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大気汚染の深刻さ

2013-02-04 | 反中国

 

 

 

焦点:深刻化する中国の大気汚染、背景に複雑な政治力学- ロイター(2013年2月4日10時29分)

[北京 3日 ロイター] 中国の首都、北京を覆う深刻な大気汚染。悪化する大気汚染の背景には、環境基準の強化に抵抗する国営企業2社、中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国石油(シノペック)の存在が浮かび上がっている。

同国の環境保護省と2社の間ではお役所的なやりとりが行われるだけで、大気汚染の主因とされる自動車用ディーゼル燃料の環境基準強化は遅々として進んでいない。もちろん大気汚染の原因は他にも多く考えられるが、この2社がなかなか腰を上げない上、環境基準に無関心であることが、権限のさほど強くない環境保護省が直面する試練を浮き彫りにしているとアナリストらは指摘する。

大気汚染に対する国民の怒りは高まる一方、経済成長を最優先してきた中国では、国営企業が省庁より力を持ってきた経緯もあり、習近平氏率いる新政権が強大な既得権益に毅然とした態度で臨めるかには疑問も残る。

「共産党の新指導部は、CNPCやシノペックをの力を弱める必要がある」。国家行政学院の汪玉凱教授は、2社の力が強大になり過ぎたと指摘している。

環境基準強化の遅れは、費用の問題に起因する。つまり、クリーンな燃料への移行費用は誰が負担するかということだ。スコットランドのダンディー大学でエネルギー経済学を専門とするXiaoyi Mu氏によると、クリーンなディーゼル燃料を供給するためには、石油企業は硫黄分の除去費用として数十億ドルを投じる必要がある。

CNPCの子会社であるペトロチャイナはロイターに宛てた声明の中で、2012年に同社が生産した自動車用ディーゼル燃料は全て中国の環境基準を満たしており、「燃料品質の改善にも取り組んでいる」と回答。

シノペックからはコメントを得られていないが、新華社が先週報じたところによると、同社の傅成玉会長は石油会社が大気汚染の責任の一端を担っていることを認める一方で、燃料が基準を満たしていないのではなく、基準そのものが不十分なのだと述べた。

<複雑な力関係>

大気汚染問題をめぐる国営企業と省庁の綱引きは何年にもわたって続いている。環境基準の強化が何度も遅れていることに業を煮やした環境保護省の張力軍次官は、2011年後半にCNPCとシノペックの幹部らとの会議を開き、これ以上は基準の強化を遅らせるつもりはないと明言した。

この会議に同席した自動車排ガスコントロールセンターの湯大網センター長によれば、張次官は「燃料に高い硫黄分が含まれて環境基準を満たさず、車が故障したりしたとしても、それはあなた方の責任であって環境保護省は一切関係ない」と強い態度を示したという。

2社の幹部はこれに対し、2012年の旧正月以降にクリーンな燃料を供給することを誓約したが、湯氏によれば、数カ月後に同省が検査を実施したところ、2社は依然として通常のディーゼル燃料を供給していた。

北京では今年1月、大気が「重度の汚染」レベル以上を記録したのは21日を数え、市民の間では政治的な綱引きに対する不満が急速に高まっている。

市民からは「環境保護省こそ責任がある」という声も上がっているが、同省には、国営企業との複雑な力関係を前に、簡単には法律が施行できないという現実も立ちはだかっている。

<政治的な迷路>

中国では環境に関する政策の策定に、国家発展改革委員会(NDRC)や工業情報化省(MIIT)など10以上の組織が関与する。

米国の環境保護庁とは異なり、中国の環境保護省には排出の基準を定める権限はない上、環境問題に関して他の省庁が何らかの決定を下す場合に相談すら受けないこともある。

自動車排ガスコントロールセンターのDing Yan氏によると、NDRCとMIITが環境対応車への補助金政策を検討する会議を開いた際、環境保護省には連絡さえなかった。

中国は2008年、環境問題に取り組む姿勢を強化するため、従来の国家環境保護総局を環境保護省に格上げした。しかし同省には依然として、巨大国営企業や地方政府を従わせるだけの権限は与えられていない。「環境保護省の役割を本当に機能させたいのなら、習近平氏や李克強氏のような最高指導者が必要だ」とDing氏は言う。

<きれいな空気のコスト>

大気汚染のレベルが深刻になったことを受けて、北京市当局は緊急措置として工場103カ所の閉鎖や、公用車の使用削減の方針を打ち出したが、大気の状態はいまだ改善していない。

次期国家主席に内定している習近平氏が国営石油企業の影響力を抑え込むつもりかどうかは今のところ不明だが、国民の怒りが高まるにつれ、政治への圧力は膨らみつつある。

ペトロチャイナやシノペックにとって頭の痛い問題は、国際的なエネルギー価格が高止まりする一方で、ガソリンスタンドでの販売価格を決める権限は政府にあるということだ。Tang氏によれば、CNPCとシノペックは、環境保護省に対し、「適正な価格を決めてくれれば」クリーンな燃料を供給すると条件付きで申し出ているという。

NDRC能源研究所のJiang Kejun氏は、クリーンな燃料を作るためのコストをCNPCやシノペックに背負わせるのは現実的ではないと指摘する。「自分自身は環境問題の専門家で、CNPCやシノペックの行動は嫌悪している」と断った上で、「しかし、エネルギー価格が大幅に上昇するということは世間に発信しなければならない」とし、「安い燃料費ときれいな空気の両方を同時に手に入れる方法はない」と語った。

環境問題に取り組む非営利団体(NPO)の国際クリーン交通委員会(ICCT)によると、新たな基準では排出される微小粒子物質や窒素酸化物を、トラックから8割、バスから3割削減することを目標としている。同委員会が環境保護省のデータとして示したところによれば、中国では大型トラックは交通量全体の約5%に過ぎないが、排出される微小粒子物質は全体の6割強を占めている。

環境保護省に近い筋からは、石油会社がクリーンなディーゼル燃料生産に必要なコストを相殺するための税優遇措置について、同国の財政省が協議に加わったとの話も出ている。

また、中国のメディアは先週、政府がディーゼル燃料に含まれる硫黄分を欧州連合(EU)の規制値と同じ50ppm以下とする基準強化を適用する見通しだと報じた。移行期間が与えられるため、新基準が全国で義務付けられるのは2014年末以降になるという。

しかし、より高いレベルでの政治的関与がなければ、その遅れがさらに長引く可能性も否めない。

(原文執筆:Sui-Lee Wee、Hui Li、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)

 

 

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基準値35倍以上の大気汚染! 今、中国で何が起こっているのか?- 週プレNEWS(2013年2月4日09時00分)

中国では今、“過去最大規模”とも言われる深刻な大気汚染が発生している。

1月29日、中国の環境保護省は有害物質を含む濃霧が約130万平方キロメートルにわたって国土を覆っていると発表した。実に日本の3倍以上の面積だ。

濃霧に含まれているのは「PM2.5」と呼ばれる有害物質。人体の気管に容易に侵入することで危険視される、大気エアロゾル粒子(大気中に浮遊する微粒子)のうち、直径が2.5ミクロン以下の粒のことだ。

世界保健機関(WHO)の基準では1立方メートル当たり25マイクログラム(1マイクログラムは1mgの1000分の1)が限界値だが、昨今の北京市内では1立方メートル当たりで400マイクログラム前後が検出され続けている。アメリカ大使館の計測器が、1月中旬に基準値の35倍以上である886マイクログラムを観測したとの情報もある。

北京の地元紙によれば、今回の大気汚染の原因は、厳冬期を迎えた市内で消費される石油・石炭ストーブや排ガスによる汚染物質の排出だ。それに加えて、天津市や石家荘(せっかそう)市、保定(ほてい)市といった、環境汚染の規制基準が緩い郊外都市からの煙や煤(すす)の流入も大きいのだという。

中国当局の対応も、現地在住者の間に不安を広げている。北京に在住する日本人駐在員の川本修二さん(仮名・30代)が語る。

「当局発表だと、北京の大気汚染状況は12年連続で『改善』しているらしいです(笑)。でも、日本人や現地の中国人で健康に気を使っている人たちは、これらをまったく信じていない。アメリカ大使館が発表するPM2.5の検出数値の情報を収集して行動していますよ。スマホで大気汚染観測アプリをダウンロードして自衛策を立てる日本人も多くいます」

とはいえ、現地在住者がとれる対策は限られている。

「1月上旬に日本大使館から外出自粛を呼びかける一斉メールが流されたこともあり、自宅に引きこもる日本人が多いですね。『北京の汚染度はイラク戦争の戦場並み』『チェルノブイリ並み』などとデマも多く流れていますし、駐在員のなかには心が折れて帰国してしまう人も少なくありません。心身ともに限界ですよ」(川本さん)

同じく北京市内に住む、現地企業勤務の澤村千恵子さん(仮名・40代)も言う。

「インターナショナルスクールに子供を通わせている日本人や欧米人の家庭では、テスト期間中でも子供を学校に行かせない親もいます。子供を汚染された空気に触れさせたくないのです。試験に落ちるより、子供の命を守りたいんでしょう」

現地報道によれば、市内の病院ではこの大気汚染により呼吸器系疾患を訴える患者が急増中。ある児童病院では、せきやノドの痛みを訴える外来患者を一日に800人以上も診察しているという。

汚れた大気を吸い込む人体内部でも、深刻な“汚染”が起きることは想像に難くない。中国最大のネットショップ「淘宝網」には1月11日、12日のわずか2日間だけで約50万枚分ものマスクの注文が入り、北京だけで約14万枚が売れたという。さらに、ダイキンやシャープなどの空気清浄機も飛ぶように売れているようだ。

中国に社会混乱をもたらしつつある大気汚染問題。経済成長に邁進するのは結構だが、環境問題を"二の次”にするのは勘弁してほしい。

(取材・文/安田峰俊)

 

 

 

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北京1日滞在=たばこ21本、大気汚染が深刻化- 読売新聞(2013年2月2日14時46分)

 中国政府が、大都市で深刻化する大気汚染への対応を迫られている。国民の環境意識は高まっており、対策の遅れは社会の不安定化につながりかねない。

 ◆業務用マスク

 スモッグが重く低く立ちこめる北京市内。何かが焦げたような臭いが街中に漂う。外をしばらく歩くと、目や鼻、のどに違和感を覚え、室内にいても頭にずんと重みを感じる。

 北京に1日滞在すれば「たばこを21本吸ったのと同じ計算」(中国誌「新民週刊」)と言われ、「N95」の表示がある業務用マスクが品薄状態だ。1枚約7元(約100円)と通常のマスクより割高だが、健康被害をもたらす微粒子状物質(PM2・5)の吸引を確実に防ぐのに必要とされる。安価な偽物も出回っている。

 1月下旬、国営中央テレビのアナウンサーが中国版ツイッター「微博」に、屋外で交通整理にあたる警官が「マスク着用を禁じられている」と書き込むと同情論が広まり、公安省は一転、「状況に応じたマスクの着用」を許可した。

 ◆米国のデータ先行

 北京市政府は応急措置として1月30、31日、中心部の朝陽区内ですべての工事を停止。抜き打ち検査で有害物質の排出基準を超えていた工場や車両に罰金を科した。政府機関の公用車も3割が使用を禁じられた。

 しかし、中国はこれまで、対策の基本であるデータ観測や公開に消極的姿勢が目立っていたのも事実だ。

 米国大使館は2008年の北京五輪前から、北京などでPM2・5の独自測定を行い、公表している。北京市も昨年初めから試験的に測定・公表を始めたが、北京市の判定で「良」なのに米側は「不健康」とする日もあり、評価はしばしば大きく食い違う。市民の間では「市当局がデータを改ざんしている」との批判が噴出。外務省は6月、内政干渉だとして米大使館に公表中止を求めたが米側は応じず、10月には北京市も、観測ポイントを大幅に増やして正式なデータの測定・公表を始めた。