como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

「独眼竜政宗」を見る!(5)

2009-02-24 22:25:40 | 往年の名作を見る夕べ
 前回、ほんのちょびっとの顔見せで登場した主役の渡辺謙、ここからフル出演です。そして、第9話から伊達成実@三浦友和が登場し、渡辺謙・西郷輝彦・三浦友和の、大河史上にのこる御三家(笑)そろいぶみとなるわけなんですが、そうです、この「独眼竜政宗」の人気の大きな要因って、この三人のアンサンブルの良さもあったんですよね。
 いや~、なんかありあり思い出したけど、友和かっこいい。当時35歳、まだピチピチ(笑)でね。今ちゃんぽんでみている「真田太平記」の草刈正雄(真田幸村役)と同い年くらいで、もっとむかしは女子の人気を二分していた記憶があります。わたしが小学生くらいのころですがね。甘いマスク(って死語…)の正統派二枚目の友和と、ちょっとワイルドな正雄。わたし? そりゃ正雄派ですよ。友和は、百恵ちゃんとセットで映画に出てた人ってイメージで、ワタシの好みではちょっと軟弱だったの。
 いや、とんだ余談になりました(笑)。とにかく、このときにはまだ百恵・友和映画の延長線上のイメージだったのが、「このひとって、こんなカッコよかったの!!」と見直したのが、この「政宗」だったということです。
 というわけで、今回は友和も参入した第9回・10回を見ます。

 
第9話「野望」
 
 伊達輝宗(北大路欣也)の唐突な引退宣言で、伊達家の家督をついだ政宗(渡辺謙)。これにおかあさんのお東の方(岩下志麻)が抵抗します。まだ輝宗が引退する年じゃない、政宗が家督をついで竺丸は他家へ養子にだされるのでは不憫だと言って、「お竺をよそへださないと約束してくれたら、政宗の相続を認めて宜しゅうございます」とダダをこねます。
 この竺丸をこの回から、当時売り出しのアイドル、男闘呼組の岡本健一が演じてるんですが、当時17,8歳かなあ。記憶にあるよりずっと線が細くて驚きました。竺丸はべつにお兄ちゃんと険悪ではないですし、お東の方も、なんだかんだいっても政宗が家督相続の挨拶にくると、目を潤ませて「しっかり励むのですよ」と激励するわけです。政宗も自分の産んだ子だし本能ではかわいいという、母心の正直なところが、岩下さんが上手いんですよね。
 で、輝宗おとうさんがサクッと身を引いてくれたおかげで、家中には混乱もなく、すんなりと政宗の代にスライドすることになります。そこへ、政宗の重要なブレーンとして現れたのが、幼馴染の時宗丸の成長した、伊達成実(三浦友和)です。
 成実と片倉子十郎(西郷輝彦)を中心に、政宗の評定衆も若返って刷新され、この人事に多少抵抗する老臣などもいるものの、御大の輝宗さまが「隠居はなにも言わない、耳に入れない」とか言って範を示すのでどうにもなりません。
 家督相続の祝いに、近隣諸国の当主や重臣などが次々に贈り物をもって祝いにくるのですが、若い当主のお披露目に、パパ輝宗さまは「ちょっとエラソーなくらいに構えてガツンと驚かせてやれ」とアドバイス。政宗はいわれたとおり、つぎつぎ現れる使者達にものすごいゴーマンな態度で臨みます。おとうさんが「それはやりすぎ…」と頭を抱えるくらいに。
 東北地方の近隣では、群雄割拠するなかで、小さな大名は日和見をして、あっちについたりこっちについたり、裏切ったり、いろいろとしているので、政宗はそういうところの使者を突き上げて「この二股野郎」と愚弄したり、「伊達家に臣従するなら城下に住め、国には帰さない」とか言って脅したり凄いんですが、群雄割拠の東北地方ではこのくらいは普通なんですね。なんせ、伯父さんの最上義光(原田芳雄)なんかは、自分になかなか靡かない領主を仮病をつかってお見舞いに来させて、布団のなかから刀を突き出して暗殺してしまう、なんてなことを普通にやっているのですから。
 とそこで、やはり子供ができない秀吉(勝新太郎)の懊悩が挿入されます。のち秀吉の養子となる三好秀次(陣内孝則)の無能を責めて、扇で打ちのめしたり、テンション上がりすぎてみずからひっくり返ったり、妻のねね(八千草薫)に「たのむ、子供をうんでくれ~」とか言って自分がこどもみたいに甘たり、とにかく芝居がすごい。カツシン劇場!
 政宗は、伊達家への誠意を見極めるために、小浜の大内定綱(寺田農)を米沢に足止めするのですが、この大内が曲者で、ちょっと国にも帰りたい、といって一時帰国したらそのまま帰ってこず、会津の芦名という大勢力に擦り寄って叛旗を翻すわけです。こんなのを許したら代替わりしたばかりの伊達家が近隣にバカにされ、勢力争いに悪い影響が生じる、と懸念した政宗の幕僚達は、大内定綱を追討するべきと迫ります。
 が、政宗の下した決断は、大内のような小物はほうっておいて、一気に大物・芦名を叩く!というものでした。壮図に興奮し、意気あがる新生伊達勢…ですが、これって実力未知数の政宗にとっては、ほとんど無謀な大博打なのでした。


第10話「男の器量」

 このしびれるサブタイトル(笑)。この回は、政宗の芦名攻めの戦にからむ話ですが、よくありがちなように、緒戦を奇跡の大勝利で飾る、ってことはありません。政宗のデビュー戦は無惨な負け戦です。
 猪苗代湖まわりの短縮ルートで会津の芦名領に攻め込んだ政宗(渡辺謙)でしたが、事前の調略に失敗して頼みの武将の寝返りをくらい、先鋒隊が総崩れになって出鼻を挫かれます。このまま退き陣しては伊達の名折れ、東北中の侮りをまねく!!といきり立つ政宗は、ろくに策もなく総攻めに討ってでようとしますが、それを小十郎(西郷輝彦)が体を張って止めます。エキサイトする政宗の間前にドカッと胡座をかいて、「成算もなく猪突猛進するはこれ匹夫の勇にあらずして何ぞや!!」…ううう、なんてカッコいいんだ。もうこういうの見てるとジーンと痺れて涙目状態。そうとう今年の大河ドラマに精神的ダメージを食らってるらしい(笑)。
 かくして、政宗は陣をまとめて米沢に退却します。大敗ではないのですが、デビュー戦で敗れたショックは計り知れません。帰ってきた政宗を、輝宗おとうさん(北大路欣也)は、気にするな次がある、と慰めますが、おかあさんのお東の方(岩下志麻)は、これで家中にも近隣諸国にも恥をさらして伊達の名誉は地に落ちた、政宗が家督を継ぐのはやはり早かった、かくなるうえはお父様が隠居を撤回して家督をお預かりなさいませ、でないと大変なことになります…とか、眉をひそめていうわけです。
 これでブチ切れた政宗は、自分の部屋に飛び込むと、妻の愛姫(桜田淳子)の制止もふりきり、おかあさんから元服のお祝いに貰った数珠を引きちぎって火にくべてしまいます。
 心の乱れが静まらず、夜毎悪夢にうなされた政宗は、恩師の虎哉和尚(大滝秀治)に人生相談に行きます。和尚は笑い飛ばして、殿もとうとう地獄の入り口を見られたか、地獄を見なければ極楽はのぞめませぬ、地獄がいやなら引き返して坊主になるしかないといってからかいます。さらに、両手をパチンとうって「いまどちらの手が鳴ったと思いますか。それをよくお考えになることです」と謎をかけます。
 いらい手をぱちぱち鳴らして考え続ける政宗。愛姫に尋ねると、彼女は素朴に「それってどっちも鳴っていません」と。両方の手があるから鳴るのでしょう、片方だけでは鳴りません…と、それを聞いて政宗の目からウロコが落ちます。「読めた!」とひらめいたのはのは、小田原の北条に合力を要請して、共通の利害で同盟を結ぶという策でした。
 そんなころ、秀吉(勝新太郎)が関白にのぼったと知らせが届きます。伊達家からも相応の贈り物をととりなす老臣に、政宗は、そんなの必要ない、秀吉を認めるつもりなんかない!と言い放ちます。
 とにかくテンションの高い政宗は危なっかしく、老臣たちは不安がって、よってたかっていろいろ口出しをしようとします。成実(三浦友和)と小十郎、鬼庭綱元(村田雄浩)の虎哉和尚門下三名は、老臣たちに叛旗をひるがえし、政宗を中心に結託。「男の器量とは、殿のためなら喜んで死ぬ家臣がどれだけいるかということ」をスローガンに、政宗のためならいつでも死んでみせる!と誓い合うのでした。く~っ痺れる!青春ドラマの出来損ないみたいな今年の大河とのこの違い。ああ…!
 かくして政宗は、こんどは周到に調略の罠を張り巡らし、再び小浜出兵の機会を得ました。こんど失敗したらあとがない、背水の陣です。出陣をひかえてフロに入り、愛姫に背中を流してもらうのですが、こ、ここです!わたくしが個人的大河ドラマの名場面10選に選んだシーンは。渡辺謙の裸の肩に、燦然と輝く種痘痕!!
 …つうわけで、おもわぬ小ネタ的シーンもはさんで、いよいよ政宗が決戦の舞台にうってでます。


(つづきます)


7 コメント

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はじめまして。 (間諜X27)
2010-04-25 09:19:34
最近CATVで「独眼竜政宗」を録画して見ています。
第9話。戦好きの従兄弟伊達成実の登場。凛々しい若武者。
いかりや長介さんの鬼庭左月。コメディアンって意外に(と言ったら失礼ですが)時代劇で良い演技をします。
秀次を叩いてこけてねねに助けられる秀吉。
「ねね。子を産んでくれ。」「もう遅すぎまする。」
超大物役者と大女優のガブリ四つ。
第10話。
秀吉と金平糖。勝さんの演技が素晴らしい!
冬彦さんでブレイクする前の佐野史郎さんも出ていますね。

管理人様。ご迷惑でなかったらまたコメントさせて下さい。
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男の器量、という王道 (庵主)
2009-02-27 22:41:05
レビュ丸さん

「父に認められたい」、「母を見返してやりたい」、「老臣たちの鼻をあかしてやりたい」という政宗の切なる思いと焦り

ここ2年連続で、そういう親子の葛藤が描かれてないので、ああ、昔はこういう、武将が大人に旅立つのに古いものを壊していくというのは、の大河ドラマの王道だったのになあ…と新鮮に思いました。
そういう意味では、「風林火山」って大河ドラマの黄金律にあえて立ち返った作品だったのですね。あらためて、こういう軟弱な風潮のなかでよく頑張ったなあと…(笑)。
昔といまでは「男の器量」の観念もだいぶ変わったものだと、今年のをみてるとつくづく思いますが、ひさしぶりに王道のを見ると、そうだ、やっぱりこういうものは時代と関係なく心を打つのだなあ…とおもったことでした。
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第10話見ましたッ (レビュ丸)
2009-02-27 12:55:02
庵主さんこんにちは。 『男の器量』ってサブタイトル、うーんシビれますね!! 昭和62年の放送当時、このあたりから小田原参陣あたりの回までずっと見ていなかったので、次の展開がどうなるのか全く読めず、22年後にして毎回ものすご~く楽しみながら鑑賞しております。

で、政宗の家督継承後のデビュー戦は無残な負け戦だったのですねェ・・・。「父に認められたい」、「母を見返してやりたい」、「老臣たちの鼻をあかしてやりたい」という政宗の切なる思いと焦り、渡辺謙さんは本当に上手に演じているように感じました。ムシャクシャして数珠を引きちぎるシーン、「一人にしてくれ!!」と怒鳴るシーン、共感する部分があるためか、容易に感情移入することが出来ました。あとで愛姫が数珠を拾い集めて政宗に渡したとき、それをぶっきらぼうに受け取って懐に入れる仕草も、かすかな愛着が垣間見えて印象的でした。この場面、レビュ丸は第10話の一番の場面にしたいと思います!!
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方向音痴なので…。 (庵主)
2009-02-25 22:34:25
レビュ丸さん

>日和見主義の豪族が割拠している当時のこの地方においては、仕方のないことなのかも

わたしもレビュ丸さんにならって地図をみることにしました。だって、大内定綱の所領「小浜」が福井県の小浜だと信じ込んで、見ていて政宗の進軍ルートがぜんぜんわからなかったといううつけ者なんですもの(泣)。
でも東北地方の乱立ぶりってたいへんだったんですね。天正13年、中央では秀吉がちゃくちゃくと天下統一を果たしつつあるというのに、まだほとんど別世界…。

村田雄浩さんはここではいかりや長介さんの息子役。「だまれ未熟者」とか言われたり、「父にかわってお詫びします」とか言ってるシーンがほんのり可笑しく、和みます。
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ポジションは同じですが…。 (庵主)
2009-02-25 22:27:20
ぼんつくさん

わはははは。「種痘痕」は、この20数年わたしのなかでは伝説となっていたネタなもんで。再会した嬉しさのあまり取り乱してしまいました(笑)。

>小十郎のポジションて、天地人でいうと兼続?

いやー、立場や出自が酷似してて、くらべるとほんと哀れを催すんですけど、そうなんですよね。
あの兼続がひといきに「これ匹夫の勇にあらずしてなんぞや!!」とか言い放つには、まず肺活量もたりないし丹田の座りも足りない。無理!
だから泣くしかないのでしょうが…ああ…。
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第9話見ましたッ (レビュ丸)
2009-02-25 12:45:47
庵主様こんにちは。レビューに置いてゆかれぬよう、今朝は早起きして『政宗』を見ました(笑)。いよいよ謙さんの政宗が本格登場ですが、周辺の豪族を次々に引見してタンカを切る場面、若さと覇気が感じられ、なかなか良かったです。「ガツンと驚かせてやれ」とはチト乱暴ですが、日和見主義の豪族が割拠している当時のこの地方においては、仕方のないことなのかも知れませんね。これらの豪族の紹介も兼ねるという巧妙な演出でした。

それにしても、大内、二本松、田村といい、中央の歴史から見ればマイナーな豪族が多いので、伊達との位置関係や歴史背景などがチト分かりづらい・・・。最近はノートと一緒に地図帳までテーブルの上に広げてテレビを見ています。早起きしてそんなことをしているダンナの姿を見て、カミさんも苦笑い・・・。

村田雄浩さん、『炎立つ』では渡辺謙さん演じる藤原経清と男同士の熱い友情劇を見せてくれました。政宗でも二人の共演があったとは知らなかったのでビックリ。早く「サシ」で会話する場面が見たいものです。
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種痘痕は言っちゃだめー! (ぽんつく)
2009-02-24 23:31:25
村田雄浩さんは裏大河「武蔵坊弁慶」から地味に好きな役者さんです。
ごつくて謙虚で味のある素朴な演技がたまりません。
匹夫の勇=HIPのYOUはどこぞで見かけた突っ込みですが、名シーンですよね。

天地人も何ぞや!とかいうセリフまわしをして欲しいのですよ。現代語は醒めてしまうのです。
小十郎のポジションて、天地人でいうと兼続?だめだー。ヤツは泣くことしかできない・・・。
兼続は成長したら変わるのでしょうか?
毎回毎回、昭和の少女マンガなみに涙を見せ付けられて食傷気味です。
もうそんなに涙腺弱いなら、平安時代を舞台に盛大に主人公を泣かせればよかったのに。

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