松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

太極拳養生という考え方-私見・太極拳導引02-

2015-12-30 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
これはあくまで個人的な見解ですが、
師が指導する太極拳導引は、
太極拳鍛煉と導引の養生理論を組み合わせて
養生の考え方を知識にとどめず
身体を動かす実践によって紹介する手法として
くふうされたものだろうと(私は)考えています。

養生は、その考え方を理解することと
日常的に実践することで効果を発揮します。
しかし現状を見渡せば
健康によいとか身体によくないといった
情報ばかりが溢れかえり、
そのために徒に翻弄されているようにみえます。
健康を考える上で基礎となるであろう
本来の自然な状態とはいかなるものなのか、
その根源的なイメージすら見失っているような。
これでは理解や実践どころではありません。


私が理解した範囲でのことではありますが
養生の基本となるのは
食べる・動く・眠るの3要素に
集約されるように思います。

現代人が訴える不調の原因と考えられるものも
これら3要素にかかわっているといえます。
そしてこれらは自分の意志で
コントロールできるものばかりです。
つまりは自分のペースで自分の生活環境に合う形で
くふうができるということです。
だからこそ養生という(健康への)アプローチは
いまを生きる人達にとって
欠かせない知性ではないかとも思っています。


ということで、改めて太極拳導引について。
太極拳導引は3要素のなかの
運動からのアプローチとなります。
運動といえば真っ先にスポーツを思い浮かべますが、
ヒトは動物なわけですから、
ここは日常生活動作全般とする方が
より自然かと思います。
そして生活とは生命活動です。
いのちを永らえようと活動できるおかげで
生きていると考えれば、
いのちに備わっている運動能力との協同作業を
養生と呼んでも間違いではなさそうな気もします。

協同作業は互いに助け合いながら行うものです。
からだの声を聴くという言い方をするように
助け合っていくには
相手の言い分に耳を傾けることが欠かせません。
思い(意)のままに
身体をコントロールしたいのならば、
その思いと身体の状態とがつりあうように
双方を調整する(ととのえる)必要があります。
それが協同作業だと思います。

太極拳導引の練習法を続けていれば
この協同作業を日々修養していることになるわけですね。