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暮らしの菓音vol.7 杜屋

「最近寝てる時よく歯ぎしりしてるよ」とオットに言われることが増えた。
他人に言われるまでもなく、葛藤はあった。
有料チケットを果たしてお客様は買って下さるのだろうか。
今まで「杜屋販売会+アルファ」で、入場無料もしくは前半無料後半有料とか、
そんな感じでやってきた杜屋主催イベント「暮らしの菓音」の7回目。
「完全入場有料チケット制」は、今回初めての試みであった。

 

「暮らしの菓音」としてやるのではなく、フツーにジャズライブとして物販は無しでやってみる?
その手も当然考えた。その方が私もライブスタッフとして運営に専念できるし。
が、現実問題演奏者さんへのギャラも含めた必要経費を考えると、
物販売上げゼロでやるにはチケット代金4000円位にしないととても無理。
その前に4000円のチケットを売ってお客さん集めるなんて絶対無理無理。



でも逆に考えれば、チケット買って下さったお客様の人数から予想出来る範囲の量の
お菓子を用意すればいいのであって、入場フリーのイベントの場合
「何人来るか分からない」から、とにかく売り切れることのないように、
と無茶して膨大な数を用意しなければならない、という必要もないのでその点は気がラクだった。
結果的には、「開場から開演までの待ってる時間を買い物出来て楽しめた」というお声も頂いた。



「ま、やってみないと分かんないし~」というノーテンキな自分と
「本当に自分がやりたいこと・やるべきことは何か」と追及思考しまくる自分とが共存していた。
確かに、お菓子が食べにくいとかお茶こぼすとかせまいとか子供がうるさいとか何とかかんとか、
反省改善すべき点も多々あったが、やってみないと分からないことは
やってみるまで恐怖だし、実際やってみると案ずるより産むが易しとも言える。
答えはひとつではない。白か黒かとはっきり判別できないモノゴトは、世の中にたくさん存在する。
若い頃には見えないかった諸々に少しずつ気付いてくると寄る年波とともにラクになってくる。


長野産山ほおずきジャムは今回限定のレアチーズケーキにトッピングして試食頂こうという試み。

チケット代2000円と2500円の違いって大きいよねとか、
最初の頃の菓音みたく入場無料出入り自由で子連れのお客さんも気楽に来られるのも良かったねとか、
言いたい放題言われるつど、そうねそうねとにこやかに相槌を打ちながら原点に戻って考える。
そもそも「暮らしの菓音」のコンセプトとは何か?


今回のサービスドリンクは初の自家栽培レモングラスのホットティー。さわやかな香りで予想以上に好評でした。

他の人が主催するイベントに出店料を払ってスペースを借りて出店するって、
自分で主催するのに比べて何十倍もラクだな~とつくづく思う。
あーーーもーーー誰かやってーーーー
準備すべき事柄の多さ、乗り越えねばならぬ山の高さを見上げるたびについ現実逃避する。


自家栽培レモングラスティー、通販でも販売可です。1パック15g入り¥250。

ただお菓子とジャムを「売る」だけなら、普段の通常業務として自宅でやっている。
注文を頂いて宅急便で発送。近くの方は取りに来て頂いて玄関先で受け渡す。
音楽文化芸術発信拠点として長年人に愛されて活用してこられたドルチェ倉庫をお借りする。
そして催すイベントの趣旨とは何か?

 
左:「暮らしの菓音」でのお楽しみのひとつはロミパンさんのパンとのジャム試食。
右:地元福祉施設の自主製品も少しだけ委託販売。

その趣旨が明確になったのは、2011年3月11日の東日本大震災直後に行った2回目の菓音の時。
郷里の宮城県が壊滅した映像を嫌というほど目の当たりにしたあの頃。
「日々の平穏な暮らしに感謝して、生きる楽しみを分かち合う」
その為にやるのだとあらためて思った。
トミーさんのライブを私自身が純粋に楽しみたいのなら、本拠地神戸に聴きに行くに限る。
その方が他のお客様のことを考えずに演奏に集中出来る。
それをドルチェ倉庫で、自分で企画してやるということは、
他の人と楽しみを分かち合うということ。
それはまさにホールのケーキを切り分けて食べるようなものでは?

通常、ホールケーキをカット販売しないと決めているのは
「ご家族や大切なお友達と集まったその場で食べる時に切り分けて欲しい」から。
一人では食べきれないホールのケーキも、何人か集まれば人数分の1を味わえる。
「人が集まるきっかけに」という役割も、ひそかにホールケーキは果たしているのではないか。
いわば菓音では、その切り分ける家族や友人に相応する人数をお客様の側ではなく
私の側で集めているとも言えるのでは?


じわじわ売れてる義父の手づくり竹箸。お買い上げの方からも「使いやすい!」とのお声。

入場無料であろうと有料であろうと
トミーさんの音楽は「生きる楽しみ」としては最上質のモノではないだろうか。
例えば、はるか遠いフランスから高価なフォアグラの塊を10KG取り寄せて
それを全部ひとりで一度に食べきるのは利口とは言えない。
一人で買うとなると高価でも、大勢の人数で少しずつお金を出し合えば
至高の美味をみんなで切り分けて味わうことが出来る。
その為にレストランは存在する。

切り分けて楽しむ。楽しみを他の人とシェアするということ。
そう考えると「入場無料か有料か」というのは実はあまり重要な問題ではないのでは、と思った。


ドルチェ倉庫で行われる今後のコンサート情報と一緒に、杜屋を紹介して頂いた雑誌類も置いてPR。
長野の松葉屋さんのギャッベ小冊子、まだありますのでご希望の方に差し上げます。

などとまぁ偉そうなゴタクを並べても、実際有料イベントの運営が大変なのは骨身にしみて分かったし
入場無料有料問わず、「赤の他人であるお客様」に対すること、
おすすめしてイベントに来てもらうこと、無料ではないお菓子を食べてもらうことは
やはりそれなりの覚悟が必須。
そしてイベントを無事に終えた後は、鳥肌が立つような感動と達成感に見舞われ
「次回は何をどうしようかな~♪」と、扉を開けるように次への展望や妄想が降ってくるのが不思議。
我ながらよく懲りないもんだ。人間の脳はおもしろおかしく出来ている。

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