今回はベトナム北部に位置するハノイ出身のチャン ハ トウ講師と南部に位置するホーチミン出身のブー ティー ゴック ハー講師に、ベトナム北部と南部では生活習慣や食文化などでどのような違いがあるかについて語り合っていただきました。
Q:まず生活習慣などではそれぞれの地域でどのような特徴がありますか?
トウ:私の住んでいたハノイなど北部地域の人は、計画的に物事を考えまじめな性格の人が比較的多いのではないかと思います。ですから、生活が安定することを第一に考え、お金もコツコツと貯金をして将来に必要となったときに使おうと考える人が多いのだと思います。
ハー:私の住んでいたホーチミンなど南部地域の人はあまり細かいことには気にしないで、おおらかな性格の人が多いのではないかと思います。ただ、あまり計画的に物事を考えることはせず、そのときに欲しいと思ったものは衝動的に買ったりして後先をあまり考えない人が多いのかもしれません。
トウ:あと、北部地域の人は性格的にまじめな人が多いので、初対面の人にとっては愛想がないように映るかもしれませんが、一度親しい関係ができると人と人との繋がりを大切にするので、深い関係ができるのだと思います。それと、年配の人を敬う気持ちがあり、礼儀正しいマナーを受け継いでいる家族も多いと思います。
ハー:そういう面で比較すると、南部地域の人はどちらかといえば外交的な性格の人が多く、フランクにつきあうことができる性格の人が多いのではないかと思います。ただ、南部地域ではあまり伝統的な礼儀作法を重んじる家庭は少なく、上下の関係もあまり意識せずに自分の意見をストレートに表す人が多いのかもしれません。
トウ:そもそもハノイは政治の中心都市で、伝統を大切にする気持ちが強いので、街には古い建築物や豊かな自然が残っていますし、最近まではあまり高層ビルも多くはありませんでした。そうした都市の文化が北部地域の人の性格にも反映されているのではないかと感じています。ですから、北部地域の人は職業についても安定志向が強く、仕事を選ぶ場合も安定を重視し、コツコツと仕事に励んでいるという印象があります。
ハー:ハノイが政治の中心都市であるのに対し、ホーチミンは経済の中心都市ですから、高層ビルがどんどん立ち並び街全体の変化も著しいのが特徴です。そうした都市の文化も影響して南部地域の人はビジネスチャンスに敏感で、自分で会社を起こしたり、商売を始めたりしようと考える人も多く、そういう意味では安定よりも高収入を求めてチャレンジする精神が強いのかもしれません。
Q:ベトナムの食文化についても北と南の特徴を教えてください。
トウ:北部地域の料理は塩やヌックマムと呼ばれる魚醤などの調味料による味付けがベースになった料理が多く、したがって味は塩辛いものが多いのが特徴です。また、北部地域では中国の影響も受けているので、中国料理に使用する豆腐や麺などを使った料理もあります。あと、北部地域では料理にハーブはあまり使用しません。
ハー:南部地域の料理は砂糖やココナッツミルクを使用した料理が多いので、北部地域に比べると甘い味付けの料理が多いと思います。また、ライスペーパーやハーブ類を使用することも多いのが特徴といえるかもしれません。あと、南部地域ではタイやカンボジア料理の影響をうけた料理もみられます。