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舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

万代島美術館「谷川俊太郎 絵本百貨展」見に行ってきました。

2025-03-21 22:26:29 | Weblog


3/21(金)、万代島美術館「谷川俊太郎 絵本百貨展」を見に行ってきました。
昨年亡くなった詩人の谷川俊太郎さんが手がけた絵本の世界を体験できる、ユニークな展覧会です。





まず入ると、谷川さんが書いた「えほんのくに」という詩が展示されている。
この詩がそうであるように、谷川さんは子供にも易しい言葉で、時には人間やこの宇宙の本質に迫るような深い世界を表現するような天才だと思っています。

だから谷川さんの絵本を読むと、まるで絵本から新しい世界が飛び出してくるような感動がある。
そしてこの展覧会では、絵本の中に飛び込んで、谷川さんの言葉の世界を全身で味わえるような内容になっていました。







展示会場に入ると、「ことばあそびうた」に出てくる詩が、けんけんぱのように床に書かれている。
まるで、言葉遊びの楽しさを実際に体を動かして体験できるようだ。







その奥では、「おならうた」に出てくるおならの音が書かれたドームがある。
まるでおならの中に入るような面白い体験ができる。











さらにその奥では、「オサム」というゴリラが主人公の絵本の絵と言葉が、オサムの形をした板にプリントされている。
「オサム」はシンプルな日記のような物語なのだが、読むとまるでまるでゴリラから哲学を教えられるような気持ちになる。











そのさらにその奥では、「こっぷ」という、コップの材質や形、そして色々なことができるという特徴が伝わる絵本にまつわる展示。
なんと、大きなコップの中に入って、全身でコップを感じることもできるのだ。







また、「ぴよぴよ」という絵本に登場するひよこが、展示室の至るところに展示されている。
「ぴよぴよ」というひよこの鳴き声や、様々な擬音によって表現された物語が、まるで絵本から飛び出してきたようだ。



絵本の内容がアニメとなって投影されている展示もありました。
「まるのおうさま」は「まる」という形から連想される世界が、ユーモアたっぷりにどんどん広がっていく。

「とき」は大昔の地球から日本の様々な時代の歴史を経て、私達の「今」へと時が繋がっていく。
「うつくしい!」は人は何故「美しい」と思うのだろう?「美しい」って何だろう?と自問自答する哲学のような内容。



また、絵本の原画も展示。
「ここはおうち」は、絵本を開けば不思議な世界へと連れ出されるような絵本で、谷川さんの言葉の行間からどんどん想像力が膨らんでいく。

「これはすいへいせん」は、ページをめくるごとに前のページの言葉に新たな言葉が追加されてどんどん言葉が長くなり、それに合わせて新しい世界がどんどん広がっていく。
「ままです すきです すてきです」は、すべての言葉がしりとりのように繫がっていて、言葉遊びから生まれるヘンテコな言葉をもっとヘンテコな絵で表現する絵本で、ユーモアの中にちょっと不気味な毒もある。

「なおみ」は、谷川さんの言葉に絵ではなく写真が添えられているのだが、日本人形の「なおみ」が友達だった女の子が、次第に大人になるにつれて「なおみ」と心が通じなくなっていくという、人間の成長と時の流れを残酷なほど美しく表現。
この日本人形の「なおみ」は絵本のために特注したらしく、また会場には実際に絵本に登場する時計が展示されていました。

「かないくん」は谷川俊太郎さんが子供時代に体験したクラスメイトの死の思い出をもとに作った絵本で、「ぼく」はとある自殺した少年の想像するしかない気持ちを想像しながら作った絵本。
どちらも「死」をめぐる絵本で、谷川さんは「死」とは何かという重いテーマを考え続け、子供にも問いかけ続けた方だったんだなと、谷川さんが亡くなった今あらためて思う。





また、谷川さんの朗読している言葉が流れるコーナーもあり、「もこもこもこ」は白い布に囲まれて不思議な世界で、谷川さんの朗読に合わせて絵本の内容がアニメで表現される。
谷川さんは、言葉を発することそれ自体がいかに面白いことで、そしてそれがいかに物語のような面白さを表現できる可能性を持っているかと伝えたかったのかもしれない。











最後の読書コーナーでは、谷川さんの絵本「えをかく」の朗読が流れ、それにに合わせて壁に描かれた絵本の絵を追っていくと絵本をぐるりと一周してしまう。
まるで歩きながら谷川さんと一緒に本を読み、絵を描いているような気持ちになれる。



とにかく谷川俊太郎さんは、難しく考えるよりも、まずは言葉を口に出すこと、それだけのことがいかに面白いことかを絵本で表現したかったのかなと感じました。
そして言葉は、文字として書かれた以上の深い世界を表現する力があり、その世界がまさに絵本から飛び出してきたような展覧会でした。



ところで、この「谷川俊太郎 絵本百貨展」に、少し前に弟が4歳の甥っ子を連れて行ったら、「これはちひろが好きそうだなあ」と言ったらしい。
いや、確かに好きだけど、伯父さんを呼び捨て!

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