昨日の夜は、林 由美子の小説『堕ちる』を読んでいました。
藤井純代は郊外の一戸建てに住む主婦。
夫の脩一と小学六年生の娘・佳乃と暮らしている。
家のローンで娘の習い事の月謝で貯金は果ててお金の工面に悩む毎日。
近所では女子高校生の制服盗難事件が噂になっていたが自分達には関係ないと思っていた。
ある日、パートのシフトカットで給料が減ることになり、家の不用品を片付けてオークションに出そうとウォークインクローゼットの整理をしていると夫のスーツケースの中から見知らぬセーラー服を見つける……。
主婦の転落を描いたサスペンスです。
ごく平凡な生活をしていたはずなのにいつの間にか転落してどん詰まりに追い込まれる。
状況を悪化させる方向へ加速度的に進んでいく。破滅する人のお話。
破滅する方向に進んでいく理由が娘の幸せの為というのが悲しい。
娘の幸せを願って選択した個々の事例が積み重なって破滅の道に向かってしまう。
愚かな選択だけれども客観視しているからそう言えるのであって当事者だったら……どうだろう? やはり同じように愚かな選択をしてしまうかもしれない。
中盤から一気に転げ落ちていく様は迫力がありましたよ。
ラストは残酷で切なく悲しいラストでありました。