松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

門外漢の食養生(3) -ゆるゆる医食同源【五味五色】-

2008-02-29 | 養生の栞-食・眠・動-
今回は五味五色についてです。

五味は酸・苦・甘・辛・鹹の5つの味覚を
五色は青・赤・黄・白・黒の5つの色をいいます。
(ここでは青はブルーではなくをイメージしてください)

 ☆五色に対応する食材の一例

 青(緑)…(体の調子をととのえる)ホウレン草 ブロッコリーなど
 赤…(血や肉をつくる)肉 ニンジン トマトなど
 黄…(体力を維持する)カボチャ サツマイモなど
 白…(体に抵抗力をつける)餅米 ダイコン カブ 白キクラゲなど
 黒…(ホルモンバランスをととのえる)黒豆 胡麻 黒キクラゲ ヒジキ 海苔など
  ※濃い紫などは黒に含めて考えたりするようです


すでに気づかれているかと思いますが、
五味五色は中国の五行理論に基づいた考え方です。
つまり五味五色は五臓それぞれに対応しているわけです。
ただし中医でいう五臓は臓器そのものを示すのではなく
広く機能としてとらえているところがありますので
その点は気をつけてください。


 ☆五臓と五味五色の配置表

 五 臓  五 味  五 色  (五 季)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  肝    酸    青     春
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  心    苦    赤     夏
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  脾    甘    黄    土 用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  肺    辛    白     秋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  腎    鹹    黒     冬
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 配置表を見ればわかると思いますが、
 五色は季節を象徴するような色になっています。
 古人が自然観察によって導き出した結果ともいえそうですね。


さて、ここでちょっとオマケを…
日本食の定式といわれるのが五味五色五法です。
ここでも中医の五行理論が基本となっています。

 五味…酸 苦 甘 辛 鹹
    砂糖 塩 酢 醤油 辛(山葵 生姜 芥子)の調味料をさす場合もあり
 五色…青 赤 黄 白 黒

 五法…生 煮 焼 揚 蒸


これらを上手に組み合わせて
美味しいだけでなく栄養のバランスの取れた
目にも美しい日本料理が作られています。

高級料亭も我が家のふだん食も
基本は同じなんですよね。

門外漢の食養生(2) -ゆるゆる医食同源【四気五味】-

2008-02-28 | 養生の栞-食・眠・動-
中国では古来より食べ物が人体にどのように影響するのか
研究されていました。
食物の偏嗜や摂取の過不足による人体への影響や
食品がもつ効用を利用して疾病や保健に役立たせようとして
医療と食餌(病気の治療に役立てるための食べ物)が
深く関わりあってきた歴史を医食同源という言葉が
物語っているかのようです。
そしてまた私達が慣れ親しんでいる中華料理の原点とも
言えるのではないでしょうか。

そこで医食同源を考える上で欠かせないのが
四気五味(しきごみ)という中医理論です。
四気五味というのは漢方で使われる生薬の性質のことをいい、
生薬にはそれぞれ薬性と薬味があり、それぞれの効能を発揮します。
そして食材となる食品もまた生薬と同様に薬性薬味があり
それぞれの効能があると考えられています。


四気(四性と呼ぶこともある)とは
寒・熱・温・涼の4つの性質をいいます。
食した後に温熱感が生じるものは温性・熱性
反対に寒涼感が生じるものは涼性・寒性となります。

温と熱、涼と寒は程度の違いで、
熱性の小さいものが温性、寒性の小さいものが涼性です。

また温熱か涼寒かあまりハッキリしないものを
平性と呼びます。
実際には温か涼に偏る傾向にあるので
五気とは言わずに四気と呼んでいるみたいです。
あるいは四気(五性)と記載されているのも見かけます。

五味とは酸・苦・甘・辛・鹹の5つの味覚をいいます。
これは食材となる食品が本来持っている味のことで
すっぱい・にがい・あまい・からい・しおからい の5つです。
これにを加えることもありますが、
淡は甘みに含むとする場合が多いようです。

五味のそれぞれの効能は
 酸…収(おさめる)渋(とどめる)
 苦…瀉(とる・排泄する)燥(かわかす)
 甘…補(おぎなう)緩(急変を緩解する)
 辛…散(ちらす)行(めぐらせる)
 鹹…下(排泄する)軟(やわらかくする) となります。


以上のように、食材となる食品には
摂取によって身体を温める働き、冷やす働きの強弱があり
またその固有の味覚によって、それぞれ身体に異なる作用を起こすので
体質や心身の状態によって摂取の仕方を考えます。


☆食材による寒熱効用例

 熱性食材(体を温める効果があるもの)
   ニンニク 山椒 胡椒 唐辛子 芥子 酒 ニラ 葱
   ラッキョウ 胡椒 人参 南瓜 春菊 蕗・山菜類
   羊肉 鶏肉 クルミ 栗 餅 牡蠣 ナマコ マグロ
   タイ ウナギ サケ ブリ など


 寒性食材(体を冷やす効果があるもの)
   ユズ レモン ミカン 梨 ビワ リンゴ 西瓜
   トマト バナナ パイン
   アスパラガス セロリ 苦瓜 カブ ホウレンソウ
   ゴボウ キュウリ ナス アワビ ウニ タコ
   アサリ 昆布 ハマグリ 味噌 塩 など



☆四気五味による分類例

      熱・温性         平性           涼・寒性
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 酸味   梅 桃 杏    ブドウ 李(プルーン)   ビワ トマト ユズ
      米酢 ザクロ   黒酢 レモン ヨーグルト      梨 ミカン
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 苦味  蕗 ヨモギ 山菜       ギンナン          苦瓜  茶
     ラッキョウ 春菊                ホウレン草  ビール
     酒                       セロリ ゴボウ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 甘味  ナマコ 牡蠣 餅   うるち米         リンゴ スイカ キュウリ
     ニラ 胡桃 羊肉   胡麻 大豆 小豆     小麦 セリ モヤシ ナス
        エビ 鶏肉   黒豆 山芋 甘藷     ホウレン草  冬瓜  筍
      栗 フグ 鰻    ジャガイモ 蚕豆     ゴボウ  ハトムギ 大麦
       鮪 鯛 赤貝   ユリ根 落花生      蕎麦  トマト
     酒     南瓜   蓮根 白菜 小松菜    アスパラガス  バナナ
           人参   イチジク イチゴ     アワビ ウニ タコ カニ
                牛乳 ハチミツ 黒酢   トウモロコシ
                牛肉 鶏卵 鰻 ヒラメ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 辛味  ニンニク 韮 葱   タマネギ         カブ
     唐辛子 芥子 紫蘇  春菊
         ラッキョウ    大根 サトイモ    大根(夏)   ミョウガ
     山葵 生姜 パセリ
     山椒 胡椒
     酒
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 鹹味  ナマコ エビ 大麦        醤油 鮑   麦芽 味噌      塩
                  イカ シジミ 豚肉  アサリ ハマグリ 昆布
          栗 青魚      ヒジキ ワカメ       カニ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





門外漢の食養生(1) -ゆるゆる医食同源-

2008-02-26 | 養生の栞-食・眠・動-
食養生といえばすぐに薬膳が浮かぶ人も
少なくないでしょうね。
でもそんな大層なことを考えなくても
日々の食事に手軽にいかせます。

医食同源ということばは
どなたにとってもなじみあるものかと思います。
医食同源とは食は心身の衰えを補い
健やかな状態を維持するものであるとし、
それはまた医にも通じる(ほど大切=おろそかにはできない)ものだ
ということなのでしょう。

したがって食養生は
特別な食材を用いて調理するのではなく、
身近で手頃な食材を使って調理する「ふだん食」であり
きょうからでも無理なく始められるものです。

ポイントとなるのは組み合わせ方。
性質によって分けられたグループの中から
季節や体調に合わせて
食材や調理法(味つけなど)を選ぶことになります。


たのしみってやつは…

2008-02-22 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
最初はただ楽しくて満足

しばらくすると
できないことが気になり始めるようになり
それまでのような楽しさは
少しずつ感じなくなり
外見とは裏腹に心の底では
いつも不本意な自分を意識していた

歯がゆい自分を
励ましたり慰めたり
時にはごまかしてみたり
なだめすかしたりもしてみたり

それでも途中で投げ出しもせず
きょうまで続けてこられているのは
こういう状況も環境も
そしてかなり“ヘナチョコ”な自分をも含めて
ほんとは好きだったりするのかも

でも、もう少しだけ
違った見方をできるようになると
状況も環境も自分さえも
また違った印象になるんだろうなぁ

できないのはやり方が違うから
自分に適したやり方を
まだ見つけられていないだけのこと

だれかと同じやり方を試してみて
仮にうまくいかなかったとしても
他人と自分は同一ではないのだから
必ずしも自分に合うとは限らない

そうした判断ができるようになるためにも
自分をよく知ることが大切
でもそれは自分に固執するのとは違う

他者という存在があればこそ
自分が見えてくるのだし
だからこそ他者を尊重することは
自分を尊重することになる
自分を信じることは大切だけど
同時に自分を疑ってみることも大切

やり方はいろいろある
たとえ同じ方向を目指していても
目指す側の価値観や意識の持ち方しだいで
選択するやり方も変わる
目的地に到達するまでの景色もペースも時間も
人それぞれとなる

季節は何度も巡り来るけれど
ひとつとして同じということはない
いつも初心 いつだって初心

もしかしたら
目指す方向が同じならば到達点も同じと
思い込んではいなかったか?
ほんとに当然なことなのだろうか


これまで道楽ということばには
あまり好い印象がなかったのだけれど
けっこう好いんじゃないかなと
思い始めたりしているきょうこの頃


知人のグループ展に行ってきました

2008-02-19 | 日常雑記-暮らしの逸話(エピソード)-
太極導引教室で同期の知人が
きょうから3月2日まで東京上野でブループ展を開いています。

  


現在彼女は教室には通っていないのですが
いまや伝説となりつつある
上海研修に一緒に参加した仲でもあり、
久しぶりに会えることを期待して出かけてみました。

実はこの情報を私に伝えてくれたのは彼女ではありません。
ですから彼女にしてみれば
私がグループ展を知っていることなど知る由もなく
ましてや会場にやって来るなんてことも
想像すらしていないわけです。

会場にひょっこり現れた私を見て
彼女は目をまんまるにして
「なんで~っ!?」と、ただただビックリしていました。
何年ぶりの再会になるのでしょうか。
3年?いやいや、ほぼ4年ぶりになるのかも?

アートセラピストの彼女、
木版画を習い始めて1年だそうです。
彼女らしい柔かく繊細な線で彫り上げられた版で
これまた彼女らしい色使いで刷り上げられた作品たち(6作品)


   
   「上弦の月」    「あたらしい年」   「suwada park」(3作品=加賀屋雅子/作)


4年くらい前の彼女を思い出しながら
作品から伝わってくる
いま現在の彼女のことを想像してました。
うん、なかなかいい感じみたいですね。
よかった。
穏やかな笑顔と物腰はあの頃と少しも変わらずで
嬉しかったし楽しかったです。

久しぶりに他の同期生とも連絡を取りたくなりました。
みんな元気にしていてくれたらいいなぁ。



    *第1回「樹画楽(きがらく)会」木版画展*
   会期 2008年2月19日(火)~3月2日(日)
   会場 東京パークスギャラリー上野(上野グリーンサロン内)
      10:00~17:00(最終日 15:00まで)
      ※2月25日(月)は休館



  



春の養生 -黄帝内経より-

2008-02-18 | 養生の栞-季節と養生-
太陰太陽暦では立春を年初とします。
そして旧正月にあたる春節は、
立春から最初に迎える新月の日と定められています。
ちなみに今年は2月7日が新月でした。
いよいよ春です。


 春季の養生
春は「発生」の季節です。
すべての物が芽生え、
天地間の万物がいきいきと栄えます。
立春の到来にともない
昼間の長さは明らかに長くなり、
太陽光を浴びれば暖かくなってきていると
肌で感じます。
気温、日照、降雨量も少しずつ増してきます。

春の養生は、このような春の陽気の発生、
万物の発生のはじまりという特徴に順応して
陽気の保護に気を配り“生”を意識するようにします。

就眠をいくらか遅らせて
夜更かしをするのもかまいませんが
朝は早めに起きて、
ゆったりと散歩するのがよいでしょう。

髪の結びを解きほぐしてゆるめ
体をのびのびと動かしゆったりと自由にします。

心中の意欲を起こし育てます。
伸び伸びと成長させるようにつとめ
けっして抑え込まないようにしましょう。
生長に役立つものはすべて施し、
奪ってはいけません。
      (黄帝内経 素問:四気調神大論より)

基本は春に芽生えた万物と同じように
天地間の陽気を胸いっぱいに取り込んで
体内の陽気を大事に育むことです。
心身ともにいきいきと
陽気を発生させるようにすることです。

もしこれに背くと
春によく活動する肝気が傷み
夏になって寒性の病にかかりやすくなります。



導引としての推手練習

2008-02-12 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
久しぶりの推手練習をしました。
先生と対すると、どうしても緊張します。
例の“欲をかいた状態”ですね。
必要以上に相手を意識するために
自意識も強くなっているとでもいいましょうか。

先生との練習では
ほとんど双手で行っていますが
四正を意識しながら制御するまでにはいたらないので
四正推手にはまだまだ遠い感じです。
それでも実際の現象を通して
少しずつ意識できるようになっているとは思います。

導引練習の一環として取り組み始めた推手。
いわゆる競技推手のような
試合形式というか勝負をつけることが目的ではなく、
むしろ“こう着状態”を保持する方向というのか
流れをつなげていくことが主要目的になっているような気がします。
いわゆる相手の出方をうかがっている“様子見”のような状態を
延々と続けているかのようにみえる練習法かも。

とはいっても、ただ続けるだけならば
あらかじめ約束された“振付け”のようなものになってしまいます。
互いの弱いところを突きあったりすることも
時々刻々と変化する両者の関係を知る上で
体験しておいて損はないことかとも思います。

なぜならばバランスとは
つねに均等であることをさすわけではないからです。
極端な偏りもまたバランスのひとつの状態です。
その上で協調とはどういうことなのか?
それを探り、意識的に制御することを覚えるために
さまざまな練習を積み重ねているわけで。
導引的推手練習では勝負を否定しているわけではなく
それをも含むバランス、協調状態をめざすことが
主要目的なのだろうなと、現段階では理解しています。




無欲の賜物

2008-02-10 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
先日の太極拳大会関連の話題がらみで恐縮です。

導引仲間のひとりから聞いたのですが、
当日、彼女のお友達数名が私達の表演を見てくださって
「自分もやってみたくなった」と話されたそうです。

きれいだった、動きが揃っていたというような感想は
いただくこともあるのですが、
「自分もやってみたくなった」というのは初めてです。

何かをしたくなるようなきっかけ、
いわゆる“動機づけ”となるようなことがあるなんて
思ってもみなかったことですから
何だかうれしかったです。

それはたぶん日々指導を受けている中で
自然に身につけてきたもの
(それは技術的な要求もありますが
むしろいつもと変わらない心理状態を保つというような
心理的状態のあり方だったりするのかもしれません)
つね日頃から導引鍛錬を通して
先生とともに進化している自分達の姿を
伝えられたということなのかもしれません。

意識して伝えたいと思っていたら
わざとらしさがあったかもしれません。
無意識だったからこそ
自然な形で表れていたのだろうし
見ている人に届いたのかもしれません。
その意味でも
やれることしかできないという事実
だからこそ
やれることを常にできるようになることは
大切な課題だと思いました。


そして今回、競技部門で導引仲間から
2位入賞者が出たことも嬉しいことでした。

個人への賞賛はもちろんですが
太極拳とは違う導引としてのアプローチで
套路を練習している私達ですが
競技会という全く異なる環境においても
点数よりもまず放松を目標に
自然に対応していくことを実践しつづけてきた
ひとつの成果として
価値あることかとも思っています。

そして表演中にも
次々と新しい気づきを重ねることができたこと。
欲をかかないと
こんなにもお宝に恵まれるものなのかしらん(苦笑
いままでとはひと味違う感覚というのか
心境を得たような気がしています。


太極拳大会に参加しました(2) 集体(団体)の部

2008-02-07 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
午後からは集体(団体)部門となります。
こちらには2演目参加しました。

ひとつは8式太極拳。
こちらは基本科生が主役の演目で
専科生がサポートする形をとります。

初参加となる基本科の3名は長い人でも半年未満、
短い人は去年の12月から始めたばかり。

うちの教室は先生の方針もあって
なんでもやってみようが信条です。
ですから、一応は全員に
やってみませんかと呼びかけます。
参加するかどうかは各自の意志で決めます。

はじめて間もない人ならば
尻込みしちゃっても当然なんです。
今年はまだちょっと無理だから
来年を目標に練習します
というのも、すごく自然な考え方だし
ちょっとおもしろそうだからやってみようかな
というのも、すごく自然な心理です。

で、今年の3名は後者だったわけですね。

もちろん経験者や専科生が
一緒に出ることになっていましたから
それなりの安心感もあったとは思いますが、
しかし出ると決めたからには
それなりの練習内容にはなるわけです。

本番は見事なものでした。
始めてから半年にも満たない人達が出ているとは
わからなかったと思いますよ。
後でビデオで見ましたが
動きも揃っていたし、落ち着いていたし
大したものですね。



もうひとつの演目は専科生による18式陳式太極拳。
今回は仕事でどうしても出られない1名をのぞく
5名の構成ですが、その中の1名は
今年はじめて陳式を練習したという陳式若葉さん。
果敢にも初の個人競技部門に
はじめての陳式で挑戦するくらいガッツのある
メンバーですが、
練習歴も長く陳式も既に何年かやってきている中に
ひとり混じるとなれば、
それなりの心理的負担も抱えていたことでしょう。
(本人に聞いてみたところで「そんなものはない」としか
言わないようなタイプなんですが)

また全員揃った状態での練習は数えるほどしかなく
さらに個人競技用の練習と並行するために
集体練習に割ける時間は限られていました。
本番直前の練習でも
さらっと1回通しただけで
あとは自分達を信じるというか
肚が据わるとはこういうことなのかしらん。


ビデオで見るまでは
自分達の動きがどのようになるのか
まったくといっていいほど想像できませんでしたが
まぁビックリというか
なかなか好いかも。


実は本番時にこれまでにない不思議な体験をしていました。
一体感というのともちょっと違うような
5人が融合してしまったかのような感覚と
確かに個々である感覚とが
同時に存在しているとでもいうような。

主体的に動いているんだけれど
何ものかに動かされているような
個体でいながらパーツでもあるような。
うーん、言葉では言い尽くせない感覚ですね。
集中力がある段階に達すると何かに化けるんですかね。

例えば参加できなかったメンバーも
一緒に参加してる気配を感じるわけです。
もちろんその場にいるわけがないんですけれど
いても全然不思議じゃない感覚として
自分の中に描いていたのだろうと思いますが。
変な話、表演しながら感動してたようなところがあります。

最後の包拳礼をするときには
自然に感謝の気持ちでいっぱいになってました。
こんなことはいままでなかったことです。


太極拳大会に参加しました(1) 個人の部

2008-02-06 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
教室を運営している会社がある渋谷区で
先日(2月3日)区民太極拳大会が開催されました。
教室で参加するようになってから
今年で6回目となります。

冬と春との節目となる節分に降る雪、
ひじょうに寒い体育館。
ウォームアップの時間も
十分にもらえぬまま
個人部門競技が始まりました。

ちょうど3月に全国大会の
東京予選会が控えていることもあり、
この大会を調整目的に参加している人も
少なくありません。
例年ですと、それなりの緊張感が
漂っているのですが、
今回ばかりは「寒さ」という
共通利害の一致をみているからなのか、
表演順を待つ間も
「寒いですね~」と口々に言い合いながら
なんとなく被害者同盟みたいな
連帯感にも似た雰囲気がありました。

過酷な条件下にあるときにこそ
優しくなれるといいな~
と思いながらも
冷静に考えてみれば
これは当然のことなんですよね。

なぜならここでイライラしたところで
暖かくなるわけでもないし
むしろ無駄なエネルギーを消耗する
ことになります。
自分の表演順が回ってくるまでは
エネルギーを温存したいじゃないですか。

太極拳を通して身についてくる
ものの見方や考え方って
こういう面でも活きてくるのかなと思いました。

無駄な争いや心理面、とくに感情的な起伏を
なるべく生じさせない方向を、
自然に探り出すようになるみたいです。
その意味では、その場の雰囲気にも
すんなり溶け込めたし
自らもそういう状態を求めて
働きかけていたような気もしたり。

体はかたかったですが、
精神的には落ち着いてましたね。
これも進化の過程の一コマかもしれないと
プラス思考で評価しました。


個人の部は、いまの自分のできることは
やったんじゃないかなぁ。
寒さで鼻水を飛ばしたりしたのは
ご愛嬌ということで(笑

終わってみれば
あそこをもう少しとか、思わないこともないですが
それはもう過ぎたことなので。
次に同じことをやっても
それはあのときと同じではない別物ですから。

いつも一回ぽっきり。一期一会です。
もう一回っていうのは、
たぶんないんだろうと思うのです。
でもその代わり
チャンスは何度でも巡ってくる。
いのちも人生も
きっと円いものなんだろうなと思えるような
そんな一日になったような気がします。