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先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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日本労働組合同盟の関東合同労働組合―1928年の労働運動(読書メモ)

2025年04月16日 08時00分00秒 | 1928年の労働運動

関東合同労働組合―1928年の労働運動(読書メモ)
参照・協調会史料「関東合同労働組合第4回大会報告書1928年7月1日」

日本労働組合同盟の関東合同労働組合は、望月源治組合長のもと組合員約2700名の、主に中小工場の労働者で組織されているが、この年度一年間で17件!もの争議を闘い、これらの争議に動員された組合員800名が、よってたかって17もの争議を応援するなど階級連帯意識は目覚ましく、評議会解散弾圧後、公然・合法左翼の先頭で大衆的・戦闘的労働組合として自覚的に奮闘している。真正面から中国出兵に反対し、また在日朝鮮人労働者の闘いに連帯する決議をしている事も強調しておきたい。また、第4回大会報告書には、戦前の日本共産党の犯した失敗やあやまち(は幾つもあると思うが)の、その一つとして有名な「福本イズム」派による組合内組織攪乱と除名問題もリアルに報告されている。(「福本イズム派」との闘い)としてあげてみたので関心ある方は読んで欲しい。

関東合同労働組合第4回大会報告書1928年7月1日より
(資本の攻勢)
「・・(この一年)資本の攻勢は猛烈を極めた。彼らの産業の合理化はますます熾烈に無産階級の生活をおびやかした。工場閉鎖、賃金切り下げと失業とは洪水のごとく襲い来たり、・・・・。
全支部数16支部。過去一年間で消滅した支部は12支部。」

(争議の状態)
「・・資本の攻勢は、意識的に労働組合圧迫の道を選び、大争議古河の足尾坑夫への圧迫等々その他全国至るところに同一の攻勢が・・労資の対立抗争が行われた。本組合においては、産業的性質上、金融恐慌の結果没落に頓せる中小資本家の死にものぐるいの攻勢と対立し、品川白煉瓦争議を中心に数十の紛議と17件の争議を行った。・・・・本年度の争議動員数は800余名であった」。 一年間に17件の争議。すごい数です。

争議報告書(1927年7月~1928年7月)
争議の原因
経済問題   7件
組合攻撃   4件
賃下     1件
賃上               1件
工場閉鎖     1件
賃金不払       1件
  合計     17件

「毎月1件から2件の争議を取り扱い、・・労働者に有利な結果せんとすれば、当然組合の組織的戦闘力の強大なるを必要とすること日を追ってますます痛感するところである。我が組合が、かくも多くの数多くの争議と運動を決行・・・ゆるみなく闘争を発展をなしえるは、けだし産業的大組合主義に根拠を有するのは明白なる事実である。」

(争議部は次の基礎条件を備える)
(一)争議発生前の一切準備完了のために必要な有能なる争議部員の特別任務の遂行
(二)産業的、地域的応援と共同闘争。綿密なる組織と宣伝の特殊運動(争議の社会化)
(三)組合本部と支部の有力なる戦闘資金の積み立て

(対支出兵絶対反対決議)
決議文
田中反動内閣の対支出兵は、我国大資本の利害を代表し、敢えて中華民国の民族解放を阻止せんとするにある。日本政府の強度なる対支干渉は、中華民国の民族運動を蹂躙し、世界の無産階級解放運動を暴圧せんとする反動政策である。
我等はかかる対支出兵に絶対反対を宣明す。
右 決 議 す
昭和三年七月一日
(関東合同労働組合第4回大会提出議案1928年7月1日)

(朝鮮労働者差別待遇即時撤廃決議)
理由
  日本政府の朝鮮民衆に対する弾圧についての糾弾は別として、内地に在る朝鮮労働者諸君に与へつつある冷酷なる放任政策は我等労働階級の絶対反対するところである。現在に於いては先ず土木建築業務参加労働者の大半は朝鮮労働者諸君である。さらに辺を各工場に見れば臨時工の多数を占め、本職工としても其の数甚だ多きものがある。故に朝鮮労働者諸君は日本生産事業中の労働関係に於いて重要なる任務を果たしている。
然るに朝鮮労働者諸君は、其の賃金に於いて極めて安く、労働時間甚だ永く、待遇は全く奴隷的であり、労働立法保護の恩恵を与えられず、完全なる差別待遇をなされつつある。
  朝鮮労働者なるが故にかかる劣悪な待遇と差別をなさざるを得ない理由はなんら根拠有らざるところである。 然しながら之を資本家的搾取の条件に照応すれば、極めて重要なるからくりを発見せるを得ない。
  朝鮮労働者なるが故にという無根なる理由により、安い賃金並びに劣悪なる労働条件・・・・、一つは過酷なる搾取をなし、二つには内地労働者の就業の権利と既得の条件を脅威するの方便とすること。
 故に朝鮮労働者諸君に対する日本政府の放任的態度と之が自由拘束の政策とは、内地労働者の政治的経済的の勢力の増大をコントロールするあると云ふ点に於いて、朝鮮労働者、内地労働者の階級的一致点がある。我等は此の支配階級の敢えて競争者を設けて、当然の結合をさまたげ、両者の共通の利益と分離且つ対立せしめんとする愚劣な政策に絶対反対を声明する。
 我等は今日の労働者階級の階級的立場に起ち、両者の政治的経済的平等化のために協力一致することに於いて、両者の損失を防ぐものになることを確信し、「朝鮮労働者差別待遇撤廃」の諸運動を勇敢に支持し之が実現を期するものである。
実行方法
(一)朝鮮労働者差別待遇撤廃の理由を公明にして、之を全労働者階級に徹底せしめること。
(二)在日本朝鮮労働団体と協力して、此の目的達成のための社会的運動を起すこと。
(三)朝鮮労働者と内地労働者との組合加入を絶対に差別せざることを徹底せしめること。
昭和三年七月一日
関東合同労働組合第四回大会

(「福本イズム」派との闘い)
『結合の前の分離』の*福本イズムを批判し、「福本イズム派」除名の関東合同労働組合声明
城西繊維工支部除名に関する声明書
決議
関東合同労働組合城西繊維工支部は本組合規約第五章第二十三条に該当するものと認め除名す
関東合同労働組合 第三回拡大理事会 第十三回執行委員会
理由
 労働組合の組織、統制は官僚的、専制的なるものでなく、其の全てが組合大衆の討議と研究の上に決定規制さるべき事は云ふまでもない。従ってその決定、規制に対しては一切の其の組織体内にある者の之を厳守すべき観念と義務というべき責任あることを知らねばならぬと同時に自己の有する思想なり意見は何時如何なる場合に於いても其の機関を通じて発表し、其の採否を求むらる可き組織の存在も知ることである。斯(かく)の如き組織と鉄の如き規制の存在してこそ初めて労働組合としての組織は生き団体としての活動は発展するのである。―この重大なる観念と責任を打ち忘れて組合の生命はなく団体の活動発展は望み得られない。いや我等が強靭なるブルジョワ支配階級の組織と闘争する使命を有する階級的組織に於いては多言を要せぬ事実である。
 されば若し、其の大衆的合議の上に打立てられたる規制・統制に反する行動を操るものがあるとすれば、即ち其れは自己を裏切り、己れ自身に反虐する哀れむべき盲目的行動であると共に団体の組織を破壊し、壊滅に導くものである。更にいうなれば、これ明らかに無産階級の闘争力を消滅し、大衆を支配階級に売らんとする憎むべき階級的裏切りである。即ちそれは今日、日本の無産階級運動内に生息する所の所謂、宗派的分裂主義者がそれである。即ち彼等の採る所の行為が口に戦線統一の叫びでありながら、その実践に於いて・・『結合の前の分離』と公式的共同戦線理論の名がくる意識的階級戦線の攪乱と分裂政策以外の何物でもないことは既知の事実である。彼等が有する此の宗派的分裂政策が如何に階級戦線の闘争力の減殺敵生産に力あるかは云ふ迄もない。かかる憎むべき分裂的生産に対して我等は全無産階級の名に於いて断固として反対し、徹底的に排除するものである。
 然るに本組合は前に此の陰険狐狸の如くの一宗派主義者と野合し、其の手先となり、組合の組織機関を無視し、其の陣営を破壊せんとせる階級的裏切者、深川支部の幹部、森橋君一派を除名した事は当時社会に声明したとおりである。
(略)
・・・階級戦線全体の利益と発展の為に除名処分に附することを声明するものである。
昭和三年一月三十一日
日本労働組合同盟関東合同労働組合

*「福本イズム」
1926年12月4日に再建された日本共産党
中央委員 佐野学,徳田球一,市川正一,佐野文夫,福本和夫,渡辺政之輔,鍋山貞親
同候補者 三田村四郎,中尾勝男,国領五一郎,杉浦啓一,河合悦三,(荒畑勝三)

 この頃の日本共産党再建運動の中で一時猛烈に流行したいわゆる「福本イズム」。コミンテルンの1927年テーゼで否定されるまでの短い間の福本和夫理論「分離結合論=福本イズム」。福本は山川均らを「組合主義(経済的運動)と社会主義(政治的運動の折衝」と批判し、労働者階級は「理論闘争」こそによって、この折衝主義から「分離」し、「全無産階級的政治闘争主義」理論を完成し、「階級的主体(共産党)」を「結合」しなければならない、と説いた。評議会、労農党、組合同盟など左翼労働・農民運動の中に福本イズムの「理論闘争」が持ち込まれ、研究会、読書会などが重視され、職場の大衆運動や地味な職場活動を「経済闘争」「組合主義」と呼び軽蔑するものさえ出て来た。その結果1928年に至っても組合同盟内でも幾つもの組織分裂や攪乱騒ぎが起きた。

1926年12月4日,山形県五色温泉宗川旅館で秘かに開かれた日本共産党第三回大会で、福本和夫によって執筆され読み上げられた「宣言」。
 史料紹介 日本共産党第三回(「五色温泉」)大会決定の宣言,規約 解題:犬丸義一  
       https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F9972261&contentNo=1

(関東合同労働組合組織)
関東合同労働組合 2740名
  芝木工支部
  品川製菓工支部
  品川第一支部
  品川第三支部
  深川防腐工支部
  本所コルク工支部
  本所第二支部
  本所第五支部
  吾嬬支部(小村井)
  猿江瓦斯工支部
  大島第二支部
  亀戸第一工化支部
  小松川第二支部
  小松川コンクリート支部
  城西センイ工支部
  中野支部
  落合支部
  城西中野支部
  日暮里支部
  寺島ゴム工支部
  向島支部
  巣鴨木工支部
  池袋支部
  池袋第二支部
  小松川第一支部
  大島第一支部
  砂町瓦斯工支部
  三河島支部
  千住毛織工支部
  本田支部(本田町)
  砂町製糖工支部
  砂町製糖工第二支部
  砂町防腐工支部
  砂町第六支部
  神田支部準備会
  滝の川支部

以上


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