松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

放松に始まり、放松に終わる?

2008-08-26 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
歯医者さんに行きました。

緊張が噛み合わせを狂わせ
特定の歯に集中して
力がかかる状態にあること。
当然、その歯の向かいの位置にある歯にも
同様に過剰な圧がかかっていて、
このように特定の歯に
負担がかかり続けていれば
その影響がさらに隣りの歯へ…
というぐあいに次々と連鎖していくこと。

今、気になっている歯をいじっても
根本原因は別にあるわけです。
ということは、また同じことが
同じ歯で、もしくは別の歯でくり返される
ということです。
それでは心身を傷めることをくり返すだけで
解決にはなっていません。

では、これからどうやって
体と歯と向き合っていこうか
というような話を、先生としてきました。

いま先生にできることをしていただき
今後のために私ができることを
指導していただきました。

歯医者さんの説明内容は
太極導引で日頃指導されていることと
ほぼ同じでした。
何だかホッとしました。

しかし、ここでも指摘された
過度の緊張(ストレス)。
放松がどうも苦手などと言っている
場合ではありませんね。

これ以上身体に負担をかけないためにも
身体をいたわるためにも
まずは脱・緊張です。
“脱緊”が難しければ“節緊”“減緊”でもいいです。
すべてのもとはココ(不要な緊張)。
ココから少しでも離れなければいけません。

とはいえ、心理的に追い込むと
これもストレス(緊張)になりますから
とりあえずは
コントロールできるようになることです。
自己の行動を導く意識、心理、情緒のバランスを
うまく制御して、ととのえて行くことです。

そのためには
  くよくよしたり考え(過ぎ)ない
  物事に囚われ(過ぎ)ない
  嫌な事はできる限り避ける
  無理をしない
  メリハリをつける、オン・オフを明確にする


こんなところから始めてみても
かなり違ってくるものかと思います。
(余談ながら、これらも陰陽のバランスとして
考えることもできますね)

実は、肉体の放松よりも
心の放松の方が一層やっかいな気がしています。
とくに自分の場合は…です。

でも、あきらめませんですよ。
“ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる”です。
続けることしかないですもんね。

「たかが放松、されど放松」のスタンスで
きょうもやっております、そ~ん。

秋の養生 -黄帝内経より-

2008-08-14 | 養生の栞-季節と養生-
立秋を過ぎて季節は少しずつ
秋へと移っています。
そうはいっても、夏の名残り(残暑)は
まだしばらくは続きます。
秋らしくなるのは
重陽の節句を迎える頃になります。

立秋という日は、どちらかといえば
農作業に携わる人達にとって重要かと。
たとえば立秋の日に晴れ渡っていれば
秋の収穫は順調といわれ、
雷が鳴れば冬になると作物の減収が懸念される
などといった言い伝えが残っていたりします。

また、立秋が旧暦7月に訪れる時は
五穀豊穣が期待できますが、
旧暦6月となるときは、五穀が熟していないので
減収となるとも言われているようです。


秋は収斂の季節であり、
万物が成熟して収穫される。
また、徐々に空から強い風が吹き
大地には粛正とした気配が漂うようになるので
秋の養生は以下の内容を原則とします。

日常生活による養生
 鶏と同じように早寝早起きをする

 早寝は陽の気の収斂に順応し
 早起きは肺の気を広げさせるので
 収斂しすぎることを防ぎます。

 また、初秋の季節とはいえ
 暑さはまだ終わっていないので
 天候はたえず変化し、
 「一日の中に四季がある」状況も。
 衣服の調節は
 少しずつ寒くなる季節に順応するよう
 こころがけます。
 着込み過ぎると適応能力に影響を及ぼし
 冬になって風邪をひきやすくなったり
 下痢をしやすくなったりします。


精神による養生
 心を安らかにして陽気をひそめ、
 天地の粛殺した気(厳しい秋の気配)の影響を
 和らげる

 秋の養生は肺に適応します。
 心を静かにし、神(シン)と志が安寧で
 気持ちがのびのびするようにこころがけます。
 心配事を悲しみ(憂い)、感傷的になることは避け、
 進んで解決するよう働きかけて
 草木を枯らす気をなるべく避けるようにします。
 同時に神(シン)の気を収斂させて
 秋の平らな気に適応するようこころがけます。
 

飲食による養生
 秋は燥の気が盛んになるので
 麻(ピリピリしたもの)を食べて燥を潤し
 冷たいものはとらないようにしますが、
 立秋を過ぎた頃はまだ暑さが残っているので
 このあたりは体調をみながら適宜判断します。

 立秋を過ぎた頃になると、
 心や体に夏の疲れがたまってきます。
 不眠や胃腸の不調、動悸、肌荒れなどの
 トラブルも多くなります。

 体にこもった熱をさましたり
 必要な水分を補う面でも
 果物や野菜からも効率よくとるようにしましょう。
 これからは梨がおすすめです。
 水分も多く、シャリシャリとした食感は
 繊維質も豊富であることの証。

 また消耗しがちな体力を補いつつ
 消化のよいものをとるようにし、
 疲れぎみの胃腸への負担を軽くして
 休養をとるようにこころがけるとよいでしょう。


運動による養生
 秋はさまざまな運動を展開する好機でもあり
 それぞれの具体的状況に基づいて
 運動種目を選ぶことができます。

 秋の養生導引法には
 おもに肺を調整する目的があります。
 
 これからの時期の一例としては
 自然な坐姿勢をとり
 両手を拳にして背中に置きます。

 顔を左に向けながら深く息を吸い
 次に徐々に息を吐きながら
 拳で背中を7回叩きます。

 顔を右に向けながら深く息を吸い
 次に徐々に息を吐きながら
 拳で背中を7回叩きます。

 この他にも、季節にあわせた
 呼吸養生法などがあります。



バランスと視界

2008-08-03 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
バランスの良し悪しを判断するときには
全体を見渡すような視野、
視界の開けぐあいがポイントとなるように思う。

練習と経験を積み重ねることで
すこしずつその視界が広がってきて
いろいろなものが見えてくるものなのだろう。

起勢の意識を変えてみた。
というか、ようやく気づいただけか…。
要は協調の問題なんだけど。
体の中心から動くという意味も
イメージと体の動きという現象との間に起こる
やりとり。
イメージ上の勢は無限にひろがるけれど
体には可動域という限界がある。

周りは見えているし
状況も理解している“つもり”だけれど、
視線の先にみえるものは
自分のこころのようにも思えたり。
自分がそこにいるのかどうか
いまひとつはっきりしない。
内外の境が曖昧な感じ。