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音楽大好き男の徒然なる日記

阿部等さん((株)ライトレール)、長万部~小樽間在来線存続案を提唱する

2022-01-26 | 鉄道
JR北海道も北海道庁も無責任だ。
採算性や維持経費だけで「廃止ありき」しか語らないのだから。


つい先日の寒波による悪天候を思い出して欲しい。

この状況で少しでも安全な移動をするならば、
ましてやこの冬に観光旅行を促すのならば、
内地の、特に雪道に不慣れな首都圏・太平洋沿岸の観光客にレンタカーを運転させるのか?
事故っても「自己責任」だというのか?
そのような環境だと、よけい内地からの観光客は敬遠してしまうはずだ。


そこで、頼もしい助っ人らしき方が提言を書かれた記事がある。


北海道新聞 2022年1月22日付記事
「長万部―小樽の山線運営は3セクが継承を 存廃問題で交通コンサル阿部さん寄稿」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/636267?rct=n_jrhokkaido(リンク切れ)

北海道新幹線札幌延伸時にJR北海道から経営分離される並行在来線のJR函館線長万部~小樽間、
いわゆる「山線」が、廃止の瀬戸際だ。
交通計画コンサルタント会社「ライトレール」の阿部等社長は、
採算性が改善され地域貢献も大きい新たな公共交通網を提案する。
阿部さんが寄稿した。


■区間分けて検討

新幹線札幌延伸に伴う観光客と雇用の増大を展望すれば、
山線の運行を上手に続けた方が地域に恵みをもたらす。

余市町の斉藤啓輔町長が指摘した通り、
並行在来線のあり方は区間を分けて検討すべきだ。

とりわけ余市~小樽間は利用をさらに伸ばせる可能性を秘めている。
沿線には住宅街が広がり、しかも余市は後志管内町村部と札幌とを結ぶ交通の要衝だからだ。



同区間は1日2,000人以上が利用している。
しかし途中2駅しかなく、運行本数も少ないため、
沿線住民の多くは利用できない。
鉄道より遅く通学定期代も1.5倍と割高なバスの方が利用客が多いのは、
運行本数と停車箇所が多いからだ。

ならば、鉄道駅と運行本数を増やして利用者を鉄道に誘導し、
バス路線は余市駅を乗り換え拠点に拡充することが最適な選択となる。
小樽市民の利便性は増し、
後志管内各地と小樽・札幌との移動時間も大幅に短縮できる。


JR北海道は経営分離を見直す考えがないのなら、
第三セクターなどの新鉄道会社で引き継ぐしかない。

朝夕は10~20分おきに運行し、建設コストの低い簡素な駅を順次増やす。

利便性は格段に高まり、利用は大幅に増えるだろう。
国土交通省が検討を進めている自動運転を導入することで、
増発コストを圧縮して採算性も向上できる。



■余市以南は休線

一方、長万部~余市間は、当面は休止路線とし、バスに転換する方が有利だ。
路線のどこでも乗り降りできるようにし、少ないコストで便利にする。

特に倶知安、岩内、積丹方面とのバス路線は
余市駅で鉄道の全便と短時間で接続させる。
階段を使わず、通し運賃で乗り換えられるようにすることが肝要だ。
長万部~倶知安間も1時間に1本以上を運行する。

新幹線の札幌延伸後、倶知安駅近辺の観光需要は高まり、
札幌のベッドタウンにもなろう。
そうなれば長万部~余市間の鉄道復活も視野に入る。


■期限切って判断
これらを実行する財源は、JR北海道からの経営分離を前倒しすることで得られる。

山線の運営には年間約25億円の赤字が出る見込みで、
札幌延伸までの9年間では200億円以上に膨らむ計算だ。
それならば経営分離を前倒してJRが負担する赤字を減らし、
その赤字回避分を三セク鉄道会社とバス会社の運営資金に充当するべきだ。

山線の赤字は、国がJRに与えた「経営安定基金」の運用益と、
国の直接支援で補填(ほてん)されている。

元をたどれば国民の税金であり、地域交通の維持と改善に使うのが道理だろう。
資金の一部を廃線時の施設撤去費の積立金とすることで、
施設撤去の義務を負うJRの経営にもメリットが出る。
一方、道や沿線自治体は、費用負担なしに新たな公共交通網構築に挑戦できる。


新会社が失敗に終わった場合のリスクを最小とするため、
期限を切って運営継続の是非を判断する。
効果が出なければ、そのときこそ全線をバス転換すればよい。


新幹線札幌延伸後により多く訪れる観光客らに、公共交通が不便なために
吹雪の凍結路でレンタカーを運転させるようでは、
真の国際リゾートとは言えまい。
山線の維持と活用は、
「観光立国」を目指す北海道にとっても極めて重要な挑戦となるはずだ。


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ちなみに、阿部等さん(株式会社ライトレール)のホームページにも、
同様に「並行在来線(長万部-小樽)リバイバルプラン」という記事が掲載されてあります。
  
株式会社ライトレール:
  https://www.lrt.co.jp/

「並行在来線(長万部-小樽)リバイバルプラン」:
  https://www.lrt.co.jp/heizai/


 (抜粋)
小樽市内は線路沿いに市街地が広がり、
余市は小樽・札幌と近接するとともに後志北部の要衝であり、
余市~小樽は都市鉄道となり得る立地環境です。
富山ライトレール等の事例から、高頻度化・多駅化と余市拠点のバス充実により利用は大幅に増加し、
地域の活性化に貢献できると充分に予想されます。


これだけは言える。
「鉄道存続」を希望する余市町民の願いを
長万部・倶知安・黒松内各町長、小樽市長が踏みにじる資格などない、ということを。

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