信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

阿修羅のごとく

2011年07月17日 15時22分58秒 | Weblog
今日テレビ番組欄を見ていたら、
NHk総合でアーカイブス「向田邦子さん没後30年、阿修羅のごとく」いしだあゆみ名作を語る
に目が行った。
若い頃この番組を毎回見ていた…、原作も読んだ、向田作品はほとんどハードカバーで読んだものだ。
そうなのだ、もう亡くなって30年になるのか~。

午前中暑さの中で畑の草取りやり終えて、シャワーを浴びてテレビに向かった。
1979年の作品というが私は34歳だった。
子供達は4歳と3歳の年子だった。

よくぞ小さな子供の育児の最中にこのホームドラマを毎週見ていたと振り返ってみたが
それだけこの番組は魅力的だったのだろう。
登場人物は今になると佐分利信、菅原謙次、緒形拳ともうすでに亡くなられた名優が
画面に若い姿で演じていると、思わずおおーと懐かしくなった。
演出は和田誠でこれも名演出家で随分沢山のドラマを見た。

佐分利信の父親の子供たちが4姉妹で加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュンと今も
活躍中の女優が若々しい姿で登場。
当時輝いていた女優は30年たった今も素敵な歳を重ねて映画やドラマでその姿を見る。

特にこのドラマで強烈に印象に残ったのがテーマ音楽でバックに流れる曲は忘れることが出来なかった。
トルコの軍隊という。
向田邦子作品はテレビドラマになりほとんど見てきたように思う。
ホームドラマだが辛口の内容で、しかし家族のあり方をいつも考えさせられていた。

言葉一つ一つ日常的で、なんでもないように思えるが、どこの家庭でも普通に喋る場面が心に残るのである。
昭和51年8月大韓航空機の事故で突然亡くなられ、その後の御巣鷹山上空の日本航空の事故と
8月の航空機事故になぜ8月なの?と天に向かって密かに問いたものだ。

1時間とちょっとの阿修羅のごとくの再放送は今夜と明日続けてあるが、当時の自分自身の思い出と
重なり、時代の背景をするりと手に入れた。
34歳の時に見た時と今30年後に再び見た印象が全く違うのである。
自分の生きてきた人生かと重なる部分は頷くものが多い。

いしだあゆみが最後に名作を語るといい、向田邦子の思い出を話した。
怖いおねえちゃん という印象で出演していたが、その時言われた、いしださん、暗いと静かは違うの、
元気と騒々しいは違うの、それをはき違えないでねと言われたのがずっと自分の生き方につながったと言う。
向田邦子はドラマも小説も言葉をとても大切にしている。
言葉で人を殺せると言われたともいう。

元気と騒々しいは違うのと静かに言われたと言うがそれを聞いて、自分もはっとした。
働いていて、職場で元気ねと言われることが多いが、グループの中で元気ねなのか、騒々しいのか
わからない。
いしだあゆみは人間として歳をとるごとに上質な生き方を意識してきたと、それは向田さんを見てきたからだという。
とても大事なことで上質な生き方は人間として本質の目指す部分だが、とても難しい。
だがまだ間に合う。
阿修羅のごとくは女性の多様な面を持っていることを4人の女性と母親役が演じている。

誰もがいろいろな面を持ちながら個性としてその人となりを生き方を通じて、
人生を終えていくが、64歳の今日、あらためて昔のドラマを見て深く考えさせられた。

最近のテレビドラマにこのように考えさせられるものが、ずいぶん長く姿を消しているようだ。
刑事モノと弁護士モノがあふれ、そこから自分の生き方におそわるもの何だろう?

テレビを見ない時間が増えてきた…。

あらすじ
長女 綱子は夫に先立たれ生花の師匠として生計を立てている。
次女 巻子は中学生の一男一女をもつ平凡なサラリーマン家庭の主婦。
三女 滝子は図書館の司書勤めで男っ気がまったくなし。
四女 咲子は親兄弟にも内緒で無名ボクサーと同棲している。
そんなある日、滝子が興信所に調べさせ、四姉妹の父親に愛人とその子供がいることが判明。
四人は集まって母親を気遣いながら対処について話し合う。
しかし、自分たちも「秘め事」や「隠し事」を持っていて、周囲のさまざまな人を巻き込みながら疑心暗鬼が頭をもたげる。
ねたみ、そねみ、嫉妬、そして「男と女」。
家族でちゃぶ台を囲みながら、庭先で白菜を漬けながら、日常のひとコマの中にちらっと覗く内なる「阿修羅」。
それでいてホームコメディのように人間模様を描いた作品。