ウィトラのつぶやき

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小保方氏の博士号に対する早稲田の対応に感じる疑問

2014-10-09 08:20:46 | 社会

早稲田大学が小保方晴子氏の博士号を執行猶予つきで取り消すと発表した。指導教員も処分されている。私はこの対応に疑問を感じている。「覆水盆に返らず」で出してしまった博士号は取り消せない、というのが本来の姿で、そのために審査をしているのだと認識している。

実態は、公聴会が開催され、これが審査の場になっている。公聴会では指導教官だけでなく複数の教官が審査に加わる。公聴会では分厚い博士論文を読むことは無く、内容をスライドを使って説明するものなので、他の論文からのコピペなどは審査することはできない一方、内容の新規性や完成度についてはきちんと議論されるはずである。他の論文からのコピーに関しては小保方氏は「誤って下書きを提出した」として今年に入って書き直したものを提出し、早稲田大学はそれを受け入れた。それをなぜ今になって博士号取り消しという行動に出たのだろうか?

私はこの生命科学の分野に詳しくないので良く分からないが、ホットな分野なので専門家はたくさんいるはずである。色々と指摘はあっただろうと思う。しかし、公聴会で審査にあたる教授達は指摘はしても、それで「学位を認めない」と強硬に主張することは稀で、最終判断は指導教官に任せられることになるだろう。最終的には査読を通過した論文が一定数出ていれば、通すことが大部分だと思う。査読はより詳しいその道の専門家が行っているので、更に信頼性が高いと考えられるからである。仮に小保方氏の学位論文が博士号に値しないレベルの物だったとして、責任の70%は指導教官に、20%が本人に、10%が他の評価者にあるというのが私の感覚である。

その意味では指導教官に対する停職1か月というのは軽すぎる処分だと思う。早稲田大学がこの時期に改めて処分を発表したのは、大学のランキング評価組織などから「早稲田の博士号は信用できない」というようなことを言われて、影響が大きいからだと想像している。しかし、一度認めた博士号を取り消すとなれば、「早稲田の博士号の審査プロセスが信用できない」ということになり、博士を目指す人は早稲田を避けるようになるはずである。多分、早稲田にとって逆効果になると思う。

こういう問題は1件出れば似たような問題を抱えるケースが100件はあるとみるべきである。指導教官に対して厳しい措置を下すと同時に、過去の審査を洗いなおしてこういう問題が再発しないようにするというのが早稲田の取るべき道だと思うが、洗い直しはやっているのだろうか? 博士号取り消しは誤った方向性であると思う。

こういった問題への対処の仕方は総長の責任である。現在の早稲田の総長の社会的センスに問題があると思う。



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