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エンタテイメントを見つめたい

エンタテイメントな日々を考えます。

二次利用が自由な著作権契約

2005年03月25日 | 著作権
 米Yahoo!とCreative Commonsが提携。著作物を自由に使用できるのはいいのだがそのような状態にある著作物はごく一部だ。こんなことばかりしていたら著作者は創作活動から収入を得ることができなくなるからね。著作者が柔軟に著作物保護の程度を決められるのはいいことだけど。
 
 これとは対象的に過度な著作物保護もある。ミッキーマウス法のように特定の著作物の保護期間延長のために法律を改正したため他の無数の著作物までもが嫌でもその影響下に入ってしまうのは理に合っていない。日本ではCDがレコード輸入権と再販制度が適用され二重保護となっていてこれも過度な保護だ。まあ何事も程ほどがよろしいようで。

ネット配信の著作権料で合意

2005年03月23日 | 著作権
 テレビ番組のネット配信の著作権利用料が暫定だがようやく決まった昨日にも書いたが煩雑だった権利処理方法と不明確な利用料がクリアになったことでネット関連企業にとっては朗報だろうしテレビ局としても新たな収入源を確立できたわけだ。ライブドアが主張するネットとの融合が現実性へ向けて加速するだろう(もちろんライブドア以外のネット企業にとってもチャンスなわけだが)。

 NHKは制作子会社を通じヤフーで映像作品の配信を行なうことを既に決めているのでネットで巨人同士が組むことは十分考えられるし、フジテレビが軟化(妥協)してライブドアとの提携のきっかけとなるかもしれない。などと妄想ばかりだが日本のコンテンツ配信事業が大きく前進することに間違いはない。今回はテレビドラマのストリーミングを対象としているが今後アニメなど他の番組についても追従することは明白だ。暫定とはいえようやく大きな障害が取り除かれテレビ番組のネット配信が一気に加速するだろう。

 しかし2002年から協議していたのって長すぎない?

著作隣接権とタイムシフト視聴

2005年03月01日 | 著作権
 「選撮見録」というサービスを提供するクロムサイズという会社が大阪の民放局から訴えられているようだ。おそらく著作隣接権の放送事業者の権利である複製権と再放送権を侵害しているということだと思うが、クロムサイズ側の担当弁護士は「タイムシフト視聴」なるものについて語っている。
 大阪の民放5社は、視聴者が1週間分の全番組の中から希望する番組を好みの時間に視聴すること(タイムシフト視聴)が可能となると、スポンサーによる広告料に支えられている民放による無料放送の存立基盤を根底から覆しかねないと主張しています。
 いわゆるCM飛ばしをされては困るといことなのだが同様の内容として現在渦中の人であるフジテレビ会長で日本民間放送連盟会長の日枝氏は「CMをカットした録画方法は著作権法違反の可能性がある」と述べたことがある。「テレビ番組とCMは一体となった著作物なのでCMをカットするという行為は著作権の同一性保持権に抵触する」というのがその主張なのだがこれは根本的に間違いであった。

 放送事業者に認められているのは著作隣接権であってそれには著作権にある同一性保持権は含まれていない。またCMカットという行為は原則個人が行なうものであるのでこれは著作権法で認められている私的使用の範囲内にあるため法には触れていない(不正競争防止法が関係するのかもしれないがよく分からない)。しかももし録画したい番組が10分でもあれば放送が開始する朝から終了する深夜までまるまる途切れることなく録画しなければならないというはめになる。こういったことを考えるとなぜ民放局は番組のネット配信に消極的(なように見える)のか、なぜNHKは積極的なのかが分かるような気がする。

 しかしクロムサイズ側が主張する「選撮見録」の正当性は何なんだろうか。ホームページを見てもそれを見つけることができない。明らかに著作隣接権の放送事業者の権利を侵害しているように思うのだが同社の正当性を是非聞いてみたい。

 それとこの弁護士が言う「「タイムシフト視聴」を可能とする機器類の製造・販売を禁止する権利をテレビ局等に与えることは適切ではない」という考えには賛成なのだが、彼がクライアントを擁護するため「著作隣接権」から「タイムシフト視聴」へと論点をずらしているように見えるのは気のせいだろうか。

楽曲使用料と事業者の保護

2005年02月21日 | 著作権
 使用料支払い義務のある著作物を使用するにはその使用方法に応じて著作物使用料を支払う。音楽を使用する場合その音楽がJASRACなどの著作権管理事業者に管理委託されているのであればその著作物(楽曲)使用料を管理事業者に支払う。例えばJASRACに管理委託されている楽曲の場合CDや映画の複製をともなう利用はもちろん、ミュージカルや演劇、カラオケ大会、放送そして自作の曲を自身のコンサートで歌うなど不特定または特定多数を対象とした利用をすればJASRACに使用料を払わなければならない(ある一定条件下での使用あれば支払い義務はない)。

 しかし著作権料気にせずレッスンしたいという願いの通り楽曲使用料というのは決して安くはなく特にジャズ喫茶やダンス教室などに多く見られる零細事業者にとっては大きな負担となる。使用料を払えず廃業に追い込まれたジャス喫茶なども実際にある。これには年間取扱額が世界一といわれ全国を網羅するJASRACの使用料徴収システムやカラオケ店、ダンス教室などをくまなく巡回する「Gメン」の活躍が「貢献」しているからだろう。

 使用料支払い義務のある著作物を使用するのなら当然その対価を払わなければならない。しかし現実の音楽使用環境はJASRACの事業目的である「音楽文化の普及発展」や著作権法第一条にある「文化の発展に寄与することを目的とする」と合致しているのだろうか。レコードには全国どこにいようと平等に音楽文化が享受できるよう、その見直し論は別として、再販制度という優遇措置が適用されている。著作隣接権は「著作物に新たな価値を付加し広く公衆への伝達を担う者や事業者」の保護をはかるものだ。ジャズ喫茶やダンス教室などはまさしく音楽文化の普及や著作物を公衆に伝達する担い手である。彼らのような事業者に対しても何かしらの文化的保護制度があればいいのではないだろうか。

2ちゃんねるの投稿規約を承諾できないなら投稿するな

2005年02月14日 | 著作権
 2ちゃんねるの投稿規約が改訂され、投稿するには以下の新しい規約を承諾しなければならない。
投稿確認
・投稿者は、投稿に関して発生する責任が全て投稿者に帰すことを承諾します。
・投稿者は、話題と無関係な広告の投稿に関して、相応の費用を支払うことを承諾します
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき、掲示板運営者及びその指定する者に対し、これらを日本国内外において無償で非独占的に利用する一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)を許諾することを承諾します。また、掲示板運営者が指定する第三者に対して、一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)を許諾しないことを承諾します。
・投稿者は、掲示板運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。
 3および4項目の特に著作権の扱い方に関することだが、ライブドアブログと同じでネット発の書籍が金になるのが分かったのだからその対策なのだろう。反対する者の意見は要するに「他人の創作物でカネ儲けするんじゃねーよ」に集約されそうだがそれは他人のシステム(2ちゃんねる)を勝手に使って創作物を表現することの代償と思えばいいのではないか。道義的には議論の余地があるかもしれないが話しは単純である。規約を承諾するのであれば投稿でき、規約を承諾できないのなら投稿してはならないだけのことだ。

ブログから出版につながる著作者人格権不行使特約

2005年02月11日 | 著作権
 去年の11月あたりにライブドアブログの規約改定時に加えられた著作者人格権不行使特約はライブドアが幻冬舎と設立したライブドアパブリッシングにたどりつくものなのだろう。当時この特約にはかなりの反発があったのだが翻ってビジネスの実務では当然にこの特約が契約書に盛り込まれているしそれに反対する著作権者はほぼ存在しない。この反応の違いは両者が追求する利益の種類の違いからくる。

 例えば音楽アーティストはそれを職業としているので金銭的利益も追求しなければならない。それは所属オフィスやレコード会社も同様なのでよって両者は同じ方向、つまり金銭的利益に向いている。なので契約書に著作者人格権不行使特約を盛り込まないと両者の不利益となり実務に影響を与えると危惧する所属オフィス、レコード会社の心情をアーティストは理解できる。

 しかしブロガーは違う。彼らは金銭的見返りを求めておらず(アフィリエイトは小遣い稼ぎだが)精神的欲求や小さな自己顕示欲を求める場としてブログ利用している。よって自分が精魂込めて(かどうかは分からないが)創作したにもかかわらず人格的権利と利益をもぎ取られる著作者人格権不行使特約には違和感があって当然だ。しかし現在ライブドアのブログは問題なく運営されているのでブロガーからするとこの一件はもうどうでもいいのでしょう。

海外で合法的に国内テレビ放送をネット経由で視聴する方法

2005年02月04日 | 著作権
 日本国内で受信・録画したテレビ番組をネット経由によって海外で視聴できる録画ネットというサービスの停止仮処分を東京地裁が決定したのは去年だった。そして今月、ソニーは日本のテレビ放送を海外で視聴できるロケーションフリーテレビなるものを発売した。同じように見えるこのふたつではあるが仮停止処分を受けた録画ネットと新商品として発売されるロケーションフリーテレビは何が違うのか。録画ネットには在京民放5社とNHKの放送事業者が停止仮処分を申請していたので、違いは著作隣接権にある放送事業者の権利の中の複製権に対する侵害の有無でとはないかと思われる(「録画の主体」についてはこちらで)。

 録画ネットは国内テレビ番組をその著作権者である放送事業者に無断でネット経由でサービス受益者のハードディスクに送信していたのだが、その前に番組を受信し録画ネットが管理していたパソコンのハードディスクに録画していた。ということは最初に番組が録画されたハードディスクからネット経由でサービス受益者のハードディスクに無断でテレビ番組という著作物を複製していた。だから複製権の侵害になる。

 それではソニーのロケーションフリーテレビはどうなのか。ソニーのウェブサイトを見るとロケーションフリーテレビはテレビ放送をリアルタイムで視聴はできるが録画ができるとは書いていない。ハードディスク等に録画(固定)しないのなら複製もしていない。それなら録画ネットとは異なり複製権の侵害にはならないという事になる。

 また、ロケーションフリーテレビの仕様を見て思うことは、ソニーは上述以外にも著作権法の自動公衆送信と送信可能化にも配慮しているということだ。インターネットでの自動公衆送信は簡単にいうと著作物をサーバーから公衆に送信(ダウンロード)すること、送信可能化は著作物をネットワーク送信可能な状態(アップロード可能)にすることだ。

 自動公衆送信についての説明の前にまずロケーションフリーテレビの仕様を知る必要がある。ロケーションフリーテレビは液晶モニター部と本体部(ベースステーション)で構成され、自宅のベースステーションで受信したテレビ放送を無線や有線LANでモニターから視聴できる。なのでネット環境があれば屋外や海外でも日本のテレビ放送が楽しめる。その仕様には「ベースステーションとモニターは1対1で機器認証され、伝送されるデータは暗号化されています」とある。とするとベースステーションから送信された放送は「公衆」には送信できないことになるので自動公衆送信の侵害にはならないはずだ。

 送信可能化はサーバーに情報が記録されていることが前提となっている。ロケーションフリーテレビは上述の通りハードディスク等にテレビ番組を記録・録画しないのだから送信可能化権の侵害にはならない。

 要するにロケーションフリーテレビは仕組みとしては既存のテレビとほぼ同じといえるのだが、録画ネットのサービスを不服と思った放送事業者はこれをどう見ているのか。自国の番組が他国で放送されるのはオリンピックやワールドカップサッカーなどの莫大な放映権料にも関係することなので快くは思っていないだろう。

iPod、補償金制度の対象へ

2005年01月17日 | 著作権
 私的録音録画補償金制度の対象にデジタル携帯音楽プレーヤーも。補償金制度は個人の私的録音や録画が認められていることによる著作権者の複製権行使制限への代償としたものなのでこの結果は理にかなっている。しかし事情を知ってか知らずか猛反発する輩が続出してくる事が予想されるので文化庁にはしっかりと説明責任を果してもらいたい。