平成25年11月7日()
起床後、カーテンを開けると雨が落ちている。予報では午前中雨となっている。
窓の外ではジョウビタキやホオジロ、メジロなどの鳴声が聞こえているが、姿の確認はできない。
朝食は食事処で和食膳。部屋には夕食の松茸の香りが残っている感じがする。
二つの鍋は豆腐とベーコン、それに味噌汁がつく。
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食後、雨も上がったので送迎車の出発時間まで付近を散歩する。
山の中の温泉宿なので道路もここまで、自然に包まれた静寂の世界だ。
野鳥の囀りがよく聞こえる。ようやくホオジロの姿が見られる。
* 送迎車で昨日の長野道・四賀のバス停まで送って頂く。
バス停は階段を上がった所にあるが、その階段の入口右手に長野道開通記念の『道祖神』が置かれている。
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道祖神
道祖神とは、日本に古来からあった生産、生殖の神として、五穀豊穣や子孫繁栄、縁結びの願いをかけたものといわれています。
また、村に悪いものが入るのをさえぎる護りの神ともいわれています。
【安曇野市観光課】資料より
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バス停には数人の方が待っている。長野から来たバスには定員の半分ほどの乗客がおり、それなりに利用者が多いようだ。
雨上がりとて雲が多く、山々は雲に覆われて折角の北アルブスは望むべくもない。
今日は安曇野でのんびりと過したいと思っているが,天候次第の行動にならざるを得ないようだ。
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とりあえず松本駅から大糸線で穂高駅まで行くことにする。
列車では進行左側に座り、北アルブスが見られないかと期待したが,時折小雨が散らつきそれは無理。
重い気分で車窓から眺めていると、高さが低くしかも幅の広いくっきりとした虹が出る。今まで見たことがない虹だ。一部の雲が切れて太陽が顔を出しているためのようだ。
しばしその自然現象に魅入られていたが、カメラをと気が付いた時には儚くも消えてしまった。
* 穂高駅で降りると、先ず駅舎の前にある『道祖神』が目に入る。
道祖神は、村の守り神として、多くは村の中心、道の辻、三叉路に立っているとのことだが、
ここも安曇野観光の出発点として駅の前に置かれているようだ。
早速駅前の観光案内所で半日程度の観光コースを教えて頂く。
「天候にもよるがサイクリングではどうか」と言われたので、
駅前にある『安曇野レンタサイクルしなの庵』へ。
サイクリング・マップに予定のコースを描き、雨具や篭のカバー、手袋などを準備してもらい、さらに自転車のサドルをそれぞれに合わせてから出発する。
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最初に訪ねたのは穂高神社。
日本アルプスの総鎮守として古くから多くの崇敬を集める信濃の神社。
奥宮は上高地の明神池畔に、嶺宮は奥穂高岳の頂上に祀られています。 【安曇野市パンフ】より
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* そういえば昨年の夏に上高地へ行った際に、奥宮に参拝したことを思い出しました。
また、嶺宮のある奥穂高岳には昭和30年8月に登頂しており、その際に祠に拝礼している。
ここに本社があるとは知らず、改めて敬虔な拝礼を済ませました。
* 神社を出て駅前通りを直進し、国道147号線を右折、最初の信号を左折して最初の四つ角左に道祖神がある
ここには『二十三夜塔』という石碑が並んで立てられている。
二十三夜塔
二十三夜塔とは、月齢23の月の日(二十三夜)に「講」(集い)を組織した人々が集まって、月の出を待つ月行事「月待」に
まつわる塔。 【安曇野市観光課パンフ】より
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先に進み右からの細い道に入ってしばらく行くと、二つ目の四つ角左手に三つの石碑が並んでいる。
右端が『道祖神』、真ん中に小さい『大黒天』、左端に一回り大きな『二十三夜塔』。
大黒天
大黒天とは、福を授ける神として信仰される七福神の一つ。
甲子の日に皆が集まって福の来ることを祈願しました。(甲子講)【安曇野市観光課パンフ】より
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さらにその先の四つ角左手にも三つの石碑が立っていました。
真ん中に大きく『二十三夜塔』、右の『道祖神』はその半分ほどで、左の『大黒天』はさらに小さい大きさでした。
ここの道祖神は相愛道祖神(ハート道祖神)といわており、男神と女神の繋いだ手がハートに見えることから名付けられたという。画像ではよく分かりませんが…。
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元の道に戻ると直ぐ左手に『東光寺』があり、その入口左に先程と同じ形の三つの石碑がありました。
正面の山門前には大きな下駄が三つ置いてあるのにはびっくり。 "これは一体何んだ ? "
東光寺
曹洞宗の寺で室町時代の作といわれる薬師如来像をはじめ多くの仏像が安置されています。
山門前の吉祥仁王尊の大下駄は、履けば願いが叶うと有名です。 【安曇野市観光課パンフ】より
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* 雲行きが少々おかしくなってきた。雨具があるので心配はないが、降って欲しくはない。
先ヘ進むと右手に本陣 等々力家の長屋門が見えてくる。
本陣 等々力家
松本藩主の鮭・鴨猟の際の休憩所。屋敷構えは長屋門で、庭園は桃山中期の流れを汲む江戸中期の作。
NHK連続テレビ小説『おひさま』のロケに使われました。 【安曇野市観光課パンフ】より
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その先は長閑な田園風景が広がり、ここからの北アルブスの眺めは素晴らしいと案内図にありましたが、残念ながらポツポツと雨が落
ちてくるようになりました。
万水川(よろずいがわ)に架かる等々力橋を渡り、北アルプスパノラマロードを横切って『大王わさび農場』の駐輪場に着きました。
幸いに雨は濡れるほどではなく、雨具を着ることもなく済みました。
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大王わさび農場
長野県安曇野市にあるわさび農場。大王農場、大王わさび園とも呼ばれ、1917年に開場した。
「大王」の名は敷地内にある大王神社に由来し、この神社は民話に登場する八面大王の胴体が埋葬されているとされる。
北アルプスからの湧き水を利用した安曇野わさび田湧水群の一角にある、日本最大規模のわさび園であり、年間約120万人が訪れる安曇野随一の観光スポットである。
わさび田に引かれる湧水は一日12万トンで、水温は年間通して12℃。収穫は年間通して行われる。
また、ここは黒澤明監督の映画『夢』のロケ地としても知られる。
売店での名物はわさび漬けの他、わさびソフトクリーム(350円)、わさびコロッケ(200円)など。
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広大なわさび畑に驚きながら遊歩道を歩くことにする。そのわさび畑にはハクセキレイとキセキレイが飛び回っているのが目に付きました。
気が付くとここにも『道祖神』があり、大きな石碑でした。
その先には黒澤明監督の『夢』のロケ地である水車小屋がありました。
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ここでまたまた雨が落ちてきたので、遊歩道の途中にある東屋で、持参した昨夜の松茸御飯のお握りを食べることにしました。
松茸特有の香りも充分残っており、わさび畑に飛び交うセキレイ類を見ながらのひとときを過しました。
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今日の天候の変化は激しく、雨が降ったり止んだりしたり、青空が覗いて日差しがあったりしていました。
幸い気温も低くなく、風もなかったので、サイクリングにはまずまずの天候でした。
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その後、一亘り園内を歩いて、最後に売店で名物の『わさびソフトクリーム』で喉を潤して次へ移動しました。
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下左の画像は、大王わさび農場の守り神。「魏石鬼八面大王」が祀られている大王神社。
右は手に止まった赤トンボ、この時期でも飛んでいた。
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* 大王わさび農場を出て直ぐの北アルプスパノラマロードを右折、等々力大橋を渡って左折すると間もなく左手に 『水色の時道祖神』
がありました。
水色の時道祖神
昭和50年、NHK朝の連続テレビ小説「水色の時」のロケを記念して造られた道祖神。
安曇野を代表する景色のひとつ、有明山を背に静かに佇む姿が微笑ましい。 【安曇野市パンフ】による
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とはいうものの、今日の天気では有明山は見えなかったが、微笑みながら肩を寄せ合う二人の姿に心温まる思いにさせられる。
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右手にあるわさび田などを見ながら進み、穂高川の堤防へ上がる。
カワウが飛ぶのに気が付いて上空を見上げると、数羽のワシ・タカが旋回しているのが見える。
トビが3羽とハイタカ、それにツミのようだ。
堤防上を上流に向かって進むと、『早春賦歌碑』がある。
早春賦歌碑
♪ 春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず … ♪
と安曇野の遅い春を待ちわびる心を歌った「早春賦」は、吉丸 一昌 作詞、中田 章 作曲。
それを記念して昭和59年4月に歌碑が穂高川堤防沿いに建立されました。
歌碑の横にはソーラー電池式のオルゴールが設置されていて、いつでも早春賦のメロディが聞けるようになっています。
【安曇野市パンフ】より
* そのソーラー電池式のオルゴールを聞きながら、しばし安曇野の晩秋の景色を眺めて過し
ました。
* 引続き穂高川沿いの堤防を上流 に向かって 進む。
堤防下にはわさび田が続き『穂高公園』を過ぎて左折、国道147号線を渡って丸山菓子店を右折すると右手に『道祖神』がある。
ここも三つの石碑があり、右端の『二十三夜塔』が一番大きく、真ん中の『庚申』と左端の『道祖神』はほぼ同じ大きさとなっている。
庚申塔
庚申信仰に基づいて建てられた石塔のこと。
庚申の日、寝ている間に体内にいる「さんしの虫」が天帝に悪事の報告をするのを防ぐため、夜通し眠らず集団で賑やかに過す信仰。
【安曇野市パンフ】による
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その先緩い登り坂を上がり、大糸線の踏切を越えると直ぐ右手に『碌山美術館』がある。
道路を挟んで反対側に駐輪場があり、その前にレンタサイクル店の主人に勧められたそば処『寿々喜』がある。お昼には大分遅くなったが営業中とのことで入ることにする。
「ここは観光客が少なく、主に地元の方が利用するそば屋ですが、もりの量が多いので、大盛りは注文しないように」と言われていたことを思い出し、天ざるを注文する。
待つことしばし、出てきたざるそばを見てびっくり、なるほど大盛りより量が多いようだ。
* 新そばの香りと細めの腰の強いそばに、やや甘めのつゆが程よい味で美味しく食べられた。
ただその量が多いので全部を食べるのに苦労するほどだった。
昨日、今日と現地の方のお勧めのそば処で美味しいそばを食べられ、大満足。
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観光の最後は『碌山美術館』へ。
紅葉した蔦のからまる教会風の建物は安曇野の象徴的存在といわれる。
美術館の敷地に入ると先ず目に付くのは碌山の〈労働者〉という彫刻だ。ロダンの〈考える人〉を思わせるスタイルだが、現在の境遇を思い煩う姿を表わしているようだ。
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その教会風建物で日本近代彫刻の扉を開いた萩原守衛(碌山)の生命観溢れる彫刻を見学する。
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別館では高村光太郎、戸張孤雁、中原悌二郎などの彫刻、絵画デッサンなどを見学する。
園内には各種の樹々や花木などが植えられており,季節毎に目を楽しませるように配慮されているようだ。
晩秋の現在では紅葉と果実などが目に付いたが、[カリン]の黄色い実と[シロヤマブキ]の黒い実が目立っていた。
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* これで4時間余りに亘る安曇野のサイクリングを終え、穂高駅前に戻る。
時折小雨に降られたが、それも長い時間ではなかったのが幸い、予定のコースを充分楽しんで回ることができた。
穂高駅で列車を待つ間、北アルブスに沈む夕陽が雲間から顔を出し、我々を見送ってくれた。
松本からの特急では、信州・松本平産の『モンラック・ワイン赤』を楽しんで帰京した。
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8.50.松茸山荘(送迎バス)→ 9.00.長野道・四賀(高速バス)9.25. → 9.44.松本B.T. … 10.27. 松本(特急あずさ3号)→ 10.44.穂高 …
レンタサイクル・しなの庵(穂高神社 → 東光寺 → 本陣・等々力家 → 大王わさび農場 → 水色の時 ・道祖神 → 早春賦歌碑 → 寿々喜・昼食 …
碌山美術館 →レンタサイクル・しなの庵)… 15.59.穂高 16.26.松本 16.58.(スーパーあずさ28号)→ 19.35.新宿
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