
昨日の夜は、映画『消えたシモン・ヴェルネール』のDVDを観ていました。
パリの郊外にあるジェレミーの自宅で彼の誕生パーティーが開かれていた。
パーティーに集まっていた彼のクラスメート2名がパーティーを抜け出して近くの森を歩いていると、茂みの中に死体が横たわっていた。
その2週間前。
ジェレミーと同じクラスの同級生・シモンが行方不明となる。
さらに数日後には同じクラスの女子生徒レティシアも消息がわからなくなる。
学内が騒然として噂が飛び交う。
同じクラスの男子生徒・ラビエも行方が分からなくなって……。
一体ハイスクールで何があったのか?
監督は、ファブリス・ゴベール。
出演者は、ジュール・ペリシエ、アナ・ジラルド、アルチュール・マゼ、ロラン・デルベック、セルマ・エル・ムイジ、オドレイ・バスティアン、エステバン・カルヴァジャル=アレグリア、ヤン・タッサン、セルジュ・リアブキン、ロラン・カペリュート、など。
物語は4つのパートに別れていて、4人の視点で同じ時間を繰り返して何が進行しているかを説明します。
登場人物達は自分達の狭い範囲の中での情報を頼りに様々な憶測し噂話をしデマを飛ばします。
観ている人は神の視点に立った気分で噂話やデマの発端を知ることになります。
(以下、ネタバレ気味の内容なのでまだ観ていない人はご注意されたし)
この映画は、観ている人に登場人物達が個々では知っていない情報を与えた上で発端となった最初の出来事の真相を推理させようと仕向けます。
映画の登場人物よりも優位な情報を観ている人に与えて推理させようと仕向けて、観ている人を噂話やデマを述べている登場人物達と同じ次元に突き落とす。
勘違いや悪意から噂やデマを述べている登場人物達と貴方も同じレベルでしょう? と製作者はおそらく囁いています。
真相は知識の遥か外にあるのに勝手に真相を推理しようとしたでしょう? と製作者はおそらく囁いています。
むぅ。意地の悪い皮肉のこもったメッセージです。
確かに、私達の社会はこの物語に出てくる生徒達と同じようなものかもしれません。
何かが起こった時、真相は私達の知識の外にあって調べなければ分からないのに不安から早く原因を知りたがり結論を出したがり結果として噂話やデマ話を広めてしまう。生贄となった人物を責め勝手に結論を出す。
そして真相らしきことが分かったら噂話やデマ話のことは忘れてしまう。
しかし噂やデマの影響は残る。
この映画をミステリとして観ていたなら製作者の術中にはまっています。
世の中とはこんなものだよ、という皮肉なメッセージ。
でも痛快なメッセージ。
面白かったですよ。
私は好きな映画であります。
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