ウィトラのつぶやき

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サムスンの半導体工場への投資戦略

2014-10-08 08:10:33 | 経済

サムスンが韓国内に1.6兆円をかけて半導体の新工場を建設する計画だという報道に私は驚かされた。1.6兆円の工場とは工場建設費用としては桁外れの価格に感じたからである。ところが調べてみると、ライバルの東芝はサンディスクと共同で1.4兆円の工場建設を2007年に発表している。建設場所は四日市市と北上市で何年間かの投資の合計が1.4兆円という話である。四日市の工場は既に稼働し始めている。

今回のサムスンの工場はDRAMまたはNAND Flashということである。サムスンはビッグデータでFlashの需要が固いと読んでいるそうだが、私はビッグデータはFlashではなくディスクだろうと思っていた。ところが日経によるとサーバで大量のデータ処理をするためにアクセスの早いFlashが必要になるとのことである。本当かな?と思う気持ちがあるが数年間はその流れで行くのだろうとも思う。技術的には微細化が限界に近付いており、3次元メモリが本格化してくるとのことである。東芝との投資・開発競争になるが、サムスンは大きな賭けに出た感じがする。

今年に入ってサムスンの携帯電話は業績が悪化している。私はこの悪化は急速に進むとみている。ノキアの没落と近いイメージである。特にサムスンのスマートフォンが悪くなったわけではない。ただ、Appleに対抗するのはサムスンというイメージがなくなり、Android陣営が分散してきた。特に中国の小米が強敵である。

サムスンが悪化すると思うのは、世界のトップ企業になったことでサムスンは開発、営業、マーケティングから生産、販売とあらゆる分野で世界的に手を広げており、高コスト体質が出来上がっているからである。販売実績が予測に対して20%も下回れば巨額な損失になる。そうなるとリストラをせざるを得なくなるだろう。これがノキアと同じパタンになると思う理由である。復活するには業績の後追いリストラではなく、必要以上の大リストラをかけて、利益体質を再構築する必要があると思う。その時の社員の士気の低下を防げるか、特に韓国人以外の社員の士気を維持できるかが最大の課題だと思う。

今回発表した半導体工場の建設にも業績の悪化は影響するだろう。最後は韓国政府がサムスンを助けると思うが、国が私企業を助けるのは韓国ではルール違反のはずである。後手に回らないで資金供給できるが大きなポイントになるだろう。

半年もすればサムスンの将来はよりクリアに見えてくると思う。



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