日本企業の撤退加速させる中国10大リスク 30年の長期停滞に突入へ- 夕刊フジ(2014年4月22日17時12分)
日中戦争勃発前の船舶賃貸契約をめぐる訴訟で、商船三井の船舶を差し押さえた無法国家、中国。異常な反日姿勢など「10大リスク」に嫌気が差した日本企業は東南アジアなどへのシフトを着々と進めており、中国撤退の動きも加速する。
巨大な市場を抱える中国でビジネス展開する日本企業が引き続き多いのは確かだが、チャイナリスクに警戒心を強める日本企業も増えている。
すでに今年1~3月期の日本から中国への直接投資実行額は前年同期比で約47%減少。4月以降も新規の進出が鈍化するとの見方が強い。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が昨年11~12月に日本企業を対象に実施した調査では、今後3年程度の中国でのビジネス展開について、「既存ビジネスの拡充、新規ビジネスを検討する」というのが24・8%だった。一方、「中国ビジネスは縮小して他国への移管を検討する」「中国ビジネスからは撤退して他国での展開を検討」としたのも計6・3%、「まだ、分からない」という慎重な回答が18・5%だった。「今後ともビジネス展開は行わない」という回答も13・9%に達するなど、日本企業は中国一辺倒ではなくなっている。
時系列での比較が可能なジェトロ会員企業に限定すると、2013年度調査で「既存ビジネスの拡充や新規ビジネスを検討する」という回答は54・6%と、調査を開始した04年度(86・2%)以来、過去最低水準だ。
また、中国でのビジネスリスクについて、(1)政情や社会情勢・治安(2)知的財産保護(3)人件費上昇(4)法制度(5)代金回収(6)不買運動(7)環境汚染(8)労務問題(9)為替(10)税務-を挙げる声が多かった。反日姿勢のほか、パクリ商品の横行、PM2・5などの問題が警戒されていることが浮かび上がる。
今後の有望市場として、中国はタイを下回る2位で、インドネシアやベトナムの猛追を受けているのも当然か。
企業文化研究所理事長の勝又壽良(ひさよし)氏は、「中国経済は今後、30年規模の長期停滞に突入する。反日姿勢を続ける中国に、日本企業がとどまる必要はますますなくなってくるだろう」と指摘する。日本企業たたきは習近平体制へのブーメランとなりそうだ。
●船舶差し押さえ 日中共同声明の精神が揺らぐ- 読売新聞(2014年4月22日01時23分)
日本企業に対する前例のない公権力行使だ。歴史問題で対日圧力を強める習近平政権の下、日中関係がさらに悪化しかねない事態である。
中国の裁判所、上海海事法院は19日、1936年の船舶賃貸借を巡る訴訟に絡み、商船三井所有の大型船舶を浙江省の港で差し押さえたと発表した。
中国の司法は、共産党の指導下にあり、習政権の意思を反映したものと言えよう。
訴訟は、中国海運会社の関係者が80年代に起こした。商船三井の前身となる企業に貨物船2隻を貸した際の賃貸料や、沈没した船の賠償金の支払いを求めてきた。
2010年末、商船三井に29億円余の賠償金支払いを命じる判決が確定した。
商船三井が賠償に応じないとして、裁判所は、中国の鉄鋼会社に貸し出されていた船舶の差し押さえという措置を取った。
中国外務省は「戦争賠償問題とは無関係」と説明している。
これに対し、菅官房長官は「極めて遺憾だ。1972年の日中共同声明に示された国交正常化の精神を根底から揺るがしかねない」と述べた。賛同できる見解だ。
共同声明で中国政府は、戦争賠償請求の放棄を表明している。中国側は、基本的には民間からの賠償請求を封じ込めてきた。
日本政府は、総額3兆円余の円借款を供与し、中国の経済発展を支えた。貧困地域などへの無償資金協力はなお続いている。企業も現在に至るまで投資や技術協力で多大な貢献をしている。
こうした経緯を中国政府は、国内に十分説明していない。
習政権は、安倍首相の靖国神社参拝を機に、歴史認識問題での反日宣伝を一段と強めている。
判決確定から3年以上たって、なぜ、差し押さえという手段をとったのか。オバマ米大統領の訪日直前というタイミングをとらえた対日圧力と見ることもできる。
菅長官は、中国でのビジネス展開を考える日本企業にとって「萎縮効果」を生みかねないと指摘し、憂慮の意を示した。
日本の対中投資が落ち込む中、中国リスクの増大は日本だけでなく、経済成長が減速している中国自身にとっても痛手のはずだ。
戦時中に強制連行されたとする中国人元労働者らが、日本企業に損害賠償を求める動きが相次いでいる。今後、日本企業の資産差し押さえが拡大する恐れもある。
習政権は、互恵という日中関係の原点を再確認すべきである。
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