先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1920年の労資協調運動 (読書メモー「日本労働年鑑 第2集/1921年版」大原社研編)

2021年08月20日 07時40分18秒 | 1920年の労働運動

               
写真・韓国紙幣の顔、協調会副会長渋沢栄一

1920年の労資協調運動 (読書メモー「日本労働年鑑 第2集/1921年版」大原社研編) 

第十編 労資協調運動
 政府の手動によって成立し、国庫より200万圓の巨額の補助金を受けた「財団法人協調会」は、階級闘争の緩和を目的とし労資協調を標榜した。「縦(たて)組合」といわれた企業内労働組合も全国各地で作られた。幾多の労働争議には傍観し労働者側からは期待できないことが明白になつた。各地の軍工廠でも労働争議の勃発前に緩和策としての「工場委員制度」が作られた。上からのこの天下り制度は、八幡製鉄所などの官営工場だけでなく、秀英舎や日清印刷の民間工場でも作られ、資本家の労働争議対策、労働組合攻撃であった。これら労資協調組織の代表者は資本家が一方的に指名した者である。

協調会
 労働争議の爆発、労働組合の勃興、労働運動の広がりに慌てた資本家と政府が、1919年末、床次内相の主動で多額の資金を投入して作った組織。1920年3月29日発会式(徳川会長、渋沢栄一副会長)。政府の補助金と三井・三菱などの資本家からの寄付で合計約900万圓もの巨額資金を持った。
 7月、協調会理事の和田豊治社長の富士瓦斯紡績押上工場で、女性労働者を中心とする2千余名のストライキが勃発した。友愛会は協調会に対して公開状をだして、協調会の争議への姿勢の表明と回答を求めた。渋沢栄一らの協調会理事会は「回答の必要は認めない」とし、また、「争議には立ち入らない」と発表した。かくて協調会は労資の協調に最も必要な、自らも標榜していた労働争議の仲裁・和解に対して、きわめて消極的態度を持つものであることを天下に暴露するに至った。所詮労資協調は階級闘争を否認し労働者個人の人格主義を基調とすることを宣言したのである。

工場内に続々と生まれる労資協調組織
 相模紡績株式会社「温情会」・・・武士道に立脚して労働問題を解決する。
 大阪工業会「労資研究会」・・・・労資相互の理解と調和
 岡山自興産館「愛働会」・・・・・国家中心主義により労働者の自覚を高める
 帝国国有鉄道「国有鉄道現業委員会」・・・床次鉄道院総裁・内相の訓示
 東京砲兵工廠「東京砲兵工廠職工代表者」・・職員職工間の疎通をはかる
 大阪砲兵工廠「大阪砲兵工廠従業員懇談会」・・同上
 陸軍被服廠「陸軍被服廠懇談会」・・・・・・・同上
 呉海軍工廠「呉海軍工廠職工協議会」・・・・・同上
 八幡製鉄所「八幡製鉄所懇談会」・・・・・・・同上
 秀英舎「秀英舎工場協議員」・・・労働者の待遇・衛生・保険等の改善を目指す
 東京日清印刷株式会社「日清印刷工務協議員会」・・・会社の発展と労働者の待遇改善を目指す
 三菱鉱業牧山骸炭製造所「牧山骸炭製造協働会」・・・労資協調が目的

(感想)
 政府・大企業の資本家主導により作られた「労資協調」組織。御用組合、二組、黄色組合、縦組合。1917年、18年、19年から爆発するすさまじいばかりの日本労働者のストライキに対し、政府と資本家は官憲、憲兵、軍隊、ならず者の総力で非道な弾圧を加える一方、労働者をだますための「労資協調」組織を大々的に組織してきた。協調会と職場組織である。目的は果敢に闘う労働組合を骨抜きにすること、労働組合から労働者を離脱させることにあった。しかし、労働者はたちまちストライキで協調会の本性を暴露してしまった(協調会理事の富士紡社長ヘのストライキ)。

 現代の僕らの経験でも、闘う労働組合攻撃として必ず登場する御用組合、二組(大久保製壜支部、デイベンロイ労組支部、永柳工業支部、杉本石油ガス支部、(紳士服の)コナカ支部、阪急トラベルサポート支部、ワタミ・・・)の役割は、もちろん労働者を助けるのではなく、ただただ東部労組と職場の労働者を分断し離脱させて、悪徳ブラック企業を助けるためだ。

 今2021年、階級闘争・階級観点を公然と否定する労働組合の指導者も多い。資本主義社会、資本家階級と労働者階級の対立・矛盾そのものを認めない労働運動が多数派となった現在の日本の労働組合運動。今では「労使協調」という思想攻撃が、社会全体・労働者全体の隅々にまで行き渡っている。会社側をリスペクトしなさいと公言してはばからない労働運動指導者、まるで1920年の渋沢栄一らの「協調会」の念願が、すっかり現代日本労働運動に定着しているかのようだ。

  しかし、私たちはコロナ禍で苦しむ労働者・仲間たちに、不当解雇ゃ過労死やセクハラや差別・・・にもっともっと怒りを爆発させていいいんだと、これからも富士瓦斯紡績ら先輩労働者に学んで真剣に呼びかけていこう!



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