大阪市電気局運輸従業員4千数百名で組織している「西部交通労働同盟」は、当局に嘆願書を提出した。
嘆願書
一、8時間制の実施
二、中休(1日2回勤務)の全廃
三、半期賞与60日分の支給
四、住宅補助料を一人7圓の支給
五、不正行為以外の理由で解雇しないこと
六、終夜電車運行の全廃
七、身元保障に関する条項の撤廃
八、共済組合の掛金の減額
九、退職金の改正
十、最低賃金制度の確立
など

7月3日、当局の回答。この日電気局長は西部交通労働同盟代表30名と面会して、以下の回答をした。
一、8時間制と中休廃止は、年195萬圓の経費増加となり、今は出来ぬ
一、最低賃金制度の確立は、現在日本で実施している所はほとんどなく、大阪市が官公署として先鞭をつけることは出来ぬ
一、不正行為以外の解雇せぬことは実施できぬ
一、終夜運転は存続して、手当を厚くする
一、運輸現業員の懲戒規定を作成中

(突如のストライキ突入)
 午後1時から九条市民殿において、聯合大会の秘密会を開いた結果、嘆願書を更に要求書に改めることとし、その場はそのまま散開したかに見えたが、その夜8時に至って天王寺車庫の労働者が突然サボタージュに入り、ボギー車60台を車庫に入れたまま就業しない者が続出した。春日出車庫も同様な状態に陥った。かくて同夜10時に至るや梅田車庫の一部を除いて全線ほとんどがストライキ決行となった。西部交通労働同盟幹部は、予期していないストライキにむしろ狼狽した。

(警察の弾圧)
 4日午前4時、高津警察署は突如多数の警官隊を動員し、一斉に罷業団本部に乗り込み中西組合長など26名を「家宅侵入罪」嫌疑で一網打尽に検挙した。また、ストライキ基金3千圓を押収した。その夜、日本総同盟大阪聯合会の幹部も続々と検挙されるなど官憲は徹底的な弾圧を加えた。争議団は、移動秘密本部を設け、あくまで闘い続ける決意を固めた。

(スト破りの学生と在郷軍人団の反スト攻撃)
 一方大阪市電気局は、西部交通労働同盟に加盟していない労働者で組織している「同志会」や監督・見習いを総動員して運転を保とうとしたが、全車輛約534輛に対して約150輛しか動かせなかった。また、在郷軍人や学生(大阪高商・大坂高工)を狩り集めて、スト破りに当たらせた。
 在郷軍人団は、線路の保護を名目に出動すると共に、「争議の理由いかんを問わず突然罷業の挙にでるのは暴挙である」「市民の公敵を葬れ!」等の反ストライキのビラを大々的に配布し、ストライキ団の挙を責め立てたため、大阪市中は全く喧噪の巷と化した。

(警察・当局の弾圧予告声明)
 5日、電気局長は「3日夜からストライキを行った者は懲戒解雇にする」との声明を発表した。同日、阪本大阪府警察部長も「交通運輸のごとき社会公共事業にあっては同盟罷業は非常中の非常手段ともいうべきものである。大阪市電の給与は他の労働者と比較して決して彼らの生活を脅かすほど低いものとは認められない。・・・警察は豪も有余なく、最も厳格な処分で同盟罷業を一日も早く解決せねばならぬ」などの旨の声明を発した。かくてこの声明の趣旨に従って、組合幹部と大阪聯合会の闘士を一網打尽に検束したのである。

(2,400名の高野山ろう城闘争)
 6日夜、大阪市電争議団2,400余名は、秘かに、それぞれに分かれて高野山に向かった。午後10時には全員無事に登り、高野山の宿坊に立てこもる持久戦に入った。大阪中から応援の食料品が続々と高野山に届けられた。

(171名に解雇通知)
 当局は171名に解雇の辞令を交付し、高野山にろう城している2,264名に『12日までに出勤すべし』と命令を出した。
 当局に雇われた在郷軍人団や反動団体は、「罷業団反省せよ!」との自動車隊を市中に飛ばし相変わらず市中で大騒ぎした。また、スト破りに狩り集めた高商や高工の学生を急ごしらえの練習のまま乗務に従事させた。

(敗北)
 高野山金剛峯寺などが争議調停に立ち、電気局長と交渉した。当局はあくまでも171名の解雇と西部交通労働同盟からの脱退を主張し続けた。争議団幹部は西部交通労働同盟の解散は絶対に応じられないと回答したが、スト資金の欠乏と連日の疲労に、11日、高野山で開いた臨時大会において、ついに涙を呑んで西部交通労働同盟解散という屈辱を受け入れ、以下の決議をして高野山を下山就業したのであった。

(決議)
 一 我らは大阪市民に交通上の不便を与えた謝罪のために、西部交通労働同盟を解体す
 一 我らは今回の戦いにより、労働者団結の力をより痛感したるがゆえに新たなる大阪市電従業員組合を組織す
 一 新たに組織した大阪市電従業員組合は日本労働総同盟に加入す
                        西部交通労働同盟

(治安警察法違反で起訴)
 大阪市電争議では、組合側の林嘉平、真壁誠等が治安警察法違反で起訴された。



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