中国では旧正月の春節を盛大にお祝いしますが、春節をお祝いするための料理も欠かせません。ただし、中国の地方ごとに特色があるようですので、今回は中国東北地方の遼寧省出身のスタッフ孫さんと、中国中南部に位置する江蘇省出身のスタッフ董さんに、それぞれの地方の正月料理について尋ねてみました。
Q:東北地方では春節にかかすことのできない料理はありますか?
孫:東北地方では春節に水餃子を欠かすことはできません。春節が近づくとどの家庭でも水餃子つくりをしますが、我が家でも母や私が中心になって数多くの水餃子をつくります。そして、我が家では大晦日から春節初日にかけての深夜に家族揃って水餃子を食べます。我が家ではそれほど多くの水餃子をつくりませんでしたが、家庭によっては水餃子を作りためて何回かに分けて食べるところも多いようです。
Q:春節に食べる水餃子は普段と同じものですか?
孫:基本的には普段とかわりませんが、春節には水餃子のなかのいくつかにコインを入れるという習慣があります。これはどの水餃子に入っているかはわかりませんので、これを食べた人はその年の運勢が良いという言い伝えがありました。でも、私の場合は一度も当たったことがなかったので、小さい頃からあまり運勢は良くなかったのかもしれませんね。
Q:そのほかに春節ならではの料理はありますか?
孫:以前は肉や魚の料理は普段あまり食べることができなかったので、春節になると贅沢をして肉料理や魚料理を食べたのですが、今は豊かになり普段から肉料理、魚料理を食べるので珍しいものではありませんが、それでも春節には品数が増えたり、普段より高級な食材が出てきたりします。あと、新年から数えて15日目は「元宵節」と呼び、この日には「湯圓」という黒胡麻や落花生の餡が入った団子を食べます。「湯圓」は丸い形をしているので、家族団欒をあらわしており、いつも祖父母の家にいって家族団らんを祈りながら食べる習慣がありました。
Q:中南部に位置する江蘇省でも、水餃子は春節に欠かすことのできない料理でしたか?
董:水餃子は普段からよく食べますが、春節に欠かすことができないものではなく、我が家では春節には水餃子を食べることはありませんでした。なかには、この地方でも春節に水餃子を食べる家庭もあったようですが、それでもこの地方では欠かすことができないというものではなかったと思います。
Q:それでは董さんの家では春節によく食べたものはどんな料理ですか?
董:我が家では春節に「八宝飯」を必ず食べる習慣がありました。「八宝飯」は中国ではお祝いのときによく食べられるのですが、蒸したもち米のなかに餡の入ったもので、日本のおはぎのようなものです。そのほかにおもちも食べますし、また15日には「湯圓」を食べる習慣があります。このように私の地方の春節に食べるものは、お米でつくったものや甘いものが多かったように思われます。
Q:そのほかに春節によく食べたものは?
董:まず魚料理は必ず食べます。「魚」の字は「余」の字と同じ発音なので、「年年有魚」つまり「財産がたくわえられる」ようにという願いを込めて魚料理が食べられるのです。また、我が家ではもやし料理も必ず春節に食べました。もやしは「如意菜」とも呼ばれているので、「思い通りになるように」という意味が込められていたのではないかと思っています。