ウィトラのつぶやき

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株主資本主義の問題点

2008-02-17 19:58:10 | 経済
前に「新マネー潮流」で書いた資本主義、特に株式資本主義の問題点と限界についてもう少し考察してみる。

「会社は株主のもの」「会社の価値は株価の時価総額」とはよく言われることである。株主総会で経営者を入れ替えられる現在のルールではかなりの割合でこの表現は現実を表しているといえよう。

その一方で、日経平均株価が一日に3%も上下動する。これは日本の主要企業の価値が1日に3%も動いていることになる。これはとても実体経済でいう会社の価値の指標になっているとは思えない。

株とは本来、事業をしたい人が資金を銀行から借りることに困難な状況にあるときに、「お前を信じる。失敗したらなくなってもよいが、成功したら分け前を配分してほしい」といってお金を出したものである。従って、株主は経営者の任免権を持っている。

しかし、その株自体が商品となり市場で売買されるようになると様相は変わってくる。会社の趣旨や経営者への信頼とは関係なく、トレンドを読んで値上がりして売却益を狙う株主が多数入りこんでくる。そして投機的動きが強まり、株価は乱高下する。これは商品相場でも同じである。

これを防ぐために、最近デートレーダーのために議決権を持たない株を用意しようという議論がある、しかしこれはおかしな考えだと思う。株主がどのような発想で株を買ったかを推測することはできない。それを判断できるのは誰が売買したかではなく、どのような売買行為を行ったかでしか推測できない。現に、投資のプロであるファンドなども短期の売買で株価を動かしている面は多々あり、むしろこちらのほうが影響は大きいといえるだろう。

株価の短期の売買を抑制するような仕組みは必要だろう。そのためには課税が有力ではないかと思っている。例えば買った株を24時間以内に売却した場合には売買額の1%、48時間以内では0.5%の課税をする、などである。こうすれば株価のトレンドだけを読んで、コンピュータで短期の売買を判断するような行為は抑制できるだろう。

個人の発言力は弱く、ファンドや証券会社などの大手の発言力は強い。しかし、私は資本主義の問題点は個人の投機的行為よりも、資産家から金を預かって運用可能な金額を増やし、それを投機的な動きで利益を上げようという組織の動き方のほうがむしろ問題だと思っている。

大金持ち(自分の金などうかは別として)がますます有利になるような仕組みは避けるように監視していくべきだろう。

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