2/13(土)、シネ・ウインドで手塚眞監督の「白痴」を観たのですが…
「手塚眞監督舞台挨拶付き特集上映!まずは坂口安吾原作の新潟ロケ映画「白痴」(1999年)」

このタイミングで、原作の坂口安吾「白痴」を、図書館から借りてきて読み返したので、感想を書いていきます。
短編集になっているので、一話ずつ軽く感想というか覚書的なことを書いていこうと思います。
「いずこへ」
戦後、貧乏だが金に執着せずに酒を飲み、生活も女も拒絶する坂口安吾自身がモデルと思われる売れない作家の男が、一人の女と望まないままに暮らし始める。女を拒絶しながらも自分の中のプライドが次第にどうでもよくなり、女を抱いて堕落していく。彼の人生はどこへ向かうのか…
「白痴」
戦時中、芸術に生きようと思いながらも人生に絶望している男の元に、白痴の女が現れる。彼女を気味悪がったり恐れたりしながらも、やがて空襲の中、彼は彼女を守って戦火の中を命懸けで生き延びる。坂口安吾の中では生命力を感じる作品。
「母の上京」
戦争で仕事を失い闇市で財を築き豪遊していた男も今は落ちぶれている。隣の部屋には水商売の女と闇市で働く娘、そして女形の居候が暮らしている。戦後の混沌と貧困の中、男は酒を飲みながら、若さが失われていく自分や女達のことを考えている。そこに母が上京し、最も情けない姿を晒す羽目に。
「外套と青空」
戦後、貧乏な男がある紳士に気に入られ、彼の仲間達と遊びに誘われる。彼らは妙に殺伐としているが、実はその紳士の妻が彼の仲間の男達に次々と手を出していると知る(昭和のサークルクラッシャー)。やがて主人公と女は惹かれ合い二人で暮らし始めるが、やがて女は去っていく。彼女の夫と再会した主人公は、過ぎ去った日々を想う。
「私は海をだきしめていたい」
愛情を持たずに女の肉体にのみ惹かれている男。女は浮気性だか不感症でもあり、男は彼女との日々に虚無感と同時に不思議な喜びを見出だしていく。
「戦争と一人の女」
浮気性だか不感症の女は、やがて一人の男に惹かれていく。彼女は戦争を愛し、何もかもを破壊する戦争に救いを見出だしていたが、同時に自分が死ぬことを恐れ、男と二人で空襲を生き延びる。死を悟って生きていた二人だったが、戦後に訪れたのは退屈な日々だった。
「青鬼の褌を洗う女」
女は、自分を金持ちの妾に育てようとする母を嫌い、戦争なんか関係ないと仕事もせずに浮気性で男達と遊び回りながら生きていた。空襲を逃げ延びる中で母が死ぬが特に気にせず、やがて一人の妻子持ちの年上の男と暮らし始める。その間も別の男に浮気したり、女友達を口説こうとする浮気性の男と出会ったりする中で、やがて彼女は共に暮らす男に惹かれていく。混沌とした戦争が終わり退屈な戦後を生きる中で、彼女も年を取り変わっていく姿が描かれる。
という感じで、一話ずつ振り返ってみましたが、戦中戦後という時代を生きた名前もない人々の、不道徳とも思われる思想や生活の中に、現代にも通じる人間の本質を描いた短編集だと思いました。
坂口安吾はこの短編集「白痴」と、「桜の森の満開の下」しか読んだことないので、シネ・ウインドが好きな新潟県民の一人として、他にも色んな小説を読んでみたいなと思います!
「手塚眞監督舞台挨拶付き特集上映!まずは坂口安吾原作の新潟ロケ映画「白痴」(1999年)」

このタイミングで、原作の坂口安吾「白痴」を、図書館から借りてきて読み返したので、感想を書いていきます。
短編集になっているので、一話ずつ軽く感想というか覚書的なことを書いていこうと思います。
「いずこへ」
戦後、貧乏だが金に執着せずに酒を飲み、生活も女も拒絶する坂口安吾自身がモデルと思われる売れない作家の男が、一人の女と望まないままに暮らし始める。女を拒絶しながらも自分の中のプライドが次第にどうでもよくなり、女を抱いて堕落していく。彼の人生はどこへ向かうのか…
「白痴」
戦時中、芸術に生きようと思いながらも人生に絶望している男の元に、白痴の女が現れる。彼女を気味悪がったり恐れたりしながらも、やがて空襲の中、彼は彼女を守って戦火の中を命懸けで生き延びる。坂口安吾の中では生命力を感じる作品。
「母の上京」
戦争で仕事を失い闇市で財を築き豪遊していた男も今は落ちぶれている。隣の部屋には水商売の女と闇市で働く娘、そして女形の居候が暮らしている。戦後の混沌と貧困の中、男は酒を飲みながら、若さが失われていく自分や女達のことを考えている。そこに母が上京し、最も情けない姿を晒す羽目に。
「外套と青空」
戦後、貧乏な男がある紳士に気に入られ、彼の仲間達と遊びに誘われる。彼らは妙に殺伐としているが、実はその紳士の妻が彼の仲間の男達に次々と手を出していると知る(昭和のサークルクラッシャー)。やがて主人公と女は惹かれ合い二人で暮らし始めるが、やがて女は去っていく。彼女の夫と再会した主人公は、過ぎ去った日々を想う。
「私は海をだきしめていたい」
愛情を持たずに女の肉体にのみ惹かれている男。女は浮気性だか不感症でもあり、男は彼女との日々に虚無感と同時に不思議な喜びを見出だしていく。
「戦争と一人の女」
浮気性だか不感症の女は、やがて一人の男に惹かれていく。彼女は戦争を愛し、何もかもを破壊する戦争に救いを見出だしていたが、同時に自分が死ぬことを恐れ、男と二人で空襲を生き延びる。死を悟って生きていた二人だったが、戦後に訪れたのは退屈な日々だった。
「青鬼の褌を洗う女」
女は、自分を金持ちの妾に育てようとする母を嫌い、戦争なんか関係ないと仕事もせずに浮気性で男達と遊び回りながら生きていた。空襲を逃げ延びる中で母が死ぬが特に気にせず、やがて一人の妻子持ちの年上の男と暮らし始める。その間も別の男に浮気したり、女友達を口説こうとする浮気性の男と出会ったりする中で、やがて彼女は共に暮らす男に惹かれていく。混沌とした戦争が終わり退屈な戦後を生きる中で、彼女も年を取り変わっていく姿が描かれる。
という感じで、一話ずつ振り返ってみましたが、戦中戦後という時代を生きた名前もない人々の、不道徳とも思われる思想や生活の中に、現代にも通じる人間の本質を描いた短編集だと思いました。
坂口安吾はこの短編集「白痴」と、「桜の森の満開の下」しか読んだことないので、シネ・ウインドが好きな新潟県民の一人として、他にも色んな小説を読んでみたいなと思います!