松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

冬季(小寒大寒)の養生 ーちょこっとこころがけてみる気持ちー

2008-01-21 | 養生の栞-季節と養生-
そして18日からは冬の土用に入りましたし
きょうは大寒です。
冬もいよいよ大詰め、
寒いといっても少しずつ春に近づいています。

食材ならば根菜類が美味しく旬の野菜となります。
体をあたためる陽気がたっぷり含まれています。
また豆類は種ですから
新しいいのちを生み出すエネルギー(気)が
詰まった食材です。
この時期に小豆を使った料理が多いのも
体を温める傾向をもつからです。

このように食材には
温める性質をもつもの(温性)
冷やす性質をもつもの(冷性)
温性でも冷性でもないもの(平)
というように分けることができます。

たとえば冷えやすい人は
冷性のものを食べるときは意識して
摂りすぎないようにしたり
体を温めるものと組み合せて冷えすぎないように
するなどのくふうもできますね。

でも、冷え性だからといって
冷性のものは一切摂らないと考えるよりは
控えるくらいでよいのではないかと
私は思ってしまいます。
というのも自分の経験からしても
どうも
 好きなもの→摂取する機会が多くなる→摂り過ぎ→バランスを崩す

という図式が成り立っているような気がするのです。

これはまったくの個人的仮説なんですが、
もしかしたら冷え性の人は体を冷やすものが好きだったりするのかも。

だとすればこの場合、好きなものを我慢することになるんですね。
できれば我慢はしたくないだろうなと。
なぜなら好きなものには
多分に抑圧からの解放・発散的要素があるからです。

おそらく少しの我慢ならできますけども
ずっと我慢というのはストレスになる可能性が高いですから
また新たな不調要因をつくることにもなりそうです。
それならば無理のないところで
ゆるゆると…というところからでもいいのではないかしらん。

だって自然の恵みに無駄はないんじゃないかなぁ。
必要のないものなんてないんじゃないのかな。

だから基本は平均的に何でもくまなく。
どこか一部だけが突出した状態のない、角が立たない、
円を描くような摂り方がいいのではないかと思ったりします。

ちなみに温性と冷性のものについては
基本的には季節ごとの旬の食材を思い描けば
よいのではないかと思います。




冬場の養生には春に備える目的もあります

2008-01-21 | 養生の栞-季節と養生-
冬は生理活動が全般的に低下しますが
それは体が弱っている(衰弱している)という意味ではありません。
むしろこれから訪れる春、夏を
順調に活動するための準備をする必要があるからだと
考えるべきかと思います。
早い話、限られた収入の中から
日々の生活費と不慮の出費に対する備え(貯蓄)を
適当に割り当ててやりくりするのと同じことかと。

そういう事情もあって冬場のエコモードは
なるべく体力を消耗させないようにしていくことが
大切になるのでしょう。

健康や体調を崩すときは
自然のリズムと自分のリズムのバランスを
自力で調整することが難しくなってしまったときに
おこると考えられます。

その場合、季節ごとの傾向をある程度知っていれば
不調の原因にもいくつか思い当たるでしょうし、
ある程度の改善法や対処法なども考えられるかもしれません。
不調を感じたら
なるべく軽い状態のうちに
自力で調整できるようになれることも大切かと。
もちろん不調を感じる前に
自然に調整ができている状態が
いきものとしてはいちばん自然な状態かと思います。



冬季(小寒大寒)の養生 ー心身の傾向を観察してみるー

2008-01-14 | 養生の栞-季節と養生-
せっかくの連休ですが、東京は底冷えがきついです。
15日は小正月(地方によっては女正月とも言うらしいですが)、
田舎ではよく寒餅をついていました。
ちなみに私は青のり入りや黒豆入りの物が好きです。


今回は、この時期のからだはどんな状態にあるのか
そのあたりを観察してみることに。
といっても、中医的視点からみたものになりますので
あまり聞き慣れないことばや
よく耳にはするけど
実はよくわかっていないようなものも
出てくるかもしれません。

しかし中医の基本となる理論(考え方)はシンプルです。
説明にはなっていないかもしれませんが
たとえば宇宙や自然界に起こっている現象は
私達の体の中でも同じようなことが
起こっているものと考えています。
つまり私達の体も
ひとつの宇宙や自然界としてとらえているのです。

古くから人々が長い時間をかけて
自然観察をくり返しながら導き出した法則をもとに
療法や養生法を考案し伝えてきたものですが、
いまも引き続き研究され進化し続けているのです。
大雑把で乱暴な表現ですけれど、
基本的にはそういうことかと思われます。


ここで少しだけ寄り道をしますね。
中医ではよく気血ということばを
見聞きするかと思います。

そこでまず気の概念について説明しますと、
中医では気を人体を構成する物質として
そしてまた運動エネルギーとして捉えています。
つまり「気は物質でありながら運動性がある」と
いうことになります。

そして中医でいうところの血は
気と同様に人体を構成し生命活動を維持する
基本物質ですが
その作用は血脈を通じて全身を栄養し潤すこと
精神活動を支える物質的基礎(=栄養素)となることです。

私達が普通に思い描く血液と似てはいますが
赤血球や白血球、血小板というような
血液成分で区分することもなく
その生成や循環についての考え方にも違いがあります。
ですが我々のような門外漢の雑学的知識レベルであれば
ほとんど大差はないと考えてもいいのではないでしょうか。
(興味のある人は調べてみてください。おもしろいですよ)




  冬季にみられる からだの傾向
前回の『黄帝内経』でも書かれていたように
冬には運動量も減り外気が冷え込むこともあって
体温も低下しやすい、つまりは冷えやすくなっているとは
容易に想像がつくかと思います。

冷えやすいというのは、
全身を流れている血液の量が少ない
流れ方が緩慢であるといった現象が起きていて
筋肉や皮膚などに伝わるはずの体内温度が
なかなか伝わりにくくなっていると考えられます。

また、外気の冷たさにさらされている
皮膚や筋肉が冷えて縮こまることで
血管が圧迫されてしまい
血液量は十分でも体のあちこちで
血流がうまく流れずに渋滞状態を起こし
指先や足先など毛細血管のような末端部や
コリのある部位などの血行不良が
原因となっていることも考えられます。

したがって血の巡りが好くない状況というのは
必然的に気の巡りも好くないと考えられます。
ということは全身に影響が出てきます。


冬場にみられる傾向としては
運動不足によって十分な生理活動が行われなくなり
不眠や食欲不振、便秘、肌荒れなどといった
気になることが出てくることが少なくありません。

たとえば体を冷やしてしまったりすると
透明な尿がひっきりなしに排出されたりします。
これは腎や膀胱に負担がかかっていることを意味します。
腎や膀胱はもともと冬場に活発に働く臓腑ではあるのですが
それにも限度があります。
それを越えれば働きも鈍り消耗し
腎に貯えられている気まで尿と一緒に体外に出てしまい
物質的に気が不足する事態になる可能性もでてきます。

腎が消耗してくると消化器系を司る脾にも影響が出てきます。
食が細ると気を飲食から摂り入れて補充することが
うまくできなくなります。
また腎は肺とも関連しているので
腎が弱ると肺にも影響が出てきます。
呼吸が浅くなったりして
清気を取り入れることがしにくくなってしまいます。

腎や膀胱は水との相性がいいので
体内の水分調整も行っていますから
このコントロールがきかなくなってくると
口内や唇が乾いたりするのに
胃袋は水分でチャポチャポしてる感じがしたり
浮腫が生じたりすることも出てきます。

腎は歯や骨、毛髪、耳などとも関連があり
いわゆる老化といわれるものは
腎の衰弱とともに現れるとも言えそうです。

こうしてみてくると
冬季にはいのちの原点に戻るような
イメージがあるみたいですね。
この時期は粛々といのちを慈しむ
日頃目の届かない地中の根にも手をかけて育むような
まさに陰気を帯びた季節のようです。

おそらく冬には冬の過ごし方がある
ということなのでしょうね。



冬の養生 -黄帝内経より-

2008-01-08 | 養生の栞-季節と養生-
ちょっと間があいてしまいましたが
冬の時期の養生について少しずつ調べています。
今回は中医学の聖典『黄帝内経』からの引用と
中医師でもある先生が解説してくださった内容に基づいて
まとめてみました。


  冬の養生
すっかり葉を落とした裸樹(はだかぎ)が
木枯らしに枝を揺らしています。
空気は乾燥し
夜空には冬の星座オリオン座が輝いています。
中国でも古くから《小寒大寒,冷成氷団》
(小寒大寒の寒さが氷を固める)と言われてきたように
ことに小寒から大寒にかけての寒さはひとしおです。

冬になれば気温が下がるために
動作が緩慢になり運動量も減るので
体温も低くなり冷えやすい状態になります。
冷えをつらく感じたり
無性に暖をとりたくなったりするのも
何となく睡眠が十分でないように感じたり
疲れやすいと感じたりするのも
冬にはよくあること、自然な反応ともいえます。
つまりは自然環境に応じて調和しよう、協調しようと
しているのです。

中国古代の養生奇書といわれる
『黄帝内経』によれば(素問・四気調神大論より)
 《冬は「閉蔵(へいぞう)」の季節という。
  万物の生機(せいき)が閉じこもる。
  至る所で川が凍り、地が裂け、
  天の陽気は万物から遠ざかる。》とあります。
冬とは万物が戸を閉ざして陽気を潜伏させる季節であり、
河水は氷結し、地面は凍裂するほどに天の陽気も後退します。

そして冬の「閉蔵」の気に相応する養生法があとに続きます。
 《夜は早く寝、朝はゆっくりと起き、
  日の出日没に伴って起居すべきである。
  欲望を潜めながら
  すでに遂げたような満足感を保つ。
  体内の陽気を洩らさないように
  寒い刺激を避け、体を暖かく包む。》

日の出前に起き出したり夜更かしを避けるのは
休養を十分に取るためだけではなく、
寒気から身を保護するとの意味もあります。

意思は潜み隠すようにします。
他人には言えない秘密を抱いているかのように
そっとしておかなければいけません。

陽気の取り入れが難しくなる季節ですから
体内に潜伏している陽気が
むやみに奪われたりしないようにします。
というのも、たとえばこの時期に汗をかくことは
肌膚が開いて陽気を奪われるだけでなく
邪気(この時期はおもに寒邪・風邪など)に
侵されることもあるからです。


きょうは小寒

2008-01-06 | 養生の栞-季節と養生-
お正月気分もそろそろ消える頃、小寒を迎えました。

小寒は寒の入りであり、
だいたい1月5日前後に巡ってきます。
そしてこの日から節分までが
寒の内となります。
寒中お見舞いの時節でもあり
かつては寒中水泳や寒稽古などもやりましたね。
いよいよもっとも寒い時期を迎えるわけです。

 ♪おおさむ(大寒)こさむ(小寒)
  山から小僧が 泣いてきた
  なんといって 泣いてきた
  なんといって 泣いてきた
  寒いといって 泣いてきた♪(わらべうた:おおさむこさむ)

でも小寒、大寒を越えれば
もうこれ以上の寒さは来ない(はず)、暖かくなってゆく(はず)。
春が来る(はず)…
地球温暖化現象や異常気象の影響もあってか
四季の移ろいがはっきりせず
曖昧にもなってきましたが、
自然本来のリズムはそのようになっています。

この時期の養生については
また改めて…

2008年を迎えました

2008-01-03 | 日常雑記-暮らしの逸話(エピソード)-
あけましておめでとうございます

こうして4度目のお正月のごあいさつを
申し上げられるとは…正直、思いもしませんでした。
相も変わらず稚拙な内容ですが
これからもぼちぼちと続けていければと思っています。
もしよろしければ
これからも引き続きおつきあいくださいませ。



これからは改めて養生について
いろいろな角度から
学んでいきたいと思っています。
もちろん実践しながら少しずつですけれども。

抱負らしい抱負はとくにありません。
日々継続していけるだけの意志の強さを
なんとか身につけたいとは思います。