中国では茶請けを食べながら中国茶を飲むという飲茶の習慣は、長江より南の地域にあたる江南地方を中心に、現在では北京や上海といった大都市においても広く見られますが、餃子、小籠包、饅頭、シュウマイ、春巻きといった点心類のようなものだけではなく、もっと手軽に食べられる茶請けとして茶梅、種(たね)類、ドライフルーツ類(なつめ、サンザシ、いちじく、くるみ、杏など)があります。
このうち種(たね)類は、これから植物が成長していく大元の部分ですから、免疫力も高く栄養たっぷりの健康食品です。中国では古くからおやつやお茶請けとしてヒマワリ、カボチャ、スイカなどの種を食べる習慣があります。そこで、今回はその中でも中国人に最も好まれるヒマワリの種について、中国語講師の劉 ていぎょくさん、孫 百恵さんの二人に尋ねてみました。
Q:ヒマワリの種はどのように食べるのでしょうか?
孫:ヒマワリの種は先の尖った方を口に入れ、上の歯と下の歯で切り込みをいれ、殻を手で押しつぶして中から種を取り出して食べます。中国人は若い年代から年配の年代まで、また男女を問わずヒマワリの種をよく食べます。小さい頃から前歯で殻を削って食べているので、前歯の一部が欠けたり、磨り減ったりしている人もいるほどなのですよ。
劉:中国人はほとんどヒマワリの種をおやつのように食べますが、私は高校や大学の寮などで友人たちとおしゃべりをしながら、また一人でいるときはテレビをみながらといった具合に、時間があるときはよく食べたものです。あと、年配の人たち、私の家では祖父や祖母たちはマージャンをするときやお茶を飲みながらおしゃべりしたりするときなどに、よく食べている光景を目にしました。
孫:以前はテレビだけでなく映画館などでもポップコーンではなく、ヒマワリの種を食べる人が結構いましたが、最近はマナーの問題もあって少なくなってきたのではないかと思います。劉さんの話にあったように人が集まると必ずのようにヒマワリの種を食べたものですが、特に旧正月の春節の時期になると親戚などが集まりますので、春節には欠かすことのできない中国らしい光景となる食べ物でした。
劉:中国では茶館でお茶を頼むとヒマワリの種がセットで出てくる店も多く、お茶と一緒に食べるのが最もポピュラーですが、カラオケでも有料にはなりますがヒマワリの種がついてきたりします。したがって、中国ではいろんな場面で、老若男女を問わず食べるほどポピュラーな食べ物であるといえるかもしれませんね。最近ではヒマワリの種の味も進化していて、バター味、チョコレート味、ミント味などとバリエーションが豊富になっていますので、日本の皆さんにも是非味わってみてもらいたいですね。
孫:先ほどもお話したとおり、友人たちが集まったときなどにおしゃべりをしながらヒマワリを食べるので、ついつい夢中になって食べてしまい、後で数えてみると2袋、3袋が空になっていたということもしばしばあるのですが、ヒマワリの種はあまり多く食べ過ぎると吹き出物が出たり、口内炎になったりするとも言われていますので、あまり食べ過ぎない程度に楽しむのがおすすめです。